69話:魔王、己を歌うサーガを調査する(裏)
2019/4/1更新内容
67話に68(後)話、69(裏)話を追加。既に投稿していた68話を70話に移動。
あとがき部分にその話登場した人物紹介を記載する事に。
71話として現時点までの人物紹介を記載。
※この話は例外的に三人称視点がメインです
―――アドラム帝国情報局・本局艦隊旗艦・電子戦艦グレイマウスⅢ艦内
「民間軍事企業・魔王軍に関する前期分の資料はこれで最後です、オネーサマ!」
アドラム帝国の裏方を支える情報局の局長リリス。
本来は暗色系がベースだが、青で彩られた白色の生地な上に、ズボンがミニスカートになっているなど、ファンシーに改造された情報局の制服に、ピンク色の髪の毛が特徴的な少女が投影画像に最敬礼をしていた。
『いつもありがとうねリリスちゃん。んー……大きな動きはハーミット海難保障への輸出量が増えたのと、投資先が分散した所かしら。リリスちゃんはこの変化をどう見る?』
投影画像の主は前・情報局局長のリゼル母―――ベアトリス・フォン・カルミラス。
母性を感じるような柔らかい雰囲気と優しげな風貌を持つリゼルとミーゼの母親だった。
リゼル母は書類の上でこそ情報局を辞職して一般人になっているが、未だに情報局だけではなくアドラム帝国内外に少なくない影響力を持ち、他国の諜報関係者や軍人達には恐怖や畏怖と共に『アドラム帝国の魔女』と呼ばれ、情報局員にも『大ボス』『裏ボス』『お姉様』『大御所様』と様々な呼び名で呼ばれていていた。
「海賊ギル―――こほん!」
思わず組織の名前を言ってしまいそうになったリリスは大きく咳払いをした。
情報局の上層部では公然の秘密になっているが『人類にたかる害虫』とすら言われ忌避される宇宙海賊と、アドラム帝国は何も接点が無いという事になっている。
少なくとも建前では。
なので、情報局の長であるリリスが海賊ギルドの正式名称を口にするのは立場的によくなかった。
「いえ、ハーミット海難保障が実績を伸ばしている所を見ると、組織を回すのに必要な準備が整い、今までそこに流れていた資金が投資に流れたんだと思いますデス!」
『良い読みね。私も同感よ。帝国での海賊被害についてはどう?』
「現在までの調査で海賊発生率はここ十年ぶりに横ばい。年度末までに若干の低下が見込めると思われますデス!」
この十年ばかり、国庫が傾いた国のインフレ率並に右肩上がりで上昇していた海賊被害の発生率が横ばいか、若干低下するというのは画期的なニュースだった。
もちろん、その裏には”海賊牧場“を企んでいた企業グループの壊滅や、海賊ギルドと反ギルドの立場を取る宇宙海賊達との抗争で、宇宙海賊の数が物理的に減っている事など、魔王軍が直接関係した事件の影響が大きかった。
「それと、海賊被害による金銭的被害はそう変わっていませんが、アドラム帝国、及び周辺国で被害者数が劇的に低下してますです、オネーサマ!」
基本的に無法な限りを尽くすこの世界の宇宙海賊達の縄張りが、古くさくも誇り高い「海賊の仁義」を掲げる、海賊ギルドの縄張りに変わった所は特に被害者の数が減っていた。
海賊ギルド所属艦に襲われた船も、小口の誘拐は割に合わないので一般人は見逃され、誘拐される資産家も身代金を支払えば無事に帰ってくるのは小さくない差だった。
海賊ギルド以外の海賊だと、身代金を取るまでもない一般人は虐殺されるか誘拐されて奴隷コース、資産家やその家族で身代金が払われたとしても、貞操や肉体・精神的に無事に帰ってくる事は希なため、海賊ギルド所属の海賊が増えると、金銭的な被害はさほど差がないが、被害者の境遇は天と地ほども違った。
海賊ギルドに所属していても「海賊の仁義」を破ると、容赦なく海賊ギルド艦隊に粛正されて物理的にこの宇宙から退場するので、下手な辺境勤務の帝国軍兵士よりも規律が保たれているという皮肉な状況だったりする。
『そう。それは良いニュースね。リリスちゃんが貰ったプレゼントの方はどうなってるかしら?』
「ほんの半歩だけ前進しました。けど、先の見込みは付いてないですぅ……!」
敬礼したまま、器用に肩を落として落ち込むポーズを見せるリリス。
リリスの体を張った努力により魔王軍から情報局に「技術供与用」として貸与された、魔王軍製・高性能人型戦闘機「ローゼンガルデン」3号機。
勇者専用の近接仕様の1号機、魔王専用の遠距離仕様の2号機に続く、特に得意も不得意もない汎用機だが、この宇宙でたった3機しかない高級機体のうちの1機。
