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第十三話 妬まれるお話


ストックが尽きかけてきました・・・

誤字脱字文法の誤り、その他御意見御感想等ありましたら、よろしくお願いします。



 

「ウウレ」の街には、まだ人は少ない。そのため、俺が美少女を五人も連れていてもなんとかなると思っていたんだ。

 だが、その考えは甘かったようだ。


 ・・・


 さっきから後ろから視線を感じる。振り返っても誰もいないことから、隠密系のスキルでも使っているんだろうか。俺の勘違いでは、ないと思う。


「うーん」

「どうしたんだい?クノ君」

「いや、なんかスト―キングされてる気がするんだよな」

「そうかい?私は何も感じないのだが。・・・皆はどうだい?」

「いえ、私は特には」

「私もよ」

「わたしもです」

「気のせいじゃない?」

「・・・うーん」


 いや、それにしたって先ほどから、こう、殺気みたいのがびしばし伝わってくるというか・・・

 よし!

 俺は振り返り、


「そこにいるのはわかっている!でてこい!」


 大声で叫んだ。ぶっちゃけ、めんどくさくなったってのもあるな。

 すると、建物の隙間から、一人の男がでてきた。灰色と赤茶の動きやすそうな毛皮装備で、暗い赤の髪をしている。身長は低めかな?

 ってか、ホントにこれで出て来たよ。


「へっ。ばれちまっちゃあしょうがねえな。クノぉぉぉぉ・・・俺と勝負しやがれ!」


 地の底から響くような、怨念的な何かがこもってそうな声で言われたんだが。

 ・・・はい?

 いきなりでてきていきなり勝負しろはないだろ・・・ストーカーって時点で友好的ではないのは分かっていたが。常識をどこに置き忘れて来たんだこの赤ピーマンみたいな頭の男は。


「おめぇみてぇな野郎がいるから、俺達がもてねぇんだよぉぉぉぉぉ!!くたばれリア充が!」

「知るかそんなこと!」


 何故に!?俺におしつけんなよ!?後、俺別にリア充でもなんでもな・・・傍からみたらそうか・・・


『ポーン』タケオから決闘申請が届いています


 1vs1 時間制限なし アイテム制限なし 相手のHPを先に0にした方が勝利 


「へっ、まさかビビってるなんてこたぁねぇよなぁ?クノさんよぉ」

「いや、そんな訳ないだろ」

「じゃあ俺と決闘だ!負けたらお前は「花鳥風月」を抜けろ!」

「なんでだよ!?」


「この男はさっきから何を意味のわからないことを言ってるんだい?」

「さぁ?」

「きっと頭が残念な人なのよ」

「はわわわ・・・大丈夫ですかね、クノさん」

「がんばれ~」


 選択するのは勿論、



 “No”



