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38話:魔王、家を買う



 昔の船乗りには船こそが我が屋、我が故郷、同じ船に乗る船員は皆は家族と、乗り込む船に誇りと愛着を持っていた船乗り達が数多く居た。

 貴重な積荷を載せて大海原を駆け、あるいは海賊旗を掲げて獲物を求める。


 そんな大航海時代的な浪漫話はいいものだよな?



 だがSF世界では浪漫だけでは生きていけないらしい。




「イグサ・サナダ様。申請内容について一件間違いがございました。

 戦闘艦を含む船舶は住所と認可されていないので、こちらは項目は住所不定となります―――」

 『ヴァルナ』ステーションの中心部にある、アドラム帝国地方行政府に申請と納税をしに行った時の事だ。

 普段このような申請や納税の類は事務方の船員に任せているんだが、ワイバーンがドック入りしていて船員達の大半に休暇を出しているのと、たまたま当直だったアドラム人女性が産気づいて急遽休みを取ったので、行政府まで書類を出す事になったんだ。


 そこまでは良かった。

 問題は―――うん。決して住所不定を馬鹿にする気はないんだ。

 実際家が必要ない生活しているなら無理に持つ必要もない。

 ただ………魔王が住所不定というのは、あまりにも格好が付かないよな?


 書類は住所不定に訂正して出したが、対策は必要だ。

 俺も虚栄だの見得だのは好きじゃないが、魔王が住所不定というのは切ないにほ程がある。

 これでは勇者だって魔王討伐するのにどこ行けばいいか悩むだろう?

 討伐する勇者は既にアレな事になっているが、まあそれはそれとして…!




 実際、民間軍事企業なんてやっていると、どこかのステーションや惑星にいる時間よりも、船で宇宙にいる時間が圧倒的に長い。

 なのでステーションに家や部屋を借りても使う機会が少ないので勿体無い。

 さして広くもないがワイバーンの船室でも不満を感じないし、無くても困らないしな。


 だが魔王が住所不定というのはいただけない。

 浪漫云々(うんぬん)の以前の問題だろう。


 どこか適当な所に住所設定しておく事も考えたんだが、一番話が通しやすいリゼルの実家に住所設定をすると、いつの間にか婚姻届を出した事にされかねないので遠慮したい。

 ……自分からデストラップに嵌りに行く事はないよな?


 言っておくと、リゼルやミーゼを嫌いという訳じゃない。

 自分が既婚者になるとエロい事をやり辛くなるというか……うん、まだ独身で居たいんだ。

 今と何か大差あるか?といわれれば特に関係が変わるとかは無いんだが、繊細な魔王おとこ心の機微を分かって貰いたい。



 これが戦闘や陰謀の類ならいくらでも状況を変えてみせるし、お役所仕事なら賄賂で何とかなるんだが「戦闘艦とかの艦船は住所と認めない」という国の法律を住所不定が嫌だからという理由で変えるには、コストがかかりすぎる。

 資金カネ人脈コネさえあれば法律の改変すらもお気軽に実現できる辺りが実にSF世界だよな。


 と言う訳で、最低限住所不定ではなくなる為に適当な部屋で借りようと『ヴァルナ』ステーションの不動産屋に顔を出したんだが、意外な出会いがあった。


「「あ、社長」」


「ユニアとルーニアじゃないか。そんな大荷物を持ってどうしたんだ?」

 小さな事務所を構える不動産屋の前で、大きなキャリーバッグを持ったオペレーターの牛娘姉妹と出合ったのだった。


「社長社長社長ー!」

 涙目で飛びつくように抱きついて来るユニアを抱きとめる。

 スタイルが良すぎるユニアを正面から抱き合うような形で抱きとめていると、顔がにやけないようにするのが結構大変だ。

 我ながら男って単純だよな?


 後ろで抱きつこうとして出遅れたルーニアが寂しい顔をしている。

 ……俺の周囲、姉が天然系で妹がしっかりしているのが多くないか?


