52話 『コウチャ』っぽい
段々とタイトルが適当になっていってる気が……
「ここが、シッカ王国……」
勇志はシッカ王国の城下町の前でそう呟いた。
「やはり大きいですね……城下町とはいえ、これほど大きいとは……」
勇志の隣にいるヴェレスは、勇志の呟きに答えるように呟く。
「それにしても……」
勇志は自分の背後にある森を見た。
「さっきこの森を一通り見たけど、もう森とは言えなくなってたね。木々に囲まれた草原だった」
「2ヶ月前に魔族が暴れたって噂です。もしかしたら、その魔族というのは――」
「仮面の魔族……か」
勇志の答えにヴェレスは小さく頷く。
「その確率が高いでしょう。こうしてはいられません。早くショクオウに接触しましょう」
「そうだね」
こうして、勇志とヴェレスの
*
「皆、ちょっと聞いて」
勇志とヴェレスを抜いた勇者一行は食卓に集まっていた。
そして、集まったところで鈴の声がかかったのだ。
「鈴、どうしたの?」
いつもと少し違う鈴の雰囲気に、澪が少し心配する。
「今から大事な話をするわ」
「それだったら、勇志達がいた方が……」
澪の発言に鈴はゆっくりと首を振る。
「勇志は別にいいけど、ヴェレスには聞かれたくないから」
「ヴェレスに?」
「ええ」
鈴は澪の問に答えて、数秒目を瞑る。
そして、目を開けゆっくりと口を開いた。
「――――戦争についてよ」
『!!』
その言葉を聞いた瞬間、全員息を詰まらせた。
「簡単に説明すると、私達ドレット王国はライズ王国と同盟を組んだ。そして、それを良く思っていないメシア王国とフェリス王国が同盟に近いものを組み……」
「ドレット王国とライズ王国を潰す……ってこと?」
澪の答えに鈴は深く頷いた。
「ええ、そうよ。でも……」
「でも?」
「ドレット王国とライズ王国を潰す意味がわからないのよ……それを今から皆に――――」
「「シッカ王国だな(だね)」」
鈴が皆に考えてほしいと言い切る前に、澪と大地は同時に言った。
同時に言われた鈴がキョトンとしていると、大地が澪に話しかけた。
「澪もそう考えたか……。戦術は俺の得意分野のはずなんだがな」
「こんなの戦術でもなんでもないよ。普通に思いつくしね」
「で、どうしてこの考えに至った?」
「大地も一緒でしょ?」
「過程が違うかもしれん」
すると、澪は小さく苦笑いをして説明を始める。
「先に結論だけ言っておくね。結論はシッカ王国を手に入れて人間界最強の王国になること。シッカ王国を狙う理由はこの五大王国の中で一番強いからね。でも、一番強いって言っても流石に二つの王国を相手にするのは厳しい。だから、メシア王国とフェリス王国は手を組んでいるのよ。そして、こっちに戦争仕掛ける理由は、邪魔されるかもしれないドレット王国とライズ王国を先に潰しておけば、シッカ王国との戦争は比較的安全に勝利できるから」
澪が一通り言うと、皆頷いた。
大地も頷いたので、同じ考えだったのだろう。
しかし、大地は澪に質問した。
「そこまでわかっているなら、欠点の方もわかってんだろ?」
澪はしっかりと頷く。
「欠点?」
鈴の質問にも頷き、澪は再び口を開いた。
「こっちの戦力を甘く見すぎているの」
「どうしてそう思うの?」
「簡単よ、ドレット王国とライズ王国は魔術に優れている。でも、人口が圧倒的に少ない。それに比べ、メシア王国とフェリス王国は人口数1位と3位で、3位のメシア王国は武器防具の技術がかなり優れている。ドレット王国に戦争仕掛けるとしたら、数で押し切ろうって考えが丸見えよ。……それに」
澪は一通り言い終え、一息ついてから言葉を続けた。
「私たちの存在を知らない。これが一番大きいわね」
ちらりと澪は鈴を見る。
鈴はその目線の意図に気付くが、少し迷っていたので大地を見る。
大地も頷き、そのまま無言だったので鈴は盛大にため息をした。
「……いっつもこういう役割なんだよね……」
鈴はそう小さく呟いて、全員を見渡す。
そして――――。
「皆、この戦争……始まる前に終わらせるわよ」
鈴の言葉に、皆揃って頷いた。
*
「……ショクオウさんってこの国で有名人ですね」
ヴェレスはそう勇志に問いかけた。
「そうだね。でも、もうこの国にはいないみたいだね」
「で、行き先を知っていると思わしき人物が……」
ヴェレスは目の前の建物を見上げる。
そして、言葉を続けた。
「ここのギルドマスター……ですか」
「そうみたい。……とりあえず中に入ろうか」
ヴェレスが頷いたのを確認し、勇志はゆっくりと扉を開ける。
建物の中は騒がしかったが、これといった野蛮な輩はいなかった。
「賑やか……ですね」
「賑やかというより……騒がしい。かな?」
そんなやり取りをしながら奥に進むヴェレスと勇志。
しかし――――――。
「ユウシさん、どうやってギルドマスターに接触しましょうか?」
