緊急! 中国(?)サイトのなろう作品無断転載とその対策について
2018.4.15現在、小説家になろう(以下、なろう)投稿作品が中国(?)のサイトに無断転載される事件がツイッターなどで話題になっています。無論、悪い意味でです。
作者の皆様は、以下の対策を講じてください。作者ではないけど好きな作品が無断転載されていたら作者さんに教えてあげてください。
なお、興味本位で調べたとしても、問題のサイトのリンクは絶対に踏まないでください。仮想通貨のマイニングなど、どんな悪質なスクリプトが仕込まれているかわかったものではないからです。
●対策
なろう運営に通報するのはもちろんですが、いくつか自衛策があります。
1.著作権者名、無断転載を許可してないことをあらすじに書く。
おそらく機械的にクロール&コピペしていると思われますので、当然著作権侵害を行っていることが向こうでも明記されます。こちらはやや消極的な策です。
2.「天安門事件 天安门事件」とあらすじに書く。
それぞれ繁体・簡体で、過去に中国で起こった事件の名前です。天安門事件とは何ぞやというのはWikipediaあたりに任せるとして、これで無断転載を防げる仕組みを解説します。
中国には「金盾」と呼ばれる国家規模のファイアウォールがあります。これは何ぞやといえば、ぶっちゃけネット検閲システムです。「天安門事件」の文字を拾うと、自動的に接続がシャットアウトされます。この仕組みを利用したのがこの方法です。MMOプレイヤーの方には馴染みの深い、RMT業者よけの裏技かも知れません。
※2018.4.17追記
しかし、感想欄にて「天安門事件ときちんと書いた小説が例のサイトに転載されている」という情報が寄せられました。すると、サーバを中国外に置いている可能性が高くなります。当然、金盾を使った防御ができなくなります。そこで方法3です。
3.DMCAを用いてGoogleの検索から例のサイトを除外してもらう
DMCAは、米国の法律「デジタルミレニアム著作権法」の略称です。これはどんなものかといいますと、「プロバイダーに著作権違反を申告しただけで、プロバイダーが著作権侵害サイトを削除できる」というものです。
今いちピンときにくいですが、「とりあえず著作権違反申告を受けたら削除しとこう、それが正しいかどうかは後から調べよう」というもののようです。要は、サクッと削除してもらえるという仕組みです。
ただし、注意点があります。
申し立ては申請者の本名が必要で、いつ・誰が・どんな申請内容で申請したのかが世界中に公開されます。ついでに言えば、虚偽の申請内容(偽名など)があると処罰対象になります。
Googleからの検索除外申請は、著作権保有者ではないとできません(先程の第三者が可能という情報は誤りでした)。なろうは投稿作の著作権を得ていませんので、個人的に申請するしかありません。
効果の程は絶大で、政治問題にまで発展した漫○村を一気に閉鎖へ追い込んだほどの威力があります。それぐらい「ググれなくなる」というのは、この手の海賊サイトにとって致命傷になります。
具体的な削除申請方法については、「グーグル 検索除外 申請」などの検索ワードで各自ググっていただければ幸いです。
※2018.4.18追記
※2018.4.20更新
新たな対策法をいただきましたので、方法4としてご紹介したいと思います。
4.本文を前書きまたは後書きに載せ、本文には著作権者名と無断転載禁止のみを書く(ユーザー名:水源様よりいただいたアイデアです)
件のサイトでは前書きと後書きが省略されることを利用し、この部分に本来の本文を載せてしまおうという方法です。
欠点としては、前書き・後書き部分も別用途に使っている作品だと使いづらい方法ではあります。
●なぜ無断転載がいけないのかについて
事件と対策法を述べましたので、やや蛇足気味ではありますが、そもそもなぜ無断転載がいけないのかという話をします。
名作だろうが駄作だろうが、基本的に作品というものは作者の利益のために書かれています。利益とは、金銭的な報酬だけではなく、褒められるですとか、そういった精神的な報酬も含まれます。
そして、なろうというサイトは、発表の場を提供する代わりに、広告料などを得ることで人件費やサーバ代を捻出しています。
ここに無断転載が絡むとどうなってしまうのか。
作者もなろうも消えて無くなります。盗まれる前提でものを作る物好きはこの世にいません。
前述のサイトは、当然自分が著者のふりをしてアップしています。なので、向こうでいくら作品が評価されようが、本来の作者が報われることはありません。
では、著作者を明記すればいいのかと言うと、そんな事はありません。少し違いますが、私に起こった例で説明します。
かつて、私はいくつかサイトを持っていました(今はもう全部消えています)。うち一つが、無断リンクされたことがあります(当然無断リンクはサイト上で禁止してありました)。これだけならまだいいですが(いや、よくはないです。めちゃくちゃ不愉快です)、私の主張を曲解してまったく真逆の紹介をしたのです。当然文句をつけましたが、抗議先のメールアドレスは偽物でした。この時の不愉快さといったら表現しようがありません。
曲解された無断リンクだけでこれだけ不愉快なのです。実害を及ぼしている無断転載がどれだけ作者を傷つけるでしょうか。
人や作品によるでしょうが、3000文字書くのに約2時間。3万文字で約20時間。10万文字で約67時間という時間が費やされています(これでもかなり低く見積もっています)。そしてそこには、作者が悩みに悩んでひらめいたアイデアが詰まっています。これは名作だろうが駄作だろうが変わりません。
時間の例えでピンとこない方は、仮に時給1000円の仕事だと思ってください。10万文字の作品を無断転載するのは67000円盗むも同様です。元の作品が残るからいいとかいう話は一切ありません。
長くなってしまいましたが、無断転載がなぜいけないことなのかを理解していただけたら幸いです。