<< 前へ次へ >>  更新
9/127

9話 攻撃型の奴隷っぽい

新奴隷!登場!


「実は、キョウサイ殿にオススメの奴隷がおりまして……」

「俺に?」


(何故俺なんだ? この言い方だと、俺しかいないような感じだな……)


「はい。どうなされます?」

「ふむ、見ていこう」


「では、こちらに」

「ミーシャはついてくるか?」


「よろしいのであれば」

「好きにしていい」


「では、ついていきます」


………

……



 二人が案内されたのはとある扉だった。


「個室か?」

「ええ。彼女を売るには条件を付けられておりまして……」


「条件?」


(優遇しろとか何かか?)


「まぁ、入って見ていただければ……」



 緊張顔のスピッツは扉を開けた。


 扉の先は所々穴が空いた鋼鉄の部屋だった。

 奥には、その不気味な部屋には不釣合いな女性が丸まって座いる。



「またあんたか」


 女性は顔を上げ、スピッツを睨む。


「今度の方は、きっと貴女も認めますよ」

「ふん。いっつもそう言って、私を失望させたじゃないか」


 女性はさっと立ち上がり、雰囲気を変えた。


 スピッツは冷や汗を流し後ずさる。ミーシャは少し警戒レベルを上げた。


 強斎は……。


(な……ん……だと!? なんだあの巨乳と耳は! 鈴と同レベル……いや、それ以上なのか!? 雰囲気も中々だ……ミーシャが銀だったらこいつは金だな)


 全く警戒していなかった。強斎も変態になったものである。




 この女性の身長はミーシャと変わらない。


 目の色は黄銅色。髪は薄い黄色のはずだが、ミーシャと同じくその美貌から金色に見えてもおかしくない程だった。服が汚れているのにも関わらず…だ。


 出ているところは出ていて、特に胸部は圧倒的だった。


 実に大人っぽい容姿だが、とある一点のせいで可愛らしく見えている。


 ――――耳だ。


 彼女の耳は、可愛らしい狐耳だったのである。

 声も男勝りの言葉だが、そんなのは関係ないほど、透き通った美しい声だった。


………

……


「か、彼女の名前はレイア・アンジェリーク。とある貴族の娘でしたが、奴隷になってしまいました。で、やはり貴族の娘なので条件付きで申し出てきまして……。この、レイアを買う条件は――」

「私より強いことを証明しなさい。あなた、さっき私の威圧を受けてもビクともしなかったわね。中々の手馴れと見るけど?」


 その時、ミーシャが青い顔をしたのをレイアは逃さなかった。

 それを見て、レイアは鼻で笑った。


 ――こいつは大したことないと。

 ――威圧にも気がつかないほど、弱者だったと言う事。


 そして、強斎を哀れみの目で見た。

 強斎はレイアをじっと見て、解析をする。




レイア・アンジェリーク


LV32


HP 643/643

MP 120/120

STR 2300

DEX 71

VIT 88

INT 35

AGI 370

MND 79

LUK 30

スキル

攻撃力異上昇

剣術LV3

大鎚術LV2

体術LV5

威圧LV3

HP自動回復速度上昇LV5

限界突破


属性

完全攻撃型(ユニーク)



(これじゃあ、確かに力比べで勝てるはず無いわな……)


 そう、レイアのステータスが平均を遥かに上回っていたのだ。

 STRに関しては勇者と張り合える程度に。




「で、やるの? やらないの?」

「いいぜ?かかってこい。で、ルールは?」


「私があなたを1発だけ殴るから、それを受け止めて押し返してきなさい。身体強化使ってもいいわよ」


(身体強化なんてあったんだ……)


「じゃあ、行くわよ?」

「ああ。かかってこい」


「死んでも知らないから!」


 そう言って、レイアは右腕に魔力を貯め始めた。


(あれが身体強化か……)


 そして、強斎をキッと睨み…。



 数瞬で強斎の懐に入り込み、殴った。







 ――が、強斎はそれを掴み取った。


「え……嘘……私の一撃を止めたって言うの……!?」

「この程度か?」


「っ! なめないで……! ただ、止められただけでしょ!? こんなの……!? あれ!? 押し返せない……!? 何で!?」


(そりゃぁ、桁が違いますから……)


