17.決行その2
日刊ランキング5位のお礼の連続更新その3でございます、今後ともよろしくお願いします。
お〇ぱいは力、可愛いは正義
さて、昨日のうちに準備した詰め所の仕掛けが発動したところで私も行きましょう。
目指すは貴族街の中心地の領主館です。そこまで走り抜けましょう。
「っ! そこの君! 止まり――――」
「っふ! 」
こちらに静止を呼びかけようとした貴族街と下町を隔てる門の番兵へ向けてガラス片を投擲、喉を刺し貫き殺します。
その後に火薬玉Lv.4(単純に威力上げただけ)を門へ思いっきり振りかぶって投げます。
ドンッ! ドォーーーーンッ!!
………………………ちょっと火薬の量か多すぎましたかね? 門だけでなくその周辺まで吹っ飛んじゃいました…………確かアレはこういう時にするんでしたか?
「…………て、テヘペロ」
………………自分でしておいてなんですが寒気しかしません、もう二度とやりません。
それよりも交通性が上がったので走り抜けましょう。
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「アァ〜、まだ納得いかねぇよぉ〜」
「……ハンネスまたか? 」
ボヤく俺にラインが声を掛けてくる、その声色には呆れが多分に混じっているが仕方のないことだろう。
「だってよ! なんだよ『レーナと下僕たち
』ってよ! そんなふざけたパーティー名の奴らに初攻略取られたんだぜ!? 」
「確かに悔しいがもう半月ぐらい前だろ? 」
「そうだが……クソっ! あの野郎にあそこで殺られてなけりゃ……」
確かに街の北に最終的には逃げたとは聞いたが……普通未攻略エリアに初心者がソロで突っ込むか?
そのおかげで全く知らねぇ奴らに先を越されちまった、ハロルドのところのパーティーならまだ納得できるのに!!
「反省会の途中でワールドアナウンスが流れた時、あなたすごいショック受けてたものね……」
「しかもなんだよジェノサイダーちゃんって……ありゃそんな可愛いもんじゃねぇよ」
公式掲示板じゃ専用スレまで作られてるし、模倣犯は続出するし……まぁ、どれもすぐに鎮圧されるんだがな。
衛兵の見廻りの数が初日と段違いだし、なによりアイツに比べてみんなクソ弱ぇ……。
「あれから姿も見せないし、なにしてるんだろうな! 」
ケリンがそんな気楽な調子で言う……本当になにしてんだろうな? どうせ碌でもないこと企んでるんだろ? 見つけたら絶対に――――
ドオォォーーーーーン!!!
「な、なんだ?! 」
いきなりどデカい爆発音がしたと思ったら、あちこちで断続的に響きやがる。
「急げ! 複数の詰め所が襲撃を受けた! 」
「なにがおこった?! 」
「ここ以外も襲われてるのか?! 」
目の前を焦った様子のNPCの衛兵たちが掛けていく、これは…………。
「……気のせいかな、私こんな光景を最近見た気がする」
「……同意」
チェリーとミラがそんな会話を交わしてからそんなに間をおかず――――
ドンッ! ドォーーーーンッ!!
――――特大の爆破音が貴族街の方から響いてきやがる……あぁ、間違いない。こういう時の俺の勘はよく当たるんだ、おそらく貴族街が本命でそこに――――
「ハンネス、まさかこれって……」
「あぁ、間違いない……行くぞ! おめぇら! 俺たちのリベンジマッチだ!! 」
――――奴がいる!!
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「これで終わりですかね? 」
ついさっきまで相手をしていた兵士の方の死体を蹴り転がしてどける……と言っても兵士の死体ばかりで地面が見えないほどなので、あんまり意味はないですけどね。
「なんなんだこいつは……」
「例の指名手配犯だ……」
「この女が?! 」
残りの兵士さんはいち、にぃ、さん…………14人程度ですか、最初の頃はそれこそゴキブリのように湧いて出てきたというのに。
残りの彼らも遠巻きにこちらを窺うばかりで何もしてきません。
「やっぱり兵隊さんだけあって鍛えてますね、筋肉の量がすごいです、繊維がビローンってなります」
こんな所までリアルなんですね? というか常々思ってますが、このゲームは所謂ゲーム的処理が少ない気がします。
戦闘中でもドロップしたわけでもないのに相手の武器を奪って使えますし、死体だって使えるし、NPCも人間と同程度で思考してる感じですしねぇ。
「お前ぇ?!! 」
おや、何もしてこないのでそこらの兵士を解体しながら人間爆弾を作っていたら突っ込んできました。なにやら怒っているようです?
