動揺と葬式

作者: 坂山 海

むすんでひらいて


てをうってむすんで


またひらいて


てをうって


そのてをよこに





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母は他殺だった。

父からはそれだけだった。



父は話さなかった。


ご飯の時は茶碗と箸の音がこもった部屋に響き始めた。




父はニコニコしていた。


笑い声はあげないけれど、なぜか笑っている。



父は怒っていなかった。


笑顔で明るい人だとみんな思ってる。




父は泣いていた。


マネキンになった手を頬に当てながら夜な夜なと。




父はいなくなった。


これで終わったと思ったけれど、僕は泣いていられない。



次は僕が父なのだ。

いろんな読み方してみてね