「ルーニア、事情を説明してくれないか?」

 えぐえぐと子供のように泣いているユニアの頭を撫でながら聞く。

 実年齢も外見年齢もユニアが20歳程度と、ルーニアより年上のはずなんだが仕方ない。


「実は―――」



―――



>ルーニア・半日前



「これからどうしよう、お姉ちゃん」

 衣服類をつめたキャリーバックを2つ、レンタルのトランスポーターに載せて、私は深い溜息をついていた。

 少し重いけれど、手で持てる程度のキャリーバックが2つ、これが私とお姉ちゃんの持ってる全財産だ。


 中身は服と下着が数セットと小物だけ。

 普通の旅行者でももう少し荷物が多いんじゃないかな。

 それでも数ヶ月前までの借金で首を吊るか夜逃げするか、あのいけ好かない叔父の所に行くかという、ジョーカー(はずれ)しかないババ抜き状態よりはずっと良くなっている。


「どうしようか、ルーニアちゃん………えっと、お姉ちゃん何をすれば良いの?」

 のほほーん。という効果音が出そうな笑顔で通行人のおじさんお兄さん達を和ませてるお姉ちゃん。

 あ、うん。駄目だ、お姉ちゃんは頼れない。


 オペレーターの仕事している時はクールビューティーとか言われて人気が出る位にきりっとしているのに、お仕事以外はからっきしすぎる。

 お姉ちゃんをアイドル扱いしている同僚のお兄さん達には、とてもじゃないけど見せられない。

 お姉ちゃん目当てにお弁当とか色々差し入れしてくれるから、記録とかに残さないようにしないとね―――って。


「そうじゃないんだよ、今晩寝るところの心配しないといけないの!」

 そう、1年位住んでいたオンボロアパートを追い出されてしまったの。

 確かに入居した時は借金を返そうと家計が大変すぎて、今時IC通貨での現物支払いにして貰ったのだけど、ちょっと滞納気味だったのがいけなかった。

 この前の遠征おしごとで『ヴァルナ』ステーションを出港して帰ってくるのに半年位かかって、その間の家賃をまるっと滞納していたら帰る部屋がなくなってました……

 管理人のおじいさんが、部屋にあった荷物を処分せずに保管していてくれたのがせめてもの救いかな。

 ……私達の財産というか荷物はキャリーバッグ2個分ってお手軽サイズだけどね。


「でも―――本当にどうしよう」

 思わず見慣れた『ヴァルナ』ステーションの空を仰いでしまう。

 幸いな事にお金には困っていない。

 借金は社長に『借りて』返したし。ここ大事、借りただけだから。

 民間軍事企業『魔王軍』はそんなにお給料は高くないけど、残業代もしっかり出るし何より危険手当が大きいから懐は暖かい。


 資金的にはホテル住まいだって出来る。

 とは言え『ヴァルナ』ステーションの、しかも私達が利用するような所はホテルとは名ばかりで民宿や居候と変わらない所ばかりだけど。

 ただ、私もお姉ちゃんも家が必要な切実な理由ができてしまったので、そうもいかない。


「うん、やっぱり家を探そう。

 不動産屋を回れば夜までに見つかるかもしれないよ!」



―――



>ユニア・半日前



「不動産屋を回れば夜までに見つかるかもしれないよ!」

 腕を構えてふんす、と気合を入れるルーニアちゃん。

 可愛くていいんだけど、気合を入れついでにたゆんと揺れた大きな胸に通行人の男の人達の視線が集まる。

 ルーニアちゃんは良い子なんだけど、どうしてこう無防備なのかしら。

 やっぱり私がしっかりしないといけないわよね。


「なら近くの不動産屋さんを回りましょうか」


「うん、早く行こう!」

 トランスポーターに乗り込んで行き先を入力し始めるルーニアちゃん。


 頑張っているルーニアちゃんには悪いけど、難儀な子ねぇ…という溜息が心の中でつい出てしまうのよ。

