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33.クレブスクルム解放戦線その2

この前にランキング一位のお礼に連続投稿しておりますのでまだの人はお気を付け下さい。


なぜレーナさんがこの場いるのか

 

  この街に来てから既に一夜が明けました。少し遅れてログインしてきたユウさんと共に、街に情報収集の続きに出ましょう――――


「……居ませんね」


「そう都合良くいきませんよ」


 ――――続きに出たのです、が! まったく捗りません、既に夜です。学校から帰ってきてからすぐにログインしましたので、もう数時間は歩き回っています。


「……せめて一人で出歩いてる奴隷がいればいいのですが。この際逃亡奴隷でも構いません」


「また物騒な……」


  そうやって夜の『ベルゼンストック市』をユウさんと歩いているとなにやら騒がしい路地を見つけました。


「……なんでしょう? 奴隷の反乱ですか? 行ってみましょうユウさん」


「えぇ……まぁ、確かに行き詰まってますけども」


  渋るユウさんを連れてその路地へ入っていくと男性の方が14歳くらいの女の子の上に乗り、8歳くらいの幼女へ腕を振り上げており――――


「だ、誰か助けてぇ!! 」


「あっ! このガキ黙れ! 」


 ――――見れば女の子二人の左頬には奴隷の印がありました、助けを求められていますし丁度いいです。


「――――わかりました、助けてあげますね」


  そういって女の子の上に乗っていた男性の首を落とします。


「えぇ……躊躇なく首落としたよこの人…………」


  ユウさんがまた後ろでボソボソ言ってますね? いつものことですからもう放っておきましょう。


「悪魔? 」


「ある意味間違ってない………」


  思わずといった具合の小さい方の女の子の呟きにユウさんが失礼な反応しましたね?


「何か言いましたかユウさん? 」


「っ! い、いえ! なんでもごさいません! 」


  すぐさま短刀を首に突きつければ、いつものチキンな反応速度で誤魔化しますね…………。


「……まぁ、いいでしょう。それよりもあなたたちのお名前は? 行くところがないのなら私が面倒を見ましょう」


「っ!? 本当に?! わ、私はニアって言います! 」


  よわよわなユウさんを今度こそ放っておいて、女の子たちに向き直ります。

  逃亡奴隷でもいないかな? と考えていたところにこの子たちです。この好機を逃すわけにはいきません。


「に、ニア! 」


  小さい方はニアさんと言うのですね、よほど辛かったのかこちらを期待の眼差しで見つめます。

  一方で大きい方の女の子はこちらを警戒してますね、当たり前ですが。


「大丈夫ですよ? 私はあなたたちの敵ではありません。どうかお名前を教えてくださりませんか? 」


「…………メア、です」


  彼女も薄々、このままでは待っているのは悲惨な未来しかないことはわかっているのでしょう。多少怪しくてもこちらに縋ることを選択したようです。

  そうと決まればこんな薄暗い路地から移動しましょう。


「メアさんにニアさんですね、わかりました。では一先ずここを離れ――――」


「――――お前らその子たちに何をしている? 場合によってはただじゃ済まさんぞ……」


  …………早速移動しようしたところで、大柄で厳つい男性が声を掛けてきました。


「いきなりなんですか? 不躾な方ですね、私はこの子たちを助けただけですよ」


「……」


  男性はチラッと首無し死体を見てから女の子の方を向きます。


「どうやら、そうらしいな」


  男性は小さい女の子――――ニアさんが頷いたのを確認したところで信じたようです、疑り深いですね?


「えぇ、信じてもらえましたか? ではこれで、私はこの子たちを連れていきますね」


「いいや、その子たちは俺たちが保護する」


  これで終わりとその場を離れようとするとまだこちらの前に立ち塞がります……邪魔ですね? ……って、おや? この人左頬以外にも両腕にビッシリと似たような刺青を入れてますね?

  奴隷にしては体格も良く、さっきからこちらにビシビシ殺気を飛ばしてきていることから相当な実力者でもありそうです、これはもしかするのでは?


「…………保護? この子たちを? 奴隷のあなたが? 笑わせないでください」


  確認のためにここは挑発しておきましょう。えぇ、決してあわよくば『遊べる』かもなんて思っていませんよ。


「お前たちこそ逃亡奴隷を連れてどうするつもりだ」


  私の挑発に発する殺気が膨れ上がります、やはり相当に強そうですね。

  あぁ、やはり今夜はツイていましたね? 思ったよりも早く接触できたようです。


「えぇ……? ちょっとレーナさーん? なんで喧嘩腰なの〜? 」


  相変わらずビビりなユウさんが何か言ってきてますが、私は口角が釣り上がるのを止められませんでした。

ハンネスに続いて作者のお気に入りのユウ君

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