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15 無敵

誤字脱字等修正。

 アイリスが囚われているのは、港湾施設に隣接した倉庫街だ。

 そして、閉じ込められているのは馬車ではなく、ご丁寧に結界まで張られたコンテナの中である。


 警備は倉庫周辺に8人。倉庫の前に2人。倉庫内部に3人。

 後は、日も落ちているというのに、船に荷を積み込んでいる人夫が多数――彼らは雇われただけの無関係の人たちだ。


 敵となる人の顔や名前などの情報が分かっているので、照合は簡単だ。


 ただ、肝心の転移術者が見当たらない。

 やはり、細い糸のように展開した領域では、取りこぼしが大きい。


 とはいえ、最優先事項はアイリスの安全の確保であって、そのアイリスを見つけたのだから、悪い結果ではないのだけれど。

 それに、そう多くはないものの、考える時間もある。



『アイリスを巻き込まずに、倉庫周りの連中を、できるだけ残酷かつ苦しませすぎないように殺して、《転移》術者を誘き出す方法? ――え? ついでに周辺の被害を小さく?』


「いきなり何を言うとるんじゃ?」


「希望」


 クリスさんたちが昼間に言っていた。

 ひとりではできなくても、仲間と力を合わせればできるのだと。

 つまり、私と朔とミーティアが力を合わせれば、そんな難題でも解けるかもしれない。


「お主がさっきやっとたのは?」


「無理」


 領域に取り込むことはできなくもない。

 ただ、抵抗されたのを無理矢理取り込もうとすると、名状し難い何かになる。

 さすがにそれは酷すぎるので、できれば普通に殺してあげたい。


 しかし、あまりに楽に殺すとお仕置きにはならないし、だからといって甚振るのは趣味ではない。

 もちろん、そうするだけの理由があれば別だけれど、ひとりに構っている間に他の人に逃げられては意味が無い。

 というか、情報の持ち逃げをされると非常にまずい。

 まあ、今ここにいる人たちは割とどうでもいいのだけれど、転移術者には恐怖を教えてあげたい。



「儂、そんな細かい作業には向いとらん」


『そもそも、ボクにできるのは服の管理くらいだよ。ユノの力については制御とか補助くらいしかできないし、ボクに言われても困るかな』


 ごもっとも。


 クリスさん、セイラさん、力を合わせても無理なものは無理です。



『というかさ、「力を合わせる」って、違う役割の人たちでってことでしょ。ユノもミーティアも大雑把な破壊が得意って、役割駄々被りじゃない。力を合わせたら大破壊だよ』


「なるほど」


「お主、やはり莫迦なのか? 儂はこんな莫迦に負けたのか?」


「失礼な」


 そんなことを言うミーティアだって、今回は役立たずなのに。

 いや、結構役に立っていたな。

 それは認めよう。



『ミーティアは正面から、できるだけ弱い魔法で――威力と速度を落として即死させないように、殺傷より騒ぎを起こすことを目的に。ユノはその隙に裏から侵入して、アイリスの確保と倉庫内部の掃除。それと、増援に来るはずの転移術師に備えて』