 きっかけは事故みたいな事だったけど、私ユニアとルーニアちゃんは『ヴァルナ』ステーションでも高名な、民間軍事企業『魔王軍』社長の愛人なのよね。

 社長はちょっと……結構?変な人だけど、身内には凄い優しい―――あるいは甘い人なのよ。

 「身内」と「他人」と「敵」の扱いがはっきりしていて「身内」以外には驚く位冷たい。

 「敵」には酷薄な事を平然とやる怖い面もあるけど、その分「身内」でいるなら、これほど心強い人もなかなか居ないのよね。


 そして社長はかなりの資産家。大切な事だから2回言うけど資産家なの。

 代々続く名家という訳じゃないし、ローカルネットで流れるお金持ち番組の取材が来るような大金持ちじゃないけれど『ヴァルナ』ステーションの貧乏長屋にいる人達からすれば、想像し辛い位のお金持ち。

 だから家が欲しいならオネダリすれば、小奇麗なマンションの一部屋位はすぐに買ってくれると思うんだけど、ルーニアちゃんが嫌がるのよね。


 私とルーニアちゃんが背負ってた借金―――パパが事業に失敗して作った借金は大部分を返してはいたけど、それでも私とルーニアちゃんのささやかなお給料で返していくのは大変すぎる金額だった。

 あの『魔王軍』の慰安宴会の次の日、酔っ払った社長とルーニアちゃんが”ああいう事”になっちゃった後、私とルーニアちゃんが社長の愛人になる代わりに借金を返して貰う事になったの。


 私は別に愛人のままでもいいかなって思っていたのよね。

 だって社長は「身内」には甘い人だし、愛人なら身内だろうから生活とか食べるものには困らないだろうし。

 会社でやっているお仕事は危ない事も多いし、社長の近くにいれば何度も危ない事に巻き込まれると思うけど、三食昼寝付き(メリット)についてくる責務デメリットだって割り切れるしね?


 けど―――ルーニアちゃんは愛人でいるのは嫌みたい。

 そもそも普段は変な人なのに、たまに男気を見せる社長がいけないのよ。

 借金の事を話したら、私とルーニアちゃんの頭を撫でて「今まで良く頑張ったな」なんて優しいことを言うし。

 借金を綺麗しようとした時のトラブル、貸元が私とルーニアちゃんの身柄を欲しがっていてチンピラを使って酷い事をしようとしたとか、あのやーらしい叔父がゴネて無理矢理連れて行こうとしたのを止めてくれたりとか。

 世の中の、あるいは大人の世界の汚い所ばかり見せられた時に助けてくれた社長は、男の子とまともにお付き合いもした事がない、免疫のないルーニアちゃんには白馬の王子様みたいに見えただろうし。

 お礼を言う私達に社長は「本当に困っている事があったら教えてくれて良いんだ。いや、積極的に言ってくれないか?何も知らないまま、後で酷い結果を聞く方が辛いからな」なんて、こういう事をするのは当然だー。なんて素で言っちゃたのよね。


 自慢じゃないけど、子供や学生の頃から色々な男の人に告白され甘い言葉を吐かれなれてきた私だって、ちょっとグラっと来たんだもの。

 純情なルーニアちゃんの乙女心が対装甲車用大型ブラスター位の火力でズキューン!と撃ち抜かれても仕方ないわよね。


 それ以来、ルーニアちゃんと私は前と同じ貧乏生活しながら貯金を続けているの。

 ルーニアちゃんの夢は社長に立て替えて貰った借金を返して、愛人って関係を一度綺麗にリセットして、その上で社長に好きですって告白する事みたいだわ。

 きゃぁ恥ずかしい!もうなんて花も恥らう淡くて綺麗な恋心!純情乙女よね!

 可愛いルーニアちゃんにそんな相談されたら、私だって全力で応援するしかないじゃない!?

 ―――え、私?私は愛人のままでいいわ。

 社長の回りは可愛い女の子が多くて競争率高いし、愛人の方が楽でいいわよね?

