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45話 魔国襲撃っぽい

新・女性キャラ登場!

「ほーう……、確かに近かったな」


 強斎は、上空からとある場所を見ていた。


「まぁ、近いって言ってもちょっと微妙なんだけどね」


 強斎の隣にいるゼロは、苦笑いをしながらその問いに答える。


「森を越えたらすぐだったじゃないか」


「普通の人間は、森の前の草原すら越えられないわよ」


 ため息をして、ジト目で強斎を睨むゼロ。

 強斎は、それを苦笑いでスルーする。


「それより、あの国はなんていう国名なんだ?」


 そう、現在、強斎とゼロは魔国を見下ろしているのだ。


 そんな強斎にゼロは小さく鼻を鳴らし、一言。



「知らないわ」



 自信満々にそう言った。


「は?」


「私が知るわけないじゃない」


「いや、だってお前、この国のこと結構知ってたじゃねぇか。それなのに、国名は知らないのか?」


「ええ、知らないわ。だって、今の王が誰なのか知らないし」


「ああー……。王の名前で国名がコロコロ変わる訳か」


「そんなところね」


 ゼロはもう一度魔国を一瞥し、その後強斎に再び話しかけた。


「主人、そろそろ下りましょう」


 強斎は頷き、ゆっくり降下を始めた。


 ゼロも強斎に続き、降下する。



 数秒後、地に降り立った強斎とゼロに、奴隷達が寄ってくる。


「キョウサイ様、どうでした?」


 ミーシャが魔国の様子を訊く。


「街の中心部に、かなりでかい城があったな。国の大きさは、城を中心に半径20km程の円だろう」


「魔国の周りには魔物がうじゃうじゃいたけど、まぁ大丈夫でしょ」


 ゼロが強斎に続いて答えた。


 その答えをミーシャはルナに向ける。


「ルナちゃん。できそう?」


「はい、大丈夫です」


 ルナはしっかりと頷いた。


「一応、俺たちもついていく。ただし、緊急時以外は手を出さないつもりだ」


「はい、ありがとうございます。……少し恥ずかしいですが」


 強斎の言葉に、苦笑い気味に答えるルナ。

 その意味をレイアが訊いた。


「どういうことだ?」


「えっと、何か主様に、城の攻略を見定められるみたいな感じで……」


「見定めるぞ?」


 強斎は当然とばかりに答えた。


「うぅ……やっぱり……」


「だが安心しろ、付ける条件は一つだけだ」


 にやりと笑う強斎に、ルナは不安になりながらその条件を訊く。


「そ、その条件とは……」


「魔物は殺してもいいが、魔族は殺すな」


「えっと……はい。わかりました」


 ルナはなぜ殺さないか訊こうとしたが、何か考えがあると思い訊かずに了承した。


「よし、じゃあ出発するぞ」



*



ここは、とある魔国のとある王室。


 そこの王座に一人の女性が腰掛けていた。

 この王室には、この女性以外誰もいない。


「……暇だ」


 王座に腰掛けている女性は、そう一人呟く。

 勿論、返事など返ってこない。


 女性はスッと立ち上がり、軽く背伸びをした。



 この女性の髪の色は、ミーシャの灰色に近い銀ではなく、白に近い銀だ。

 その銀髪は、全て根元から腰まで伸びている毛先まで全く傷んでいない。


 スタイルは少々胸が寂しいが、全く無いという訳でなく、しっかりと服の上からでも確認はできる。

 しかし、キュッと引き締まった痩せすぎていない腹部と、ムッチリとした臀部でんぶ。それに、すらっとした健康的な脚。