機体に使われている遺失技術の解析も遅遅として進まないどころか解析不能のまま、性能を評価しようにも起動実験の段階で止まっていた。
今まで行われた起動実験は100回を超え、そのたびにテストパイロットが錯乱や発狂する有様だったが、つい先日学生上がりの見習い整備士が整備中に偶然にも起動させる事ができた。
……が、起動は出来たが動かす事ができず、しかしもどうして起動できたかすら不明という状態だった。
『予備装甲のデッドコピーも作れないのは問題よねぇ……』
「似た材料で同じ形に成形しても、強度がまるで違う………違うどころか張りぼてにしかならないデス。流石遺失技術、イグサ君を何度つついてもヒントの1つもくれないんです!」
この悩みは帝国情報局だけではなく、魔王軍製量産型人型戦闘機「シュヴァルトイェーガー」を購入し、分解研究している所に共通した悩みだった。
科学技術を学んできた研究者達に、防御力アップや属性ダメージ減少魔法を常時発動させる刻印魔法という、ファンタジーな魔法技術を解析しろというのは酷は話だったが。
ぷりぷりとわざとらしい可愛さで怒るリリスだが、イグサにしてみれば「魔法を科学的に説明しろと言われても」と困るだけだろう。
『解析や模倣が出来ないのは残念だけど、これで「民間軍事企業『魔王軍』はアドラム帝国に従順かつ友好的な国際企業ですよ」ってアピールは十分かしら。他の部署の反応はどう?』
「だいたい友好的な反応になっているデス。各艦隊司令達は「今の技術で模倣できない代物だから、そのうちアドラム帝国のものになれば良い」と現実的な判断が大半になってきましたデス。
技術局の一部部署が「技術者ごと接収を」と過激な意見を出し続けているけど、この前の技術局定例会議でも苦笑されて流されました」
『国や組織からの注目度がやっと下がってきたわねぇ。リリスちゃん、これからもお願いです』
「はいですオネーサマ!」
びしっと敬礼し直すリリスの表情は報告が終わった事でどこかしらほっとしたものだったが、リゼル母の次の言葉で凍り付く事になった。
『……あ、そうそう。リリスちゃん。出産する時に一人だと何かと不便でしょう? うちにリリスちゃんの部屋を準備しておいたから、実家だと思って来てくれていいのよ。もう家族ですものね、公式な場所じゃなかったら呼び方もお姉様じゃなくて、お義母さんでいいからね?』
リゼル母の言葉にリリスはびくぅ!と背筋を震わせると、若干震えた声で答えを返した。
「ハ、ハイです。オカーサマ。お、お邪魔しますデス……」
後にリリスは宴会―――リリスの歓迎会―――の席で、学校時代から続く腐れ縁で幼なじみのリゼルに語った。あれはお願いではなく命令であったと。
―――アドラム帝国中央星系・技術局所属・軌道上研究ステーション・ダンディライオン第1ホール内
中央に投影画像が表示された薄暗く広いホール。そこは白衣や作業着姿をした技術者達が集まっていた。
彼らはかつてミーゼが「自分のような秀才ではない、本当の天才達」と評価した、アドライム帝国技術局のエリート研究員達だ。
「映像を再度、再生します。撮影場所は船の墓場星系・ヴァルナステーション近傍、超長距離光学観測による、民間軍事企業「魔王軍」の実験記録β11-71Dです」
投影画像には密度の薄い小惑星帯に停泊した2隻の船が映っていた。
「片方は民間軍事企業「魔王軍」の旗艦、強襲揚陸艦「ワイバーン」。残る1隻は同所属の形式不明・大型巡洋艦もしくは準戦艦サイズの標的艦と思われます」
発言と共に投影画像に補足情報がついていく。
「カウント60前、観察対象ーα1。甲板に登場」
画像がズームすると、荒い画像ながらワイバーンの上部甲板に一人の人間が姿を現しているのが見えた。同時に会議室の中に様々なざわめきが流れる。
「どう見ても宇宙服を着ているように見えない。防護フィールドのようなものが展開されているのか?」
「いや違うだろう、エネルギー測定にも偏りがない。着ている服が小型の装甲宇宙服のようなものを兼ねているのでは?」
「生身で宇宙活動ができる進化をした種族がいたはずだ。それではないか?」
「いや、あの種族は外見が地球人から著しくかけ離れている。今回のケースでソレはないよ」
様々な議論が交わされる室内だったが、環境適応魔法をかけた魔王がエアロックから甲板に上がっただけ、などというファンタジーながらも真実を当てるものは居なかった。
