49話:魔王、悪徳企業に立ち向かう
3話同時投稿です。話数にご注意下さい。
俺の好きな言葉の一つに「復讐は何も生み出さない」というものがある。
意外だと驚いた声が聞こえた気がするな。
ああ、今更非暴力を主張する訳ではないから安心してくれ。
俺はこの言葉を額面通りの意味で気に入ってる訳じゃないからさ。
綺麗事は聞こえが良いから「復讐をしても何も生み出さないから報復も何もしない」なんて聖人ぶった意味で覚えてるやつも多いだろう。
実際に個人と個人の間ならその綺麗事で済むことだってあるだろう、それは俺も認めよう。
だが集団と集団。
企業や国家間でそんな無抵抗主義が通る訳がない。
対立した企業や国家なんてのは、ファンタジー的に例えるなら強欲の盗賊団や餓えたゴブリンの群れみたいなものだ。
譲歩すれば譲歩しただけ踏み込んでくるし、無抵抗だったら殴って殺して略奪してと好き放題されるだけだ。
え、何が「復讐は何も生み出さない」という言葉が好きなんだ、言ってる事が違うじゃなかだって?
いやいや、この言葉が好きだってのは嘘じゃない。
復讐の連鎖は不毛だが、復讐を止めるのに必要なのは高潔な意志だけじゃない。
むしろそっちはオマケみたいなものだ。
復讐を止めたいなら、止めた後に相手が調子に乗らない力―――抑止力が何よりも必要だ。
腕力のような暴力だって良いし、強力な後ろ盾だって良い。
考えてもみて欲しい。
現代の地球でチンピラに絡まれたとして、暴力反対を唱えたところで助かりはしない。
徹底的にボコにして「暴力は良くないよね、仲良くしよう?」と笑顔で言った方が後々平和な結果になるだろう?
まあ色々な主義主張があるんだ、異議を唱えたいヤツもいるだろう。
だが俺はこういう思想を持っているし、召喚される前の地球では過去も現代も。
このSF世界ですら、その理屈で動いている国や組織ばかりだ。
だから俺にとって「復讐は何も生み出さない」という言葉は「復讐なんて不毛な事が嫌いなら、相手が復讐など考えられない位に圧倒的な力を準備しろ、それでわからない馬鹿ならわかるまで体に教えてやれ」という意味になる。
憎しみを理由に復讐や報復をしあっても不毛なだけだよな。
だからこそ、俺の身内に手を出した「海賊牧場」計画にのった中小企業連合―――アルテの内偵で判明した正式名称は「PFカルテル」の連中には報復も復讐もする気にならない程度に思い知って貰おうと行動を開始していた。
結局報復してるじゃないかって?
いやいや、これは平和の為の大切な「話し合い」の準備だ。
本気で報復するなら直接・間接的に関わらず、関係者を一人残らず根絶やしにするまでやってるさ。
な、つまらなくも血なまぐさい虐殺屠殺の復讐劇よりずっと平和的だろ?