 ・・・俺はなにも見なかった。こういう時は黙ってスルーが定石だな。

 よくよく考えたらただ見られてるだけで害なんてない訳だし。最初から無視しときゃよかったなぁ。失敗失敗。


「さ、いくか」

「え?いいんですか?」

「いいのいいの。ほら、今度は南の方を見てみよう。やっぱ食べ物は南のイメージだろ」

「はぁ、そうですけど」

「うっわぁ。いいの?彼涙目よ?」

「知らん」


「え?ここは受ける所じゃね?空気よめよ、ねぇおい・・・」


「ほら。可哀そうじゃないかい」

「見てられないですね」

「うわぁ。クノくんさらっと酷いよね」


「あの、あ、おい、ちょっと!まじで?まじでいっちゃう系!?あ、ちょ」


 皆を後ろからあおり、足早に立ち去る俺達。どうやら赤ピーマン君は追いかけてはこないようだった。

 いやぁ。まいったな、ホント。まぁ、ゲームなんだし、実際に危害を加えられるわけでもないからいいんだが。


「お!あそこ飲食店っぽくないか?」

「おお!ホントだね。じゃあちょっとはいってみようじゃないか!」

「です~」


 それからしばらく歩くと、オープンテラスのカフェを発見。とたん、後ろを気にしていたメンバーの顔がぱぁっ、と明るくなる。酒場以外の飲食店もやっぱあったか。よかった。

 皆でぞろぞろと入っていく。


「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」


 中に入ると、NPCのウェイトレスさんがお辞儀をして、案内をしてくれる。

 うーん、やっぱ本物の人間っぽいよなぁ。凄いな『IWO』。


「御注文がお決まりになりましたら、お呼びください。では、御ゆっくりどうぞ」


 そういって案内されたのは窓際の席。六人がけで、椅子はソファーになっている。・・・内装はどっちかというとファミレスに近いな。


「さて、どんな料理がでてくるんだろうな」

「楽しみだね、クノ君」


 にしても、一番わくわくしてるのがカリンってなんか意外だわ。



 ―――



「はぁ、食った食った」


 結論から言うと、料理はおいしかったが、ファンタジーな食べ物は何もなかった。そしてメニューも普通にファミレスだった。あまりにも普通すぎるため、描写は省略。

 ただ友人とファミレスなんかにいった事を想像してもらえば、だいたいそれであってるから。

 一例をあげるとすれば、


 フレイはドリンクバーで混沌ジュース製作に従事していた。ゲームの中に来てまでそんなことしてんなよ。

 カリンは予想通り?フードファイターだった。リアルでもこんなんだと言ってたが、よく太らないよなぁ・・・体形なんかは全く弄ってないらしいのに。

 エリザは逆に、小食だった。食べてる姿が小動物みたいで可愛かったな。

 ノエルは食べ方が、お嬢様かってくらい上品だった。ってか聞いたらお嬢様だった。フレイも見習えばいいのに。

 リッカは意外と普通だった。あれ?このメンバーの中じゃ、元気っ娘は目立たないだと・・・!?


 こんな感じ。

 時刻を見ると、23:00。・・・あれ!?もうこんな時間?

 ・・・熊を倒したのが20:00ぐらいだったから、考えてみれば妥当か。


「俺そろそろログアウトするわ」

「あ、私もです~」


 丁度ギルドホームについたので、そろそろログアウトする事にした。私も私もと、皆が同調の声を上げる。


 中へとはいり、二階の自分の部屋(プレートはかかってなかったが、階段からの位置で決定)へと向かい、ログアウトした。


 しっかし、ゲームの中で食事とは、変な感覚だなぁ。


 ―――


 次の日の学校にて。


「九乃さん!」

「どした?」


 学校につくなり、玲花が話しかけてくる。


「昨日の変な男の人の正体がわかりました!」

「正体?ってか変な男・・・あぁ、あの赤ピーマン」


 いきなりなんだ。俺もう普通に忘れかけてたんだけど。


「や、赤ピーマンはどうでしょうねぇ・・・まぁいいんですけど。正体っていうとちょっと違うんですけどね。『IWO』の掲示板があるじゃないですか?」

「あるな」


 俺は普段攻略wikiの方しか見てないから詳しくはしらないけど。


「そこに九乃さんのことが乗ってたんですよ!あんまり良くない感じで」

「良くないっていうと?」

「そうですね・・・「花鳥風月」って九乃さん以外女じゃないですか?だから、九乃さんのハーレム状態を妬む人たちが爆発しろと」

「・・・ネタじゃん」


 なんだ。そんな深刻になるようなことでもないだろ。


「で、そこに昨日九乃さんに決闘申し込んだけど、スルーされて許すまじ・・・って感じの人がいたんですよね」

「成程、それがあの赤ピーマンだと。だから?」


 いきなり問答無用で襲いかかられる訳もなしに。リアルが特定されない以上特に被害はないと思うんだが。そのうち収まるだろ。


「九乃さんは分かってないですね」


 なんでそんなやれやれみたいな感じで首を振るんだ。


「名前割れしてて掲示板で話題なんですよ?来るべきギルド対抗戦では集中的に狙われると思いますよ?それこそオルトスさん以上に」

「へぇ?いいんじゃないか、別に。それだけ暴れられるってことだろ?」


 ギルド対抗戦ねぇ・・・俺もギルドの一員として参加するんだよな。やっぱ内容は戦闘系なんだろうし。


「九乃さんは時々思考がバーサーク入りますよねぇ・・・」

「まぁ、問題ない。・・・ところで、ギルド対抗戦っていつやるんだ?」

「あれ?公式からのお知らせ見てないですか?今からちょうど二週間後ですね」

「案外すぐなんだな」

「これぐらいが妥当なとこなんじゃないですかねぇ。でも一番最初の公式イベントってことで、結構賞品とかも豪華になるらしいですよ?ちなみに内容的なコトは、ただ複数のギルド同士が入り乱れて戦争する~みたいなことしか書いてなかったですけど」

「戦争て。物騒だな。楽しそうだけど」


 そうなると・・・陣取り合戦みたいな感じになるんだろうか?


「今日からギルドの強化期間ですね~。めざせ上位!ですよ」

「そこは優勝じゃないんだな・・・」


 妙な所で現実主義者め。

 とはいえ、ギルド対抗戦か・・・やっぱそれまでに今あるスキルの上位スキルは出して、新しいスキルも覚えて・・・

 こりゃしばらくスキル原石のためにブラウグリズラー狩りか。

 確実にドロップするのは初回のみだから、相当数狩らないとか・・・まぁ、これもスキルのため、ゲームをより楽しむためだ。頑張るか。

 ボス倒しときゃ、レベルもあがるだろうしな。昨日も一回戦っただけで2レベルあがったし。北の雑魚を狩り続けるよりは効率がいい。


 という訳で、今後の方針はひたすら熊狩りだな。待ってろブラウグリズラー!





赤ピーマンさんは、スレにいた短剣使いさん。

ブラウグリズラーをスキル原石獲得ついでにレベル上げに使うクノ君はいろいろとおかしい。主に常識とかが。



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