82話 日本神っぽい
お久しぶりです!
テスト?ええ、終わりましたよ二つの意味で
見渡す限り白。
目印になるような物はもちろんない。
地面も同じ白なので、平衡感覚も直ぐに失いそうな空間。
更に、音と言える音すらない。
そんな場所に一人の男は立っていた。
「これは……気が狂いそうになるな……」
強斎は苦笑いを隠そうともせずに表し、最大限に戸惑いを表現していた。
それもそうだろう。
どこを見ても白、白、白。
平衡感覚がおかしくなってきているのに加え、耳が聞こえなくなってしまったのではないかと勘違いする程の静寂。
いくらこの男でも、戸惑うことぐらいはする。
(一応あいつらの場所は把握できるが……距離が遠すぎるな。地球から太陽並みの距離じゃ済まないぞ……)
このまま何もしなければ本当に気が狂いそうになるので、ひとまず仲間の位置を把握する。
ちゃんと『距離』で把握できるので少しは気楽であった。
「じゃあ、ここは神界って事で間違いはないようだな」
一人でそう納得し、そして――――。
「で、いつまでそうしているつもりだ?」
背後にいる人物に声をかけた。
「ほう、よく気がついたね」
「そりゃ、ここまで音がないとな。色々敏感になるんだよ」
振り向くと、男が立っていた。
それはもう……結構近い距離で。
「……近い」
「おっと、すまないね」
男は謝罪の意など全く見せずに強斎から距離を取る。
強斎は強斎で少し……いや、かなり戸惑っていた。
男はパッと見た感じ、大学生でも通用する程の青年だ。
黒髪は少しばかり長いが、筋肉質のせいで女には全く見えない。
「いやぁ、ここに客人が来るなんて久しぶりでね。どんな人なのかじっくり観察させてもらったよ。背後だけ」
「あ、ああ」
強斎は未だに戸惑っている。
それは、この男の名前にあった。
#
イザナギ
LV5600000
HP 2.85662E+23/2.85662E+23
MP 2.72913E+23/2.72913E+23
STR 4.85415E+22
DEX 5.76093E+22
VIT 5.94626E+22
INT 6.66592E+22
AGI 6.71549E+22
MND 4.92600E+22
LUK 140
スキル
剣術LV87
刀術LV90
大槌術LV88
棒術LV90
体術LV94
槍術LV95
弓術LV88
盾LV79
大盾LV77
調教LV86
空間把握LV90
危機察知LV90
天変地異の発動
無双
生命創作
火属性LV90
水属性LV90
土属性LV90
風属性LV90
闇属性LV90
光属性LV90
HP回復速度上昇LV80
MP回復速度上昇LV80
状態異常無効化
呪系統無効化
神威圧
限界突破
超越者
覇者
神殺し
属性
火・水・土・風・闇・光
生命創作(ユニーク)
世界を破壊する者(???)