 身長はゼロと変わらない位で、顔立ちは少し目つきが悪いが、かなり整っているといっていいだろう。


 しかし、それ程のスペックが気にならない程特徴的な物を、この女性は身につけていた。



 ――悪魔の翼だ。



 悪魔の翼と言っても、かなりの種類があるが、一番多いのは黒竜のような漆黒の翼だ。

 この女性はこの悪魔の翼を生やしているが、大きさは普通の悪魔の倍ほどの大きさである。


 今は邪魔になるので最小限に小さくしているが。


 今は見えていないが、彼女には尻尾も生えている。



「あー、勇者って名乗る奴から襲撃来ねーかな」


 タンクトップにショートパンツ、ニーソと言った目のやり場に困る格好なのだが、口調はやや男勝りであった。


 そして、この女性の正体……それは――――――。



「全く。魔王ってのも暇だよなー」


 そう、この女性は魔界で魔王の称号を持っているのだ。



 魔王はポスっと王座に座り、天井を見上げた。


 そして、とある人物を思い浮かべながら舌打ちをし小さく呟いた。


「……アイツさえ居なければ、今からでも人間界に喧嘩売るのによ……」


 そう魔王が呟いた時、扉が凄い勢いで開かれた。


「ま、魔王様!!」


 突然開かれた扉の先には、魔王より小さな翼をもった男性が、息切れをしていた。


「んだよ、今イライラしてんだ。早く用件を言え」


「ば、化物が!化物がここを攻め落とそうとしています!」


 その言葉で魔王は機嫌を取り戻したのか、にやりと笑う。


「ほう、化物とな」


「は、はい。幹部クラスの魔族が、揃って気絶させられました」


「気絶?殺されてはいないのか?」


「はい。幹部どころか、全ての魔族は一人たりとも死んでいません」


「中々興味深いな……人数は?」


「えっと……それが……一人と四人です」


 そこで、魔王は少し眉を寄せた。


「五人と言え、五人と」


 しかし、悪魔は困った顔のままそれを否定した。


「実は、戦闘しているのは、その一人だけなのです……」


「はぁ?一人だぁ?じゃあ、四人を襲えばいいじゃねぇか」


「そ、それが――――――」




「あ、あそこが王室っぽいですね」




 空いた扉から、声が聴こえた。


「き、来ました!」


「あ?さっきの声の主がそうだって言うのか?それはねぇだろ、だって――――――」



「お邪魔しまーす……」



「――――――女じゃねぇか。しかも幼女」


 扉からひょっこり顔を出したのは、兎族の少女、ルナだった。



「あ、えっと……魔王ですか?」


「ん?ああ、そうだが……」


「女性だったのですね……あ、主様!魔王を発見しました!」


 ルナがそう言って手を振ると、手を振った方向から強斎達が入ってきた。



「魔王って女だったのか……」


 強斎から苦笑いが出てくる。


 そのついでに、魔王のステータスを覗いた。



キャルビス


LV8000


HP 135408/135408

MP 86881/86881

STR 12003

DEX 9721

VIT 9982

INT 10011

AGI 9553

MND 8806

LUK 120

スキル

剣術LV43

体術LV50

調教LV43

状態異常耐性LV35

火属性LV40

水属性LV30

風属性LV30

闇属性LV48

HP自動回復速度上昇LV43

MP自動回復速度上昇LV37

限界突破

隠蔽LV30

魔王の威圧波動LV20



属性

火・水・風・闇

魔族の王(???)



