第三十二話 集団戦闘
〈嘆きの墓所〉のある森奥に入った俺達は、〈
「グゥオオオオオオッ!」
身体の腐り落ちた狼が俺達へと突進してくる。
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魔物:マッドウルフ
Lv :52
HP :102/102
MP :62/62
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いきなりレベル五十二とは……。
都市ロンダルム近辺で〈
都市ラコリナは上級冒険者を多く抱えているとはいえ、少しそのバランスが崩れれば、一気に領地が大惨事になるのは想像に難くない。
今はこの高レベル〈
しかし、今の俺は【Lv:62】だ。
新しく手に入れた武器……〈ミスリルの剣〉の高いステータス補正もある。
不運だったとはいえ、デスアームドが出現したお陰で、レベルを一気に引き上げて装備を整えることができた。
今更この程度の魔物相手には苦戦しない。
「〈パリィ〉!」
マッドウルフの突進を、身体を引いて威力を逸らしつつ、刃で受け止めて横へと弾き飛ばした。
「バウ……!」
「てやっ!」
体勢を崩したマッドウルフを、すかさずルーチェが接近してナイフで攻撃する。
「グゥ……!」
マッドウルフが苦しげに呻き声を上げる。
「毒入りました!」
早速入ったか。
デスアームドのドロップ品……ルーチェの新しい武器、〈毒蜈蚣の小刀〉の効果である。
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〈毒蜈蚣の小刀〉《推奨装備Lv:70》
【攻撃力:+28】
【市場価値:二千八百万ゴルド】
蜈蚣の猛毒を帯びた小刀。
高い攻撃力に加え、稀に敵に毒を付与する。
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稀という触れ込みではあったが、ルーチェには高い幸運力がある。
元々それなりに強力な武器ではあるが、彼女が持つことでとんでもないシナジーが発揮されていた。
ダメージも美味しいが、〈マジックワールド〉の毒状態には、素早さを【10%】低下させる効果がある。
動きが遅くなったマッドウルフの頭へと、深く弓矢が突き刺さった。
後方の別の冒険者が撃ったものだ。
マッドウルフは地面を転がり、動かなくなった。
【経験値を174取得しました。】
まずは一体仕留めた。
冒険者側に人数がいるお陰で動きやすい。
「敵はまだまだいる! どんどん数を減らすぞ!」
半刻後……ようやくこの場にいた魔物達の姿が見えなくなった。
俺は【Lv:62】から【Lv:64】へと上がった。
「〈
周囲にはマッドウルフや、ワイトバードの死骸が転がっている。
段々と肉や骨が溶けていき、後には魔石だけが残る。
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【エルマ・エドヴァン】
クラス:重騎士
Lv :64
HP :197/202
MP :83/83
攻撃力:55+46
防御力:112+15
魔法力:65
素早さ:65
【装備】
〈ミスリルの剣〉〈狂鬼の盾〉〈黒鋼の鎧〉
【特性スキル】
〈死線の暴竜〉
【通常スキル】
〈城壁返し〉〈ディザーム〉〈パリィ〉
〈当て身斬り〉〈影踏み〉〈シールドバッシュ〉
〈ライフシールド〉〈不惜身命〉
【称号】
〈不動の者〉〈B級冒険者〉
〈番狂わせ〉〈悪夢殺し〉
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俺も強くなってきたものだ。
重騎士の攻撃力不足は否めないが、このレベルの相手であれば充分通用する。
そして防御力はしっかり高いので、レベル下から多少攻撃を受けてもまともなダメージにはならない。
この程度のダメージであれば自然回復分だけでいくらでも賄える。
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〈ミスリルの剣〉《推奨装備Lv:70》
【攻撃力:+46】
【市場価値:五千百五十万ゴルド】
強いマナの輝きを帯びた魔法剣。
高価な稀少金属であり、ミスリル装備を有しているだけで冒険者として一目置かれること間違いなし。
また、〈破壊の
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おまけにただでさえ高性能の〈ミスリルの剣〉が、〈破壊の
〈破壊の
これのお陰で元々【攻撃力:+35】だった〈ミスリルの剣〉が、【攻撃力:+46】へと跳ね上がったのだ。
俺のレベル帯での平均的な装備の性能を大幅に上回っている。
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〈黒鋼の鎧〉《推奨装備Lv:45》
【防御力:+15】
【市場価値:四百五十万ゴルド】
黒鋼の鎧。
飾り気のない性能だが、比較的入手しやすいため、黒鋼装備の冒険者は多い。
黒鋼以上か以下かは、装備の質の目安の一つとなる。
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鎧も新調できたのが何気に嬉しい。
これでもう〈鉄の鎧〉装備の新人重騎士扱いはされないだろう。
鍛冶師ベルガに頼み、〈ミスリルの剣〉と一緒に造ってもらったものである。
完成したのは〈ミスリルの剣〉ができあがった日より数日遅かったのだが、無事に今回の
推奨装備レベルはやや低めだが、このレベル帯の重騎士の装備として最低限の性能はある。
鎧に足を引っ張られることはないだろう。
元々、強敵との戦いは〈燻り狂う牙〉のスキルツリー頼みになるので、多少いい防具を揃えたところで大して意味がない、という事情もある。
余裕があればまあもっといい装備を用意しておくに越したことはないが、現時点では〈黒鋼の鎧〉で充分だろう。
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(2021/7/26)