9話 攻撃型の奴隷っぽい
新奴隷!登場!
「実は、キョウサイ殿にオススメの奴隷がおりまして……」
「俺に?」
(何故俺なんだ? この言い方だと、俺しかいないような感じだな……)
「はい。どうなされます?」
「ふむ、見ていこう」
「では、こちらに」
「ミーシャはついてくるか?」
「よろしいのであれば」
「好きにしていい」
「では、ついていきます」
………
……
…
二人が案内されたのはとある扉だった。
「個室か?」
「ええ。彼女を売るには条件を付けられておりまして……」
「条件?」
(優遇しろとか何かか?)
「まぁ、入って見ていただければ……」
緊張顔のスピッツは扉を開けた。
扉の先は所々穴が空いた鋼鉄の部屋だった。
奥には、その不気味な部屋には不釣合いな女性が丸まって座いる。
「またあんたか」
女性は顔を上げ、スピッツを睨む。
「今度の方は、きっと貴女も認めますよ」
「ふん。いっつもそう言って、私を失望させたじゃないか」
女性はさっと立ち上がり、雰囲気を変えた。
スピッツは冷や汗を流し後ずさる。ミーシャは少し警戒レベルを上げた。
強斎は……。
(な……ん……だと!? なんだあの巨乳と耳は! 鈴と同レベル……いや、それ以上なのか!? 雰囲気も中々だ……ミーシャが銀だったらこいつは金だな)
全く警戒していなかった。強斎も変態になったものである。
この女性の身長はミーシャと変わらない。
目の色は黄銅色。髪は薄い黄色のはずだが、ミーシャと同じくその美貌から金色に見えてもおかしくない程だった。服が汚れているのにも関わらず…だ。
出ているところは出ていて、特に胸部は圧倒的だった。
実に大人っぽい容姿だが、とある一点のせいで可愛らしく見えている。
――――耳だ。
彼女の耳は、可愛らしい狐耳だったのである。
声も男勝りの言葉だが、そんなのは関係ないほど、透き通った美しい声だった。
………
……
…
「か、彼女の名前はレイア・アンジェリーク。とある貴族の娘でしたが、奴隷になってしまいました。で、やはり貴族の娘なので条件付きで申し出てきまして……。この、レイアを買う条件は――」
「私より強いことを証明しなさい。あなた、さっき私の威圧を受けてもビクともしなかったわね。中々の手馴れと見るけど?」
その時、ミーシャが青い顔をしたのをレイアは逃さなかった。
それを見て、レイアは鼻で笑った。
――こいつは大したことないと。
――威圧にも気がつかないほど、弱者だったと言う事。
そして、強斎を哀れみの目で見た。
強斎はレイアをじっと見て、解析をする。
#
レイア・アンジェリーク
LV32
HP 643/643
MP 120/120
STR 2300
DEX 71
VIT 88
INT 35
AGI 370
MND 79
LUK 30
スキル
攻撃力異上昇
剣術LV3
大鎚術LV2
体術LV5
威圧LV3
HP自動回復速度上昇LV5
限界突破
属性
完全攻撃型(ユニーク)
#
(これじゃあ、確かに力比べで勝てるはず無いわな……)
そう、レイアのステータスが平均を遥かに上回っていたのだ。
STRに関しては勇者と張り合える程度に。
「で、やるの? やらないの?」
「いいぜ?かかってこい。で、ルールは?」
「私があなたを1発だけ殴るから、それを受け止めて押し返してきなさい。身体強化使ってもいいわよ」
(身体強化なんてあったんだ……)
「じゃあ、行くわよ?」
「ああ。かかってこい」
「死んでも知らないから!」
そう言って、レイアは右腕に魔力を貯め始めた。
(あれが身体強化か……)
そして、強斎をキッと睨み…。
数瞬で強斎の懐に入り込み、殴った。
――が、強斎はそれを掴み取った。
「え……嘘……私の一撃を止めたって言うの……!?」
「この程度か?」
「っ! なめないで……! ただ、止められただけでしょ!? こんなの……!? あれ!? 押し返せない……!? 何で!?」
(そりゃぁ、桁が違いますから……)