「狙いは理解できるのじゃが、随分と面倒なことを言うのう……」


『ミーティアには隠密行動の方が不向きでしょ。それに、リリーに魔法の応用を教えたのはミーティアだ。――おっと、もしかしてできない? 達者なのは口だけ?』


「ぷっ」


 朔の莫迦にするような口調に、思わず吹き出してしまう。


「莫迦にするなよ!? できるわい! 隠密行動じゃって、《認識阻害》を使えば余裕じゃ!」


 この竜、単純すぎる。


『言っとくけど、ユノも正面での陽動は不向きだからね?』


「できる」


『あのね、確かに格闘戦ならそれなりに手加減もできるだろうけど、複数の距離を取って戦おうとする人たちを相手に加減も何もないでしょ?』


「クックックッ……。右往左往しとるユノが、目に浮かぶようじゃ」


 確かにその条件で殺さないようにというのは面倒臭いけれど、私の体術を舐めないでもらいたい。

 というか、ミーティアはなぜそんなに嬉しそうにしているのか。


 いや、今はこんなくだらないことで言い争っている時ではないはずだ。


◇◇◇


 素早く配置に着いて、ミーティアの行動開始を待つ。


 そのつもりだったけれど、配置についたと同時に、派手な爆発音――ミーティアにしては控えめなものが響き渡った。


 《遠視》で私の動きを見ていたのだろう。

 絶対にストーカーなどに持たせてはいけない能力だ。



 さておき、私も倉庫の裏手から、私が通れるだけの壁を取り込んで、音も無く潜入する。

 私の忍び足の精度は、ネコよりも優れているのだ。


 良い感じに外の騒ぎに気を取られている警備の人や人夫さんは、私の侵入には全く気づいていない。

 そこで、警備の人には短剣を、人夫さんには【眠り玉】といわれる、即効性の睡眠薬の入ったカプセルを投げつける。


 もちろん、それら全てスカートの裾から取り出したのだけれど、地面に落ちる前に掴んで投げつけられる程度に慣れた自分が悲しい。



 完全に不意打ちだったこともあって、倉庫内の方はあっさり片付いた――いや、散らかった。


 しかし、外ではまだ、

「散開しろ! だが扉の結界は切らすな!」

「どこから撃たれてる!? 敵はどこだ!」

「くそっ速い!? それにバカみたいな威力の弾幕は何なんだ!?」

「俺たちだけじゃもたねえ!」

 などと、大変なご様子。


 中の異変に気づく余裕は無さそうだ。



 アイリスの閉じ込められているコンテナには結界が張られていて、今更ながらに「結界とは何なのか」という問題が浮上した。


 一応、キースの知識では「物理的な干渉を防ぐもの」「魔法的な干渉を遮断するもの」「場合によっては、干渉を反射したり爆発したりする」ものらしい。


 何だよ、反射とか爆発って。

 物騒だなあ。



 また、今回の計画には万一のときの証拠隠滅のための仕掛けも考えられている。

 ここでは、この結界をどうにかしたところで、扉を開ければ「ドカン」ということもあるらしく、実際に何らかの仕掛けが施されているのは、領域で確認済みだ。


 どうしようかと迷ったのも一瞬のこと、領域で結界を破壊するのと同時にコンテナだけを取り込む。


 すると、何ということでしょう。

 中から可愛い女の子が出てきました。

 私の彼女です。


 ところで、かぐや姫って、どうやって竹の中に入ったのだろう?

 というか、なぜ竹を選んだ?

 抗菌とか消臭効果目的?


