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81.気遣い

レーナさんここ数話でどれだけカルマ値下げたんだろう……?(ガクブル)


《レベルが上がりました》

《スキルポイントを獲得しました》

《カルマ値が大幅に下降しました》

《既存のスキルのレベルが上がりました》

《従魔達のレベルが上がりました》


メイドさんの死体を燃やし尽くしてから路地裏から表へと出ます。


「ただいま戻りましたよ」


「あ、レーナ……さん?」


「大丈夫ですか……?」


「? なにがですか?」


なぜ私はユウさんとマリアさんにいきなり心配されているのでしょう? ……そんなにイライラが顔に出てましたかね?


「まぁいいです、それよりも王女は無事に逃げたようですね?」


「「王女?」」


「あの、メイドさんと一緒に居たアイスクリームの小さい女の子ですよ」


「「王女?!」」


おや、気付いてなかったんですかね? 皆さんそんなに頻繁に『看破』とか使わないんでしょうか? たまに偽装されていますが、なにかあった時のために使った方がいいと思いますけどね?


「とりあえず糸を括りつけておいたので後を追いましょう」


「えぇ……」


「あ、私もう慣れたかも……」


ですがそうですね……二人のカルマ値の高さは色々と利用できるようですし、私と一緒に行動してなりゆきで下がるのは勿体ないですね……?


「そうですね、二人は私の邪魔をしてください」


「どういうことですか?」


楽しそうな事を思いついてしまいましたね、これはよさそうです。


「私と一緒に行動してあなた達のカルマ値を下げるのは勿体ないですし、二人とも上位層ではあるんでしょう?」


「「……」」


二人して首を傾げてますね、やはり仲が良いようでシンクロしていて少し面白いです。


「鬼ごっこみたいなものです、見事私の邪魔をすることができたらなんでも言うことを一つ聞いてあげま──」


「「──やります!!」」


「……そうですか? それはいいですけど最後まで聞かなくていいんですか?」


いきなり食い付いてきましたね? いったい何がそこまで魅力的だったんでしょう? 二人とも鬼ごっこが好きなんですかね? ……今度追いかけ回してみましょうか。


「そ、そうですね! 一応聞いておきます!」


「わ、私は織田と違って邪心はないから聞きます!」


「邪心のないストーカーって……」


「私はストーカーじゃなくてガーディアンだから……」


「「……やるか?」」


なんなんでしょうこの二人は……合間にコントでもしなきゃ死んでしまうのでしょうか?


「僕の方がレーナさんとの付き合い長いしー?」


「ほんの一年未満じゃない!」


「ふっ、君はまだ友達になれてないから差は広がるばかりだね……」


「キーッ!」


あぁ、どうしましょう? 会話の内容はまったく意味不明ですが止めた方が……? いや面白いですし『普通の友達』というのを知るいい機会ですかね?


「やーいマヌケー!」


「織田の母ちゃんでーべーそ!」


「は? 僕の母さんは痩せてますー!」


「織田の父ちゃん飛田新地で見かけたよ」


「おまっ、ついていい嘘ってもんがあるだろ! ついでに言えばコミケ行く度に成人向けの表紙見て赤面する奴が、そんなところ行けるわけないだろ!」


「い、行けますー! 私ってばほら、大人なレディだから?」


うーん、これが『普通の友達』とのやりとりというか、喧嘩なのでしょうか? なんだか段々低レベルになってきているような気がしますが……世間の皆さまはこういう喧嘩を普段からしているのですね。


「はん! アニメのキスシーンですら赤面するのにー?」


「それは言わないでよ! 織田こそアニメのパンチラシーンとか見てる時の目、血走ってて怖いから! このむっつりスケベ!」


「おまっ、レーナさんの前でなんてこと言うんだ!」


「先に言ったの織田でしょー?!」


……二人ともアニメが好きなんですね? 私も見た方がよろしいのでしょうか? 確か母は『同じ趣味の友達は得難いもの』と言っていましたね?


「「ばーか! ばーかばーか!」」


「「マヌケ! このオタンコナスー!!」」


「「キーッ!!」」


…………そろそろ止めましょうかね? なんだか見るに堪えません。


「……そろそろいいですかね?」


「「あ、ハイ」」


なぜか二人して正座しますが、この際無視して話を進めましょう。


「私はこれから大きいことをします」


「大きい……」


「……おい、織田どこ見て言ってる?」


「なんでもないです……」


なにやらまだ肘で小突きあってますね? ……仲が良いと攻撃的になるもの、なのでしょうか?


「それを食い止めてください、具体的にはこれから私は王女を追って城に潜入します……ちなみにどんな手を使っても大丈夫です」


「えぇ……どうやって止めるのさ」


「カルマ値高いからなんとか門番を言いくるめて……? いや、難しいかな」


「まぁ、さすがに難しいでしょうからこれをあげます」


そう言って私はなにやら高そうな短剣を取り出します。


「……これは?」


「『始まりの街』の神殿で奪ったものです」


「「……」」


看破レベルが上がってから調べたところ、この短剣は司教以上、もしくは枢機卿の直属の配下に与えられる栄誉ある物……らしいですからね、カルマ値の高い二人がそれを見せれば大抵上手くいくのではないでしょうか?


「それは神殿の高位聖職者に与えられるものですから、二人なら使いこなせるでしょう」


「やっべーよ、これ絶対遺品だよ……」


「大丈夫? 私たち呪われない?」


なにやらおっかなびっくりといった様子で短剣を受け取った二人がビクビクしながら小声で話していますが……まぁ、いいでしょう。


「それではスタートです」


「え、ちょっ!」


「ウソでしょ!」


背後から聞こえる悲鳴を無視して、王女に付けた糸を手繰り寄せながら駆け出します……ふふ、楽しませてくださいよ?


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ユウくんとマリアちゃん、レーナさんのアレな雰囲気に対して和ませようとするも、途中からマジで喧嘩してしまう珍事発生……なにやってるんですかねぇ……。

レーナさんはレーナさんで変な勘違いが進行中……処置なし!

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