勇者パーティから追放されたけどスローライフとか真っ平御免だしむしろ魔王を殺すために命を削って生き急ぐハイスピードライフおっさん物語
私が好きな作品を書いてる作者が誰か書いてって言ってたから2時間くらいで書きました。
絶対に謝りません。
俺は戦士、今年で35歳のおっさんだ。
勇者の仲間としてずっと旅をしていた。
そう、旅をしていたんだ。
「おっさん………もう足手纏いだからどっか辺境でスローライフでもしててよ」
そう言われて追放された。
納得できない。
何一つ納得できない。
確かに、俺はおっさんだ。
勇者パーティの平均年齢を物凄く上げてる。
俺を除けば平均年齢が17、8歳くらいに下がる。
俺だけちょっと浮いてるのは気付いてた。
けどな?
けどな?
足手纏いって何?
経験不足のガキ共に指導しつつ、パーティの壁役として貢献してた俺を足手纏いだ?
バカにしてんのか?
毎回俺だけ異常なまでにダメージを受けてた。
後衛の魔法使いちゃんや僧侶ちゃんは無傷なのにだ。
俺だけ回復する必要があるとかよくあることだった。
けどな?
それは俺がお前らがダメージを受けないように肩替りしてたからだ。
俺が代わりに受けなきゃ貧相な魔法使いちゃんなんか死んじゃうんだぞ?
魔法を使うのにかなりの集中力がいる。
怪我をした状態でいつも通り魔法が使える奴なんてそんないない。
だから、俺が全部肩替りして守ってた。
それを、足手纏いだと?
ふざけてる。
バカにされてる。
強敵と戦う時のタンクの重要性を理解してないだろ。
お前らが全力で攻撃だけ出来たのは誰のおかげか理解してないだろ。
パーティにタンクがいない危険を理解してないだろ。
もう、知らない。
おっさん、お前たちを護らない。
戦いを舐めてるガキ共におっさんの底力を見せてやる。
「ほぅ……ここまで来るとは「うるせぇ!」なっ」
勇者パーティから追放された後、俺は一人で魔王討伐の旅に出た。
そして俺は今、魔王軍四天王の一人である、風の魔人将の城に来ている。
前線から離れた辺境でスローライフでもしろって言われたからな。
最前線の戦場で生き急いで戦い続けてるよ。
のんびり生活の質を高めながら過ごす?
はっ、笑えるな。
全速力で移動し、食えるものならそこらの草でも食ってるよ。
効率やスピードを重視しないで人生を楽しむ?
はっ、笑えるな。
効率・スピード重視で敵を殺し、余暇を楽しむことなく次の戦場に向かってるよ。
「な、何故怯まない!何故だ!」
「ごちゃごちゃしゃべってる暇があるなら死ねぇ!」
風の魔人将は魔法使いタイプで、木を操るドラゴンだ。
ぶっちゃけ、弱い。
いや、正確に言えば強いんだけど相性の関係で弱い。
「くっ…これでどうだ!」
「おらぁ!」
木を操って攻撃してきても簡単に対応出来る。
おっさんは物理特化タンクだっただぞ?
物理攻撃に怯む訳ないだろ。
「ならば……」
「うるせぇ死ね!」
何かをしようとしていたが、そんなん無視だ。
待ってやる義理はない。
おっさんは一人で戦ってるんだ、隙があれば攻撃するに決まってるだろ。
「勝った。次!」
念には念を入れ、首を切り落とし、身体と城は焼いた。
これで復活しても俺の責任にはならない。
「むっ……敵か……」
「敵だ。死ね!」
直接魔王をぶっ殺しに行きたいが、魔王がいる城は結界で護られている。
その結界を司っているのが四天王らしい。
違ったら違っただ、おっさんはそこまで賢くない。
風の魔人将を殺してから約一月後、現在は水の魔人将の城にいる。
道中は安定の強行軍であり、食べたのは土と草とそこら辺にいた魔物の肉だ。
多分だけど、勇者パーティから追放された時より痩せてる。
少しだけど、剣が重く感じるようになった。
年のせいじゃない、強行軍が原因だ。
絶対に年のせいじゃない。
おっさん、認めない。
「ふっ……相手になろう」
「亀が二本足で立ってんじゃねぇ!死ね!」
普通に二本足で立ち、カットラスと思われる武器を手にしている。
地味に足が長いのがムカつく。
おっさん、同年代と比べてちょっと背が低いから余計ムカつく。
「我に武器で挑むか……玄武の武は武帝の武だと教えてやろう」
「ぶひぶひうるせぇぞ亀ぇ!」
何か言ってるけどおっさん、気にしない。
気にしてる余裕なんてない。
この亀、結構強い。
カットラスの扱いが上手く、下手に受け止めればこちらが斬られる。
「ふっ……なかなかやるな……」
しかも、相手は余裕。
ここは消極的に動き、チャンスを―――
『おっさん………もう足手纏いだからどっか辺境でスローライフでもしててよ』
「うるせぇぇぇぇぇえええええええ!!!!」
「ぬっ!」
持ってた盾を投げつけ、亀の視界を奪う。
俺の盾は簡単に切り裂かれたが、一瞬の時間稼ぎは出来た。
この隙は絶対にのがさな―――
「シャーッ」
なんかいた。
亀のケツからなんか出てきた。
「きめぇ!」
よく分からんけど、鳴いたから生き物だと思う。
邪魔だから叫びつつも無理矢理引きちぎった。
「ぐぁぁあああああ!!!!!!」
「うるせぇんだよ!」
更によく分からないけど、亀がダメージ受けてた。
そのまま武器を奪い、首を切ったら死んだ。
「勝った。次!」
後始末の時に確認したら亀のケツにいたのは蛇だった。
なんで亀のケツに蛇がいるんだ?
