第75話「南瓜とセンコ国-5」
今回は普段に比べて性的及び暴力的表現が強いため、苦手な方はご注意ください。
「さて、人が多いのは……こっちか」
俺は普段よりも意識して周囲を見渡し、壁越しなので多少分かりづらいが魔力の分布具合で何処に多くの生物が居るかを確かめる。
うーん。魔力の分布からしてやっぱりある程度の人数を一グループとして複数の部屋に分けて監禁してる感じだな。
当然と言えば当然の対応ではあるけど。
ただ、この確かめ方だとその場所の魔力が多い原因が人質が集められているからなのか、単純に兵士や敵対する貴族たちが集まっているからなのかが分からない難点があるため、そこは一つ一つ確かめるしかない。
「じゃ、まずは近場から行きますかね」
と言うわけで俺はまず一番近くの魔力が集まっている場所に向かった。
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「ここもハズレか」
「「「ZZZ……」」」
で、城内の探索を始めてから既に一時間ほど経過したが、未だに人質が捕えられている場所は見つかっておらず、兵士が枕を並べて寝ている姿しか見当たらなかった。
うーん。いくら【共鳴合奏魔法・秋の快眠セット】の効果時間がおおよそ丸一日あるとはいえ、時間がかかればそれだけアクシデントが起こる可能性も高くなるしなぁ……。
早い所人質を見つけてとっとと逃げ出してしまいたい。
「とりあえず次行くか」
いずれにせよこの部屋はハズレだったので、共鳴魔法の触媒として使えそうな物を少々くすねて後にする。
装備品の現地調達は基本中の基本だよねぇ。自分の戦闘能力を上げつつ敵戦力の弱体化を狙えるとか本当に美味しいです。
俺の場合、最悪でも【オーバーバースト】の素材として使えるからなお美味しいしな。
「む、鍵がかかってるな」
で、その後も城内を彷徨っていたところ、城の中でも比較的奥の方で鍵がかけられている上に扉の前に兵士が二人も居ると言う見るからに厳重な警備がされている部屋を見つけた。
しかも扉越しで見た限りでは部屋の中には十数人分の魔力があり、部屋の中央に数人分。そしてそれを取り囲むように残りの魔力が存在している。
うん。ここっぽいな。
「じゃ、強行突入と行きますか」
俺はマントの中から灰硬樹製のナイフ(リーダーの蜜蝋メッキ済み)を取り出すと魔力を込め始める。するとハンティングビーの蜜蝋の性質としてナイフの切れ味が向上する。
なお、三年間の研究の成果として、ハンティングビーの蜜蝋には微妙に個体差があり、その差によって強化される性能に微妙ではあるが差が生じることが分かっているが、それと同時に流し込む魔力の属性やその時に込めた念と蜜蝋の相性による差と言った物もある事が分かっている。
まあ、相性に関してはぶっちゃけてしまうと自分が契約していて普段から蜜を与えているハンティングビーの蜜蝋が一番いいんだけどな。
「ホイホイっと!」
ま、そんなわけで俺は強化されたナイフを振り回して扉を豆腐の様に切り刻んで解体していく。
一応言っておくが灰硬樹製武器でハンティングビーの蜜蝋を塗ってあるとはいえ、こんなことが出来るのは俺ぐらいである。普通のスパルプキンたちは精々鉄製の武器と打ち合えるぐらいだ。それでも十分と言えば十分だが。
「開きまし……うわぁ……」
で、扉を解体し終わったので部屋の中に入ったのだが、そこで俺の視界に入ってきたのは部屋の中央で複数の男女が裸で絡み合っている姿。そして独特の臭気。
うーん。どうやら周囲に散らばっている女物の服と男たちが兵士系の服をしている事から察するに無理矢理っぽいな。
ここに集められているのは側室の方々っぽいし。
まあ、とりあえずあれだな。
「人死には最小限と言われたけど、これは殺っていいよね♪」
と言うわけで男どもを女性陣から引き離し、彼女たちの身体を綺麗にしてやるなどの処置を施してからベッドに寝かせておいてあげた後、防音処置を施した上で男どもを簀巻きにしてから叩き起こす。
「な!?何だこれは!?」
「ぐっ、動けん!?」
「貴様!?何者だ!?」
「黙れ、男の風上にも置けないゴミ虫どもが」
「「「ヒッ!?」」」
で、起こしたところでやっぱり騒いでくれたので軽く魔力を放出して威圧してやる。
「いやさぁ……側室たちを救助しに来たらまさかこんなゴミ虫どもが居るなんてねぇ……くっくっく」
「「「……!?」」」
俺は放っている魔力の圧を寝ている側室たちや他の部屋に伝わらないように気を付けつつ更に上げる。
「き、貴様は第一王子たちの手のも……ノギャ!?」
「誰が喋っていいと言った?」
俺は【ガストブロー】で俺の正体を探ろうとした兵士の頭をもいで飛ばす。
「さて、俺は第一王子の依頼で来たわけで、目的は人質の救出であり、お前らの様なゴミ虫を殺す事じゃあない。そんなわけでお前らに生き延びるための選択肢をくれてやる」
「…………」
「死ぬか、他の人質の居場所を吐くか。どっちがいい?」
俺がそう告げた瞬間。兵士全員が我先にと他の人質の居場所を大声で言い始める。
ああ、こいつら本当にクズだな。自分がしでかした事の重大性も理解せず、自分が助かる事しか考えてない。
まあ、自分の命が大切だって考え方は否定しねえよ。俺も基本的にはそう言う考え方だしな。
「ご苦労」
「「「へっ?ギャアアアァァァ!?」」」
だが、助かるとでも思っていたのか?お前らみたいなゴミ虫に生きている価値があるとでも思ったのか?そもそも人質の居場所を吐いた程度で命を拾えるとでも?
と言うわけで全員、まずは麻酔無しで去勢してもらう。
「た、助け……」
「誰が助けるかよ」
「グギャ!?」
「ガッ!?」
「ヒギィ!?」
そして続けて【ガストブロー】の連打によって手足の骨を一本ずつへし折りつつ腹を殴って内臓にダメージを蓄積させていく。
さて、このまま放置しておいてもこいつらは確実に死ぬが、どうせなので少々リサイクルさせてもらうとしよう。
「な、何を……ギャアアアァァ!?」
「ただのメッセージさ」
俺は壁に兵士どもを叩きつけ、赤に若干白が混じった液体にアクセントとして肌色の物体を混ぜた絵の具で一つの文を書く。
『地獄に堕ちる覚悟はいいか?クズ野郎ども』
まっ、ちょっとした宣戦布告と言うものだ。敵がこれを見る前に全てが終わっている可能性も有るがな。
パンプキンは精神的には男寄りで肉体的には無性別ですが、この手の倫理観は強めです。
たぶん、この手の話ではクロキリとは仲良くなれないですね