思いついて真面目に考え出すとしたら天才ではなく狂人の範囲だろう。
「カウント40前、α1周辺に光学現象を確認」
甲板の上に立った人間が片手をもう1隻の標的艦に向けると、掲げた手の先に輝く円系の模様が重なり合い、多重に現れていく。
「印象的には電磁加速砲の砲身を可視化したものか? だが生体でそれに近いものを発振できる種族はいただろうか」
「電磁加速砲程度なら突然変異的な能力として、地球系を含むヒューマンでも再現は可能だ。昔から人間に何かしらの能力を付与した生体兵器化の研究ならどの国でもやっているだろう」
「待って欲しいッス。その手の能力者はたいてい精神か肉体が不安定になる上に、能力を遺伝させる事が極めて難しいッスよ? 精密なクローン体ですら、大量生産した上に特にデキが良いのを頑張って調整しても、劣化した能力になるのが精々ッスね」
サブカルチャーを好む研究者が魔方陣という単語を脳裏に浮かべる事はあったが、あまりにも荒唐無稽すぎると、それを議論に出す事は無かった。
「カウント20前、α1周辺の光学現象が変化」
魔方陣の周囲に、どこからか発生した白と黒に発光する粒子が漂い、魔方陣を中心にゆっくりと渦を作り、中で桜色の粒子に変化していた。
「確かこの企業が使っている遺失技術に同系統の発光現象を伴う兵器があったな。同じ技術形態によるものではないか」
「機械で行う事を生身で再現? まったく現実的では無いな。もしそれが出来るなら、私達は生身で艦隊戦くらい出来なければおかしいだろう。大昔に生体兵器に特化した国が巨大怪獣型で似たようなのを作っていたが、あれは小型化が困難な上に駆逐艦程度の性能、戦艦レベルのコストに、常時暴走の危険がつきまとうと廃れて久しいぞ」
「技術の前に能力が発見されて、解析して機器化したものなら現存しててもおかしい話では無いッス。問題はこれが未解明の現象な所ッスね」
「カウント3、2、1 α1より高エネルギー体が放出」
伸ばした腕の先に展開する魔方陣から、桜色に発光する光が照射され、標的艦へと伸びていく。
エネルギー体は標的艦のシールドに一瞬勢いが止まるが、可視化したエネルギーシールド蒸発させながら進み、船体を貫通して反対側から虚空へと突き抜けて行く。
「測定器の故障ではないかね? どう低く見積もっても戦艦の主砲よりもエネルギー値が高いのだが。数値的には主力戦艦の主砲砲塔2,3基分という所か」
「事実から目をそらすのは醜いッスよ。最新型の大型重巡洋艦よりも出力の高いシールドが貫通されてるッス。測定値通りか、それ以上でしょう」
「しかしだね、生体が保持できるエネルギーを大きく超えているだろう。昔の超能力がもてはやされた時代の実験体でも、もっとささやかなエネルギー量しか出せなかったはずだよ?」
「生体反物質炉でも内蔵しているのではないか? それなら納得なのだが。まぁ、そんなヒューマノイドがいたら解剖した上で分析してみたいが」
投影画像を中心にアドラム帝国が持つ最高の研究者達が意見をぶつけ合わせていく。
―――しかし、一週間経っても結論が出ず、最後には「ならば生体サンプルを採取して培養、実験体を作ってテストするしかない」「対象は情報局の最重要保護指定人物だぞ、やれる訳が無いし、実際上手く行って実験体を作ったとして情報局の特殊部隊に襲われる」と、激論の末に醜い殴り合いになり、結論が出ることは無かった。
―――同時刻:民間軍事企業『魔王軍』旗艦、強襲揚陸艦ワイバーン艦内
海賊被害を受けているステーションに移動中、当直で副長席に座っていたミーゼがコンソールから顔を上げて、館長席に座っているイグサの方へ顔を向けた。
「おにーさん、この前やってた攻撃魔法実験の結果はどうだったのです?」
「ああ、あれか。何故か俺についた称号の補正で、一番火力がでそうな光属性魔法で試してみたんだが。大型巡洋艦を貫通する程度だ。無理をすれば戦艦の装甲くらいは抜けると思うが、大型巡洋艦クラスになると2,3穴が空いたくらいでは致命傷にならないしな。その後の魔力切れで魔法が使えない時間を考えると、どうにも実用性がない」
法理魔法―――この世界の物理法則を魔力で再現するタイプの系統で、放出系の攻撃魔法を試してみたんだが、後先考えない全力で使って巡洋艦が大破。運が良ければ轟沈する程度という、悲しい結果に終わった。
―――魔法が得意な魔王たるもの、無駄に多い魔力のごり押しで馬鹿火力を出すのはたしなみだよな!
