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68.一条玲奈の日常その4

この話でレーナさんに同行する(予定)のヒロイン(候補であって決定じゃない)ちゃんの登場です。

人気が出れば出番も増えてその内昇格する……かも?

68.一条玲奈の日常その4


「……結城さんといい、ハンネスさん……正樹さんでしたか? といい…………今日は大丈夫ですかね? 」


「ははは……多分大丈夫だよ」


私、萩原舞は今スニークミッションの真っ最中です。その対象はクラスメイトであり我が校の超絶有名人でもある一条玲奈さん、その噂は他校まで広まるほどです………………それとおまけの織田です。

いつもは大人しく周囲の人間と積極的に関わろうとせず、むしろ避けている節すらある一条さんの普段とは180度違う行動にクラスメイトどころ学校中が気になっているようです。


「むむ、そもそもなぜ織田なんかと……」


彼は自分では隠しているようですがオタクです。いつも森田さんや垰さんと教室の隅でコソコソとオタク談義してますが、次第に興奮し早口になって小声ではなくなるのでバレバレです…………隠すのならもっと私みたく完璧に擬態しないとダメじゃないですか。そんな微妙に残念な織田となぜあの一条さんが……………………私じゃダメなのか?! 同じ女子だし、一般人に擬態できるし、なんなら織田並にはオタク知識もあるはず、なぜ!?


「いったいなにが……」


くぅ〜…………私も一条さんと仲良くなりたい、だって絶対一条さんラノベでいうメインヒロインか隠しヒロインポジションでしょ…………なんなの? 皇室の血も入ってる華族、それも五摂関家の一角である一条公爵家の令嬢で成績は全国模試の一位を取り続け、運動神経も…………ちょっと頭おかしいレベルだけど凄い。それなのに周囲との関係を半ば絶って、真偽は定かではないけど父親との仲は最悪で、自分の殻に閉じこもる闇深系美少女とか…………めっちゃ仲良くなりたい!! でも勇気が出ない! そんな足踏みしてたら織田の野郎! 横から掻っ攫いやがってぇ!! この! このぉ! もう描いた同人誌の原稿読ませてやらねぇぞ?!


「……まぁ、いいですそろそろ私は行きますね」


「早くないですか? 」


「忘れたのですか? 午後の授業は体育ですよ」


「あ、そうでした僕も食べ終わりましたし一緒に行きます………………ていうかこの食堂に置いて行かないで(ボソッ」


…………ハッ! そうだった、午後から体育の授業だった……日課の一条さんのストーキン……ゴホンゴホン! ガーディアン任務に忠実なあまり忘れかけていた。私も移動しなければ…………。


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「…………はぁ〜、尊い」


体育の授業のためにクラスの女子が更衣室で着替えを行っています…………もちろん私と一条さんも。


「なにを食べて過ごせばあんなスタイルになるんだ…………」


正直に言って一条さんのスタイルは異常だ……それこそ同じ女子の私が見ても思わずムラっと来てしまうほど…………きめ細やかで光すら反射しているのではと疑ってしまうような白磁の肌、それに対照的な濡れ羽色の腰まである長い黒髪。形がよく、それでいて程よい大きさに見るだけで柔らかさとハリのある弾力の両立が感じられるもはや『美しい』と言える胸。思わずファンタジーを幻視する同じ女子として信じたくない腰のくびれと程よく鍛えられ、たるみの一切ない綺麗なおへそ周りと背中。ぴっちりとしていて『なるほど、これが安産型……』と言いたくなる少し大きめの、だが上品な……桃と間違えてかぶりつきたくなるお尻。そして美しい身体からスラッと伸びる手足! もはや脚長すぎて同じ日本人とは思えない…………そんな肢体を包むのは飾り気の少ないけど細部の細かな刺繍が上品な黒色の下着!! ………………あ、ヤバイ見てて鼻血出そうになってきちゃった。


「……ねぇ、一条さん今日って織田と仲良さげだったけど本当に友達なの? 」


おっと、これは興味深い質問がなされた。一条さんの肢体はこの短い時間しか観察できないから貴重だけど、これもまた大事なことだから聞き逃さない。


「…………はい、そうですが? 」


あ、ヤバい一条さん割とウンザリしてる…………普段からストー……ガーディアンしてる私だからこそ、なんとなくわかる程度の些細な変化だけど…………ぶっちゃけこういう時の一条さんは何故か本能に訴えかけてくる怖さがある。…………元々あまり人付き合いしない方だし、今日だけで同じような質問をされ続けて疲れたんだろうか?


