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35話 王女が加わったっぽい

多数の会話って難しいですよね……


「これで終わらせる!『サンダーレイン』!!」


 勇志がその言葉を発した時、魔物の頭上に淡い光を放つ魔法陣が展開される。


 魔法陣が展開された数瞬後、いくつもの雷がこの階層のボス……スケルトンに直撃し、一瞬で絶命した。


「師匠……先ほどの技は?」


 勇志の魔術を見て、関心と驚きが隠せない仁。

 それもそのはず、仁はこの魔術の存在を知らないのだ。


「新魔術の『サンダーレイン』の事?あれは、オリジナル混合魔術だよ。強さで言うと特級かな?」


 その説明を聞いて、仁は目を見開いた。

 あまりにも呆気なく言っている勇志だが、人間の中では破格の規格外さなのだから。


「師匠はオリジナル技で特級まで使えると……剣の腕だけではなく、魔術の腕も人間最強クラスか……」


「まぁ、剣と魔術の混合の魔術剣士だったら、もう人間相手に負ける気はしないかな?魔術だけだったら、間違いなく鈴が最強だけどね」


 そう言って、勇志は鈴を見る。


「鈴はやろうと思えば、王級魔術まで使えるらしいから……」


 そう言って、苦笑いをする勇志。


 そこに、鈴が入ってきた。


「確かに攻撃魔術だったら、私が人間最強かもしれないけど……攻撃以外だったら、あそこの二人の方が凄いよ。だから、魔術師最強は名乗れないかな?」


 鈴はその二人を指差す。


 その二人とは――――――。








 ――――――澪と王女のヴェレスだった。








「あの二人の連携は凄いよな」


 鈴と勇志と仁の話の中に、大地が入ってくる。


 そして言葉を続けた。


「澪の補助魔術だけでも凄いが、その補助魔術にヴェレス・・・・の時空魔術で効果と時間を上乗せ……更に、澪のMPを俺たちに配分することも可能で、澪のMPがなくなったら、ヴェレスのアイテムボックスからMPポーションを取り出している……。まさに、あの二人は人間最強の補助コンビと言っていいな」