考えてみてほしい。竜の吐息を扱う魔法があったとして、魔力で竜の吐息を再現するのと、竜を召喚して吐息を吐かせるのとどっちが魔王らしいか。
いやうん、後者も魔王らしくはあるんだが、それは魔王が強いとかではなく、召喚した竜が強いだけだよな。
なので、魔力だけで発動する攻撃魔法の実験をしていたんだが。どうにも結果が芳しくない。
「それはおにーさんがワイバーンの主砲を装備して撃つのと比べて、どの位魔力使うんです?」
強襲揚陸艦ワイバーンが持つ攻撃オプションの中で一番火力が高い、魔王が装備(操作)して主砲を放つ「まおうのこうげき」。
戦艦どころか惑星すら貫通すると、火力が高すぎて逆に出番の少ない攻撃の何発分かと聞かれるなら答えよう。
「そうだな。大型巡洋艦を貫通する光属性攻撃魔法1回で、だいたいワイバーンの主砲500発は撃てるな」
装備状態の維持に多少魔力を使うが「まおうのこうげき」はあくまでも通常攻撃、剣士で言えば剣を一振りした程度だ。
魔法使いなら消費の少ない魔法弾を一発出した程度。
SF世界の大型巡洋艦と、その防護シールドや装甲という、ファンタジーな世界の城や砦と耐久力を比べるのもばからしい代物を壊せる火力の攻撃魔法の消費魔力と比べてはいけない。
だいたい500回発という目安は、そのくらいで仮想トリガーを引く指がつるか、面倒になるだろうという数字だ。実際にはもっと撃てると思う。
「…………無駄すぎます。それならおにーさんにワイバーン主砲を連射して貰った方がよっぽど良いのです」
首を左右に振った後、考えるまでも無かったとため息をついて再びコンソールに目を落とすミーゼ。
まぁな。と同意するように頷く。
SF世界なのだから、戦闘艦が主役で魔王はちょっと強い攻撃手段を持っている位で丁度良いのだろう。
魔王の魔力で補助魔法や防御魔法、阻害魔法を使うだけで戦闘艦の能力が飛び抜けるのも悪く無い。
一つ引っかかる事があるとするなら―――
「魔王が使える一番強力な攻撃が光属性魔法というのは違和感だ」
『鑑定』魔法でステータスを再度確かめながらため息をつく。
「光属性魔法が強化されたのが、”勇者の寵愛“なんて称号とか、ちょっと言い辛い」
ステータスウィンドウを開いたまま、ついついボヤいてしまう。
『・勇者の寵愛 →詳細:光属性魔法の効果が2倍になる、勇者の寵愛を最も受けるものに授けられる称号』
どうみても姫とか聖女とかそんなキャラ向けの称号だよな、コレ……
―――異空間? 座標不明
「うーん、久々の休暇に帰郷したけど、懐かしいねー」
16世紀のヨーロッパを思わせる石造りの街に、明るいオレンジ色に染まった空の下、スーツを着た女性の一団が町を歩いていた。
普段は魔王軍に所属している女淫魔、育った場所が近所の幼なじみ達が揃って土産を持って帰郷したのだった。
この場所は人からすれば「魔界」とでも呼ぶべき、現世とは異なる場所にある空間。
広さはヨーロッパの小国程度だが、住人の全てが淫魔族という特徴があった。
街並みは落ち着いた雰囲気で、淫魔達の根城にしては淫靡さを感じない代物であった。
「家に帰る前にと……あ、ここだ。おじさーん!新作持ってきたよ-!」
女淫魔達が最初に寄ったのは、落ち着いた街並みの中で異彩を放っている、商業用のノボリが立てられた建物。
ノボリには淫魔達の言語で『”みんなの妹・ライムちゃん“のブロマイドあります』『”理想の弟イグサ君“のグッズ販売中』などと書かれていた。
ブロマイドやグッズが所狭しと陳列された、アイドルショップのような店内で、おじさんと声をかけられた、20世紀ホスト風の風貌と服装をした男淫魔は、笑顔を浮かべて女淫魔達を出迎えた。
「やぁ、ネグザリィ姐さん所の娘達じゃないか。もしかして、頼んでいたものを持ってきてくれたのかい?」
「そうだよおじさん、私達もちょーっと危ない橋渡ったんだから色をつけてよね?」
女淫魔が携帯端末を取り出して投影画像を表示する。
そこには寝起きでボタンを止めてないワイシャツ姿のイグサの全身像が映っていた。
画像ファイルの最後には『流しの写真家ワイバーン』と撮影者のサインもついている。
「……ほぅ、これは素晴らしい。しかも抱き枕にできる構図で撮ってあるね」
男淫魔は投影画像を見て感嘆のため息をついた後、20世紀風のアンティークなレジから高額の共通通貨(ICコイン)を取り出して、携帯端末と交換した。
「まいどどーも!これで今日は宴会だー!」
共通通貨を掲げ、おおーと手を掲げて騒ぐ女淫魔達達が店を出て行く。
淫魔達の世界でイグサが「理想の弟」として、ライムが「みんなの妹」として国民的アイドルのような人気がある事は淫魔達の中では常識であり、かつ淫魔以外には知られてはいけない淫魔達の秘密であった。
人気の付け火役はある淫魔が撮った(あるいは盗撮った)一つのドキュメンタリー映画だった。
72時間にもわたる魔王と勇者パーティの激闘(隠喩)を撮影したもので。
勇者パーティ、特に人間とは思えない勇者の天然の才能と闘志に女淫魔達は共感と感動し。