―――
『ヴァルナ』ステーションの近郊に停泊した高速電子巡洋艦セリカはアダマンタイト・セルで出来た『天使の翼』を展開し、本来は能動/受動センサーとして使う『天使の輪』を全力に近い出力で発生させ、ジャンプゲートに付随した通信施設で行う、広域ネットワークへ接続する高速通信網を作り上げていた。
そして、セリカとドッキングしたワイバーンのブリッジは静かな戦場と化している。
「アドラム帝国西部『トゥルーナ運輸』第3支部の閉鎖系ネットワークへ強制接続開始、防壁解除、迎撃プログラム透過、内部構造体へ進入、情報検索を開始します」
「処理を3分割、迎撃プログラムの無力化、情報検索、深層構造体への経路作成に回せ」
「イエスマスター、ご指示の通りに」
「コランダム通商連合、中央星系第4惑星『アウグスト造船工廠』本社ネットワークに裏帳簿を発見、海賊への密売と他国への新型艦船情報の売買情報の痕跡を確認しました」
「回収及び復元をかけろ、その後にネットワーク感染型の連鎖破壊ウィルスを拡散。
侵入の痕跡を周囲ごと削り落とせ」
「イエスマスター。
第一秘書課の方、情報を整頓して送付するので資料化をお願いします」
「『イグニス鉄鋼』のフィールヘイト南部方面支部長の携帯汎用端末、管理者権限を奪取、大規模物資輸送計画書を表示します」
「該当セクタにいるフィールヘイト警備艦隊の情報収集用サテライトに侵入をかけろ、周辺情報を覗き見るだけで良い」
「イエスマスター、ゲートネットから軍事用ネットへ侵入、稼働中の情報収集用サテライトに侵入成功。
フィールヘイト南部辺境で『イグニス鉄鋼』レアメタル輸送艦隊を発見しました」
「近隣にいる海賊ギルド登録組織へ召集をかけろ。
特上の獲物があると教えてやれ」
「イエスマスター。指示実行します」
「アドラム帝国南部辺境『ギア・カルパドル重工』の隠蔽研究施設への潜入工作任務中の「グスタフ一家」が予測通りに任務失敗、魔王軍第1艦隊高速巡洋艦ベルタ所属の陸戦隊が撤退支援及びダミー情報の散布を開始しました」
「マリア達が放棄した補給物資に仕込んでおいたネットワーク中継器に起動信号を送れ、侵入用のネットワーク構築が完了次第、攻撃開始だ」
「イエスマスター、起動信号送信、中継アレイ起動、ネットワーク構築開始。
ローカルネットワークを構築完了、閉鎖ネットワークへ侵入経路を強制作成、防壁除去開始します」
「魔王様、広域用通信用ゲートネットワークの掌握率は22%です。
私達の処理能力だとこの数字が限界です」
「十分だシーナ、現状の処理を続行してくれ」
「はいっ」
情報処理用の投影ウィンドウを周囲に展開しながらも元気に答えるのは、情報処理に特化した機鋼少女のシーナ。
ワイバーンのブリッジに急遽増設された情報処理用のコンソール群の前では、シーナと同じ情報処理系の機鋼少女達が持ち前の処理能力と、セリカの通信設備を使って、ジャンプゲートを利用した広域情報ネットワークを限定的に掌握、『PFカルテル』に参加している企業へ情報戦を仕掛けていた。
情報処理系の機鋼少女は電子戦闘艦のメインフレームさながらの処理能力もさる事ながら、外部との接点がない閉鎖系ネットワークへの侵入路を作ったり、電子的な「開錠魔法」のようなスキルなど、情報に関わる魔物としての便利な能力を持っているので心強い。
『どうせ私は処理速度が遅いですよーだ、若い子ばかりの機鋼少女に比べればおばさんですよー。
おばさんはアンテナ代わり位しかならないですよー……』
対抗手段が多すぎて電子戦が不遇なSF世界において、電子戦だけで敵艦を無力化できる情報処理能力を持つ、高速電子巡洋艦の付喪神・セリカが、先ほどからブリッジの隅で人魂でも出しそうな雰囲気でいじけている。
生まれてから1年未満の機鋼少女と、高速巡洋艦として就航してからの年数が3桁を越えているセリカを比べておばさんという表現はどうなんだろうか……?