 私も競争に参加したいけど、ルーニアちゃんと争うのは嫌だし。

 隙があったらかっさらっちゃう位の気持ちかしらね。


「ねぇお姉ちゃん、ぼんやりしてないで物件探そうよ」

 投影画像のファイルをめくって物件の間取りとか料金をチェックしているルーニアちゃん。

 ………あら、何時のまに不動産屋さんに入ったのかしら?



―――



>ルーニア



「交渉ならお姉ちゃんに任しておいて、これでも伊達にオペレーターなんてしてないのよ」

 小さくガッツポーズをしてふんす、と意気込むお姉ちゃん。

 お姉ちゃんが凄いやる気の時って嫌な予感しかしないよ。



「こちらの物件ですね。オーナーに連絡するので少しお待ち下さい」

 お姉ちゃんと間取りとか使えるエネルギー量とか相談して絞り込んだ物件の候補が十個位。


「申し訳ありません、こちらの物件は身元保証人を他につけて貰えないと厳しいと―――」

 携帯端末で連絡を取っていた不動産屋の人が申し訳なさそうに言う。

「そうなの、じゃあこっちはどうかしら?」


「―――こちらの物件は先約が入ってしまったそうです」


「じゃ、じゃあこっちは?」


「身元保証人を2人以上あればと―――」



(20回ほどやり取り中略)



「そ、それならこれは?ちょっとオンボロすぎる気がするけど―――!」

 築120年(推定)って何だろう。それだけ長持ちするのは逆に凄そうだけど。


「―――こちらの物件も先約が入ったとの事です」

 疲れた顔をしてきた不動産屋の人は無情に告げる。


「どうしてよ、明らかにオンボロすぎて借り手なさそうな所でしょう!」

 お姉ちゃんが机をばんばんと叩いて俯いて涙目になっている。

 そっか、前のところで派手に家賃滞納しすぎちゃったせいでブラックリスト載っちゃったんだ……お姉ちゃんはまだ気が付いてないみたいだけど。


「申し訳ありません、身元保証人がいれば随分違うのですが」

 身元保証人なんて言葉の耳当たりはいいけど、家賃滞納とかした時に代わりに払ってくれる人だよね。


「るーにあちゃん、おねえちゃんパフェ食べるぅ…!」

 涙目になって今にも泣きそうなお姉ちゃんが抱きついてきた。

 これは駄目かな、住むところどうしよう。


 不動産屋さんに出直してきますと頭を下げて外に出た所で意外な人に出会った―――あ、社長だ。

 『ヴァルナ』ステーションに帰ってきてから疲れる事ばかりで、私も心が弱ってたみたい。

 社長を見たらなんか安心してしまって、思わず抱きつい―――


「社長社長社長ー!」

 先にお姉ちゃんが社長に抱きついた。


 ずるい。


「ルーニア、事情を説明してくれないか?」

 社長は少し困ったような苦笑い顔をして、抱きついてえぐえぐと泣き声を上げてるお姉ちゃんの頭を優しく撫でながら聞いてくる。


 お姉ちゃん羨ましい。あそこ私の場所……ううん。


 心の中にもやっとしたものが溜まりそうになったのを慌てて振り払う。

 私は”そういう”のは好きじゃないし、特に社長の前では明るい子で居たい。


「実は―――」

 事情を話すのに勤めて明るく振舞うのは結構大変だった。




「家か。悪いな、給料振込みしておけば大丈夫だと思っていた」


「ううん、気にしないで」

 今時IC通貨で手渡しなんてしてた私達の方がおかしいんだし。


「社長はどうしたんですか?」


「俺も家を探しにな。納税だのなんだのと個人的な書類を出す時、住所不定だって事に気が付いてさ」

 ははは、と軽く笑う社長。

 そういえば社長はお仕事の時は船長やってるし、ステーションに寄港してる時も船で寝泊りしてるんだっけ。


「そっか、社長宛の荷物とか国関係の申請とか住所がないとやり辛いよね」

 未だに社長に敬語使わないのはちょっと違和感があるけど、普段一緒に悪巧みや悪ノリしてるのに敬語がない方が良いって社長のリクエストなんだよね。


「―――なぁ、ルーニア、ユニア。良かったら一緒に住むか?