勇者パーティ一行との激しい激闘で、すでに体力気力精力ともに尽き果てているにもかかわらず不敵な笑みを浮かべて立ち上がる魔王に男淫魔達は感動の涙を流し。
限界を超えすぎた果てに、うっかりと鼓動が止まった心臓と意識を、魔王は自分に事前にかけておいた自動発動型の蘇生魔法で心臓を再起動させ、そんな事など無かったとばかりに涼しい顔で勇者に甘い言葉を囁きつつ、戦闘に戻っていく魔王の姿に男淫魔・女淫魔達は感動の涙を流しつつ総立ちで拍手した作品だった。
上映されてから数年経つ作品だが、未だにリバイバル上映され続けている名作になっている。
淫魔からすると、イグサは淫魔的な方面で十分な才能も技術も持っている。だが、周囲にライムやリゼルといった、そっち方面の天才が多すぎるせいで自分の能力に気がつかず、無自覚から来る天然加減が実にそそり。
そして天才達に何度負けそうになっても、立ち上がる力なんて残ってないような状況ですら、壮絶な笑みを浮かべながら何度でも立ち上がる姿が、淫魔達からすると「見守ってあげたい理想の萌え弟」として。
ライムは人間であるにもかかわらず、歴史に名前が載るレベルで淫魔的な才能に満ちあふれた天才として目立ち、しかし一途な恋心を持つ姿が「応援してあげたいみんなの妹」として熱狂的な人気を博していた。
なお、この店が作ったイグサの抱き枕は限定1個のプレミア品としてオークションにかけられ、”色欲“の称号を持つ淫魔王と、”大淫婦“の称号を持つ高位女淫魔がお互いの財布の中身を投げ捨てる勢いで奪い合い、淫魔達の間にまた一つ伝説を残したのだった。
―――『ヴァルナ』ステーション、商業区画広場、公園に出店した屋台
標準時間で夜になり、明かりが落とされ暗闇に包まれた商業区画の端、公園とは名ばかりの広場には、伝統的な赤い提灯が掲げられ、最近になって再発見された人気食材の「疑似おでん」の屋台が出ていた。
総合商社『魔王軍・兵站部』直営店と看板が掲げられた店内では、3人の女性が皿に取り分けられた疑似おでんをつつきながら、これも魔王軍直営店でしか売ってない、日本酒モドキを飲んでいた。
「あー……やってらんない。顔を出せ顔を出せってメールがしつこいから実家に顔出したら、いい人は出来たか? 初孫はいつ頃かしら? とかばっかり、そんな事言うなら、見合いの3つや4つ位準備しとけってんのよ!」
中央に座ったスーツ姿の猫耳が頭についたアドラム人女性が、ごくごくと日本酒モドキを飲みながら愚痴を吐く。
「まぁまぁ。特に魔王軍は出会いが少な―――男が少ないですから、仕方ないですよ」
愚痴を吐いている女性の肩をポンポンと叩くのは、作業服姿の地球系アドラム人女性。
「新規雇用も女性が多いでありますからね。民間軍事企業で、まともな職場の女性求人が多い魔王軍はアドラム帝国ではちょっとした有名企業。新入社員も女性が多くなるわけであります」
反対側に座っているのは、狐耳も髪の毛も銀髪をしたやや背の低いメイド服の女性。
魔王軍のメイド隊と呼ばれる家事一般・破壊工作・潜入任務・銃器戦闘・格闘戦闘・戦闘機操縦など、様々な特殊資格を持ち、その上で厳格な試験の合格者だけ許された服装だった。
魔王軍が本拠にしている”ヴァルナ“ステーションはもちろん、支社があるステーションでも、犯罪者とナンパ男はメイド服を見たらダッシュで逃げ出すと言われている。
そしてこの3人は子供の頃からの友人同士で、学校卒業後に一度ばらばらになったものの、後に魔王軍に入社して同僚になったという腐れ縁同士だった。
メイド服の銀髪狐耳女性の言うとおり、軍や民間軍事といった給料は良いが危険も相応に高い仕事で女性の求人はそう多くない。
女性蔑視的な差別は歴史の教科書に載るくらい陳腐化して久しいが、アドラム帝国製の艦艇は手動操作が必要な箇所が特に多く、宇宙船の船員は腕力と体力が求められる。
結果、男の方が頑丈で体力があって便利なので、オペレーターや整備員など一部の仕事以外はだいたい男性のみの求人ばかりだった。
そんな中、使えるなら老若男女問わないという魔王軍は珍しく、かつ初期の社員に女性が多かった影響で、その後の求人に応募するのも女性の割合が非常に多くなっていた。
「―――まぁ、だから職場で出会いが少ない訳でありますが」
「そうなのよ、そうなのよ……! 旗艦勤務決まった時は私だって凄い喜んだわよ、基本給こそ変わらないけど、危険手当が他の艦より断然多くて、給料が段違いだもの。艦内にあそこまで男が少ない以外は不満がないもの!」
民間軍事企業「魔王軍」の旗艦ワイバーンだが、旗艦勤務の男性は少なく、独身男性はさらに希少であった。
独身だとすぐに肉食女性に喰われて既婚になる的な意味でも。
なお、既婚男性への浮気や不倫行為は非常に少ない。
まだ魔王軍の規模が大きくなかった頃に、既婚者との浮気や不倫が原因で女性社員が数百名規模で参戦する凄惨な喧嘩が多発し、世界大戦の後に「もうあんな悲劇を繰り返さないために」という戦争条約的な淑女協定が制定されていた。
