40話 打ち明けるっぽい
お久しぶりです!
2章っぽいもの開幕です!
「ゼロ、魔王がどこに居座っているのかわかるか?」
ルナと勇者が別れて数日後、強斎は唐突にそうゼロに訊いた。
他の奴隷達は、ここにはいない。
「突然ね。どうしたの?」
「まぁ、もうそろそろ、魔界に行こうと思ってな。それと、新しい食材が欲しい」
「要するに、飽きたのね?」
「否定はしない」
「はぁ……。主人はブレないわね」
「で、魔王はどこに居座っている?」
「魔王って、どこの魔王?」
「え?」
「え?」
二人同時に首をかしげた。
最初に口を開いたのは、強斎だった。
「どこって……魔王は1体じゃないのか?」
すると、ゼロは少し呆れた顔になって答えた。
「当たり前じゃない。この人間界と同じで、魔界にも王国ぐらいいくつかあるわよ」
その言葉を聞き、強斎はある事を確信した。
(……やはり、魔王を討伐したら帰れるってのは嘘だったか……。まぁ、かなり嘘っぽかったしな)
すると、強斎の中で何かが吹っ切れた。
「……主人?」
強斎の微妙な変化に、ゼロは気が付いたみたいだ。
その、疑問に答えるように強斎は小さく笑った。
そして――――――。
「今から、大切な話をする。ミーシャ達を呼んでくるから、ゼロはここで待っていてくれ」
強斎は眷属たちに、とあることを打ち明ける決心をした。
………
……
…
「遂に出発ですか?」
ものの数秒で、眷属たちを集めた強斎にミーシャがそう問いかける。
「ああ、今日でここを出る。だが、今からするのは、その話じゃない」
いつにも増して真剣な強斎に、眷属たちは息を呑む。
そして、強斎は話を続けた。
「――――俺の正体についてだ」
一瞬、時間が止まったように固まったが、それも直ぐに動き出す。
「主様の正体…………」
ルナがそう呟いた。
「そう、俺の正体についてだ。……まず、みんなに謝っておこう。そして、俺は、記憶喪失なんかじゃない。俺は――――」
「この世界の人間じゃない。でしょ?」
ゼロが強斎の言葉を遮ってそう言った。
「……気付いていたのか?」
すると、ゼロは小さく笑う。
「何を今更。そんなこと、皆知ってるわよ」
強斎が周りを見回すと、全員頷いた。
(まさか、本当に気がつかれていたとは……)
以前、ゼロとそのような会話をしたことを思い出す。
「……いつから気がついていた?」
やはり、気になるのがそれだ。
全員、確信を持って頷いていたので、それなりの理由があるはずだった。
最初に答えたのはミーシャだ。
「私は、キョウサイ様が魘されている時に気がつきました。この世界にはない言葉を使っていましたから」
「前者に同じく」
レイアもミーシャと同じ理由だったようだ。
「ルナはどうなんだ?」
強斎は、自分が魘されていることを突かれるのが少し恥ずかしかったので、ルナに質問した。
「私も、ミーシャさんやレイアさんと少し似ていますね。魘されているとは違って、主様の独り言からです」
「……俺、なんて言ってた?」
「ゼロさんに出会う前に、『すたんがん』という単語が聞こえてきまして……。その続きを聴いていたら、明らかにこの世界の言葉じゃなかったので」
(あー……あの時か……)
強斎は苦笑いをするしかなかった。
ルナが召喚魔術を普通に使えるようになり、ルナの接近戦について考えたのが、事の始まりだ。
(結局、納得がいくスタンガンは完成しなかったな……)
強斎は今からでも試行錯誤をして作ろうと、少し考えてしまった。
しかし、その考えも振り切り、最後にゼロに訊いた。
「……ゼロはなんでだ?一番過ごしている時間が少ないはずだが?」
軽く訊いたのだが、帰ってきた答えは凄まじく破壊力のある回答だった。
「え?だって、私、別世界に行ったことあるもん」
「…………は?」
強斎は、数秒動くことができなかった。
だが、その数秒後。強斎は声を振り絞ってもう一度訊き直した。
「ゼロ……一体、なんて言ったんだ?」
「だから、私はこの世界じゃない世界に行ったことがあるの。異世界ってやつね」
すると、ゼロはどこか遠い物を見るような目になる。
しかし、強斎はそんなことを気にもせず、ゼロに質問を続ける。
「その世界は何と言う世界だったか知ってるか?」
「ごめんなさい。知らないわ」
「そうか……。じゃあ、その世界から、どうやってこの世界に戻ってきた?」
「それが、よく覚えてないのよ……。まるで、その出来事が夢だったかのような感じ。まぁ、数えるのも億劫になるほど昔のことだし、ただ忘れているだけなのかもね」
ゼロはそう懐かしむように笑う。
しかし、強斎はこれだけで十分だった。
(初めから、打ち明けておけば良かったかもな……)
そう、この世界から抜け出す方法があるという事実だけで十分だった。
しかし、それと同時に強斎は胸を痛めた。
(そう……だよな。こいつらとも別れが来るんだよな……)
少しながらでも、この世界から抜け出せる事を喜んでしまった事に、強斎は胸を痛めたのだ。
「キョウサイ様?」
