邦画ベストテン
最近、映画をあまり観なくなった、というのは、何かに熱中するとほかのことがまったく疎かになってしまうからで、気も向かなくなるし、費やす時間もなくなってしまう。そのうちまた、映画に夢中になる時期が来るのかもしれない。
それでも何千本か観た映画のなかで、いつも思い出してしまうものもあって、ときどき頭のなかでベストテンを考えたりすることがある。こういうものは日によって、気分によって違うものなのだけれど、とりあえず日本映画しばりで思いつくものを挙げていくと、
・阿波の踊子(劔雲鳴門しぶき)(1941、マキノ雅弘)
・車夫遊侠伝 喧嘩辰(1964、加藤泰)
・野菊の墓(1981、澤井信一郎)
・陽炎座(1981、鈴木清順)
・徳川刺青師 責め地獄(1969、石井輝男)
・3-4×10月(1990、北野武)
・団地妻 不倫でラブラブ(2000、サトウトシキ)
・ゆけゆけ二度目の処女(1969、若松孝二)
・県警対組織暴力(1975、深作欣二)
・盲獣(1969、増村保造)
日本映画、この一本、ということになると、『阿波の踊子』を推したいのだが、フィルムが現存せず、短縮版の『劔雲鳴門しぶき』しか観ることができない(カットされた部分はマキノ自身によるリメイク『阿波おどり 鳴門の海賊』(1957)を観て推測することはできる)。もちろん『次郎長三国志』のどれかでもいいし、鶴田浩二が歌いながら人を斬りまくる(まるで『戦姫絶唱シンフォギア』の元ネタであるかのような)『やくざ囃子』に替えるのも楽しいし、いっそのこと敬愛する石井輝男作品でもいいのだが、この中から代理を立てるとなると『車夫遊侠伝 喧嘩辰』かな。
小津安二郎も溝口健二も大島渚も山下耕作もないというのはひどすぎるのだけれど、シネフィルっぽさをアピールしたいわけでもなし、それを削ってでもサトウトシキ、小林政広(脚本)のコンビはすばらしかったと思い出したい気分なのだ。
どれも初見時にショックを受けて、深い影響を受けた映画には違いない。