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39.クレブスクルム解放戦線・破軍その2

前回のあらすじ:ユウ君レーナさんに腹を殴られ悶絶中。

 

  広場に向けて駆ける。


「止まれ! 」

「貴様よくも! 」


  …………やはり街中だからというか、基本的に皆さん槍を装備していますね? 別に構いませんが…………。


「フッ! 」


  道を塞ぐ邪魔な衛兵その1の首を落とし、突き込まれる槍を掴んで引き寄せながら短刀でその方の喉仏をくり抜く。


「ぶぇっ! 」


 ちょっとした時間で一部位だけ切り取るなど、私も大分武器の扱いが上手くなったと自分では思うのですがどうなんでしょう?


「クソっ! 」


  隙を見ては鉄片を彼らの頭部や喉に投擲し、時に水路を飛び越えて、反対側の衛兵の頭上から頭を短刀で突き刺しながら近くに居た別の衛兵の頭を踏み砕き着地する。一斉に突き込まれる槍を家屋の壁を走り躱して、彼らのド真ん中に水の上でも燃える特殊な火薬でできた爆薬を投げて起爆させる。


「なっ! 」

「た、退避ー! 」


  彼らの悲鳴を聞き流しながら屋根を飛び移りその場を離れる…………大丈夫ですよ、死ぬほどの火薬量ではありません。ただ殺すよりも負傷者を増やした方が相手のリソースを削れますからね、戦争の基本(?)です。それよりも奴隷たちも見てないですし、通行の邪魔である住民たちを切り伏せ、広場を目指しましょう。

  そうして辿り着いた広場では――――


「――――よぉ、待ってたぜぇロノウェ…………誰だお前? 」


  ふむ? 恐らくアレがロン老師たちが言っていた用心棒とやらですか、隣に無口な方もいます。確か今日は見せしめをする予定とか言ってましたね、周りにはバラバラにされた左頬に印を持つ者たちの死体が散っています。


「……こいつらが気になるか? 」


「……えぇ、そうですね」


  なんですかこの雑な切り口は? これでは団子にして捏ねるくらいしか使えないではないですか、ちゃんとブロックに加工しやすいように綺麗に切り落とさないと………。


「悪ぃな、こいつらなら死んじまったぜ? 他ならぬ俺の手でな。お前にも聞かせてやりたかったぜぇ? ロノウェじゃねえのは残念だが、アイツらの悲鳴ときたら」


「……そうですか」


  別に悲鳴とかは嫌いではないですがそんなに好きでもないですし、聞きたい時にでも聞けばよいので『聞かせたかった』と言われても『今は特に』としか言えませんが…………。


「怒ったか? でもこいつら道具であって人じゃねぇから、何しても許されるんだよなぁ……」


「……無駄口はその辺にしておけ、お前も街の混乱は聞こえているだろう? ささっとこの娘を始末してから領主のもとへ向かうぞ」


「えぇ?! それはねぇよ! 近年稀に見る上玉だぜ?! こいつの歪んだ表情を見ねぇと――――」


  …………めっちゃ隙だらけなので足元に《突風》を掛けてから一気に加速しそのまま首を突きます。


「おぉっと?! 中々にやるじゃねぇか! 」


「……警戒しろ」


  ふむ、お喋りの方は大きめの鉈に無口の方はハルバードですね。投擲も織り交ぜたのですが弾かれてしまいました。


「……まぁ、殺しますけど」


「やっぱりキレてんじゃねぇか! 」


  さっきから何を勘違いしてるのか知りませんけど五月蝿いですね。そのままその口に短刀を突き込み、鉈で防ごうと上げたところで足を引っ掛けてから回し蹴りを腹に放ち、無口な方へ火薬玉を投擲します。


「がっ! 」


「っむ?! 」


  火薬の爆発に怯んだところで、さらにお喋り方へ追撃の振り下ろしを――――


「ッオラァ?!! 」


 ――――後ろ手で地面に着いたまま宙返りが如くつま先で手首を蹴られ阻まれましたので、瞬時にその場で短刀を上に放り投げ、手首の返しでそのまま足首を掴んで無口の方へ投擲します、もちろん火薬玉も忘れずに。

  爆発し、盛大に巻き込まれますが直ぐに起き上がってきますね、あまり効きそうにありません。ついでに短刀もキャッチします。


「……真面目に強ぇじゃねぇか」


「だから言っただろう……」


  騎士団長よりも全然弱いですが雑魚でもなさそうですね。…………少しだけ、新薬の実験をしてみましょう。

  そう決めると共に自身に小さな針でドーピングを施して、石畳を踏み砕く勢いで吶喊し、無口な方を井上さんのアシストと共に顎を真上に殴り付け砕く……その勢いのまま吹っ飛んでいくのを無視して、右脚を軸に半回転。お喋りな方の腕を切り飛ばそうとしますが…………寸前で躱され、指が数本の戦果に留まる。