突っ込みたいが我慢する。この話題に口を挟むのは危険だ。
シーナのように飛びぬけて成長させた個体でもなければ、セリカと機鋼少女の処理速度は大差ないのだが、情報戦に参加している情報処理系の機鋼少女は30人を越えている。
まさに数は力だな。
戦闘艦同士が行う電子戦とは違い、要塞みたいなプロテクトに守られたネットワークに侵入して裏帳簿の情報を引き出してしまうとか、貴重品を運んでいる輸送艦隊の位置を海賊ギルドの登録組織に流してしまうとか、派手さこそないもののエグイ位に効果は抜群だ。
レアメタルを輸送していた輸送艦隊は海賊ギルドに登録している海賊に襲われて積荷を奪われて。
何とかたどり着いたステーションで再編成して交易品を積み込んで出た所で別口のやはり海賊ギルド登録の海賊に襲われて積荷を奪われた上に、交易ステーションでたまたま乗り込んだ本社の部長を人質として誘拐され。
度重なる海賊被害に近隣のステーションに避難しようとした所、たまたま通りすがった関係ない海賊に襲われて沈んでいたり。
PFカルテルに属する企業の情報端末からは、裏帳簿や政治家との癒着の証拠やら不正の証拠から、個人的な横領やら浮気やらの情報がもうありがたみを感じない位にざくざく掘り出されている。
「マスター、マスター。ご指示にあったPFカルテル参加企業の98%において不正または癒着の痕跡を発見、証拠レベルの情報取得は現在まで全体のおおよそ3割です」
人懐っこい子猫を彷彿させる機鋼少女のシーナが明るく報告してくれる。
世の中綺麗事だけじゃ生きていけないのは知っているし、「海賊牧場」なんて人の不幸を利益にするものに参加する企業に潔白さなんて求めてはいなかったが、ほぼ全ての企業が不正やら権力者との癒着やらをやっているというのは、驚きや感心を通り過ごして寂しい気持ちになってしまう。
魔王とか魔物が頑張らなくても、十分に世界が荒れているとかやるせない。
「イグサ様、行動起こせる位に情報が集まってきたけどどう料理します?
もう徹底的にやってあげる気満点ですよぅ!」
いつになくリゼルがやる気になっている。
実子のリリーナだけではなく子供全員を可愛がってるだけに、魔の手を伸ばされたのが許せないようだ。
「そうだな、いきなり追い詰めて分裂されたら面倒だ。
まずは内部分裂を本格的に煽って内部抗争する位になって貰おうじゃないか」
迂遠な手ばかり使っていると思うかもしれないが仕方ない。
企業間戦争は辺境の果てや無法地帯など、国や大きな組織などの治安維持が出来てない地域なら戦闘艦を使ってドンパチする事もあるんだが。
『ヴァルナ』ステーションがある「船の墓場星系」みたいな田舎でも表向き合法の企業同士が戦争行為をしたら軍の警備艦がやってくるし、罪に問われてしまう。
懲役罰なら代役立てたりできるのだが、SF世界は罰金刑がメインだけに直接財布が痛むので、どうしても司法の目が気になってしまう。
「内部告発を装って不正の証拠の提出などを断続的に続行、まずは脱退企業が適度に出る位まで追い込むぞ。
脱退企業が出たらその企業が情報を漏らしたのを装って更なる情報流出をさせる。
脱退する企業が裏切り者扱いされて、粛清される位になって貰うのが当面の目標だな」
弱体化はして貰いたいが、イザ潰す際に分裂されていたら潰して回るのに手間がかかる。
今の形と繋がりを残したまま弱体化して貰うのが最良だ。
「細部の指揮はリゼルに任せる、ミーゼはリゼルの補佐をしてやってくれ」
「はいまいますたー、腕がなるのですよぅ!」
「はいなのです」
頷くリゼルとミーゼ。
ミーゼの方が理路整然と相手を追い詰められるが、感覚的に嫌らしく追い詰める陰謀ならリゼルの方が得意なんだよな。
ある意味バランスの良い姉妹だ。
陰謀や策謀をするのにバランスが良い姉妹というのは、魔王の使い魔兼魔王軍の幹部として満点をやれる。
満点をやれるんだが、魔王としては元からそうだったリゼルやミーゼのような姉妹よりも、虫も殺せないような純粋無垢な姉妹を言葉巧みに惑わして、そんな風に育てたかったと残念にも思う。