「うん、僕もそれを訊こうと思ってた」
そう、二人はそのことについて悩んでいた。
すると、勇志の肩に人がぶつかった。
「あ、ごめん」
勇志は咄嗟に謝った。
「いや、こちらこそ前を見てなかった。すまない」
ぶつかった方も素直に謝る。
勇志にぶつかった人物は、中学生ぐらいの少年だった。
勇志はその少年が去るのを待っていたが、その少年は勇志をじっと見て一向に去ろうとしない。
不審に思った勇志はその少年に声をかけようと思ったが、その前に鼻で笑われた。
そして……。
「お前、只者じゃないな?」
「!!」
急にそんな事を言われた勇志は息を詰まらせる。
「まぁ、そんなに警戒するな。ここじゃ騒がしいだろ。場所を変えよう」
そう言うと、少年は建物の扉へ向かった。
ヴェレスは心配そうに勇志を見ていたが、勇志は優しく微笑み、建物の外へと足を運んだ。
………
……
…
「よくついて来てくれたな」
「そりゃ、あんな事を言われたからね。話も聞きたくもなるよ」
勇志達は喫茶店の様な店にいた。
しかし、店の中は満員だったので外にある席に座る。
「二人共、『コウチャ』でいいか?」
「!?」
「こ、コウチャ?」
前者は勇志、後者はヴェレスで全く違う反応だった。
少年はこの反応を疑問と捉えたようで、説明を始める。
「あー……まだそこまで広まってないか……。実はな、4ヶ月ほど前かな?とある人間が薬草を飲み物に使った事が事の発端らしい。未だに味は安定しないが、それでもかなりの人気だ」
そう言って少年は『コウチャ』を3つ頼み、「まぁ、飲んでみろ」とだけ言った。
「ちょっといい?」
「ん?なんだ?」
少年が『コウチャ』を頼んだ数瞬後、勇志が少年に向けて質問をした。
「その人の事、何か知ってる?」
「『コウチャ』の製作者の事か?」
勇志は無言で頷く。
しかし、少年は首を振った。
「すまない、俺は2ヶ月前にここに来たんだ。そいつに関しては知らないし、知る術もない。
「そうか……。ん?知る術もないってどういう意味だい?」
「そのままの意味だ。何故かそいつの情報は隠蔽されていてな。誰が作ったとか当時の奴しか知らないし、そいつらも何故か話そうとしない。不思議なもんだろ?」
少年がそこまで話したところで、『コウチャ』が運ばれてきた。
少年は『コウチャ』をひと口だけ飲んだ。
すると、少年は小さく鼻を鳴らし微笑む。
「今日は当たりっぽいな。まぁ、この人気を見た時からわかっていたが」
そう呟いて、少年はもうひと口『コウチャ』を飲む。
続いて、ヴェレスが少年の真似をしてカップに口を付けた。
「……おいしい」
ヴェレスは数秒カップに入っている飲み物を凝視し、ぱあっと笑った。
「ユウシさん!これ、美味しいですよ!飲んでみてください!!」
「あ、ああ」
少年の方を見ると、温かい目で見られながら頷かれた。
勇志はそっとカップに口をつけた。
(少し苦味もあるし、香りも不安定……だけど、これは間違いなく…………紅茶だ)
そして、勇志はそっとカップを置く。
「ど、どうでした?」
ヴェレスが恐る恐る訊く。
「ああ、美味しかったよ」
勇志は笑顔でそう答えた。
「ですよね!美味しかったですよね!!」
ヴェレスはそう言いながら更に『コウチャ』を飲む。
「こんな素晴らしいお飲み物を紹介してくださってありがとうございます。えっと……お名前を訊いてもよろしいでしょうか?」
ヴェレスは恐る恐る少年に名前を訊いた。
「ああ、いいぜ。俺の名前はアルノ。まだ規模はかなり小さいが、とあるパーティーのリーダーをやっている」
「アルノさんですか。私はヴェレス、そしてこちらがユウシさんです」
まだ普通の挨拶は慣れていないのだろう。
ヴェレスは少しぎこちなく名前を紹介した。
「ヴェレスにユウシか……。聞いたことない名前だな」
そう言ってアルノは勇志を見る。
そんなアルノに勇志は質問をした。
「なぁ、アルノ君は――」
「アルノでいい」
「じゃあ、アルノは何故僕を只者じゃないと言ったんだ?」
そう、勇志はこれを聞きにアルノについていったのだ。
決して『コウチャ』を飲みに来たのではない。
そんなアルノはニヤリと笑って勇志の質問に答えた。
「俺はな、解析持ちなんだよ」
ん?アルノの様子が……
4ヶ月前に『コウチャ』を広めた人間……?
イッタイダレナンダー(棒
前半部分であった戦略っぽいものは自分は苦手です。
どこかおかしいところがあったら遠慮なく書いていってください!
次回もお楽しみに!
あ、ひょんなことから新しい小説?を作ることになりました。投稿はしません。
いや、RPGツクールでちょっとしたゲームを作ることになりまして…
誰が面白い作品を作るかってなりまして…
それでカクカクシカジカ…
自分は恋愛系を作ろうと思ってます!
恋愛&一人称……
(´;ω;`)ブワッ