 3人は大地の言葉に頷く。


「そうだね、特に王女さ……ヴェレスには驚いたね。まさかこの経験値を共有出来る腕輪の製作者だったなんて……」


 そう言って勇志は自分の腕を見る。


「しかも、ステータスも十分強い。まさか騎士団長まで倒すとは思わなかったね」


………

……


「お父様。私も勇者様方と戦いたいです」


 ある日、ヴェレスは唐突にこのようなことを、ホルスに言ったのだ。


 勿論、ホルスはいい気味ではない。


「どういうことだ?」


「私も勇者様方と戦いたいと言っております」


 ホルスは威圧気味に言うのだが、ヴェレスは全く動じない。


「どうして、そのような事を言うのだ?」


 その質問に対して、ヴェレスはしっかりと目を見て答えた。


「私は今まで考えておりました……勇者様方を無断でこの世界に引き込み、その後は任せるだけ……そんなことが許されるのかと」


 ヴェレスはそこで一瞬戸惑い、また口を開いた。


「……それに、私の作った転移石のせいで、勇者様方の大切な人を亡き者に……」


 そう、あの強斎を転移させた転移石は、ヴェレスが作ったのだ。


 本来転移石の効果は、転移石の数メートル以内に居るなら転移できる。


 しかし、ヴェレスが作った転移石は、本来数ヶ月かかる作業を数日に短縮したため、対象は一人だけだったのだ。


 見た目は少し違うが、効果は普通の転移石と一緒なので、ヴェレスはこの転移石を定期的に作っている。

 スパイの兵士は転移石を使ったことがなかったため、違いに気がつかなかったのだ。



「それに、私は十分強くなりました。今では騎士団長様にも勝てます」


「なんだと?」


 流石のホルスもその言葉には驚いた。


「……そう言えば、お父様は私のステータスを知っていますか?」


 ホルスは無言であった。

 実際、ヴェレスのステータスを最後に見たのは数年前だ。


「知らないでしょうね」


 その冷たい目線にただ耐えるホルス。

 その目線には様々な気持ちがあったのだが、ホルスは理解できなかった。


 数秒沈黙があったが、ホルスはそれを破った。


「例え、お前が強かろうと、お前は第二王女。承諾するのは不可能だ」


「でしたら、第二王女をやめます」


「なにぃ!?」


 その発言に対して、ホルスは怒鳴った。


「お前……その言葉の意味を理解しているのだろうな?」


「はい、しっかりと承知しております」


 ヴェレスは馬鹿ではない。

 本来なら冗談でもそんなことは言わなかったはずなのだ。

 第二王女と言う地位をしっかりと理解した上での発言だったのだ。


「…………何がお前をそこまで動かす」


「罪悪感、責任感、そして――――」


 ヴェレスは少し顔を染めてこう言った。



「――――恋……です」



 その瞬間、ホルスは何かに打たれたような衝撃が走った。


 しかし、この衝撃は憎悪などではなく、愉快なものであった。


 ホルスは自分の過去を見ているような気持ちになった。



「……そうか、だったら、今日からお前は第二王女ではない。ドレットの名も捨てろ」


「はい……ありがとうござ――」

「ただし」


 ヴェレスが言い切る前に、ホルスが遮った。

 そして、小さく微笑し、こう言った。


「この国内であったら、第二王女の名を名乗ることを許そう。……しっかり勇者様方のお役に立つんだぞ?」


「っ!……はい!」


 この後、ホルスの仕事がかなり増えたのだが、嫌な気持ちではなかったという。


………

……



「皆!一度集まってくれ!」


 勇志の声で勇者一行は集まる。


「そろそろ、レベル上げする場所を変えようと思う」


 その提案には全員賛成した。


「確かに、そろそろ上がりにくくなってきてるしね。いいと思う」


 澪がそう発言した。


「私たちはちょっと辛いかもしれないけど……まぁ、勇志君たちに守ってもらいながらなら、大丈夫かな?」


 自信なさげに言う緋凪。


 ライズ王国の勇者達は皆その考えのようだ。


「私は大丈夫です。このところステータスの上昇が大きくなっているので」


 ヴェレスはそう言っていた。


「で、どこでレベル上げするの?」


 一番の疑問を鈴が言った。


「魔界へ行く転移門の近くに森があったよね?あそこでレベル上げしようと思う」


「そこって、結構レベル高いですよね?」


 琴音が心配そうに発言する。


「大丈夫だと思う。確かにレベルは高いけど、大体がランク8前後らしいから」


 先ほどのネクロマンサーはランク10だ。


「まぁ、勇志君達が守ってくれるなら……」


 ちゃっかり期待している琴音であった。



「お、俺も何かあったら緋凪を守るからな……」


「いや、私より信喜の方が弱いでしょ」


「うぐっ……」


 ついでに、勇者達のステータスはここまで成長している。



ユウシ・スズキ


LV84


HP 10400/10400

MP 10000/10000

STR 980

DEX 972

VIT 978

INT 970

AGI 1086

MND 989

LUK 100

スキル

言葉理解

超解析

聖騎士Ⅱ

作法LV9

剣術LV21

威圧LV10

状態異常耐性LV12

火属性LV16

水属性LV18

土属性LV17

風属性LV17

光属性LV19

闇属性LV16

HP自動回復速度上昇LV15

MP自動回復速度上昇LV15

限界突破


属性

火・水・土・風・光・闇





ダイチ・タカミ


LV82


HP 13680/13680

MP 8420/8420

STR 1231

DEX 821

VIT 1178

INT 782

AGI 788

MND 819

LUK 100


スキル

言葉理解

超解析

作法LV8

盾LV19

大盾LV17

大槌LV20

剣術LV15

刀LV10

威圧LV10

状態異常耐性LV16

気配察知LV11

火属性LV15

土属性LV17

光属性LV15

HP自動回復速度上昇LV19


属性

火・土・光




リン・ハネダ


LV81


HP 7490/7490

MP 12220/12220

STR 635

DEX 1161

VIT 747

INT 1228

AGI 791

MND 1339

LUK 100


スキル

言葉理解

超解析

作法LV11

体術LV13

威圧LV10

状態異常耐性LV13

火属性LV23

水属性LV21

光属性LV21

闇属性LV20

MP自動回復速度上昇LV17

魔術攻撃力上昇LV15


属性

火・水・光・闇




ミオ・トウヤ


LV79


HP 8800/8800

MP 7500/7500

STR 616

DEX 815

VIT 690

INT 1490

AGI 838

MND 1100

LUK 100


スキル

言葉理解

超解析

体術LV7

回復特化

付属魔術

威圧LV9

料理LV20

作法LV16

僧侶Lv21

ヒール・ハイヒール・エリアヒール・ヒールライト・リジェネ・光の刃・解呪・状態異常回復

状態異常耐性LV13

HP自動回復速度上昇LV15

MP自動回復速度上昇LV16


属性

回復特化(ユニーク)

付属魔術(ユニーク)




