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モイナの親

マスクを外したナケスの元にメケスが駆け寄り

「みんなあまりじっと見ないでくれ!妹が可哀相だろ!」


クリカが呆れ顔で

「メケス?その子の口は曲がっていないわよ」


ナケスを見ながらメケスが一生懸命反論する。

「ほら、こんなに曲がっているじゃないか」


デケスとフケスも

「これ以上、娘に恥をかかせないで欲しい。」

と言って、ナケスにマスクを付ける。


アミンがこの状況も見て

「記憶の操作じゃ」


記憶の操作?


「記憶の操作が出来るのはアロ・イトナだけじゃ。これは魔法というよりも呪いの一種だから、魔法で防ぐことが出来ないのじゃ」


「それではどうやって直すのですか?」


そこでルタンが語り始める。

「マワ家の魔法は、魔道具を作る事が出来る能力。そこに確か呪いも防いだり解いたり出来る魔道具があると訊いているわ」


マワ家の能力って魔道具を作る能力なのか、だから商売に向いているのか

では糸や石に込められた魔法はマワ家が作っているのか、それならば商売としては最高な商品だ。


クリカがメケスに質問する。

「アンタの家で呪いを解く魔道具は作って無いの?」


「さっきから聞いているけど、僕達はイトナ様と会ってもいないよ」


「えっそうなの?」


「それも記憶の操作じゃ!」


僕はサワ・タン国で服を買う時に、マワ家から買ったと言う服の言葉を思い出す。


僕はアタッシュケースを取り出して、金色の派手な服を取り出して、服を見せながら

「確かこの服は呪いが掛けられた人が着ると呪いが解けると言っていた服だよ」


僕はデケスの所に近づいて、金色の糸で装飾されている派手な服をデケスに羽織ってもらう。

そして羽織った瞬間


「えっ?」

今までの記憶が戻ってきているのか、頭を抱えてしゃがみこむ。


イトナと出会った時の記憶、そしてそこからここまでの記憶が融合し終わった時、デケスは立ち上がり

「モケス!」


モケス?


すると、コサイ、クリカ、カシムがアタッシュケースから金色の糸で縫われた洋服を取り出して、フケス、メケス、ナケスに着せたのであった。


すると、デケスと同じ様にフケスとメケスが頭を抱えてしゃがみ込む。ナケスは派手な服に喜び、笑顔で辺りを走り回った。


フケスとメケスも記憶が戻ると同時に

「モケスの所に行かなくては!」

と叫んだ。


それと同時に走り回っているナケスを呼び謝罪する。

「ナケスごめんな。ずっとマスクを掛けさせて悪かった」

デケスが謝罪して、フケスがナケスに抱き付きながら

「ごめんね。嫌な想いをさせちゃったね」


ナケスは笑顔で

「ママ達も治って良かったね」

とフケスに抱き付いた。


どうやらナケスは呪いに掛かっていなかったならしい。


デケスも不思議そうに

「ナケスは、呪いに掛かっていなかったのか?一緒に術を受けた筈だが・・・」


アミンが納得した顔で

「最初に会ってから、その子には不思議な感じを受けていたのじゃ。その子には魔法や呪いに対して耐性があるのかも知れん」


親の能力を引き継げなくても、身体には能力を宿しているのかも知れない。


もしそうなら、過去の二人目の子供は・・・


でも、さっきデケスが言っていたモケスとは?


「すいませんデケス様。さっき言っていたモケスとは?」


「あっすまん。今、イトナ様と暮らしている娘の事だ。メケスと双子で生まれた女の子で私達の娘だ」


僕達が思っていた通り、モイナがマワ家で生まれた双子の一人だと確信した。

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