社内にはその手のトラブルの予防と仲裁を行う女性社員連盟まで作られ、戦艦の装甲より固く強靭そうな鉄の掟ができている。
「そうよねぇ。同じ部署の先輩が、社長を「とりあえず初孫の人」って言ってた理由が良くわかるのよね」
ゆっくりとしたペースで日本酒モドキの入ったグラスを干していく作業服の女性。
「とりあえず親に初孫を見せるならの人の意味でありますか」
「そうそう。それ以上を期待しないならだけど」
「魔王軍」社長の非公式な子供の数の多さと、社長と訳あり女性の遭遇率、悪い男に引っかかりそうな女性が引っかかる確率の高さは、社内では有名な話だった。
子供と女性への生活費、養育費の支払いの良さはそれ以上に有名だが。
最近ではその子供が魔王軍直営の学校へ優先的に入学できて、将来の幹部候補生として育てられているので、色恋とは別の意味でも熱い視線が集まっていた
「でもリスクもあるから、慎重に、思い詰めないように……ね?」
言葉と次のおでん種を選ぶ作業服の女性。
「肯定であります。お断りの烙印は…………あれは無残なものでありますよ」
「わかってる、わかってるわよ、お断りの烙印は絶対社長が考えている以上に大きいもの!」
魔王軍の社長は人生がふれあう程度の女性に多くを求めない、恋心ではなくて憧憬や情熱があっても受け入れる。
―――が、いわゆる守備範囲がちょっと人としてはどうかと疑うレベルで広い社長に「流石にちょっと……」と断られるというのは、ただの失恋の痛手程度では済まなかった。
この時代(SF世界)のこの国(アドラム帝国)、極端な不細工というのは希少価値があるくらいだ。あえて不細工になるように外科的に整形したか遺伝子を弄って不細工顔を演出する趣味人は割と多いが。
外科的な美容整形もそうだが、そもそも地球人に愛玩用の種族として人工的に作られた獣耳と尻尾を持つ新人類と、地球人の混血であるアドラム人には、獣的な特徴を持たない地球系アドラム人でも遺伝子を人工的に弄ってある箇所が多かれ少なかれ存在する。
なので肉体的な美醜は、恋愛や人生のパートナーを求める際にたいした障害では無かった。不都合があれば気軽に外科整形や遺伝子調整すれば良いのだから。
その結果、恋愛対象や人生のパートナーを探す際に評価されるのは、相性や人の内面、精神性だった。
化粧で糊塗してごまかせない内面をして、社長に「ちょっとお酒飲んで一晩仲良くするのもちょっと」と断られるのは、女性として大きな瑕疵があるという烙印を押されるに等しい。
具体的に言えば両親の努力で一ヶ月に一回くらいあった見合い話が全く来なくなり、悪食(社長)すら避けて通るお断りの人として、社内や地元で有名人になるくらいに。
能力は高いが性格に難のある事で有名な、見た目も心も厚化粧のお局様がお断りの烙印を受けて、かろうじて繋がっていた人間関係が破綻して人生に絶望したあげく、帝国軍の特殊部隊より訓練が辛く、性格どころか人格や人間性すら変わると言われる、魔王軍の主力艦付き陸戦隊に転属していった伝説(実話)すら存在した。
「社長という安易な道はあるけど、お断りされたら身の破滅……! まだよ、まだ私はそこまで追い込まれてないから、追い込まれてないの!」
グラスになみなみと注いだ日本酒モドキをごくごくと飲み干し、ぷはぁ!と気前よく息を吐く猫耳の女性。
安易な道に手を出して良いのか? という悩みでは無く、お断りされたら危険だと苦悩するあたり、色々お察しである。
嘆く猫耳の女性を残りの2人が慰めつつ、騒々しくも夜が更けていった。
―――フィールヘイト宗教国北東辺境部、長期型惑星改造工事用ステーション増設宇宙船用ドック
フィールヘイト宗教国の辺境、惑星をヒューマン種用にテラフォーミングして、観光惑星に改造しようとする工事用兼、その際に出る資源で製品を作製する工業用ステーション。
動植物の食物連鎖まで再現するため、長期―――百年以上の工期が予定されている工業用ステーションの端、近年になって急遽増設されたドックに係留された戦闘用フリゲート艦の中で、20人ほどの新人船乗りが古参船員にレクチャーを受けていた。
「―――以上がこの付近に出没する海賊団の種類と、主な艦船・戦闘機の種類だ。次にだが、この塗装と識別マークの船、特に輸送船を見つけたら最大限の配慮をしろ」
古参船員が投影画像に表示したのはアドラム帝国製の輸送船。
その輸送船は純白という珍しい色の塗装に『体を丸めた飛龍』の識別マークをつけていた。
その画像を見た8割、このステーションや近隣ステーションの出身者は「ああ」と納得のため息を漏らしていたが、残り2割の新人達は首を捻っていた。
「教官殿、たまに入港している所を見る船ですが、このステーションと何の関連があるのでしょうか?」
疑問に思った新人が挙手して質問すると、教官はその新人の個人情報を確認して、納得するように小さく頷いてから口を開いた。