 いや、今は創作のお話ではなく、捜索の終わりを告げる方が先だ。



 突然のことに目を白黒させているアイリスに駆け寄って、「もう大丈夫」とだけ声をかけて抱き起す。

 先ほど確認したとおり、多少衣服が乱れていて、手足を縛られている以外は被害は無い。

 もちろん、怪我も見当たらない。


 しばらくすると、ようやく私が助けに来たのだと気づいたアイリスが、目に一杯の涙を溜めて私を見上げた。

 声も出ないほど怖かったのだろう。


 そう思うと、やはり実行犯には相応の報いを受けてもらわなければならない。


 その前に、アイリスの拘束具を外しておこうと思ったところで、

「呪いの装具のようじゃの。無理に外すと最悪死ぬぞ」

 と、外での仕事を終えたミーティアから声をかけられた。



 確かに、その首にはどこかで見たような――リリーの故郷で見た物とよく似た首輪が付けられている。

 ついでに、首輪の呪いのせいで死んだという村人も見ている。


 しかし、あれと同じものであれば対処法は確立している。

 とはいえ、忠告には感謝しよう。



「それよりも、釣れたようじゃぞ」


 ミーティアが小声で囁くように教えてくれたけれど、私も――というか、朔が侵入者の存在に気づいていた。




 倉庫の屋根を支える(はり)の上に、灰色のローブを纏った小柄な男の人がひとり、妙に偉そうに踏ん反り返って私たちを見下ろしている。

 莫迦と煙は高いところが好きだというけれど、正しくそれである。



「随分と杜撰(ずさん)な計画だったが、まさかここまでしてやられるとはな。竜殺しなどと、何を言ってるのかと思ったもんだが、あながち嘘でもないわけか」


 その男の人は、私と目が合うと、なぜか突然語り始めた。

 何かに酔っているのだろうか?


 しかし、何をどう聞いたのかは分からないけれど、私は殺していない。

 ちゃんと隣にいる。

 《竜殺し》とは銘であって、実際の行動や罪状とは関係無いのだ。



 何の前触れも無く、ミーティアが《無詠唱》で放った魔法の矢を、男の人はごく短距離を《転移》して避けた。


 恐ろしく遅いミーティアの魔法に対して、あらかじめ準備していたにせよ、わざわざ《転移》で避けるとか、なかなか面白い自己紹介だ。



「おっと、危ねえ……! だが、俺には当たらんよ。ってか、俺を殺せばその女の首輪は外せんが、いいのか?」


 なるほど、なるほど。

 《転移》が使えるのと、人質がまだ有効だと思っているから、自分がまだ有利な立場にいると勘違いしているのか。


「とはいえ、今回はお前らの勝ちだ。だが、いずれその女は返してもらうし、お前らの顔も覚えた。くくく、いつどこで襲われるとも分からぬ恐怖に怯えるがいい!」


 返してもらうとか、次があると思っているとか、彼は一体何を言っているのか。


 勝ち誇ったように高笑いして、悠々と《転移》の準備に入った男の人の足元の梁を取り込んで消し去る。

 当然、彼の身体は落下を始めて、準備中の《転移》も無事ファンブルしたようだ。


 そして、落下中の彼が体勢を立て直す前に、空中で身体をキャッチして、そのまま軽く地面へ叩きつける。



「がはっ!? ――き、貴様も《転移》を使うのか!?」


 強かに背中を打ちつけたものの、ダメージはそれほどでもなさそうで、口から出たのは予想外の攻撃に対する驚きの言葉だけだった。


 空中投げというものを一度やってみたかったのだけれど、反作用とか大きくてあまり有効的ではないらしい。

 残念。


 というか、私は悲鳴が聞きたいのに、分かっていない人だ。



 さておき、どこからどこまでの部分を指して《転移》と言っているのかは分からないけれど、踏み切った地面を砕かない程度のスピードにすら対応できないことと、集中していないと《転移》できないことは分かった。