 俺は書類上の家があれば良いし、その為だけに誰もいない部屋に帰るのも味気ないしな」


「……えっ?あの、その…!」

 ずるいずるいずるい、社長はたまに不意打ちしてくるから心の準備ができないんだよ!

 社長にお帰りなさいとか、いってらっしゃいとか言いたいし、社長にご飯作ってあげて、イグサさんなんて本名呼んじゃったりしたい!

 けど―――同棲なんて愛人が板についちゃいそうだから、断らないと断らないと……ああもう、何で口が上手く動かないんだろう!


「はい、はーい!一緒に住みたいです。みんなで揃ってご飯食べたいです、もう断られるのは嫌ー!」


「お姉ちゃぁぁぁん!?即答しすぎ、しすぎだよ!?」


「どうしたルーニア、嫌だったか?」

 社長その台詞は反則ー!そんな優しくされたら断れないよー!?


「………嫌な訳ないよぉ!」

 結局白旗を上げる私だった。

 うぅ、私って流され易すぎる。



 社長は不動産屋に入ると、高級住宅街にある個室や客室が多くてそこら辺のアパートや長屋の部屋とは比べるのも馬鹿らしい広ーい家をぽんと買っていた。

 中古の輸送艦一隻より値段も維持費も安いだろう?とか言ってたけど、絶対感覚ずれてるよ!



―――



 買い取った家のクリーニングを依頼して、最低限の小物とかを見て回ったら夕方になってしまった。

 そのまま外食しようかと思ったんだが、ルーニアが勿体無いから作る!と主張したので、近くの商店街―――リゼルの実家にかなり近いのでもう顔見知りも多い所で買い物をして帰った。


「今日はお嬢じゃなくて違う子連れているのかい?羨ましいね、この色男ー!」

 などと野菜(のようなものに加工した例のアレ)売りのオヤジにからかわれた。


 これが青春ものだったら顔赤くしたり、過剰反応して周囲を喜ばせる所なのだが、俺は魔王であるのでユニアとルーニアを抱き寄せて悪人笑いを浮かべ。


「羨ましいだろう?」

 と返したら思い切り舌打ちされた。言ってきたのはそっちだろうに。



 そんな地域住民との心温まらない交流の後、買ったばかりの家に初めての帰宅をした。

 玄関を携帯端末で開けて一足先に入り、ユニアとルーニアの2人に「お帰り」と言ってみたら泣かれてしまった。

 今度はルーニアが大泣きして、なだめるのに苦労した。

 どうにもファミリーものっぽい演出は地雷が多いようだ。



 夕食を食べてる時もユニアとルーニアは上機嫌で泣くという器用な事をしていた。


「なぁ、何故2人とも泣いている?調理したのは美味しいと思うぞ」

 ルーニアが調理した食事は美味しかった。

 このSF世界じゃ調理器から完成品が出てくる事が多いので、素材を調理して料理を作れる人材は稀少なんだ。


「ううん、何でもないんですよ社長。こうしてルーニアちゃん以外と家族揃って2人以上で食事するのが嬉しいんです」

 両親はもう居ないし、親戚関係も冷え切っていたのだったな。


「そうか。フィールヘイトに行ってるが、ライムも戻ってきたらこの家に住むだろうし、賑やかになるんじゃないか?」


「賑やかになって嬉しい。でも、その前に家族が増えると思うの。

 こっちに戻って来て調べて分かったんだけど、私もルーニアちゃんも妊娠初期なのよ」



「――――――けほっ」

 口の中のものを噴き出さなかった俺の努力を察して貰いたい。


 やればできる。深い―――実に深い言葉だよな。



「ちょっとお姉ちゃん、もう少ししてから時期見て話そうって言ってたじゃない!?」

 否定はないらしい。そうか、それで家が必要だったか。


「あれ、そうだったっけ?お姉ちゃん幸せすぎて思わず喋っちゃった」

 ユニアの頭にこつんと拳を当てててへ、という仕草が実に似合っている……普段から使用頻度が高いんだろうな。


「もうお姉ちゃん!