強斎は無言で押し返し、レイアの攻撃方向を上に変えた。
「くっ……何で……」
レイアは納得いっていないようだった。
「まだ納得いかないか? だったら、何度でもこいよ」
「その言葉……後悔しなさい!」
レイアは強斎を何度も殴った。
しかし、強斎はその攻撃を全て受け止め、押し返した。
「はぁ……はぁ……」
「もう十分か?」
「ええ……私はあなたの防御は突破できない。でも……まだ、あなたの攻撃を受けていないわ。それが、私より強いとは証明できていない!」
(頑固だなぁ……。それに、こんな可愛い女の子傷つけたく無いんだが……)
「はぁ、じゃぁ、腕に全力で身体強化をしろ。勿論防御方面に」
「え?」
「俺の攻撃力を身にしみて知りたいんだろ?」
「そ、そうだけど」
「じゃぁ、早くしろよ」
「ちょ、ちょっと! 何で宣言してるのよ!」
「お前だって殴るって宣言しただろ?」
「でも、どこを殴るなんで言ってなかったじゃない!」
「そんな細かいことはいいから、腕に身体強化!」
「……わかったわよ」
レイアは言われた通り、全力で腕に身体強化をかけた。
しかし、レイアは完全攻撃型。防御はあまりうまくできていなかった。
「これでいいわ」
「そうか」
強斎はレイアに近づく。
ミーシャは物凄い冷や汗を流していた。
スピッツは何がなんだがわかっていない。
「いくぞ?」
「私は防御してればいいの?」
「ああ、飛ばされないようにな」
「ふん! あなたみたいな防御特化の人に、飛ばされるわけ無いじゃない!」
「はいはい」
そう言って強斎はレイアの腕に向かって、デコピン体勢を取った。
「は? あんた、なめてるの?」
「いいから防御に集中しろ」
「……わかったわよ」
レイアが構えたところで、強斎は指を弾いた。
「きゃっ……!」
物凄いスピードで飛ばされたレイアは、後ろの壁に激突する。
――――事は無かった。
「う……ん? あれ? 助かった?」
壁に激突する寸前に、強斎が抱きかかえていた。
「お前、防御の身体強化は苦手だったのか」
「え?」
「腕見ろ、腕」
レイアは目線を落とし、自分の腕を見た。
「いつっ!」
レイアの腕は腫れて赤くなっていた。
「多分骨折だな。待ってろ、今ポーションかけてやる」
強斎は上級ポーションを取り出し、躊躇いなく使用する。
骨折は上級ポーション以上でないと治りが遅い。
勿論、安くない値段である。
………
……
…
レイアの骨折を治して、ゆっくりと下ろした。
「もう大丈夫か?」
「あ、ああ……で、だな……あなたは私より攻撃も防御も強い……」
「ん? ああ、そうだな」
「それに、高級ポーションも出し惜しみ無く……」
急に顔を俯かせ、ボソボソと喋った。
「え? なんだって?」
「だ、だから……!」
「だから?」
「私のご主人になって下さい! ご主人様ぁ!」
ガバッと強斎に抱きついた。
「……へ?」
「私に相応しい主人は、この世界にご主人様しかおりません! 一生ついていきます!」
強斎に抱きついたまま、キャキャと騒ぐレイア。
その変わり様に状況が追いつけていない3人。
そして、強斎が最も早く状況に追いつき……。
(心変わり早ぇぇぇぇぇぇ!!)
内心絶叫していた。
………
……
…
「で、キョウサイ殿」
「ん?」
強斎は今、女性陣に抱きつかれていた。
右腕に金色のレイア。
左腕に銀色のミーシャだ。
この二人は時々睨み合ったり、強斎の腕の感覚を味わって幸せそうな顔をしたり、強斎は大変だなぁ……と思っていた。
「レイアをお買いになされるんですよね?」
その時、レイアは物凄く心配そうに強斎を見つめていた。
(し、下から目線っ! は、反則だっ!)
ものすごく動揺しているが、表情一つ変えずに口を開く。
「ああ、買うつもりだ。いくらだ?」
レイアはほっとした表情を見せると、おもいっきりスピッツに威圧をかけた。
ご主人様が買える値段じゃ無い場合、どうなるかわかるよな? ああ?