ミーシャには不思議に思われてしまったようだ。
「……訊かないんだな」
ポツリと強斎は呟いた。
その言葉は全員が察することが出来た。
そう、その意味は――――。
「なんで、俺が元の世界に帰るかどうか訊かないんだ?」
そう、こういうことだ。
その疑問に答えたのは、ゼロだった。
「答えを聞いたって意味ないからよ。……だって、最終的には主人が決めるわけだし。それに――――」
ゼロは全員を一瞥してからこう言った。
「答えを聞きたくない時もあるのよ」
強斎は初め、この言葉の意味がわからなかった。
それを見抜いたのか、ゼロが言葉を続ける。
「……それだけ、私たちに愛されているのよ」
その時のゼロの笑顔は、いつもより数段美しかった。
………
……
…
「さて、出発する前にステータスの確認だ」
先ほどの話題が一段落し、ここ数ヶ月行っていなかったステータスの確認のしあいをすることになった。
「そう言えば、私、主人のステータス見たことないわ」
ゼロがそう言って、強斎を見る。
「あー……そうだったな。まぁ、この機会だ。全員のステータスも確認しておけ」
「わかったわ。主人のは最後にするわね」
「なぜだ?」
「楽しみは最後に取っておくものでしょ?」
「ちょっと、言っている意味がわからんな」
「そんな事、どうでもいいじゃない!さ、まずミーシャから見せて」
#
ミーシャ
LV77
HP 12000596/12000596
MP 12000361/12000361
STR 900196
DEX 1000233
VIT 900140
INT 900136
AGI 1200255
MND 900131
LUK 20
スキル
体術LV78
剣術LV79
短剣LV92
投擲LV89
弓術LV77
料理LV23
威圧LV86
隠蔽LV65
解析LV42
空間把握LV58
危機察知LV53
状態異常耐性LV80
火属性LV89
水属性LV86
土属性LV96
風属性LV94
光属性LV81
闇属性LV88
HP自動回復速度上昇LV71
MP自動回復速度上昇LV70
超隠蔽
アイテムボックス
属性
火・水・土・風・光・闇
#
#
レイア・アンジェリーク
LV78
HP 15002012/15002012
MP 10000301/10000301
STR 1703590
DEX 900141
VIT 900202
INT 900092
AGI 1000709
MND 900191
LUK 30
スキル
攻撃力異上昇
剣術LV85
大鎚術LV90
体術LV88
弓術LV70
料理LV12
威圧LV87
隠蔽LV65
解析LV40
空間把握LV52
危機察知LV60
状態異常耐性LV81
火属性LV88
水属性LV87
土属性LV90
風属性LV85
闇属性LV86
光属性LV80
HP自動回復速度上昇LV74
MP自動回復速度上昇LV69
限界突破
超隠蔽
アイテムボックス
属性
火・水・土・風・光・闇
完全攻撃型(ユニーク)
#
#
ルナ
配下数157
LV65
HP 8000481/8000481
MP 18002402/18002402
STR 700132
DEX 700147
VIT 700196
INT 700214
AGI 700153
MND 700231
LUK 40
スキル
体術LV74
棒術LV77
剣術LV72
弓術LV80
料理LV15
調教LV86
威圧LV82
隠蔽LV63
解析LV38
空間把握LV50
危機察知LV52
状態異常耐性LV82
火属性LV82
水属性LV83
土属性LV82
風属性LV80
光属性LV78
闇属性LV84
HP回復速度上昇LV80
MP回復速度上昇LV83
超隠蔽
アイテムボックス
魔物召喚
意思疎通
属性
火・水・土・風・光・闇
召喚魔術(ユニーク)
#
#
ゼロ・ヴァニタス
LV35000000
HP 4.32991E+34/4.32991E+34
MP 7.10526E+36/7.10526E+36
STR 5.46208E+30
DEX 4.94052E+30
VIT 5.57430E+30
INT 2.78821E+32
AGI 5.10284E+30
MND 3.72448E+31
LUK 150
スキル
剣術LV70
棒術LV70
弓術LV70
料理LV20
調教LV85
隠蔽LV50
解析LV50
空間把握LV60
危機察知LV60
状態異常無効化
呪系統無効化
火属性LV90
水属性LV90
土属性LV90
風属性LV90
光属性LV90
闇属性LV90
虚無属性LV99
HP自動回復速度上昇LV90
MP自動回復速度上昇LV90
魔術攻撃力増加LV90
魔術防御力増加LV90
物理攻撃力増加LV90
物理防御力増加LV90
回復系統魔術Ⅸ
限界突破
超越者
覇者
超隠蔽
精霊の威圧波動Ⅳ
アイテムボックス
属性
火・水・土・風・光・闇・虚無(
神の回復魔術(SPユニーク)
虚無の精霊王(???)
