55.第一回公式イベント・三日目その3
Twitterで質問箱始めてみましたけど需要ありますかね?
プレイヤーにも強い方はいるのです。
「『被虐体質』」
「『加虐体質』」
そんな言葉と共に二人が駆けてきます……おそらくどちらも回復効果のあるスキルなどでしょう、宣誓スキルは継続的にHPが削られますからね。なればこそ。
「…………『精神感応・魔統』『ハイエンチャント・ダークネスアビス』『エンチャント・フィジカルパワー』『エンチャント・フィジカルバリア』『エンチャント・アクセラレータ』」
「『っ?! 』」
私もほんの少しだけ手札を切りましょう……大丈夫です、おそらく強化や付与の重ね掛け程度だと思う人が大半でしょう。
「また面妖な! 」
「本当に腹立つわね?! 」
振るわれる大鎌の刃先に短刀を当て、手首の返しで滑らせることで潜り込むように避け、途中で元の部分に鍔を引っ掛けて井上さんのアシストによる怪力で無理やり横に引っ張る形で、迫る拳に対する盾とします。
「きゃっ!? 」
「むむぅ? 」
そのまま半回転に地面を滑るようにして体勢を崩した大鎌使いの後ろから足首を引っ掛けて転ばし、彼女の外後頭隆起を短刀の柄で殴り付け上空へと飛ばす。
「がっ! 」
上空へと飛ばした彼女に毒針を投擲しつつ変態さんに向き直り、すぐ目の前まで再度迫っていた拳をバク転で避けながら腕を足で挟み込み、身体を捻り、肘を逆側に折りながら投げ飛ばす。
「ぬぅう?! 」
その後大鎌使いと同様に毒針を投擲します、これはただの牽制目的なので敢えて防ぎやすい位置へと飛ばします。そのまま空中で体勢を立て直した大鎌使いが放ってくるスキルのエフェクト付きの振り下ろしをバックステップで避けますが………………。
「調子に乗るんじゃないわよ!! 」
「っ! 」
……………………なるほど、遠距離攻撃スキルでしたか。回避したはずなのに斬られてしまいましたね、ポーションで回復しましょう。今後は直線上に避けるのは止めておいた方がよさそうですね。
「トップが揃い踏みしてるぞ! 」
「漁夫の利キタコレ! 」
「誰が留め刺しても文句なしな」
さすがに他のプレイヤーも集まってきましたね? まぁ、一ヶ所に高額ポイント保持者が三人も集まってまだ決着もついてないと来たらマップを見て集まるのは当然ですね。
「……ギャラリーが集まってきましたな? 」
「雑魚のくせに……」
ひぃ、ふぅ、みぃ…………十数人、まだ増えますね? プレイヤーの全体数からしたら圧倒的に少ないですがこの広大なイベントフィールドを思うと初日から私達を狙って移動していたのでしょうね…………まぁ、関係ありませんけど。
「まず狙うべきはジェノサイダーだな! 」
「当たり前だよなぁ?! 」
「むしろ全員で殺さないと返り討ちにあうぞ」
…………なんで全員が私を狙うんですかね? まぁ、多人数を相手にする方が楽なのでいいですけどね!