まぁ丁度いいので完成したばかりの人間爆弾その1を投擲して爆破しておきましょう。
「『――っ! 』」
ドォーーーーンッ!!
………………ボウリングのピンのように吹っ飛んでいきましたね、少し爽快な気分です。
「さて、残りを担いで先を――――」
「《熱線》! 」
「キラーショット! 」
――――急ごうとしたら邪魔が入りましたね……麻布さんが咄嗟に《風壁》で防いでくれて助かりました。
あれ? この方たちどこかで見たような……?
「? どこかで会いました? 」
「っ! 野郎ォ……」
「ハンネス、挑発に乗るな」
新しい兵士さんか騎士の方かと思ったんですがどうやら違うようです。というより、どこかで会った気がするんですけど思い出せませんね……。
「……まぁ、戦ってるうちに思い出すでしょう」
そう結論付けて人間爆弾その2とその3を投げます。
「《聖壁》」
まぁ防がれますよね、知ってました。本命は目くらましです。
「シっ! 」
「ふんっ! 」
「ハッ! 」
お? 投擲したガラス片と共に突きを防がれましたよ? おそらくこの方たちはプレイヤーですね……NPCの兵士よりも楽しめそうです。
「半月前の俺たちじゃねぇぞ! 」
「……半月前? 」
「………本当に覚えてないのか? 」
「残念ながら……」
「ぶっ殺す!! 」
知り合いのようですが覚えていません。彼が怒るのも無理ないですね、反省です。
「残酷だわ……」
「そうですね、さすがに可哀想です……」
「同意」
袈裟斬りに振るわれる斧を身体を反らして躱しながら、背後から迫る槍使いに向けて脇下からガラス片を投擲。
後ろで軽い金属音が鳴り足止めに成功したことを確認すると、すぐさま斧使いの横を通り抜け後衛を狙いますが――――剣士の振るう長剣が迫っていますのでこれを棒高跳びのように躱しながら、弓使いがたった今放った矢を火薬玉を投擲して相殺すると共に目くらまし、魔術師のお姉さんの狙いを外します。
「くっ! キャンセル! 」
上手くいったようでなによりです。視界が悪い状態で魔法を放ったら、近くにいる剣士と私の背後にいる斧使いに当たる可能性がありますからね。
「相変わらず嫌になるPSだねっと! 」
すぐそこまで迫っていた槍を短刀の柄でかち上げ、懐に潜ると同時に長剣による薙ぎ払いから逃れます。
そのまま槍使いの喉か心臓を狙いますが、斜め下より斧が振るわれるのでキャンセル、槍使いの足首を引っ掛け転ばせるに留めます。
「っおぉと! 」
「チッ! 」
槍使いに当たるのを恐れて無理やり斧の軌道修正をして姿勢が不安定な斧使いにガラス片を投擲しますが、途中で迫ってきた剣士に邪魔され狙いがおぼつきませんでした。
斧使い自身も意地なのか無理に身をよじって、肩に刺さるだけの結果に終わりましたね。
「ぐっ! 」
前衛に包囲されかけていたので、起き上がろうとした槍使いを踏み台にして跳躍。そのまま剣士の頭上を飛び越えながら、後衛に牽制の火薬玉をまたプレゼントしましょう。
「《炎槍》! 」
「《小癒》! 」
魔法で相殺され斧使いと槍使いに回復が飛びましたね、やはりヒーラーから先に潰しておくべきですか……。
「おい、ハンネスのパーティーがジェノサイダーちゃんと戦ってるぞ! 」
「マジか、俺らも加勢すんぞ! 」
「祭りの時間だぁー! 」
「まーたスレが加速すんぞ! 」
攻防を続けているうちに他のプレイヤーが増えてきましたね…………好都合です。
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正義無き力はただの暴力