 《転移》の予兆から発動までの隙がかなり大きいので、逃げられる心配はなさそうだ。



 スカートの裾を押さえながら、倒れたままの彼の上へ着地するも、やはり体重が軽すぎるせいか、大したダメージは与えられないし、悲鳴も上がらない。


 とりあえず、そのままマウントポジションを取って、男の人の鼻っ柱に一撃入れる。

 もちろん、完璧ともいえる手加減で、鼻骨が折れて鼻血が出る程度に抑えている。


「くっ! で、てめえ分かっでんのか!? お、俺を殺せば、その女の首輪は一生そのまま――」


 状況の分かっていない彼を、更に殴打する。

 歯が何本か折れて、随分良い男になってきた。

 しかし、まだ悲鳴は上がらない。


「こ、こ、この、ば、ばか、バーサーカー、が……! だ、だから、首輪――」


 誰が莫迦だ――と、もう一発殴ってから、アイリスの首から首輪だけを取り込んで、手元に出して見せる。

 本来、人が身に着けている物は取り込みにくいのだけれど、所有者の執着が薄いものについては、その限りではないことが判明している。



「な、な、なぜ!? 何が?」


 彼は首輪の無いアイリスと、見慣れたはずの首輪を何度も交互に見て、命綱を断たれたことを朧気(おぼろげ)ながらに理解して、混乱していた。


 せっかくなので、この人にも呪いを分かち合ってもらおうと、首輪を付けてあげることにした。


「や、止め――」


 当然、彼は必死に抵抗したけれど、腕力で私に勝てるはずもなく、首輪を付け終えると、それ以上の抵抗を諦めたのか静かになってしまった。

 まあ、抵抗すれば死ぬのであれば当然なのだろう。


 金魚のように口をパクパクさせている姿は面白くはあるものの、まだ悲鳴を聞いていないので再び殴る。


 アイリスを泣かせたのだ。

 彼も泣かせないと釣り合いが取れないので、とにかく殴る。



 しかし、どれだけ殴っても彼は悲鳴のひとつも上げない。

 痛みに耐性でもあるのか、そういうスキルが存在するのか。


 とにかく、これ以上殴ると死んでしまう。

 それは何だか負けたようで面白くない。


 絶対に泣かせてやる。



『えっ!?』


 左手に薄く(まと)わせるように領域を展開させると、朔が驚いたような声を出した。


 私だって半分混じっているのだから、このくらいのことは同化しなくてもできる。

 実際にやったのは初めてだけれど、そういう予感――というか、確信に近いものがあった。


 朔のように奪って解析は難しそうだけれど、何も考えずに侵食するだけならいけそうな気がする。

 ここまでするつもりはなかったのだけれど、彼の我慢強さに敬意を表する意味でもやらざるを得ないのだ。


 ではいきます――とその前に、魂の一部を喰らって朔に受け渡す。


「――――――!?」


 まだ頑張るか。

(情報奪える?)

(うん、いけそう)



 もう悲鳴とかどうでもいいかなとは思うものの、男が一度やり始めたのなら、最後までやり通すべきだろう。

 とはいえ、表裏が逆になったり、中途半端に溶けたりといったようなグロは御免被る。


 つまり、骨とか内臓――目に見えないところを深く考えずに侵食すればいいのだ。



 彼のお腹に左手を当てて、肉体と魂と精神を――存在を侵食する。


 あれ?

 普通に内臓に手を突っ込むより気持ち悪い!


「――――――――――――――っ!」


 彼が、その小柄な体のどこにそれほどの力があるのか不思議に思うくらいに激しく暴れる。


 もちろん、少々暴れたくらいで私の拘束から逃れられるはずもなく、むしろ、抵抗してくれないと面白くない。

 ただ、感触は非常に気持ち悪い。


 侵食は、彼をすぐに殺さない程度に徐々に、そして順調に進んでいく。

 特に何もイメージもしていないけれど、 できるだけこの人が後悔してくれればいいと思う。



 そうしていると、突然、彼のお腹が「ボコッ」と効果音がしそうなほど盛り上がった。


 さすがの私も、驚いて飛び退いてしまった。


 まあ、充分に侵食していたと思うので問題は無いけれど、彼のお腹がボコボコと波打っていて、何かがお腹の皮を突き破って飛び出してきそうな雰囲気にドキドキしてしまう。



「お主、今度はまた何をやらかした……?」


 どう答えようか――考えるまでもなかった。


 彼の口から、内臓のような、ミミズのような何かが飛び出して、ギザギザの牙が生えた口で、「キュゥウァーーッ」と表現しづらい泣き声――いや、産声? を上げたのだ。


 私が聞きたかったのは、この人の悲鳴であって、正体不明の何かの産声ではないのだ。


 というか、回収!

 朔、お願い!



 気絶した彼ごと朔に取り込んでもらって、証拠の隠滅を図る。

 なぜこんなことになった?


