03-22
宇宙に適応する方向性を誤ったお城っぽい何かの調査はいつものように何事もなく終わった反面、≪金剛城≫のパトロンとでも呼ぶべきギフターとは別口のギフターが関与していたようで思いの外得るものが多かった。
まず、≪金剛城≫のデータベースにはない技術関係のデータ。
技術レベル的には大したことが無くとも、方向性やアプローチの仕方が大事だとかツルスベさんが言っていた。そうね。なんか知らない合金がどうのってテンション高かったもんね。
次に、これまた≪金剛城≫のデータベースにはない遺伝子データ。
宇宙怪獣な植物のものが含まれるとかで掴み所がない四女エルフさんが楽しそうにしていた。
駐在エルフさんがゲームという体のシミュレーター内で生み出した銀河を飲み込むほどの超巨大樹木の件が頭の片隅を過ったが、あれを実現させようとはさすがにしないはずだ。危なすぎるもん。
最後に、内装のデザイン。
小さい方のダブルで一番さんが評するところの良くない方の貴族趣味な内装は、考古学が趣味なリーダーさん的にはなにやら面白い発見につながりそうな予感があるらしい。
これとこれのこの部分がこうでどうこうとか言われても俺にはどっちも似たようにしか見えないし、文化と文明の関連性がとか話が発展すると本当にもうワカラナーイ。でも趣味にはしゃぐリーダーさんが可愛いのは明らかな事実。
深深度亜次元探索旅行は当初の予定と違いというべきか、当初の予定通りというべきか、亜次元適応人種の故郷を回収した後は深深度亜次元をちょろっと探索して終了。
それでも深度亜次元で見つけた宇宙に適応する方向性を誤ったお城っぽい何かは皆で楽しんで探検できた。
しかし、往路の亜次元では色々な物を見つけて拾い集めただけでなく、遥か古代の先史文明が遺した小さな人工惑星を見つけたりしたので深深度にこだわらなくても良かったんじゃないかなとは思う。
深深度亜次元探索旅行は終わりとしたが、往路ではいったん保留とした小さな人工惑星に寄って調査したり、場合によっては持ち帰るために頭を悩ませたりするイベントが復路には待ち構えているので実のところまだ行程6割とかじゃないのかなという見方もある。
そんな訳で亜次元に放置されていた遥か古代の先史文明が遺した小さな人工惑星へとやって来た。
到着と同時にほぼ調査終了。
残って調査していた機械的知性達のくれた報告書によると、宇宙に適応する方向性を誤ったお城っぽい何かと同じ文明が建造して運用していた人工惑星だった。しかもあのお城っぽい何かの管理下にあったもののようだ。
つまり、人工惑星で得られるものは別口で得た後だった。強いて新しく得たものを挙げるなら茸由来らしき人種の集団がコールドスリープしていたくらいか。
強いてあげればというか、茸由来らしき人種の件は大事だけど、とっくにお腹いっぱいなので保留。反対意見はなかったので消極的賛成多数で可決。
まあ、現状で分かっている範囲でも、数千年はコールドスリープしていらっしゃるようなのであと100年や200年伸びても大差ないよね。そこまで放置する気もないけれども。
ツルスベさんが新しい合金で自分の御飯を作って食べてみたものの、イマイチ好みじゃなかったと報告されたり。
掴み所がない四女エルフさんが生きた樹木で宇宙船を作る計画を立てて、駐在エルフさんにインターセプトされたり。
リーダーさんが新発見なんですよって楽しそうに話してくれた内容があんまり理解できなかったり。
複製身体を含めた全3人の小さい方のダブルで一番さんに囲まれて寝るのは、胸部のクッション性が高い所為で小さい方のダブルで一番さんの狙い通り逆に寝つきが悪くなったり。
一度落ち着いた後に茸由来人種の人達のコールドスリープを解除させて話を聞いたり。
共存可能だと判断され、当人達も移住を望んだので茸由来人種の人達を人工惑星ごと新エルフ星のある恒星系へ受け入れたり。
深深度亜次元探索旅行を終えてからの穏やかな日々を過ごしていたある日、唐突に思い出した。
深宇宙の探索と銘打って銀河間宙域を旅していた時に元有人惑星見つけて、その時点でのクルーの皆と調査した後は放置したままじゃないだろうか。
俺は忘れていたのではなく、その後エルフさん達の移住先として提供した機械的知性達が維持管理していた惑星と混同していたのだが、他の人達はさっぱり忘れていたと発覚。あの惑星のこと覚えてる? って訊いたら、そういえばってなってた。
で、あの惑星をどう活用しようかと会議を開いたものの、別に無理に使わなくても良いんじゃないという意見が大勢を占めた。
増加傾向にある人口に関しても、旧エルフ星を引っ越しさせたり海老蝦蛄惑星を再構成したり、深深度亜次元探索旅行において小さなものを含めると3つの人工惑星確保しているので当面の問題はないらしい。
あとお城っぽい何かは≪金剛城≫と同等くらいの人が住んだりできるので、どれかの惑星の周りを回らせておけば生活物資の調達に手間もかからないし無駄にならないよねって感じ。
結局、直ぐに何かに使わなければならないわけではないけれど、新エルフ星のある恒星系へ引っ越しさせることが決定。
なぜならこのまま放置するとまたさっぱり忘れてしまいかねないのと、最近立て続けに居住可能惑星の引っ越し作業を行っているので勢いのまま今の内に済ませてしまおうという投げやり感溢れる意見が出たため。
この件に関して俺が担える役目はないと自覚している。区切りがついたところで全力をもって慰労する所存。
なんか最近似たようなことを思って行動した結果皆の仕事が増えてたような気はするがヨシ。