世界を破壊する者(???)
#
「ゼロって本当に強かったのね」
ミーシャが驚きを隠せない様子で、ゼロのステータスを見ていた。
「あなたたちも、かなり強いわよ?私の知る限りの魔王と、5対1で遊べるぐらい。それに……」
ゼロは視点を強斎に移す。
すると、自然と全員の視線が強斎に集まった。
そして、ゼロは口を開いた。
「主人のステータスを見たら、こんなことも言えなくなるんでしょ?」
「キョウサイ様と比べてはいけませんよ」
ミーシャが苦笑い気味に言う。
レイアとルナも力強く頷いていた。
「どんなステータスなのか、楽しみね」
ゼロは小さく笑って強斎をじっと見る。
「…………」
しかし、強斎は無反応だった。
そもそも、確認すると言ってから、ピクリとも動いていないような気がするほど、固まっていた。
「主人?」
ゼロが強斎の体を少し揺すると、強斎は我に返った。
「はっ……!」
「『はっ……!』じゃないわよ。一体どうしたのよ?」
「いや、今までステータスを確認しなかった自分が、情けなく思ってた」
「ちょっと、主人?本当にどうしちゃったの?」
「まぁ、俺のステータスを見てくれ」
強斎が見せたステータス。
それは、とんでもないものだった。
#
キョウサイ・タカナシ
配下数99999+
LV193
HP 4.39397E+60/4.39397E+60(-35000000)
MP 1.82035E+61/1.82035E+61(-40000000)
STR 5.02168E+59(-3300000)
DEX 5.64939E+59(-2600000)
VIT 4.39397E+59(-2500000)
INT 5.64939E+59(-2500000)
AGI 5.02168E+59(-2900000)
MND 3.70349E+60(-2500000)
LUK 500
スキル
言葉理解
超解析Ⅳ
剣術LV90
刀術LV99
二刀流LV99
細剣術LV99
投擲LV50
大槌術LV50
棒術LV50
体術LV90
槍術LV97
弓術LV50
盾LV96
大盾LV93
調教LV99
解析LV12
空間把握LV80
危機察知LV92
料理LV94
潜水LV82
吸血LV50
薬剤生成LV33
武器生成LV42
生活魔術
灼熱の息
極寒の息
落雷操作
天変地異の発動
無双
魔物召喚
意思疎通
死霊指揮
火属性LV80
水属性LV80
土属性LV80
風属性LV80
闇属性LV80
光属性LV80
虚無属性LV60
HP回復速度上昇LV75
MP回復速度上昇LV75
アイテムボックス
超隠蔽Ⅱ
状態異常無効化
呪系統無効化
全てを超越した威圧
限界突破
超越者
覇者
聖騎士
万能騎士
竜殺し
神殺し
スキル強奪
レベルアップ時ステータス倍
眷属ステータス分配
眷属スキル分配Ⅱ
必要経験値1/100
属性
火・水・土・風・闇・光・虚無(
想像魔術(SPユニーク)
竜の王(ユニーク)
召喚魔術(ユニーク)
死霊魔術(ユニーク)
竜の上に立つ存在(???)
世界を破壊する者(???)
神を超えた者(???)
神を殺した者(???)
最強の宿命(???)
#
「「「「…………」」」」
――――無言。
既に慣れたはずの眷属たちが、何も言えずに無言になっていた。
眷属たちは皆、しっかりと受け入れている。
しかし、どこか受け入れてはいけないと、ストップをかけているのだ。
強斎ですら、戸惑っている。
このステータスを、直ぐに受け入れろと言う方が無理なのだ。
無言になること数分。
ようやくミーシャが口を開いた。
「……キョウサイ様。一体、いつ神様を殺したのですか?」
ミーシャはどこか遠い目をしていた。
その質問に強斎はこう答えた。
「……覚えていない」
こうして、一つの神がこの世から消え去った。
さて、強斎は一体何の神を殺してしまったのでしょうか?
この数ヶ月、何があったのでしょうね?
追記
主人公のステータスですが、ここで1度おさらいです。
E+は+分だけ0が追加されます
HPで例えるとE+60なので
4000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
4那由多ですね!
次回もお楽しみに!
今週と来週は自分の都合により更新速度が激減します。
本当に申し訳ございません。
これからも『巻き込まれて異世界転移する奴は、大抵チート』をよろしくお願いします。