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8話

 タダヒト!タダヒト!と呼ぶ声がする。

 「タダヒト!」バッチン、バッチンと頬を叩かれている。

 「へぁ?ミリア?」少し気を失っていた様だ。

 「タダヒト〜良かった〜」ミリアが泣きながら抱きついてくる。

 いや、君の所為やで!

 両頬がパンパンに腫れている。

 手加減、知らんの?


 しかしあのサンタクロースは?

 この世界に生まれてサンタクロースというの聞いた事が無い。

 当然、前世でも実物を見る事は無い。偽物は沢山見たけど。

 基本、前世の我が家にサンタが来た事は無い、偽物も当然、本物。

 クリスマスプレゼントを貰った事が無いのだ。

 クリスマスを祝った経験も無い。


 おそらく幻か、そうでなければ、あれは神なのでは!

 俺を転生させた奴!

 顔はサンタクロースみたいだったが服装は違った気がする。

 話があったのでは!

 何故か手を振っていたし。


 「おい!タダヒト!大丈夫か?ボーとしてるぞ」

 ミリアに体を揺さぶられる。

 「大丈夫。ミリア揺さぶらないで」

 ソフィアも心配そうに声を掛けてくる。

 「タダヒト、本当に大丈夫?少しだけど心臓止まっていたのよ」

 「えっ!?」

 臨死体験?状態だった訳か。


 そう考えるとやはり先程のサンタクロースは神様で、何か話がしたい、みたいな事があったのかも知れない?

 

 ミリアが「よし!タダヒト、今日は一緒に寝ようぜ!」と言ってくる。

 「は?なんで?」

 俺、七歳ですよ!

 ショタという奴ですか?

 「今日は悪かったな。はい!これ変えしとく」

 ミリアが砂糖菓子の入った小さな袋を返して来た。

 半分以上減っとるがな!

 「そうね。今晩は誰か一緒に居た方が良いかもね。ミリアと私は同じ部屋だし」とソフィアが心配そうに言う。

 ソフィアと同部屋なのか。

 

 厩舎の掃除が終わり仕事終わりには少し早いがミリアに強制的に抱っこされながらデキド商会の女性職員達の寮となっている屋敷に向かう。


 デッカいお屋敷だ。

 貴族レベルの人が住む家だ。

 デキド商会で働く女性で、この街に住む所が無い人が二十人程暮らしている。

 

 「よっしゃ!タダヒト、風呂入ろうぜ!」

 「えっ?風呂?」


 この屋敷は元々、貴族の為に作られた物で大浴場などもある。

 その為のスタッフなどもおり、基本的に女性の奴隷がメイドとして使われていった、風呂関係の仕事もしている。

 女性の奴隷の職業?訓練所の役割もあるらしい。

 基本的に、この屋敷は成人男性は入る事は出来ない。


 ミリアに素っ裸にされ、ミリアもソフィアも裸で大浴場に入る。

 さすがに目のやり場に困る。嫌じゃ無いけど。

 転生して良かったというか助かった事の一つに性欲から開放された事がある。

 まだ七歳である。体は子供、転生する前とは違うのだ。

 しかし全く無いと言われれば、それは違う。

 目の前に若い女の裸体があるのは、さすがにね。

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