「お前は最近になって中央の方から来たのか、ならば知らないのも無理は無い。この塗装にマークをつけている企業、『魔王軍』はこのステーションの恩人だ。ここの悪口を外で言ってみろ、住民達に嫌われて街を出歩けなくなるから気をつけろ」
「その……どのような恩人なのでしょうか?」
新人船乗りの疑問は当然だった。フィールヘイト宗教国とはいえ、この工事ステーションがあるのは辺境。中央教会の威光も届き辛く、教会は一応建っているが、中央で何かやらかして島流しにされた生臭坊主達が死んだ目でお茶をすすっているような土地だ。
住民達も信心深いとはお世辞にも言えず、そんな場所で教会や聖職者より尊重しろと言われれば、戸惑いもするだろう。
「数年前、特にこのあたりは海賊被害が多かった、それは覚えているな?」
「はい。このドックやステーション所属の戦闘艦が増設された理由とも聞いています。当時は交通・物流すらほぼ遮断される有様だったとか」
「そうだ。食糧やエネルギーを求めて輸送船が動いても護衛ごと海賊にやられるような状況。当時はこの地域一帯のあらゆるステーションが、食糧難に喘ぎ、ステーションの維持エネルギーまで枯渇し、ステーション内の居住区画ですら、道が凍結し空気すら薄くなっている光景が日常だった」
古参船員は目を閉じ、当時を振り返って痛ましい顔になり。それを知っている船員達も似たような表情を浮かべていた。
「そのような状況でこの企業は、巡洋艦を護衛に輸送船団を引き連れ海賊多発地帯を突破して、船倉にたっぷりと食糧とエネルギーキューブを載せて来たんだ」
「では住民達は喜んだでしょうね」
「まさか。その逆だ、恐れ戦いていたよ」
「は?」
理解できないという顔をする新人に古参の船員は諭すような口調で語る。
「食糧もエネルギーも無い極限状況、買わなければ死ぬと分かってる状態だ。どんな値段だってつけ放題だとは思わないか?」
「ああ」
納得するように頷く新人。そのくらいSF世界の商人は逞しいし、業深い者が多い。
「死なない程度の食糧とステーションをぎりぎり維持できるエネルギーで、ステーション中の金銭どころか、住民の半分を奴隷として差し出せと言っても断れなかった。当時は俺の家でも、上の娘と息子が弟と妹のために自分を売って食糧とエネルギーを仕入れてくれと言って、俺も妻もその言葉に反論ができなかった」
フィールヘイト宗教国では建前上人身売買は禁止されている。しかし、辺境では事実上の人身売買―――雇用契約の形をした奴隷契約じみたものなどは、普通にまかり通っていた。
「だがな、このバカな企業は笑える事に『多少値上がりしていますが、公共取引所が出してる相場通りでお売りします』と、はした金で十分な量の食糧とエネルギーキューブを置いていったんだ」
震える声をあげはじめた古参船員。当時を知る新人達もあの時はウチもそうだったと小さく言葉を漏らす。
「その上、売る先や輸送する船もなく、ステーションで山積みになっていた売る先のない製品をまとめて買っていった。『これを売るだけで十分な利益がでますから』とな」
当時の取引所の相場は通常価格の3倍から5倍ほど。しかし、市場から商品が枯渇した後の闇市では数十倍、数百倍の値段がついていた。
「そして、他の企業の輸送船がやって来ない中、定期的に通ってくれた。時にはステーションから肉眼で見える位置で海賊と戦闘してまでな。その次も、その次の次も、ステーションの食糧とエネルギーが枯渇しそうになるたびだ……!」
押し殺した声で、目から水分を溢れさせながら語る古参船員。
「だからだ―――俺達はそのバカな企業の船も船員も、俺達はできる限りの便宜を図る。輸送船が海賊に襲われればこの船、この体を盾にするし、国や教会に反旗を翻すようなバカをするなら、一緒にバカになりにいく覚悟だ。最近このステーションに来たお前達に同調しろなどは言わない。だが、このステーションの住人のほとんどが同じ思いというのを絶対忘れるな」
そう言い切った古参船員が軍隊式の敬礼をすると、新人達でも地元ステーション出身の者達は一糸乱れない動きで敬礼を返す。
最近になって中央から引っ越してきた新人達は、その姿を見て触れてはいけないものの存在をしっかりと心に刻み込んでいた。
誰だってうっかり逆鱗に触れて、職場や自宅で『事故死』をしたくない。
そう新人達が思うほどに古参の船員や、地元出身の新人船乗り達の覚悟は強いものだった。
―――某魔王と飛龍曰く
「昔のフィールヘイト辺境は特に売り上げが多かったのか」
『ヘイ、どのステーションも食糧やエネルギー枯渇状態だったんで、エネルギーキューブや汎用オーガニックマテリアルがいくらでも売れた良い市場でした。難点が一個ありましたが』
「何かあったのか?」
『ヘェ、まとめて売ろうとすると他のステーションにも売って欲しいと固辞されるから、一カ所でまとめて売れないのが難点でした。ステーションの倉庫はいくらでも空きがあったのに不思議な所ですわ。まぁ、その分ステーションでだぶつきまくって暴落してた製品を捨て値で仕入れられたのが美味しかったですが』
「不思議な話だな……」