二足歩行してケツに蛇がくっ付いてるとか相変わらず魔族はよく分からん。
「貴様か、我ら四天王を倒していると言う男は……」
「だからどうした」
水の魔人将を殺してから約一月後、今は金の魔人将の城に居る。
なんでこの白い虎は腕甲を付けて二本足で立ってるの?
虎なら四本足だろ?
やっぱり魔族は理解出来ない存在だ。
信頼と安心の強行軍の結果、ちょっと呂律が回らなくなった。
あと、剣が重い。
ちょっと危ないかも。
おっさん、ここで死ぬのか?
それもいいかもし―――
『おっさん………もう足手纏いだからどっか辺境でスローライフでもしててよ』
「しねとらぁあああああ!」
「うわっ」
今回は盾が無いから最初から全力で突っ込む。
短期決戦で決めれなきゃあのガキ共が笑う。
あのふざけたガキ共に教育し直す為にも速攻で終わらせる。
「普通は会話とかあるだろっ!」
「おっさんはかいわにがてだ!しね!」
「落ち着けっ!なんか目が怖い!」
「おまえのほうがこわいわっ!」
虎がなんか言ってる。
自分が何を言ってるのかもよく分からん。
けど、おっさんにそんなん関係ない。
おっさんがやることはただ一つ。
「しねえええええええ!!!!」
「ちぃ……油断すらしないのか……」
まだ虎がなんか言ってる。
この虎は亀に比べたら柔らかいし弱いな。
なんか亀は表面がぬるぬるしてて斬り辛かったけど、虎は余裕だ。
「俺は金属を操る。貴様の剣てい「おらぁ!」いたっ!……え?なんで?」
敵を前にしてごちゃごちゃしゃべるとか舐めてるのか?
おっさんは鉄程度斬れるぞ?
お前もおっさんをバカにしてるのか?
「ぐっ……こうなったら命と引き換えに……」
「しるかぁ!」
虎の雰囲気が変わった。
何やら覚悟を決めたらしい。
けど、おっさんは強行軍で疲れてるから気付かない。
例え気付いてもおっさんは無視するからどうでもいい。
「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「しねぇえええええええええええ!!!!!」
突っ込んできた虎を斬り殺した。
けど、左腕を持って行かれた。
おっさん、この年で失うもの多くて困る。
「いたいけどかった。つぎ!」
虎の居た城を漁ったら回復薬があったから応急処置だけした。
肩から下が無いままだけど、おっさんは片手でも剣を扱えるから大丈夫。
「やはり来たか………」
「………………………」
金の魔人将の後始末をしてから約一月後、最後の魔人将である火の魔人将の城に居る。
この鳥、燃えてて部屋が暑いし眩しいからイライラする。
あと、強行軍が原因なのか最近眩暈がする。
物が揺れて見えたり、目の前が急に真っ暗になったりする。
多分強行軍が原因だ。
年のせいじゃない。
おっさんなのに無理をしたからとかじゃない。
おっさんは、認めないから。
「魔人将も最早俺一人……寂しくなったな………」
「………………………」
なんか鳥が言ってるけど、おっさん喉痛めててしゃべれないから。
叫びながら戦ってたのが原因だと思う。
あと、この部屋暑いし乾燥してるのも原因だと思う。
おっさん、ちょっと賢くない?
「ふっ……何も語らずか………一人で戦い続ける、相当苦労しているのだろう?その生え際が「黙れえええええええええええええええええええ」えー……」
この鳥、殺す。
羽を全部毟ってから殺す。
おっさんにその手の話題はダメって知らないのか?
お前はまだ若いから大丈夫かもしれないけど、いつか同じ道を辿るんだぞ?
慢心したらすぐに同じになるんだからな?