 強斎は無言で押し返し、レイアの攻撃方向を上に変えた。


「くっ……何で……」


 レイアは納得いっていないようだった。


「まだ納得いかないか? だったら、何度でもこいよ」

「その言葉……後悔しなさい!」



 レイアは強斎を何度も殴った。

 しかし、強斎はその攻撃を全て受け止め、押し返した。



「はぁ……はぁ……」

「もう十分か?」


「ええ……私はあなたの防御は突破できない。でも……まだ、あなたの攻撃を受けていないわ。それが、私より強いとは証明できていない!」


(頑固だなぁ……。それに、こんな可愛い女の子傷つけたく無いんだが……)


「はぁ、じゃぁ、腕に全力で身体強化をしろ。勿論防御方面に」

「え?」


「俺の攻撃力を身にしみて知りたいんだろ?」

「そ、そうだけど」


「じゃぁ、早くしろよ」

「ちょ、ちょっと! 何で宣言してるのよ!」


「お前だって殴るって宣言しただろ?」

「でも、どこを殴るなんで言ってなかったじゃない!」


「そんな細かいことはいいから、腕に身体強化!」

「……わかったわよ」


 レイアは言われた通り、全力で腕に身体強化をかけた。

 しかし、レイアは完全攻撃型。防御はあまりうまくできていなかった。



「これでいいわ」

「そうか」


 強斎はレイアに近づく。

 ミーシャは物凄い冷や汗を流していた。

 スピッツは何がなんだがわかっていない。


「いくぞ?」

「私は防御してればいいの?」


「ああ、飛ばされないようにな」

「ふん! あなたみたいな防御特化の人に、飛ばされるわけ無いじゃない!」


「はいはい」


 そう言って強斎はレイアの腕に向かって、デコピン体勢を取った。


「は? あんた、なめてるの?」

「いいから防御に集中しろ」


「……わかったわよ」


 レイアが構えたところで、強斎は指を弾いた。


「きゃっ……!」


 物凄いスピードで飛ばされたレイアは、後ろの壁に激突する。
















 ――――事は無かった。


「う……ん? あれ? 助かった?」


 壁に激突する寸前に、強斎が抱きかかえていた。


「お前、防御の身体強化は苦手だったのか」

「え?」


「腕見ろ、腕」


 レイアは目線を落とし、自分の腕を見た。


「いつっ!」


 レイアの腕は腫れて赤くなっていた。


「多分骨折だな。待ってろ、今ポーションかけてやる」


 強斎は上級ポーションを取り出し、躊躇いなく使用する。

 骨折は上級ポーション以上でないと治りが遅い。


 勿論、安くない値段である。


………

……


 レイアの骨折を治して、ゆっくりと下ろした。


「もう大丈夫か?」

「あ、ああ……で、だな……あなたは私より攻撃も防御も強い……」


「ん? ああ、そうだな」

「それに、高級ポーションも出し惜しみ無く……」


 急に顔を俯かせ、ボソボソと喋った。


「え? なんだって?」

「だ、だから……!」


「だから?」

「私のご主人になって下さい! ご主人様ぁ!」


 ガバッと強斎に抱きついた。


「……へ?」

「私に相応しい主人は、この世界にご主人様しかおりません! 一生ついていきます!」


 強斎に抱きついたまま、キャキャと騒ぐレイア。


 その変わり様に状況が追いつけていない3人。


 そして、強斎が最も早く状況に追いつき……。


(心変わり早ぇぇぇぇぇぇ!!)


 内心絶叫していた。


………

……


「で、キョウサイ殿」

「ん?」


 強斎は今、女性陣に抱きつかれていた。


 右腕に金色のレイア。

 左腕に銀色のミーシャだ。


 この二人は時々睨み合ったり、強斎の腕の感覚を味わって幸せそうな顔をしたり、強斎は大変だなぁ……と思っていた。



「レイアをお買いになされるんですよね?」


 その時、レイアは物凄く心配そうに強斎を見つめていた。


(し、下から目線っ! は、反則だっ!)


 ものすごく動揺しているが、表情一つ変えずに口を開く。


「ああ、買うつもりだ。いくらだ?」


 レイアはほっとした表情を見せると、おもいっきりスピッツに威圧をかけた。


 ご主人様が買える値段じゃ無い場合、どうなるかわかるよな? ああ?

