<< 前へ次へ >>  更新
10/108

01-10

 ムチムチ美人さんに久しぶりの宇宙怪獣の肉を眼鏡の人やレディアマゾネスSPさん達の分もまとめて渡したら、眼鏡の人は俺がトゥルーギフトを拾得した件で俺が帝国に好意的なまま上手く処理したので栄転し俺が拠点にしてるハビタットには居ないと言われてしまった。

 レディアマゾネスSPさん達には届けてくれるそうなのでそっちは預かってもらえた。


 なお、俺が帝国に好意的とみなされているのはちょいちょいムチムチ美人さんに手土産を持ってくるからだそうだ。

 一部の同僚は一年半経っても俺がムチムチ美人さんに手を出さないんだから担当を代えるべきとか意見が出されてるものの、上からは担当はムチムチ美人さんのままでもう下手な色仕掛けなどせず出来る限り現在の関係を続けるよう指示が出されているとムチムチ美人さん当人がちょっと疲れた雰囲気で俺に教えてくれた。

 いつもお疲れ様です。


 秘密基地を建造していた宙域の資源という資源を根こそぎかき集め、3年かけて【生産研究型防衛拠点テストゥーディニダエ】が完成した。


 見た目は完全に趣味に振り切って、俺の種族が遥か過去出身惑星で領土を争っていたころ建てた城砦をモデルにしている……がその城砦の建てられた丘を含むデータを使ったせいで一見するとただの丘というか宇宙にあるのでただのアステロイドになってしまったし底面を弄らなかったのでほぼ真っ平で違和感がすごいものの、全長400キロメートル、全高210キロメートル、全幅300キロメートルのほぼアステロイドな丘の上に対角20kmの八角形を基本とした砦が乗っているので頑張ればただのアステロイドではないと言張れる。


 まあ見た目の為に張り付けてある砕いたアステロイドはその気になれば分解して資源として活用できるから無駄ではないことにする。

 些細な失敗は次に活かすと早々に割り切って名前もその城砦を元に≪金剛城(こんごうじょう)≫に決定。


 さあすぐ深宇宙へ旅立とうって行きたいところをぐっと堪えて後片付けだ。

 拠点防衛用の兵器類から始まり、警戒網を構築していた探査スキャナー補助自律装置、資源をあれこれ詰め込んだ大量のコンテナ、建設ドローン、大型工廠艦、中型採掘船、中型輸送船、各種コンテナ式プラントやジェネレーターといった俺がこの宙域に持ち込んだりここで作ったもの全部をとりあえず【生産研究型防衛拠点テストゥーディニダエ】のドックに運び込む。


 設計が大きすぎたのか大量に製造したそれらを収容しても空っぽのドックが沢山ある。

 3基とはいえ超大型の船のための特型艦船用ドックなんて使う日が来るのかも分からない。

 暇なときにでも個人で戦艦や母艦を必要とする事態を考えてみよう。


 完成するまで我慢していた≪金剛城(こんごうじょう)≫のスペックデータを眺めていたら工廠を建造したマイナープラネットも分解して倉庫に放り込み終わっていた。

 さすが超巨大採集器は分解速度が段違いだ。


 周辺宙域に忘れ物がないかを確認して≪金剛城(こんごうじょう)≫の亜次元潜航機構を起動して亜次元に隠しておく。

 俺は≪海老介(えびすけ)≫に乗って拠点にしているハビタットへ一度戻り深宇宙探索に向けた買い出しと、ムチムチ美人さんに遠征するとを伝えよう。




「はい。深宇宙探索の申請はこれで完了です。お疲れ様でした」

「お疲れ様でした」


 ムチムチ美人さんは有能なので唐突に深宇宙まで遊びに行ってくると伝えても呆れたような微笑みを浮かべただけでぱぱっと手続きを終えてくれた。

 本来は手続きに数か月かかったりもするらしいのでトゥルーギフト所有者に対する配慮でもあって即日で許可が下りたのだろう。さすが≪海老介(えびすけ)≫。


「そうだ。俺が長期遠征に行くならお仕事も減るでしょうし休暇でも取って一緒に深宇宙へ行きますか?」


 数年かけた準備が整って俺も浮かれていたのか何も考えず思いついたことをそのまま言ってしまった。

 休暇とるにしても個人的な付き合いのない俺と深宇宙なんて一般的には危険な場所へ行くとかありえない。

 いくら銀河系くらい懐の広いムチムチ美人さんでもハラスメントで通報されておかしくないくらい頭の悪い提案だ。

 さっさと謝ろう。


「浮かれてました。ごめ――」

「ぜひお願いします。すぐに探索申請の修正と休職申請と引き継ぎをしてしまいますね。3日もかからないと思うのでお待ちいただけますか? では3日後にまた連絡します」


 輝くような満面の笑みとともに息継ぎすら挟まない意志表明によってムチムチ美人さんの同行が決まってしまった。

 え、まじで一緒に行くの?


 2日後にムチムチ美人さんから連絡が来たと思ったらレディアマゾネスSPさん達も一緒に行くことになっていた。解せない。


 ああ、レディアマゾネスSPさん達といえば護衛ロボット作るの忘れてた。

 ≪海老介(えびすけ)≫経由で≪金剛城(こんごうじょう)≫に指示出して作っておこう。

 俺、ムチムチ美人さん、レディアマゾネスSPさん達全員に20体くらいずつあればいざという時も安心かな。


 ≪金剛城(こんごうじょう)≫内のあちこちにも一応は警備ロボット配備しないと。

 近衛シリーズとか指揮官機とか名前だけで魅かれる。

 一番スペック高いのでもそんなに資源要らないし全部一番良いやつにしよう。


 警備ロボットの船内配備で気付いたけど俺だけじゃなくなったんだし≪金剛城(こんごうじょう)≫に収容した≪海老介(えびすけ)≫で当面寝起きして居住関係の施設ユニットをゆっくり見繕うわけにはいかない。


 必要そうな施設ユニットはついでに今作る指示を出してしまおう。

 慣れない場所での生活には不便が多いからさっき見かけた侍女アンドロイドも女性陣の人数分用意して……エステ機能搭載ってことは施術する場所がいるんだな。


 リフレッシュユニットなんてものがある。これも組んでおこう。似たようなのでレジャーユニットがある。この2つのユニットは何が違うんだろう。スペックは項目が多すぎてぱっと見る範囲じゃわからない。

 でも分けてあるってことは多分両方あっても困らないはずだ。両方組んでおこう。

 

 女性陣に喜んでもらえそうな施設ユニットをあれこれ組み合わせてたら俺が歩いてたら不審人物で通報されそうな感じになって来た。

 俺の居住区画は別に用意しよう。

 いや、俺だけなら≪海老介(えびすけ)≫の居住スペースで十分居心地良いんだし、それならユニットのデータリストを眺めつつゆっくり決めても問題ないな。

<< 前へ次へ >>目次  更新