 ……その、社長。いい、かな?」

 恐る恐ると言った様子で尋ねてくるルーニア。

 不安3割期待7割位の配分の上目使いが実にご馳走だ。

 非道な事が大好きな男心じゃしんが大騒ぎし始めたのを無理矢理押さえつける。

 何に対して良いか?と尋ねているか察せ無い程朴念仁ではない。


「ユニア、ルーニア。お前達がしたいようにしていいぞ。

 色々用入りになると思うが、今度は困ったら迷わず言ってくれよ」

 不安の色が混じる瞳をしたルーニアの頭を撫でる。


「社長っ!」

「イグサさん!」

「ちょっとお姉ちゃん、呼び方がまたフライングしてるからー!?」


 抱きついて来る2人をしっかりと抱きとめながらも心中冷や汗を書いていた。

 何とか頑張って結婚じんせいのはかばは回避しているが、これで何人目だ?


 アルテで3人目だったから…一気に5児の父か?

 魔王になる前は子供やら結婚なんて考えもしてなかったというのに、乾いた笑いが出てしまいそうだ。


 ああ、リゼル母の満面の笑みが透けて見えるな―――





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 以下はファンタジー色の強いおまけです。

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名前:イグサ (真田 維草/Igusa Sanada)

種族:地球人 性別:男

年齢:22   職業:魔王

Lv:30 EXP:362410/380000


<ステータス>

ステータスポイント:794

筋力 (STR)=100 (+860%)

体力 (VIT)=100 (+938%)

敏捷力(AGI)=100 (+678%)

知力 (INT)=500 (+1528%)

精神力(MND)=600 (+1238%)

魅力 (CHA)=500 (+981%)

生命力(LFE)=200 (+1002%)

魔力 (MGI)=600 (+5642%)


<スキル>

スキルポイント:128941

 <色々略>

[汚染耐性]:LV10

[アドラム帝国汎用語]:Lv1(MAX)

[機械操作(共通規格)]:Lv10

[機械不正操作(共通規格)]:Lv10

[ソフトウェア操作(共通規格)]:Lv10

[ソフトウェア不正操作(共通規格)]:Lv10

[構造知識(宇宙船)]:Lv5

 <表記し辛い特殊戦闘スキル>:合計LV1691


<その他>

・身長/体重:183cm/68kg

・悪への憧憬

・黙っていれば知性的な外見

・中身はエロ魔王

・伊達眼鏡

・BL題材被害583件

・魔王の特権:無念の死を遂げた死者数によりステータス強化

・要塞破壊者

・戦艦討伐者

・捕食者(笑)

・被捕食者

・受け属性容疑



名前:ライム (向井寺 頼夢/Raim Mukouji)

種族:地球人 性別:女

年齢:18   職業:勇者

Lv:14 EXP:34468/36000


<ステータス>

ステータスポイント:23

筋力 (STR)=20 (+138%)

体力 (VIT)=15 (+86%)

敏捷力(AGI)=10 (+228%)

知力 (INT)=10 (+120%)

精神力(MND)=24 (+860%)

魅力 (CHA)=11 (+88%)

生命力(LFE)=20 (+368%)

魔力 (MGI)=14 (+175%)


<スキル>

スキルポイント:32


[武器習熟(剣)]:Lv5

[武器習熟(槍)]:Lv3

[武器習熟(弓)]:Lv3

[強打]:Lv4

[狙撃]:Lv2

[防具習熟(重鎧)]:Lv4

[回避]:Lv4

[騎乗] :Lv2

[大型騎乗] :Lv2

[騎乗:飛行]:Lv4

[法理魔法]:Lv2

[祈祷魔法]:Lv2

[概念魔法]:Lv2

[空間魔法]:Lv2

[交渉術]:Lv2

[秘伝:女淫魔の交渉術]:Lv2

[鑑定]:Lv3

[治療]:Lv1

[魔物知識]:Lv3

[不屈]:Lv2

[アドラム帝国汎用語]:Lv1(MAX)

