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45.√甲その4

四半期ランキング1位獲得したお礼に恒例の連続投稿致します!


プレイヤー達にも強い人居るから、なんならNPCよりも伸び代あるから…………(震え声)

まぁ、実際にレーナさんよりレベル高い人は居ます。

 

「『拳撃・深海』!! 」


  青黒い水とオーラを纏い拳打が放たれるのを、鉄球砲弾を『流星・暗色』で投擲し、相殺とまではいかなくとも勢いを殺したところで体術スキル『流水』にて無理やり受け流しますが…………。


「っぐぅ! 」


  結構痛いですよこれは……二の腕が削り取られましたね、直ぐに三田さんが回復してくれますが確認している余裕もありません。


「ふんっ! 」


「はあっ! 」


  上からの殴り付けを首を横に反らして躱し、半ば滑るように足首を裏から引っ掛け転ばします。


「むぅん! 」


  それをむしろ後方にバク転する形で利用して距離を取りながら蹴り込まれる。


「っ! 」


  それを寸前で躱しながら毒針と鉄球を投擲しますと、いくらかは迎撃されますが数本刺さります。


「『アンチドート』……むっ?! 解毒されない? 」


  どうやら成功のようです。それは正確には毒ではなく薬ですからね、毒状態ですらありません。ポーションの肉体活性化作用を抽出して煮詰めた物で、常に筋肉が痙攣し疲労状態を継続させるものです。


「まだ隠し玉があったか……」


「さて……」


  会話もそこそこに攻防が再開されます。短刀による振り下ろしをおそらくスキルで硬くした左拳で防がれるが、『溶断』によって半ばから断ち切る。


「ぬぅっ?!! 」


  そのまま手首の返しで断ち切った断面に短刀を突き入れるが、咄嗟に腕を曲げられ肘までしか破壊できなかったうえに、逆の拳で胸を強かに打ち付けられる。


「ぐぷっ?! 」


  寸前に後方に飛び衝撃を和らげるが、咳き込んでしまう。そこを見逃す彼ではなく、すぐ様衝撃と音を置き去りにして突っ込んでくるのを迎撃するべく構える。

  下からの振り上げを受け流し、短刀の横薙ぎを首を捻ることで躱され、頬を薄く切るに留まる。


「ハァッ! 」


「フッ! 」


  短刀の突きを逸らされ、振られる拳を躱し、水月への蹴り上げを防がれ、頭突きを腕をクロスして防ぐ…………互いにまともな一撃は入れられていませんが、それでもHPがガリガリと削られていくのがわかります。

  埒が明かないのでここで勝負に出ましょう…………。


「ふぅ……」


  一度呼吸を整え精神を統一し…………一気に駆ける!!


「っ?! 」


  自身に小さな針でドーピングを施し、一時的な超スピードを得ます。相手がまだ反応できてないのを確認し、そのまま短刀の柄で顎をかち上げ、姿勢を低くして足首を掴み回って遠心力を付けて投げ飛ばす。


「ぐぅお?! 」


  そのまま追うように走り抜け、相手の背後から腰を蹴り飛ばしながらうなじ、肩、背中に毒針を刺しておく。


「がぁっ! 」


  相手が崖際に倒れ込んだ好機を逃さないためにすぐ様追撃しましょう、短刀を顔の横で構えて『闇刃』で首を狙って―――――


「――――――舐めるなよっ!! 」


  ロノウェさんの両腕の刺青が青白く輝き、残った右腕による正拳突きにより短刀ごと左手首から先が吹き飛ばされる。


「終わりだ、ここで死ね――――」


  さらに輝きを増した腕に水を纏わせ、私の心臓目掛けて打ち込まれるが―――――


「死ぬのはあなたですよ――――――」


「―――――がぶぅっ?!! 」


 ――――――――ロノウェさんあなた、まともに短剣を扱ったことないでしょう?

  ダメですよ、短剣やナイフを他の武器と同じように差してちゃ…………短剣やナイフは右腰に柄を直上か後ろ向きに差さないと。他の武器と同じように左腰に柄が前を向くように差していれば、正面から向かい合った時に相手の利き手である右手で簡単に取られてしまいますよ?


「…………私の勝ちですね? 」


  心臓に突き込んだ短剣を捻りながらロノウェさんに語りかける。


「ごふっ! …………まさか自分の武器で殺られるとはな、だが」


  そう言ってロノウェさんは自身の心臓を貫いている私の腕を掴む。


「…………一緒に死んでもらうぞ? 」


  ………………なるほど、すぐ後ろは崖、下は荒れる外海ですからね? 死なば諸共というやつですか…………。


「死ぬならお一人でどうぞ」


「いいや、一緒に来てもらう」


  腕を引こうとしますが全然離れませんね。物凄い握力で握られています…………仕方ありません。


「……山田さん」


  私が呼びかけると後方に飛んだはずの短刀がその場で浮き、こちらに向かって飛んでくる。そのまま短刀は私の残っていた右腕を切り飛ばす。


「なっ?! 」


「…………では今度こそさよならです、とても楽しかったですよ」


  身体が離れると同時にロノウェさんの腹を蹴り飛ばし、崖の下へと突き落とす。


「………………本当になんでもアリだな」


  その最期の言葉を呟きながら、ロノウェさんは海へと落ちていきました。少しして着水の音が聞こえたのを確認し、その場に座り込みます。


「さすがに疲れてしまいましたね…………」


  右腕と左手を失ってなんとか勝てました……やはり現時点ではプレイヤーよりも特殊なNPCの方が強く、楽しめますね。今も三田さんたちが回復してくれてますが、強力な身体強化の代償に回復効率が体感十分の一程度に落ちていますね…………。


「少し休んだらすぐに街に戻りますよ」


  そう山田さんたちに告げ、しばし戦いの余韻に浸るのでした。

運営:今回はワールドクエストを経てたからいいけど短時間に重要NPC殺しすぎだろこいつ…………

主任:(爆笑)


この後12時、16時、20時にも投稿されますのでよろしくお願いします。

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