「おい、ゼロ」


 強斎は、早速ゼロにとあることを言おうとする。


「ええ、わかってるわ」


 しかし、ゼロは予測していたのかため息をして、言葉を続ける。


「5対1で遊べるというのを、50対1で遊べると言うのに訂正させてもらうわ。どうやら、感覚がおかしかったみたい」


 そう、魔王が弱すぎたのだ。




「ほう、お前みたいな少女がよくここまでたどり着けたな」


 魔王キャルビスは、ルナを見て、不敵な笑みを浮かべる。


 しかし、ルナは首を傾げながら口を開いた。


「あなたは、本当に魔王なのですか?」


 すると、キャルビスの不敵な笑みが消える。


「どういうことだ?」


「いえ、何か……」


 ルナは強斎を困った顔で見た。


 しかし、強斎達は、いつの間にかそこにあった椅子に座って、くつろいでいた。


「あ、やっぱりミーシャさんやレイアさんも気がついていたんだ……」


 ルナは椅子のこと等スルーして、そう呟いた。

 しかし、キャルビスはその事を気に召さなかったのか、苛立ちが見えてくる。


「おい、どういうことなのかと訊いている」


「あ、すみません……まぁ、闘っていただければわかると思います」


「ほう、この私に闘いを挑むか……」


 キャルビスはそう言うと、ニヤリと笑ってルナを挑発するように手招きする。


「いいだろう、いつでもかかってこい。10秒後に生き延びていたら生かして帰してやろう」


「えっと、じゃあ行きますよ?」


「ふっ!地獄の狂想曲ラプソディの開演――――グハッ!!」


 地獄の狂想曲ラプソディは、ものの1秒未満で終わってしまった。


「ぐおぉぉぉ…………」


 キャルビスは腹を押さえて倒れ込んでいた。


「あれ?気絶しませんでしたね……防御特化ですか?」


「はぁ……はぁ……」


 キャルビスはフラフラと立ち上がると、自分のステータスを確認した。


(今の一撃で10万も削られてやがる……しかも、動きが全く見えなかった……こいつ、本当にあの兎族か?)


 キャルビスはルナを睨みつける。

 ルナはそれを微笑みで返した。


(くそっ……。あんまり取りたくない方法だったが……やるしかないな)


 すると、キャルビスは巨大な火の玉を出現させた。


「残念だったな。お前のお仲間さんはここで死んだよ」


「?」


 ルナは理解できていないのか、不思議なモノを見る様な顔で、キャルビスを見た。


「今にわかる……さ!」


 そう言うと、キャルビスは巨大な火の玉をルナの後方――強斎に向けて放った。


 巨大な火の玉は、音速並の速さで強斎に当たり、爆発した。


 キャルビスはルナの顔を窺うが、さっきと全く変わらない表情に疑問を感じた。


「お前、悔しくないのか?仲間が死んだんだぞ?」


「死んだ……ですか?何か勘違いしてませんか?」


「……なんだと?」


「もしかして、ここまで来れたのは私が守って連れて来たとでも思っていますか?」


「あ?違うのか?」


「当たり前じゃないですか。言っておきますけど、私はあの中で一番弱いですよ?そして、一番強いのが――」


 ルナは、先ほど火の玉が当たった場所を見る。


 そこには、やはり無傷の強斎がいた。


「私の主様……あなたが火の玉を当てたお方ですよ」


 ルナは強斎を見て、にっこりと笑うが、それも直ぐに引いてしまった。

 それどころか、若干冷汗が出てき始めてきた。


 キャルビスはその変わりように疑問を持ったが、今はそれどころではなかった。


「おい、どういう事だ。お前が一番弱くて、あいつが一番強い?全く意味がわからん」


「あ、えっと……とりあえず、謝ったほうがいいです。何か主様、不機嫌になっていますから」


「は?謝る?ますます意味が――――」

「おい」


 遂に、強斎が椅子から立ち上がり、キャルビスの方に歩みだした。


 その顔は確かに不機嫌であった。


 そして、強斎は口を開く。


「ルナ。お前はここまででいい、合格だ」


「えっと、主様?」


「お前、キャルビスって名前だな?」


 ルナを無視して、強斎はキャルビスに話しかける。


「ああ、そうだ。ってかなぜわかった」


「そんなことはどうでもいい。貴様は俺を怒らせた」


「……は?」


 キャルビスはまるで心当たりが無いのか、それとも状況の変化に追いつけていないのか、呆気にとられていた。


 キャルビスに心当たりがない。これは当然だろう。


 強斎が不機嫌な理由、それは――――――。






「――――貴様のせいで、コーヒーが蒸発しちまったじゃねぇか」


 どうでもいいことで怒っているのだから。

後半、眠くて走ってしまいました

キャルビスという名前は友達に考えてもらいました


次回もお楽しみに!



実は親のiPhone5sがリンゴループに陥ってしまいまして…

仕方なく、iTunesで初期化したんですが、その後のアクティベートができないんですよねー

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