「死ね鳥ぃぃいいいいい!!!!」
「何その目怖っ!俺お前になんかした!?」
「俺はまだふさふさだあああああああ」
「そこなの!?え?そこなの!?」
この鳥は多分だけど、支援者タイプ。
なんか魔方陣がいっぱい足元にあるもん。
おっさん、昔この魔方陣から雑魚が出てくるの見た事あるから知ってる。
この手の敵は召喚する前に殺すのが正解だ。
「死ねえええぇぇえぇえええええ!!!!」
「ちょっ!?」
金属鎧は重くて着れなくなったから捨てた。
大盾は亀かなんかを相手してる時に捨てた。
だからおっさんは軽くて速いんだ。
「勝った。毛を毟るぞ」
一番弱かったと思う。
最初に戦ったドラゴンよりも弱かったと思う。
けど、これで結界は壊れた。
違ったらおっさんどうしよう。
まぁ、その時に考えればいいか。
「遂に来たか………勇者………勇者?あれ?おっさんじゃん」
「おっさんだ。文句あるのか?」
「え?おっさん?勇者は?」
「おっさんは勇者パーティを追放されたおっさんだ」
「え?あ、そうなの?肝心の勇者は?」
「知らん」
「えー………」
四天王を全部殺したら結界が消えた。
おっさん、正しかった。
そして、そのまま魔王城に乗り込んだ。
門番やらメイド、執事とか居て、めっちゃ抵抗された。
正直に言えば、四天王よりも強かった。
けど、おっさんは勝てた。
未熟なガキ共でも相手に出来るんだからおっさんでも勝てるに決まってる。
実績のある強行軍を行い、鳥の後始末をしてから約一月後に魔王城に来れた。
のんびりしてると次の魔人将とやらが出てくるかもしれないからな。
スローライフなんかとは大違いの効率、時間重視だ。
「ま、まあいい………どうだ?私と共に世界を支配しないか?」
「おっさん、剣に生きてきたから政治は分からん」
「補佐を付けるぞ」
「それ補佐だけでいいじゃん」
「そうだけど……」
「おっさん、小難しい話は分からん。お前を殺せばハッピーエンドだろ?」
「いやいやいやいや」
「死ねええええええええええええ!!!!!!」
「待てえええええええええええええ!!!!!!!」
そこからの戦いは正直、覚えていない。
おっさん、最後の戦いだからってことでかなり頑張った。
知らない魔法がたくさん飛んできた。
全部避けたけど。
見えないくらい早い攻撃がいっぱい来た。
全部避けたけど。
残ってた魔族が不意打ちしてきた。
全部避けたけど。
「何故当たらない!」
「おっさんは熟練のタンクだ!相手の攻撃を一瞬で分析し、どう受け止めればいいか判断出来る!だから避けれる!」
「それ熟練ってレベルじゃないから!?」
「そろそろ死ねえええええええええええ!!!!!」
「死ねるかああああああああああああああ!!!!!!」
魔王城はもう、跡形も無く消えている。
立派な城だったけど、魔王が魔法で壊した。
おっさんは悪くない、無実だ。
「これで終わりだ!」
魔王が何か終わらせようとしてる。
おっさんはまだ終わらないぞ?
「食らえっ!」
「うおっ!?」
おっさんの足が凍った。
地面と一緒におっさんの足が凍っちゃった。
おっさん、動けない。
おっさん、ピンチだ。
「ふはははははは。これで私の勝ちだ!」
魔王が高笑いをしつつ、勝利宣言した。
おっさん、昔聞いたことがある。
残心って言葉。
確か、相手を倒したと思っても油断するなって意味だったと思う。
違ったらごめん。
「おらぁ!」
「ぐぼぉ!」
完全に油断して近付いてきた魔王に蹴りを入れる。
おっさん、生きてるんだぞ?
ちゃんと止めを刺しても油断しちゃだめだぞ?
「な、何故動ける……」
「おっさん、昔は何十キロもある鎧着て走ってたんだぞ?それ相応の筋力あるに決まってるだろ」
「いやいやいやいや。その程度じゃ私の魔法は破れないぞ!」
「破れたから関係ない。死ねぇぇぇえええええ!!!!!!」
「やばっ」
そのまま魔王を斬った。
なんか結界的なのがあったみたいだけど、そのまま斬った。
「勝った」
おっさん、魔王倒した。
これで勇者のガキ共に足手纏いと言われない。
「ちゃんと復活しないように焼かなきゃ」
おっさんは魔王と違って残心ってやつを知ってる。
だから、ちゃんと魔王を切り刻んで、焼いた。
これで復活してもおっさんは悪くないって言える。
「よし、久しぶりの祝勝会だ」
魔王を倒したし、もう生き急ぐ必要はない。
だから、今はのんびり肉と酒を楽しむ。
「ごふっ」
おっさん、油断してた。
勇者パーティを追放されてから約四カ月、ずっと強行軍をしていた。
ここで、その緊張が全て解けた。
おっさん、一生の不覚だ。
弱った胃腸に肉と冷えた酒はダメってこと忘れてた。
おっさん、調子に乗ってめっちゃ大きな肉を焼いた。
脂身が多く、大量の油を使って焼いた。
しかも、香辛料をいっぱい使った。
絶対に消化に悪い。
おっさん、調子に乗ってめっちゃ冷やしたビールを飲んだ。
胃腸が弱ってる時にアルコールは絶対にダメだ。
しかも、冷たいものを一気に飲むのはもっとダメだ。
胃腸がびっくりして、最悪死んじゃう。
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BAD END