「ぶぅっ?! 」


「ぐっ! 」


  追撃に毒針を投擲しますがお喋りな方には弾かれてしまいましたね。未だ上を向いて吹っ飛んでいる最中の無口の方は見事に全弾ぶっ刺さりましたので良しとしましょう。


「て、てめぇ……よく見りゃ混沌に属してるくせして」


「? 混沌? ……あぁ」


  恐らくカルマ値のことですかね? 確かに私のカルマ値は少し低いかも知れませんが……他のプレイヤーの数値も平均も知りませんのでわかりませんけど、マイナスなのは確かです。


「…………お前さんはこっち側のはずだろ? 何をとち狂ってそっちにいやがる? 」


「? こっちの方が楽しそうだからですが? 」


  なにが言いたいのでしょう? 混沌だとかどうとか、そんなの一切関係ありませんよ。ただ、私のしたいようにするだけです。


「だったらいいじゃねぇか、俺がこの道具共で遊ぼうがよ! 」


「はぁ……え、こんなバラバラで遊んでるつもりだったのですか? 」


  本当に謎です、綺麗に解体しないとその後がないじゃないですか……。


「ハッ! それこそ変なことを聞くな? 腹が空けば飯を食う、眠たくなれば寝る、ムラムラしてきたら女を抱く……それと一緒だ! むしろ人じゃなくて道具で発散するだけいいってもんだろ?! 」


  いや、そういうことが聞きたいわけでは…………おや、無口の方が意識を取り戻して起き上がろうとしてますので、さらに毒針を投擲でプレゼントです。


「お前だって好きなはずだ、血が、臓物が辺りにぶち撒けられ当人の悲鳴を聞くのが! じゃなけりゃそこまで堕ちてねぇ! 」


  血も別に嫌いではないですけど好きでもないです。むしろ被ったら不衛生なので、あんまりぶち撒けたくもないですね。

  解体するのだって効率良く壊すための勉強ですからね、こんな後がない『遊び』方はちょっと…………私って玩具は長持ちさせる方なんですよ。


「だからよ、お前さんも――――」


「その話まだ続きます? 」


  話が大変つまらない……それこそユウさんのアニメのウンチクを聴いていた方が楽しいです。

  なので無口な方へ毒針をさらに投擲しながら――――既に毒が効いてきて意識が混濁してるので必要ないかも知れませんが――――話がつまらない方へ突撃し短刀を振り下ろします。


「ぐぅっ!! 」


  話が止まったのはいいですが、まだ何か言いたげですね? もう付き合ってられないので終わりにします。

  相手の踏み込み先にこちらが先に踏み込み一気に距離を詰め、短刀の柄で人中を穿ち、前歯が折れるのを見て今度は鼻を殴り折り、後方に倒れかかるのを回り込み腰を蹴り上げ、背中側にくの字になる相手が吹っ飛ぶのを腕を掴んで阻止。そのまま短刀を振り下ろして、四肢を切り落とし達磨にします。


「ガァァァァアアアァァアァア!!!!!!!!!」


  この男性はお喋りですし、会話が噛み合いませんし、話もつまらないですし、この方の大好きな悲鳴も汚いですし良いところがありませんでしたね…………………。

  毒針の毒によって顔中の穴から血を噴き出してる無口の方の方が面白かったです…………あっ、今死んじゃいましたね? まぁ、毒の効力が確認できたので良しとしましょう。


「お、お前ェェェエエエエ!!!!!」


  とりあえず、彼らは見せしめをしてたらしいですから晒し者にしましょうかね? 無口な方だった物は腕と脚を付け替えるだけでかなり無様になりましたね。


「あぁぁぁぁぁぁああ!! こんなことしてただ済むと思ってんのか?!! 」


「…………ちょっと騒がしいですね、これでも飲んでてください」


「なにすっ!? やめ――――――――ガプッ?!!」


  あんまりにも五月蝿いので、口に容器を突っ込み中の毒を流し込んで喉を焼き、声を奪っておきましょう。


「――――っ! ――――っ!! 」


  静かになったので作業再開です。まずは傷口に劣悪品のポーションをかけて止血だけしておき、服を裂きます。そのまま身体を押して俯かせましょう。


「…………あなたはもう私の物、玩具ですからね? 」


  こちらを怯えた目で見てくる彼の背中に、彼自身が言う道具の証――――奴隷の印だった物を、短刀に『火魔術』で火を付け焼入れていきます。


「――――」


  …………あまりの痛みに気絶してしまったみたいです、これでは反応が楽しめませんね? 失敗してしまいました…………。


「まぁ、この広場に放置しておけば自然と人目につきますし良いでしょう」


  さて、私も領主舘を目指しますか!

える知ってるか、サイコ野郎にはその上位互換をぶつけてやれば簡単に死ぬ。

奴は所詮イキリファッションサイコ野郎だったのさ...........。

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