「付き合ってたりは———」


「———してません」


……少し食い気味に否定したね? ざまぁ織田! 抜け駆けして私より早く一条さんと仲良くするからだ!! 可哀想だから描いた同人誌の原稿を読ませてやらないのは勘弁してやろうではないか! ハッハッハ!!


「……仲良くなるきっかけとか聞いても? 」


むむ! それは私も気になる!


「…………KSOというゲームです」


「へぇ、一条さんゲームとかするんだぁ〜意外〜」


…………………………KSO? マジで? why? ……………………………………それ私もやってるんですけどぉ?!! 嘘でしょ?! 一条さんやってたの?!! 一生の不覚!! 同じゲームしてたのに気づかず織田に先を越されるとはぁ〜、やっぱりアイツは制裁として原稿読ませねぇ!!


「私もやってみようかなぁ? 」


「ご自由にどうぞ、私は着替え終わったのでもう行きますね」


おっと、私にはわかるが一条さん半ばイラついてたな……………今日は体育館でドッジボールだったはずだし、敵チームにならないことを祈ろう…………それはそれとして一条さんの体操着姿尊い。


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「げほっ……めっちゃ酷い目にあった…………」


運悪く一条さんとは別チームになってしまった……それまではまだ良かった、上手く立ち回ればよかったからね…………でもさ、なぁにあれぇ? ほぼ一条さんの無双状態だったよ? なんで前した時よりも腕を上げてるの? なんで見ずにボールを避けたりキャッチできるの? なんで百発百中なの? もしかして家で投擲術とか習い始めたの? しかも首か胸しか狙ってこない…………たまに頭まで狙ってくるし殺意ありすぎ…………それはさすがに顔面セーフという謎ルールが働くけどみんな当たったら自主的に外野に回るくらいだった。


「うっ、まだ痛い……」


やっぱり機嫌悪かったんだろうなぁ……開始十分と経たずに全員アウトだもんなぁ……二回試合する予定が五回はしたもんなぁ……しかもそれでいて本人は汗ひとつ掻かず表情変えなかったんだからすごい。


「まるでKSOのジェノサイダーみたい……………………ん? 」


あれ? ジェノサイダーみたい? 一条さんが? いやいやいや、私は何を言って…………??


「確かに似てるかも知れないけどそんなわけ…………」


いや待てよ? 似てるなんてレベルじゃなくない? 一条さんの髪を肩あたりまで短くして白のメッシュを入れて瞳の色を紅くすればまんまジェノサイダーじゃない???


「いや、でも、そんなまさか……」


ありえない、でも織田とKSOで知り合ったって言ってたよね……確かイベントでジェノサイダーはユウ……織田のゲームでのキャラに対して友人とか言ってたし、ジェノサイダーと言えば投擲というぐらいエグいし…………。


「……………………マジか」


これは今日ゲーム内で織田に問い詰めねば! 場合によっては制裁解除を視野に入れて脅……交渉せねば!!


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ノクターンで書いて欲しい層に向けて他人視点のレーナさんの着替えシーンでお茶を濁す……いや、そういうの書けない訳じゃないけど……ほら、ワシ童貞だから…………(半泣き)

異性どころか他人と話すだけで半端ない手汗と震えが出るくらい人が怖いコミュ障だから…………(絶望)


この作品をここまで読んでる人は大丈夫だとは思いますけど、これから登場キャラが割と酷い目に遭いますのでよろしくお願いしますね。

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