そう目線が言っている。
スピッツは笑顔は崩さず、大量の冷や汗をかいていた。
「そ、そうですね……本来は金貨20枚でしたが……」
「む……高いな……」
強斎は悪くない。素で言っただけだ。
しかし、レイアはスピッツに向ける威圧を殺気に変えた。
「で、で、ですが、い、今まで何十人とも追い返されていて、値段が落とされているので……金貨じゅ――ひぃ!」
「?」
「な、なんでもありません! 金貨5枚でどうでしょう!」
「ふむ、随分と安くなったな。俺としてはありがたいが」
「きょ、キョウサイ殿は命の恩人ですので! これくらい雑作もありませんよ……ははは」
「それじゃぁ、今回もそれに甘えよう」
そう言って、強斎は金貨5枚を渡した。
「ははは……ありがとうございました……はぁ」
こうして、奴隷商店を出た。
………
……
…
「もう、昼か……昼飯でも食べるか」
「「はい!」」
こうして、昼食を迎える事になったが……。
――今回も問題がおこった。
前回はミーシャが地面に座るという問題。
今回は……。
「私がキョウサイ様の隣です!」
「私がご主人の隣だ!」
強斎の隣の席の奪い合いである。
今までは2人用の席に座っていたが、今回は4人用。
それで、どちらが強斎の隣に座るかもめているのである。
勿論、結構な声量で騒いでいて、どちらも超が付く程の美女。
目立たないわけがない。
「二人共」
「「なんでしょう」」
「二人共隣同士で座れ。俺の隣は空席だ」
「「えー!」」
「お前ら、目立っているからな? 恥ずかしいの俺だぞ?」
ミーシャとレイアは周りを見回した。
確かに、こちらを注目していたが……。
「レイア」
「言われんでも」
レイアの威圧で黙らした。
「お前らな……」
変なところで息の合う二人を何とか説得して、席に着かした。
そして、レイアの服や下着を買いに行ったが……。
「キョウサイ様!」「ご主人様!」
「「この下着どうでしょう!?」」
(なんで下着?)
ここでもレイアとミーシャが争った。
「む? なんだ! 私が先にご主人に訊いたのだ!」
「違いますー! 私が最初ですー!」
「あ、いや。二人共。その下着買ってあげるから……」
「「ホントですか!?」」
「お、おう」
ここでもキャキャと騒ぐ女性陣。
………
……
…
宿に戻ってもう一人分の宿賃を頼んだ。
「同じ部屋でよろしいですね?」
「ああ」
(バレてる! この人にバレてるよ!)
「かしこまりました。ベッドを大きめのに替えときますね」
ニッコニコで強斎に微笑みかけた青年。
「あ、うん。お願いするわ」
もう、色々と諦めた強斎だった。
そして、その日の夜……。
「今日はこいつが加わったからな」
そう言ってレイアを指す。
「ご主人様」
「ん?」
「私の事はレイアとお呼びください」
「お、おう。じゃぁ、俺の事はキョウサイと呼べよ?」
「嫌です」
「へ?」
「だって……ご主人様って呼ぶほうが……私の主人っぽいじゃないですかぁ~」
クネクネと体をひねらして、照れ始めるレイア。
「「……」」
「ですから、私はご主人の事をご主人様と呼びます! いいですね?」
「はぁ……もうそれでいいや」
「ありがとうございます!」
「で、話を戻すが、今日からレイアが加わったから、夜の相手は二人同時にやろうと思う」
ゴクリと唾をのむ二人。
「だが、俺も1対1で相手したいときがあるかもしれん。その時はいいか?」
「「はい!」」
「しかし、ミーシャ」
「はい?」
「今日はレイアからヤってもいいか?」
「むー……仕方がないですね……その次は私ですよ?」
「ああ」
「あの、ご主人様。私……初めてなので……その……上手く出来ないと思いますが……」
「安心しろ。俺に任せればいいさ」
「……はい」
こうして、全員で体を拭くために、服を脱ぐ。
「改めて見ると……レイアってでかいな」
「あんまりまじまじと……見てもいいですけど……恥ずかしいです」
レイアの胸部に滅多打ちにされ、ミーシャが敗北感を覚えていた。
「安心しろ、ミーシャ。俺はお前のも好きだぞ」
「キョウサイ様……!」
スキル名、ユニーク属性名、
そろそろ、勇者達がどうなったのか入れようと思ってます
狐の亜人を勧めてくれた方!ありがとうございます!
それでは感想待ってます!