俺の浪漫はさておいて、リゼルとミーゼに任せたのには訳がある。
使い魔や子供云々のせいでおざなりになっている感があるが、リゼルもミーゼも「魔王軍の女幹部」なんだ、そろそろ大きな仕事を任せられるようになって貰いたい。
それに何より―――ネットワーク世界の戦争とも言える情報戦は楽しい。
しかしだ、その後に集めた情報を駆使して行う陰謀策謀の類は悪くないのだが、長々とやるにはやる事が地味過ぎて面白くない。
対象が1つ2つ位ならまだ趣味と浪漫たっぷりの作戦を立てて楽しめるんだが、対象が10を軽く越えている上に難易度も低いとくれば、単純作業でしかない。
いや、な。効果は絶大なんだ。
フィールヘイト南部の広域にわたって数多の支店を持つ、天然有機素材原料100%使用がキャッチコピーの外食産業をしていた企業が、経費削減の為に食材に汎用オーガニックマテリアル加工品を大量に混ぜ込んでいた証拠を、あちこちのローカルネットニュース局と、フィールヘイト天恵食料管理大教会―――食料に関する省庁的なものに送りつけたり。
コランダム通商連合の軍用偵察型クラス5戦闘機を作ってる企業が、暗号通信の解読モジュールを敵対国のカシワギ軍事同盟の情報機関に売りつけているのを暴露したついでに、暗号通信解読モジュールに極秘の盗聴機能がついていて、盗聴機の受信装置をコランダム通商連合の諜報組織に売りつけているのを証拠ごとその企業の広告サイトに乗せてみたりと。
どれも企業としては致命傷に近いようなダメージを与えられる仕業ばかりなんだが……確かに爽快でもあるんだが、魔王というか悪役の行いとは何か違う気がするんだよ。
これが潔癖な企業に根も葉もない悪事の証拠を捏造するなら、あまり美しくはないが悪事だと納得できる。
けどな、叩けば埃がいくらでも出てくる企業の悪事を暴くのは、いっそ正義の味方の所業だろう?
と言う訳で情報戦は効果的なものの、今ひとつ気乗りしないのでリゼルとミーゼに任せる事にした。
―――
リゼルやミーゼに任せるのには、口に出さないもう一つ理由がある。
むしろこっちのが本題とも言えた。
俺にとっては先日の誘拐騒ぎは予想の範囲内だった。
被害も出なかったし、身内に手を出した愚かな悪役にはとっておきの制裁を与える程度の認識だったが、ライムやリゼル達にとっては自分達だけでなく、子供達にまで魔の手が伸びた事がショックだったようだ。
やる気になっているリゼルだけではなく、ライムやミーゼも子供達の誘拐未遂が発覚して以来、静かに激怒してる。
その様子は子猫を守る親猫のようだ。
一見冷静に見えるが、近づいただけで威嚇する位に気が立っている辺りが特に。
ただ、その後の行動に個性が出ていた。
ライムとルーニアは状況が落ち着くまでとか、気晴らしとか色々理由をつけて子供達といる時間が長くなったし、手が空いている時は極力近くにいるようになった。
リゼルとミーゼは積極的に原因排除しようと仕事熱心になっている。
子猫と親猫で例えるなら、親猫が子猫の近くでつきっきりで守るか、脅威の原因を排除しようとするかの違いだろうか。
ミーゼはともかくリゼルも後者だったのは正直意外だったな。
逞しくて頼もしいものだが……うん、素直に言おう。
怒りや興奮で行動的になるのは大変結構だ。
だが、そのストレスのはけ口に魔王を使うのは如何な物だろうか
具体的にナニとは言わないが、ここ2週間程日中は常時心穏やかな―――悟りを開いた賢者的な心境で過ごす日々が続いている。
今朝、ワイバーン会った時に「顔つきが険しくなってますわ」と言われたが、険しいんじゃない、やつれているだけなんだ。
魔王としての高いステータスのおかげで平然な顔や態度を保っているが、いい加減ガス抜きさせていかないと、体が持たない。
草食動物も襲われれば凶暴になるというが、ある意味獰猛な肉食獣であるリゼルとライムはもとより、草食動物だったミーゼやルーニアまで肉食系になっているのは正直辛い。
沢山の女性に囲まれた上に愛情に溢れているとか、恵まれた境遇であるのは間違いないのだが………そのな、関係ない―――関係ない話題だが幸せと辛いって漢字似てるよな?
