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01-23

 機械的知性の持っていた惑星のデータは下手をすると1000年とか昔のものだったので降下する前に≪金剛城(こんごうじょう)≫で調査を開始した。

 順次設置している人工衛星群と合わせて3日もあれば必要な資料は揃うと思う。

 

 場合によってはテラフォーミングに取り掛かることになるので必要な物で用意できるものは製造を始めるべきかもしれない。

 その辺も≪金剛城(こんごうじょう)≫にお任せしておこう。


 今だと≪金剛城(こんごうじょう)≫というより無機質美人のホログラムに任せてる感じが強いし何か好きな食べ物でも用意すべきかな。

 ……なんでホログラムがご飯食べてることになんの疑問もなかったのか……いや不毛だしこれも棚上げしておこう。


 俺の心の棚はどんどん大きくなる。もう何をしまってあるのか正確には思い出せない。


 地表の調査を開始してすぐに休眠していた機械的知性のコミュニティと接触し、いつものようにクルーが増えた。


 クルーというか、そもそも惑星の管理というか一部を除いた人工物の解体撤去と自然環境の回復を任された集団だったのでそのままエルフさん達と惑星で共存してもらう方向で両者に受け入れてもらった。


 その際に、機械的知性発祥の星だし新入りが管理するので良いのか聞いたら機械的知性的には俺が惑星に本拠を置くわけではないので一段低い扱いとなるとのことで思いのほか扱いが軽くて驚いた。

 人種(ヒトしゅ)的には種族発祥の星に結構あこがれとかあるんだけどな。

 

 逆に今一番扱いが高いのは俺の本拠となっている≪金剛城(こんごうじょう)≫なので一番最初に≪金剛城(こんごうじょう)≫のクルーになった機械的知性コミュニティのマザーが≪金剛城(こんごうじょう)≫を担当し続ける。


 彼女は俺のところに居る機械的知性コミュニティの総元締めなので俺が本拠を移したら一緒について回る権利を有するそうだ。

 ≪金剛城(こんごうじょう)≫由来の技術で飛躍的に進化した機械的知性だが、それを与えたのは俺なので俺という個人が彼女達にとって最優先されると話は締め括られた。

 なんだろう。良きに計らえとか言った方が良いのかな。




 さてここでもしかしたら今回の遠征で一番となるかも知れない発見があった。


 なんと、撤去されずに保全されていた惑星地表施設に宇宙港が含まれており、その宇宙港は帝国と共通規格と言えるほど類似点が多い。


 俺の出身である帝国は艦船各種の規格に際してギフトのそれらを基準に定められており実は現行技術との齟齬が割と面倒な摩擦を現場に生じさせているというブルーカラーの愚痴はさておき、ギフトを基準にした帝国の規格と同一と言える規格が機械的知性発祥の惑星で確認されたのはとても大きい……らしい。


 俺の認識としてはこっちの銀河でもギフト配ってる人居たんだね程度だが、レディアマゾネスSPさん達の一部がヤバイくらいテンションを上げていたので多分すごい発見なんだろう。


 ムチムチ美人さんはちょっと目が虚無っていたので彼女にとっては純粋に喜べるものでもないようだ。

 俺はムチムチ美人さんを応援してるよ。手伝えないけど。


 レディアマゾネスSPさん達の一部が惑星の調査と機械的知性への聞き取りを開始したりで予定よりも滞在は伸びたが一度切り上げることに決まった。

 隣の銀河に到達している予定の日付を過ぎた辺りから別の一部のレディアマゾネスSPさん達は早く深宇宙の移動を再開したい欲求を我慢していたので、どうせ文明の調査なんて数か月程度で終わらないんだし多少強引でも区切りを付けた。


 機械的知性への聞き取り調査は≪金剛城(こんごうじょう)≫でもできるし、新エルフ星とも超小型人工ワームホール式通信でタイムラグなくデータをやりとりできるしであの惑星にあった文明の調査は深宇宙を移動しながら進められるとあって調査に熱中している人達も大人しく≪金剛城(こんごうじょう)≫へ乗り込んだ。




 深宇宙の移動を再開して10日ほどで帝国のある銀河から見てお隣の銀河に属する恒星系の1つに到着。


 全力ステルス状態だったので問題はなかったが宇宙に進出した文明を発見してしまった。


 もちろん俺は見なかったことにして旧エルフ星回復プロジェクトの進捗確認を理由にワープした。

 ムチムチ美人さんやレディアマゾネスSPさん達も力の限り目を瞑っていたので何の問題もない。

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