さす奴
書籍版発売から3日! 毎日これやるのかって? うん!(キラッキラの笑顔)
イヤ正直、毎回○日って書いておかないといつが1週間になるのかわからないんですよね……。
TSUTAYAさんのデイリーランキングで12位13位と入っていました。ありがとうございます! いつの間にかTSUTAYAってレンタルショップから大幅に脱皮してるよね……。
「え、お前どうしたの? オリザちゃんは? もしかして……スカートの中のぞこうとして怒られた?」
「するかよそんなこと!? ……ボクも、オリザ嬢も君を野放しにするほうが危険だと思ったんだよ」
どういう意味だよそれ!
「っていうか……よくリット、俺を見つけられたな? こんな広い王都で」
「簡単だよ。黒いパーカーの少年を見かけなかったかって聞いたら教えてくれた」
「お、おう……目立つんだな、これ……」
「でもまさか、錬金ショップを探しているとは思わなかったけどね」
「そうそうそれな」
俺はリットにこれまでの事情を話すと、大体察していたらしく、
「それなら、ボクに最初から相談してくれたらよかったのに……」
「……いや、リットには言えないよ……」
「いやいや、言おうよ」
「いやいや、悪いって」
「いやいや、手数料は20%でいいよ」
「ほらな!? やっぱり金取る気満々じゃん! しかも高いし!」
俺が突っ込むとリットはころころと笑った。
「でも、ま……助かるよ。正直途方に暮れてた。5%で」
「いいってことさ。ボクら同室の仲間じゃないか。親しき仲にも礼儀あり。15%で」
「実際、リットって商会の子だろ? こんなのお茶の子さいさいだろ。10%で」
もう一声、と来るかと思ったけど、
「……どうしてボクが商会の子だと思ったの?」
とリットは聞いてきた。手数料は10%でいいということだろうか。
「や。俺がクラスメイトに金をばらまいて勉強のやる気を出させたときとかムッとした顔してたじゃん? あと……ま、いいや、直感だ」
あと、金にがめついじゃん? とはさすがに言わないでおくくらいのルームメイト的礼儀はあるのである。
「直感……か。お察しのとおり、ボクは商会の子だよ」
どこか寂しそうにリットは言った。
「それじゃ、行こうか。手っ取り早くお金を作りたいってことだよね? その、リュックの中身で」
「あ、ああ……行くってどこに?」
「冒険者ギルド。あそこなら即日でギルド証を発行して、素材を売れるから。発行にお金がかかるけど、君、銀貨5枚くらいは持ってるよね?」
「もちろん」
「じゃ、行こうか。こっちだよ——あ」
歩き出してすぐ、リットは立ち止まった。
「手数料は12%で」
やっぱりがめつい。さすが守銭奴。
王都の冒険者ギルドは、俺が想像していたものと違って——こじゃれた建物の1階にあった。リットが言うには、王都では討伐関係の依頼がないために、なにかしら貴族案件や富豪案件を抱えた冒険者しか訪れないためにこぎれいだし、小規模らしい。
冒険者とはその名の通り「危険を冒す者」だ。だけどほとんどの冒険者は「依頼」をベースにして危険を冒す。なにもないのに危険を冒すのは冒険者から見ても「ただのバカ」なのだ。
「はい、確かに銀貨5枚。そちらのお坊ちゃんは登録しなくていいのですか?」
受付嬢の紫色のショートカットは耳元で切りそろえられており、耳には琥珀色の宝石がはめ込まれたピアスが光る。
王都ギルドの制服らしい、ホテルのボーイみたいな帽子。上下はひとつなぎの服になっていて腰でベルトを締めている。ベージュを基調として、刺繍は青色という、確かに上品な受付嬢だった。くっ、俺があと5歳上だったら声を掛けることもやぶさかではない美人さんなのに……!
胸は絶壁だけど(唐突に訪れる冷静さ)。
「リットは登録しねーの?」
「必要に迫られない今は作らないかな。銀貨5枚は大きいし」
さすが守銭奴。さす
「こちらがギルド証となりますのでなくさないでくださいね」
「あ、はい」
ちびた鉄片に俺の名前が刻まれている。その名前の部分が青色にわずかに光っているのはなんらかのマジックアイテムなのかもしれない。効果はよくわからんが。
俺たち以外に冒険者もいなければ、依頼票を貼るような掲示板もない。閑散としているために受付嬢がすぐに対応してくれる——ということだろう。
俺たちはギルドのロビーにあるテーブルに座った。なんだかカフェみたいな雰囲気だなと思っていると、受付嬢がお茶を振る舞ってくれるのでますますカフェ感が強まる。
「品物はこれです」
俺がリュックからしなびたキノコを出すと、
「——まあ、『隠者の秘め事』では?」
と受付嬢がびっくりする。おお、知ってるのか……ということはこいつの効果も知っているということかね? んん?
思わずセクハラオッサンになりそうになるが、受付嬢は淡々とそれらを紙切れに書きつけている。
「こちらは『星マダラ茸』ですね? それにこれは……『蒼牙茸』、のようですが、『ニセ蒼茸』ですね。毒茸です」
「ええ!? マジですか!?」
「はい。非常に間違いやすいのですが、『ニセ蒼茸』のほうは傘の裏に黒い点々があるんです」
「マジか……」
「はい。確実です。私は見た目が小娘ですからゴネる人もいますが、そういう場合は買い取りをいたしませんし、紹介状を書きますのでこの『ニセ蒼茸』に限り、どこのお店で売っていただいても構いませんわ」
むしろ向こうのほうが詳しかった! びっくりだわ。「おうおう、こんなシャレオツなところで仕事してるべっぴんさんが、オイラのキノコを査定できるのか?」とか内心思っていた俺です。穴があったら入りたい。
「それとこのアルコール漬けは、アルコールの質が悪いですね。ギルドでは薬用のアルコールを販売しておりますが……」
「く、ください」
「はい。ではその金額は査定額から引いておきますね。今、お金を用意してきますわ」
にっこり。
ヤバイこの人、めっちゃ仕事できる!
「おいリット。……リット?」
受付嬢が品物を持ってカウンターの向こうへと去っていくと、俺はリットに声を掛けた。だけどリットはどこか上の空だった。
「——ハッ」
「ようやく目が覚めたか」
「って君、いつの間にあんなにキノコ集めてたんだよ!?」
「あ、そっち? 俺はてっきり、受付嬢に一目惚れしたのかと思ってたぜ」
「違う! パッと見ただけでお金になりそうなものをいともたやすく持ち込んできた君に驚いて——って待って待って」
「なに」
「君……ああいう人がタイプなの?」
リットくん、ガチめに聞いてきました。
ほーらね! やっぱり受付嬢のことが気になってるんじゃないか!
でもね、そこは2度目の人生を送っている私ですよ。茶化したりはしないですよ。
「大丈夫だから。俺の好みじゃないよ、あの人は」
お前のライバルにはならないからな! という意味を込めてリットの肩をぽんと叩くと、
「あ、うん……」
リットは安心したように、うなずいた。なーにを安心してるんだか、
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