 そう目線が言っている。


 スピッツは笑顔は崩さず、大量の冷や汗をかいていた。


「そ、そうですね……本来は金貨20枚でしたが……」

「む……高いな……」


 強斎は悪くない。素で言っただけだ。

 しかし、レイアはスピッツに向ける威圧を殺気に変えた。


「で、で、ですが、い、今まで何十人とも追い返されていて、値段が落とされているので……金貨じゅ――ひぃ!」

「?」


「な、なんでもありません! 金貨5枚でどうでしょう!」

「ふむ、随分と安くなったな。俺としてはありがたいが」


「きょ、キョウサイ殿は命の恩人ですので! これくらい雑作もありませんよ……ははは」

「それじゃぁ、今回もそれに甘えよう」


 そう言って、強斎は金貨5枚を渡した。


「ははは……ありがとうございました……はぁ」


 こうして、奴隷商店を出た。


………

……



「もう、昼か……昼飯でも食べるか」

「「はい!」」


 こうして、昼食を迎える事になったが……。





 ――今回も問題がおこった。


 前回はミーシャが地面に座るという問題。


 今回は……。



「私がキョウサイ様の隣です!」

「私がご主人の隣だ!」



 強斎の隣の席の奪い合いである。


 今までは2人用の席に座っていたが、今回は4人用。

 それで、どちらが強斎の隣に座るかもめているのである。


 勿論、結構な声量で騒いでいて、どちらも超が付く程の美女。

 目立たないわけがない。



「二人共」

「「なんでしょう」」


「二人共隣同士で座れ。俺の隣は空席だ」

「「えー!」」


「お前ら、目立っているからな? 恥ずかしいの俺だぞ?」


 ミーシャとレイアは周りを見回した。


 確かに、こちらを注目していたが……。


「レイア」

「言われんでも」


 レイアの威圧で黙らした。


「お前らな……」


 変なところで息の合う二人を何とか説得して、席に着かした。




 そして、レイアの服や下着を買いに行ったが……。


「キョウサイ様!」「ご主人様!」

「「この下着どうでしょう!?」」


(なんで下着?)


 ここでもレイアとミーシャが争った。


「む? なんだ! 私が先にご主人に訊いたのだ!」

「違いますー! 私が最初ですー!」


「あ、いや。二人共。その下着買ってあげるから……」

「「ホントですか!?」」


「お、おう」


 ここでもキャキャと騒ぐ女性陣。


………

……



 宿に戻ってもう一人分の宿賃を頼んだ。


「同じ部屋でよろしいですね?」

「ああ」


(バレてる! この人にバレてるよ!)


「かしこまりました。ベッドを大きめのに替えときますね」


 ニッコニコで強斎に微笑みかけた青年。


「あ、うん。お願いするわ」


 もう、色々と諦めた強斎だった。




 そして、その日の夜……。




「今日はこいつが加わったからな」


 そう言ってレイアを指す。


「ご主人様」

「ん?」


「私の事はレイアとお呼びください」

「お、おう。じゃぁ、俺の事はキョウサイと呼べよ?」


「嫌です」

「へ?」


「だって……ご主人様って呼ぶほうが……私の主人っぽいじゃないですかぁ~」


 クネクネと体をひねらして、照れ始めるレイア。


「「……」」

「ですから、私はご主人の事をご主人様と呼びます! いいですね?」

「はぁ……もうそれでいいや」


「ありがとうございます!」


「で、話を戻すが、今日からレイアが加わったから、夜の相手は二人同時にやろうと思う」


 ゴクリと唾をのむ二人。


「だが、俺も1対1で相手したいときがあるかもしれん。その時はいいか?」

「「はい!」」



「しかし、ミーシャ」

「はい?」


「今日はレイアからヤってもいいか?」

「むー……仕方がないですね……その次は私ですよ?」


「ああ」

「あの、ご主人様。私……初めてなので……その……上手く出来ないと思いますが……」


「安心しろ。俺に任せればいいさ」

「……はい」



 こうして、全員で体を拭くために、服を脱ぐ。



「改めて見ると……レイアってでかいな」

「あんまりまじまじと……見てもいいですけど……恥ずかしいです」


 レイアの胸部に滅多打ちにされ、ミーシャが敗北感を覚えていた。


「安心しろ、ミーシャ。俺はお前のも好きだぞ」

「キョウサイ様……!」

スキル名、ユニーク属性名、人名カタカナ、魔物名、魔術名、武器防具名を常時募集しております。



そろそろ、勇者達がどうなったのか入れようと思ってます


狐の亜人を勧めてくれた方!ありがとうございます!


それでは感想待ってます!

<< 前へ次へ >>目次  更新