◇◇◇


 とても静かになった倉庫内。


「アズマ公爵っていうのが黒幕だった。知っている人?」


 何事もなかったかのように、アイリスに問いかける。

 彼女の顔が青いような気がするけれど、気のせいだと思おう。


 なお、ミーティアも既に笑っていない――というか、真顔だった。



 現在、騎士さんたちには聞かせたくないお話をするために、現場に留まったままなのだけれど、騒ぎを聞きつけた人がいずれ集まってくるはずなので、そう長くはいられない。


「ボンクラという言葉がピッタリの、私の元婚約者です……」


 なるほど。

 政治だけでなく、躊躇(ためら)いなく悪事も使ってくるのか。


 しかも、巫女さんにまで手を出す――神にまで喧嘩を売るとは、筋金入りだ。



「何か打てる手はある?」


「ユノ――ユーリのことを発表するまでは、こちらからは手を出せません」


「一応、証人は捕まえたんだけれど。それでも?」


「今この件を公にして問題にしてしまうと、計画が遅れるのは避けられません。それに、残念ながら、この世界の裁判は、正しい者が勝つわけではありませんので……」


『脅してみるとかなら? 時間稼ぎくらいにはならない?』


「あちらも公にはできませんから、それくらいなら。でも、どうするんですか?」


『コンテナにその辺りの死体でも詰めて送るとか』


「それくらいで懲りるようなボンクラではないのです……」


 私も朔の案は良い脅しになると思ったのだけれど、アイリスはボンクラがいかにボンクラなのかを切々と語ってくれた。




 公爵は、「アズマ」の名が示すとおり、過去に召喚されて活躍した勇者の末裔(まつえい)に当たる。

 そして、当のアズマ公爵もかなり高い能力を有している。


 しかし、彼は自分を中心に世界が回っていると信じている莫迦の典型で、せっかくの高い能力も、磨かれることなく持ち腐れている。


 ただ、王国最強の7人【セブンスターズ】のひとりであることからも窺えるように、特に戦闘能力は折り紙付き。


 最強なのに7人? とか、細かいことはここではスルーしておく。



 ただ、とにかく努力が嫌いな人らしい。


 それでも、生来の能力の高さからか、努力せずとも何事もそれなりにこなしてしまい、こなせなかったとしても、彼にそれを指摘できる人がほとんどいなかった。


 部下のものを含め、成功は自分の手柄。失敗は他人のせい。

 思いどおりに行かないとすぐに癇癪(かんしゃく)を起こす。


 そうして彼の周りはイエスマンで固められていく。


 彼の寝言と、それを称賛する取り巻きのハーモニーは、必聴の価値があるそうだ。

 あまり聞きたくない。


 さらに、公爵は、彼の父が他界してからやりたい放題で、領民を(ないがし)ろにし、逆らう人は容赦なく殺す。



 しかし、グレイ辺境伯のような強者には、面と向かって物も言えない。

 そして、陰口は超叩く。


 なのに、彼の頭の中では、辺境伯はライバル――爵位のせいか、自分の方がちょっと上くらいに思っているらしく、自分こそが英雄と呼ばれるに相応しいと、日々方々で寝言を垂れ流しているそうだ。


 もちろん、同じセブンスターズのひとりである辺境伯と、実際に雌雄を決しようという話になると、子供が聞いても恥ずかしくなるような言い訳をあれこれ並べて逃げる。

 そんな、今年で24歳になった男の話を聞かされた。



 同い年かよ……。



「マジか」


 としか言葉が出ない。

 ドラマや映画でもあり得ないレベルの莫迦さ加減ではないか。


「世の中には良い莫迦と悪い莫迦がおるが、とびっきりの駄目な方の莫迦じゃの」


 良い莫迦、というところでなぜ私を見たのか問い詰めたいところだけれど、そろそろ時間切れだ。


 何もやらないよりはマシかもしれないので、コンテナにその辺の死体と、不気味に蠢く()転移術士をまとめて放り込んで、ミーティアが凍らせた上で、船に積み込んでから、その場から逃走した。

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