「むがー! ジェノサイダーは私のものよ! 」
「むふっ、百合ですかな? 」
「五月蝿いわよ!? 」
お二方もこちらに突っ込んできますね、まぁこんな好機、私でも見逃しませんし当たり前ですね。
まず飛んでくる鎖鎌を掴んで手に巻き取り、井上さんのアシストで一気に引き寄せ、飛んでくる相手の鳩尾に膝蹴りを喰らわせ武器を奪い取り、地面に倒れたところで首を踏み折り殺す。
「せいっ! 」
「ハッ! 」
突き込まれる槍を足場にして跳躍することで放たれた矢を躱しつつ、空中で一回転しながら先ほど奪った鎖鎌で槍使いの頭を突き刺し、それを一時的な支点としてさらに迫ってくる剣士の首に鎖を引っ掛け絞め殺し、そのままぶん回して後続へと投げ飛ばす。…………井上さん大活躍ですね。
『―――ィイ! 』
アピールする井上さんを褒めつつ、追撃として鉄球を後衛に投げて牽制をしながらプレイヤーの群れに突っ込み、振るわれる長剣を紙一重で躱してその方の手首を逆側に捻り折りながら引き寄せ、変態さんの拳の盾にしますが……………………爆砕しましたね、ビックリです。
「あらら……」
「ぬぅ、やはりプレイヤーを盾に使いますか」
「だから雑魚は邪魔なのよ、巻き込まれて死になさい! 」
周りのプレイヤーを巻き込みながら振るわれる大鎌に対し、火薬マシマシ人間爆弾にしたプレイヤーを投げつけることで目くらましと防御を両立させ、手刀によって迫る矢を叩き落とし、上段に振りかぶられた斧が降ろされる前に顎から斧使いを貫き、背後からせまる魔術に対する盾にして防ぎつつ、下方から迫る短剣を足先をまわすようにしていなし、体勢を崩し前方に倒れ込む短剣使いの顎をそのままかち上げ、腰の捻りで斧使いを前方に火薬玉を仕込んで投げ付け、彼が持っていた斧を背後の後衛たちのうちの神官の首へと投擲してぶつ切りにします。
「フッ! 」
足元で鼻血を噴きながら後頭部から倒れ込む短剣使いの首に鉄片を投擲して殺しつつ、頭を足場に再度跳躍。頭上から有毒ガスを発生させる爆薬と色付き煙玉をばら撒き、彼らにダメージを与えつつ分断します。
「…………敵が増えると活き活きしだすのね」
「これでは何も見えませんな…………」
…………文句を言いつつお二方も他プレイヤーをサクサク殺してるじゃないですか、私だけはしゃいでるような言い方は心外ですね。……まぁ、彼らともここでお別れですけど。
「……《加重》《加速》《回転》《肥大化》…………《流星群》!! 」
数発しかまだ用意できていない特製の鉄球に強化を施し、投擲した物を分裂させるスキルで思いっ切り投げる!!!
「―――」
視界が光で埋め尽くされ、音すら無くなったかのような錯覚のあとに空気が破裂し反響するような爆音と共に辺り一帯をスプーンで掬ったような、それにしては少々歪な形容しがたいクレーターができていました。
「…………ごほっ! 」
「嘘でしょ…………」
「驚きましたね、まだ息があるのですか」
他のプレイヤーは軒並み蒸発していますし、この二人は宣誓スキルでHPも削られていたはずですが? まぁ、どんなタネがあるのか気になりますがそろそろ終わりですね。
「プレイヤーでは中々に楽しめましたよ、初めてです」
「……それは何よりですな」
「絶対に許さない……絶対に許さないんだか―――」
ちょっと騒がしかったので、大鎌使いの彼女の首をササッと落とします。
「相変わらず容赦がないですな……」
「? 優しくしたつもりですが? 」
「…………左様で」
「それでは」
変態さんは少し意趣返しを込めて秘技・くるみ割りでリスポーンさせてあげましょう。
「――――?! 」
…………ビックリしたと思ったら最後に顔を赤くして逝ったのが少々気に入りませんが……まぁ、いいでしょう。
「おぉ、一気にポイントが入りましたね? 」
この調子でこのイベントを楽しみましょうか。
レーナさんは一対一よりも一対多の方が得意です……武器が増えるし死角を作りやすいからね…………(遠い目)
他のプレイヤーが乱入しなければレーナさんは他の手札を切らさずには居られなかったでしょうし、少し長引けばあの二人はスキルによってどんどん強化されて行ったので割と惜しかったです。
そして変態の彼はリアルでは営業職、ゴスロリの彼女は目立たない地味系文学少女です。