ヒナギ・マツマエ


LV63


HP 3982/3982

MP 4820/4820

STR 384

DEX 390

VIT 395

INT 481

AGI 428

MND 473

LUK 80

スキル

言葉理解

剣術LV11

体術LV9

状態異常耐性LV9

火属性LV8

風属性LV8

光属性LV9

MP自動回復速度上昇LV8


属性

火・風・光




コトネ・ホウライ


LV61


HP 3308/3308

MP 5552/5552

STR 326

DEX 330

VIT 341

INT 477

AGI 268

MND 481

LUK 80

スキル

言葉理解

料理LV11

状態異常耐性LV6

水属性LV9

光属性LV9

HP自動回復速度上昇LV7

MP自動回復速度上昇LV7


属性

水・光




シキ・ホカリ


LV62


HP 4475/4475

MP 2720/2720

STR 487

DEX 328

VIT 469

INT 320

AGI 311

MND 397

LUK 80

スキル

言葉理解

体術LV8

剣術LV9

大槌LV7

盾LV6

状態異常耐性LV8

土属性LV9

風属性LV8

HP自動回復速度上昇LV7

属性

土・風




ジン・ササキ


LV61


HP 4249/4249

MP 4098/4098

STR 349

DEX 347

VIT 340

INT 353

AGI 429

MND 487

LUK 100

スキル

言葉理解

剣術LV13

刀LV9

状態異常耐性LV8

風属性LV6

闇属性LV8

隠蔽LV10

HP自動回復速度上昇LV6

MP自動回復速度上昇LV6


属性

風・闇



ヴェレス・ドレット


LV 69


HP 3769/3769

MP 4987/4987

STR 250

DEX 441

VIT 289

INT 481

AGI 358

MND 485

LUK 50


スキル

超解析

作法LV17

解読LV9

剣術LV10

体術LV7

料理LV5

威圧LV5

状態異常耐性LV5

時空術LV12

アイテムボックス


属性

時空魔術(ユニーク)






「ヴェレスさん、転移お願いしていいかな?」


 勇志は方針を全員に伝えて、了承を得てから、ヴェレスに転移魔術を使うようにお願いした。


「はい、一度あの森に行った事があるので、問題なく行けます」


「よし、じゃあ、明日は転移門付近の森でレベリングだ!」



………

……


「はぁ……はぁ……くそっ!」


 信喜はやけくそに魔術を使う。


「信喜、落ち着きなさい!」


 その行為を緋凪が注意する。


「お、おう……。だけどよ、このまま防戦一方だと押し切られるぞ」


 そう言って、信喜は周りを見る。


 ヴェレスを含む自分達を、ドレット王国勇者が守るように戦っている。


 そう、今は大量の魔物に囲まれているのだ。


 そして、今にも突破されようとしているのだ。


「何でランク10以上の奴らがこんなにもいるんだよ……」


 ポツリと信喜が呟いた瞬間、遂にその時が来た。


「ヴェレスちゃん!MPポーションを!」


「…………!?ミオさん!MPポーションが切れています!!」


「そんな!私ももうMPが……!」


 補助がなくなっては、今まで通り守りながらは難しくなってくる。


 すると、必然的に魔術が多くなる。


 その魔術も遂に底が来た。


「しまった!!3匹そっちに行った!」


 魔物が3匹勇志達を突破する。


 その3匹はランク12で、補助なしのライズ王国勇者では難しい。


「師匠!こっちは大丈夫だ!今はそっちに集中してくれ!」


 いつも無言の仁が、先陣切って漏れた魔物を相手する。


 それに続いて、信喜が1匹、緋凪と琴音が1匹を相手する。


 しかし、それも長くは続かなかった。


「MP切れ!?やばい!!」


 魔術師の鈴のMPが切れたのだ。


「くっ!」


 何とか攻撃を回避する鈴。


 しかし、魔物はその隙を狙って、勇志達を突破する。


 万事休すかと思ったその時。澪、鈴、ヴェレスが同時に反応した。



 そして――――。




「「「伏せて!!!」」」


 3人は威圧を使って発したため、ライズ王国の勇者は、行動を中止してしゃがんだ。


 勇志と大地は威圧は効かなかったが、指示通りしゃがんだ。


 その刹那、確かな異変が起こった。


 全ての魔物が氷漬けにされていたのだ。


 9人はその光景に唖然としていた。

 その中でも、澪、鈴、ヴェレスは若干冷汗を流していた。


 この3人は理解しているのだ。


 この魔術は王級以上の魔術だと。

 そして、無詠唱で放たれたことも。


 この魔術を使ったのは誰なのか……。

 この中で一番魔術に長けている鈴が、放った魔術師の位置を大体特定する。


 そして、その人物を見た瞬間。鈴は目を見開いた。



「大丈夫ですか?」



 何と、そこには紫に近い青の髪の色をした、鈴と変わらない身長の兎族がいたのである。

王国の規則とかわからん!

ステータス考えるのがホント疲れる。


さて、紫色に近い青色の髪の兎族…?

身長は鈴と変わらない?

誰なんでしょうね?


感想待ってます


それと、遂に熱を出しました

ですが、以前のように完全無気力状態ではないので、小説は書けます!

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