うん、誘拐犯達が残した最大の被害は間違いなくコレだろう。
笑わないで頂きたい。色々と切実なんだ。
アドラム帝国が建国1200年以上だというから、俺が知ってる世界より人類はそういう方向にも1000年以上、研鑽を続けていたんだろう。
エロい事は大好物という紳士の信念と矜持で頑張っているが、心が折れたら夜ごとに少女のような悲鳴を上げながら肉食獣達の餌食になる、素敵過ぎて遠慮したい未来が見え隠れしている。
……SF世界でハーレム願望を持つ健全な少年達は大丈夫なのだろうか、それとも元気になる薬品的なものがそこまで効果があるんだろうか。
夢に心躍らせる少年達の為にも、おかしいのは俺の周囲だけだと祈りたい。
俺の男としての尊厳を守る為なら、悪徳企業の10や20、ひき潰してリゼル達に生贄にくれてやっても惜しくは無いし、悪徳企業が潰れて路頭に迷った社員達の怨嗟だって笑って引き受けよう。
怨嗟を引き受けるというか大歓迎なのだが、これは悪行の範囲だろうか?
俺も少々違う気がするというか、緊急避難や正当防衛的な何かな気がするが、深く考えると心が軋む。
正直、仕事場から肉食獣の縄張りと化してる自室に帰るのがちょっと怖―――
それ以上はいけない。考えるな、俺……!
「社長、何とかなりますか?」と聞いてきたので、何とかすると答えたら「よかった、安心しました」とお手軽に納得して、のほほんと過ごしているユニアのマイペースさと「イグサ様と部下達を信じているであります」とリゼル母仕込みの鋼の自制心を発揮しているアルテがありがた過ぎて涙が出そうになったのは秘密だ。
―――
リゼルとミーゼに情報戦を任せた結果は予想以上に上手くやってくれた。
リゼルには愉快犯の素質があったようだ。
連日のように面白おかしい形で暴露される悪徳企業のスキャンダルに、星系内限定のローカルネットから、ゲートネットワークを介した広域グローバルネット共にお祭り状態になっていった。
最新のスキャンダルなど、海賊撃退率の高さが自慢の船団護衛業をしている企業―――実際には裏で地方海賊と癒着していた所なんだが。
どちらも壮年の男性だった地方海賊の親分と企業の社長が、物理的に熱烈に愛し合っている無修正動画を、背景の説明と実況付きでグローバルネットに生中継して大きな話題を呼んでいた。
それまでのスキャンダルも似た様な内容だ。
ミーゼは容赦がないが、リゼルはえぐい手を気楽に使う。
この姉妹が協力し合うと「傍目には愉快に見えるが、当事者にとっては最悪としかいえない被害」が発生するようだな。
リゼルとミーゼも一通り好き放題して気が晴れた様子で何よりだ。
俺の負担―――主に体力とか生命力的な―――が減って大変助かる。
情報戦は「PFカルテル」主流派、魔王軍との諍いに消極的な企業を中心にしかけてきた。
情報戦を開始してから一ヶ月経過していないが、休業や破綻に追い込まれてる企業も少なくない。
今まで非主流派だった対魔王軍過激派の企業連中が息を吹き返して「PFカルテル」内で嬉々として発言力を高めているという。
過激派連中はどこぞの居住可能惑星にあるお高いオフィスでほくそ笑んでいる頃だろうが、全て俺と魔王軍の計画通り―――なんて気が付いているヤツはいるだろうか。
さて、これで準備が整った。
「PFカルテル」は内部での意見統制ができなくなり、理性的な判断ができなくなった過激派が中心となって、中身が寂しくなった財布を使い、士気の低い烏合の衆を大量に動員した上で無謀な事をやらかす事だろう。
いやいや、PFカルテル全盛期だった頃に準備できるはずだった戦力より、どれ位劣化した代物を出してくるか楽しみだな。
俺達に手出しをしてない上、乗り気でもなかった穏健派の連中は気の毒だが―――まぁ、どうせ同じ穴の狢だ。連帯責任で落ちる所まで落ちて頂こう。
情報戦の果てに自然解散なんて温い結果で終わらせてやるつもりはない。
俺が待ちくたびれないうちに暴走して貰おうじゃないか。
※使い魔
主に契約魔法や使い魔作成スキルによって作り出される存在。
使い魔は主の格や能力、そして主との絆の深さにより多寡はあるが「全ての能力」が上昇する恩恵を受ける。