#
(まさか、日本神と出会うことができるとはな……しかも、イザナギときたか)
本来ならば、名前より圧倒的なステータスに驚くはずだが、この男だからしょうがない。
「それで。どうやってここまで来たんだ?」
イザナギは少しだけ『神』という威圧感を出しながら強斎に問いかけた。
「お前の質問に答えたら、こっちの質問にも答えてくれるか?」
「それはわからないな。質問の内容にもよる」
「力ずくでも吐かせると言ったら?」
「それは嬉しいね。最近
お互いの微笑が消える瞬間。
それが
「君が何者か知らないが……少しは楽しませてくれよ!」
「少しだけな」
イザナギは、身体強化も何もない状態で強斎に殴りかかる。
身体強化をしたミーシャやレイアを遥かに上回るパワーとスピード。
それでも手加減していることが分かるほどに余裕を見せている。
だが。
「へぇ……。力比べをするつもりかい?」
「これで終わりなんてことはないよな?」
「勿論!」
強斎めがけて放たれた拳は、強斎の拳によって阻まれた。
そのまま力比べに持っていく。
「な、中々に強いね」
「これが限界か?」
「そうだね、ちょっと限界に近い……かも!」
力比べでは不利だと判断したイザナギは素早く距離を取った。
「これほどの力……君はどこかの闘神か?」
「残念ながら神ですらないね」
「ははっ、面白くない冗談だ」
イザナギは強斎のことを、どこかの神だと勘違いしているようだ。
「力で我より強い奴など、上位闘神しかいなかろう」
「残念、上位も何もない人間だ」
「……まぁいい。このことについても力ずくで吐かせてもらうぞ!」
「力で負けているくせによく言えるぜ」
イザナギは次に魔術を使い始めた。
虚無属性を除く全ての属性の一斉攻撃を使おうとしているようだ。
「闘神には少しきついかもしれんが……覚悟しておけ!」
「ふっ、覚悟……か」
強斎は鼻を鳴らしてからイザナギを睨む。
「お前も覚悟しておきな。楽しむ時間はもう終わりを迎えるからな」
「ああ、充分に楽しめたよ。死なない程度に殺してやる!」
イザナギが魔術を放つ瞬間。
戦いに終止符が打たれた。
突然魔術は消滅し、イザナギは膝から倒れた。
「な、なにを……した……?」
「ただの抜刀だ。なに、峰打ちだから死にはしないだろ」
強斎の手には刀はおろか、何も持っていない。
神であるイザナギが反応できない速度で刀を取り出し、鞘から抜いて峰打ちをした後にしまったのだ。
「さて、色々と質問させてもらうぞ」
「くっ、まだ……まだ終わって――――」
「醜いぞ、イザナギよ」
イザナギが立ち上がろうとする時、背後から声がかかった。
声の高さから女性と判断できる。
(イザナギがいるってことは、この声は――――)
強斎はある程度予想を組み立て、後ろを振り向く。
イザナギがいるならば、イザナミがいてもおかしくない。
強斎はそう思っていた。
実際にそうだった。
だが、強斎は声を挙げて驚愕することになる。
「なっ……!?」
「お主が客人か。すまないな、こいつが迷惑をかけて」
#
イザナミ
LV6000000
HP 1.27602E+24/1.27602E+24
MP 1.64927E+24/1.64927E+24
STR 9.94629E+22
DEX 8.75926E+22
VIT 8.95720E+22
INT 1.62924E+23
AGI 9.52047E+22
MND 8.44220E+22
LUK 100
スキル
剣術LV80
刀術LV85
棒術LV87
体術LV90
槍術LV90
弓術LV86
調教LV90
空間把握LV90
危機察知LV90
天変地異の発動
無双
生命創作
火属性LV95
水属性LV95
土属性LV95
風属性LV95
闇属性LV95
光属性LV90
HP回復速度上昇LV80
MP回復速度上昇LV80
状態異常無効化
呪系統無効化
神威圧
限界突破
超越者
覇者
神殺し
属性
火・水・土・風・闇・光
生命創作(ユニーク)
世界を破壊する者(???)
――――(???)
#
名前がイザナミだということは予想済み。
ステータスがイザナギより高いことに関しては気にするほどではない。
属性の最後にある罫線は少し気になっているが。
では、何故強斎はここまで驚愕しているのか。
それは――――。
「ゼロ……?」
あまりにもゼロに似過ぎているからだ。
「ゼロ? 妾の名はイザナミという。ゼロという名前ではない」
「そ、そうか……そうだよな」
よく見れば髪の色がゼロとは違っている。
ゼロは銀と紫を合わせたような色だが、イザナミは漆黒だ。
しかし外見の違いはそこだけで、ゼロが髪を染めたと言ってもいいほど似ていた。
(雰囲気とか気配とか冷静に判断してみると色々と違うもんな……)
「それで、客人はここになんの用だ?」
「……少し、話をしにきた」
「わかった、茶でも用意しよう」
そして、イザナミは指を鳴らした。
誤字報告など色々ありがとうございます!
直せる限りは直していますので!