[ソフトウェア操作(共通規格)]:Lv1

[経営学]:Lv2

[経理会計]:Lv1

[専門化:秘書業務]:Lv1


<その他>

・身長/体重:142cm/39kg

・クォーターによる隔世遺伝。銀髪翠眼

・外見年齢は12歳程度

・誤補導回数115回

・淡白・冷淡

・中身は割と熱血

・合法ロ……おいなにをするやm

・勇者特権:戦場に散った英霊達の数によりステータス強化

・はいてない

・被所有契約者

・依存LV4

・恋心LV6

・肉食系

・女淫魔のお気に入り娘

・捕食者




名前:リゼルリット・フォン・カルミラス

種族:使い魔/アドラム人 性別:女

年齢:17         職業:宇宙船技師

Lv:11 EXP:15448/18000

使い魔Lv:8 Exp:28305/29000


<ステータス>

ステータスポイント:22

筋力 (STR)=8  (+18)

体力 (VIT)=9  (+18)

敏捷力(AGI)=7  (+18)

知力 (INT)=13 (+18)

精神力(MND)=5  (+18)

魅力 (CHA)=14 (+18)

生命力(LFE)=12 (+18)

魔力 (MGI)=1  (+18)


<スキル>

スキルポイント:5


[機械知識(共通規格)]:Lv1

[機械修理(共通規格)]:Lv2

[機械操作(共通規格)]:Lv1

[機械合成(狂気技師)]:Lv1

[無重力運動]:Lv1

[ソフトウェア操作(共通規格)]:Lv1

[ソフトウェア作成(共通規格)]:Lv1

[構造知識(宇宙船)]:Lv1

[専門化:火器管制]:Lv1


<その他>

・身長/体重:158cm/52kg

・猫耳猫尻尾。黒毛

・元お嬢様

・天然

・腹黒

・ファンタジーの世界へようこそ!

・→ファンタジー適応(中)

・魔王の使い魔化によりステータス補正

・エロ猫(称号)

・マッドメカニック

・肉食系猫娘

・リア獣

・捕食者



名前:ミゼリータ・フォン・カルミラス

種族:使い魔/アドラム人 性別:女

年齢:14         職業:参謀見習い/魔法少女

Lv:11 EXP:15600/18000

使い魔Lv:15 Exp:94300/99000


<ステータス>

ステータスポイント:14

筋力 (STR)=3  (+25)

体力 (VIT)=4  (+25)

敏捷力(AGI)=7  (+25)

知力 (INT)=17 (+25) /+80

精神力(MND)=2  (+25) /+80

魅力 (CHA)=12 (+25)

生命力(LFE)=8  (+25)

魔力 (MGI)=3  (+25) /+130


<スキル>

スキルポイント:3


[機械操作(共通規格)]:Lv1

[ソフトウェア操作(共通規格)]:Lv1

[統率]:Lv1

[指揮]:Lv1

[策謀]:Lv2

[教導]:Lv2

[魔法道具適応]:Lv1

[武器習熟(杖)]:Lv1

[回避]:Lv1


<その他>

・身長/体重:136cm/30kg

・狐耳狐尻尾。明るい茶色毛

・現役お嬢様

・頭脳明晰

・冷静

・冷酷

・うっかり

・策士

・甘えたがり

・経験不足

・魔王の使い魔化によりステータス補正

・ファンタジー適応(大)

・魔王の杖所持者

・未来世界の魔法少女

・悪の手先の魔法少女



今ひとつスポットライトを当て辛かった牛娘なオペレーター姉妹回。

次章入る前に日常話がもう少し続きそうです。

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