魔王と飛龍は遠く離れた土地で、自分達の信奉者が大量発生している事に気がついてすらいなかった。
―――アドラム帝国・軍事系討論フォーラム・現役軍人まとめ資料サイト
イグサ・サナダ →あいまいさ回避リンクは<<こちら>>
種族:ピュアテラン、登録年齢27歳 男性。
ロストコロニー出身、詳細不明。
8年ほど前にアドラム帝国辺境で『民間軍事企業・魔王軍』を立ち上げた経営者。
会社の経営者であると同時に旗艦の艦長を兼任し、戦闘艦の艦長として一部業界では著名人。
記録にあるだけでも、戦力比が不利すぎる戦場でほぼ一方的な勝利を収め続けている。
しかし、軍事国家のプロパガンダに出てくる英雄が控えめにみえる戦績が並んでいるため、真偽についての討論スレッドが作られるたびにフォーラムが荒れる事でも有名。
また様々な噂が飛び交う怪人物。その内容は以下のようなもの。
・小型偵察機でフリゲート艦を轟沈した。
・駆逐艦サイズの大型強襲揚陸艦で海賊艦隊を一方的に撃破するのが日常光景。戦艦だってぶっとばしてみせらぁ。
・海賊艦に乗り込んで海賊の艦長とビームサーベルで一騎打ちをし、当然のように勝ってくる。
・欲しい地上兵器があったので武装惑星に強行降下し、防衛部隊を蹴散らして兵器を奪ってゆうゆうと逃げていった。
・この艦長に対抗するためにアドラム帝国は戦艦だけでも20隻を新造して新しい艦隊を作った。
・ニュースサイトに取材され、戦力比が5倍の相手にどう対処する? という軍事系に疎いレポーターの頭が悪い質問に対して「地道に潰して行く。しかし3倍以上の相手は戦闘に時間がかかる上に逃がさないのに神経を使うから、相手より多い数と質があった方がいい」と真顔で答えるうっかりさん。やった事あるの?
など、荒唐無稽な話がいくらでも出てくるため、一部では実在すら疑われている。
ゲームでの活躍
実在の人物や艦艇をモデルにしたVR戦略ゲーム『グロリアス・オブ・スペースユニオン』シリーズでは、単艦の艦長または小規模艦隊の指揮官にすると、20倍の戦力比までは損害ほぼ無しで勝利する、廃棄コロニーに陸戦隊で追い詰めても、この程度日常だとばかりに簡単に逃亡して戦死しないなど、何故か開発が頑なに修正しないバグキャラとして、シリーズを通して有名。
初期配置では多国籍企業で独立状態、特定の国の軍に所属していないため、敵国にスカウトされて戦場に出てくると大変な苦戦を強いられる。
シリーズを重ねる事に性能バグが酷くなる傾向があり、一種の名物と化している。
最近はこのキャラを他のゲームに登場させるユーザーパッチも多い。
ゲームプレイ動画などで
『グロリアス・オブ・スペースユニオン』系のプレイ動画では、このキャラをいかに素早く無力化するかが定番となっている。なるべく早くスカウトし、窓際役職につけるまでが動画序盤の定番。
それでも終盤に唐突に劣勢な勢力に亡命するなど、多くのプレイ動画配信ユーザー達に恨みの声を上げさせ、多くの名言と迷言の元になっている。
同人業界において
某ジャンルにおいて「総受けの魔王」との異名を持ち、この人物を題材にした多くの同人誌が作られている。
シリーズの火付け人はサークル「メイドの園」の「謎の作家ツバイ」氏と「華麗なる原作者駄犬メイド」氏による作品。
通販ショップで専門コーナーが作られるなど、殿堂入りジャンルと化した。
・リリス アドラム帝国情報局局長。外見こそ狐耳がついた少女だが大国の情報機関の長。腐れ縁の幼馴染みと法律的にも比喩的にも姉妹になってしまった。
・リゼル母 リリスを局長まで育て上げた前情報局局長。ずっと可愛がっていたリリスを法律的に娘にできてご満悦。
・ローゼンガルデン3号機 魔王様が勇者専用機・魔王専用機として作った人型戦闘機の3号機。機械的にもハイスペックだが、その機体をラスボスができるレベルの魔物化して、SF世界的にも冗談みたいな高性能になっている。魔物側がパイロットを余程気に入るか、ラスボスを使役できるレベルの魔物使いがパイロットになるか、ラスボスを倒せる程度の素質か実力がないとパイロットになるのは困難。
・見習い整備士 学校を卒業し情報局の整備課に入ったばかりの心が綺麗な辺境出身の少女。3号機が起動や整備を許す程度にツボだった模様。
・科学者さん達 今回集まったのは失われた技術・古代技術・既存の科学では説明できない技術が大好きなマッドサイエンティスト達
・イグサ 主人公。魔法攻撃の限界に不満なのか、その後も色々考えている。
・ミーゼ メインヒロインその3。リアリスト。
・帰郷した女淫魔達 魔王軍の社員。たくましい性格をしている。
・流しの写真家 魔王様と勇者様の隠し撮り画像で一部で有名な写真家。
・酔っ払いの魔王軍社員達 普段は涼しい顔をしているが、酒とストレスで素が出てしまっている。
・フィールヘイト辺境ステーション自衛団の皆さん 熱い漢達。
・魔王様 SF世界にやってきてからそろそろ8年。
・駄犬メイド アルテという名前のメインヒロインその4的な何か