<< 前へ次へ >>  更新
30/127

27話 魔神VS強斎っぽい

PVが200万超えてました!読者の皆様!本当にありがとうございます!


不定期ながらこれからも頑張りますので、応援よろしくお願いします!


魔神ちゃんの名前候補が結構来ててびっくりしました……!

「どうする?ここで戦う?」


 魔神と呼ばれていた虚無の精霊の女性は強斎の奴隷を見て、強斎に問う。


「いや、ここじゃ草原が大変なことになる。場所を移そう」


「当てはあるの?」


「あそこに地下への入口があるだろう?あれは迷宮だ。あの中で戦おう」


「そんな広い空間あるのかしら?」


「無くてもお前だったら簡単にできるだろう?魔神さんよ」


「それもそうね」


 そうして、強斎達は奴隷を連れて迷宮に向かった。


「その子達も連れてくの?」


「ああ、いくら強くても気絶してたら危ないだろ」


「奴隷に親切なのね」


「仲間だからな」



………

……



 強斎と魔神は問題なく迷宮の最下層にたどり着いた。


「全く、下級魔物じゃ準備運動にすらならないじゃない」


「流石は魔神様だな」


「あなたこそ、見ただけで殺すとか何者よ。もしかしたら私より強いんじゃない?」


「それはどうかな?それより、この最下層を改造するぞ。ここはまだ発展途中だ。後、一つ上の階層の安全エリアにこいつらを置いていく」


「素直に私に頼みなさいよ」


「はいはい。俺はこいつらを安全エリアに監禁するから、その間広い部屋を作っておいてくれ」


「りょーかい。でも、迷宮ってすごいわね。何かの結界かしら?」


「どういう事だ?」


「どれだけ下に行っても、どれだけ横に広げても終わりが見えないのよ。上は別だけど」


「そうか。なら、うんと広い空間を作ってくれ」


「ふふ、楽しみにしてなさい。オールアトリビュートどうしの戦いだもの。人間界ぐらいの面積にしてあげるわ」


「そこまでしなくていい。街一つぐらいの大きさで十分だ」


「そんなの一瞬じゃない」


「それでいい」


「むー」


 魔神は可愛らしく頬を膨らませた。


(……見た目じゃ全く魔神に見えんな)


 そう思って、強斎は一つ上の階層に向かった。


………

……


「作るのはえーよ」


 強斎が奴隷達を安全な場所に監禁・・して、最下層に戻ってきた時には膨大なフロアが広がっていた。


「だから言ったでしょ?一瞬だって。あなたの様子を見る暇もあったわ。わざわざ、中から出れない様にしなくてもいいんじゃない?」


「言ったろ?仲間だって」


「ふーん。私と互角以上に戦える自信があるわけ?」


 その問いに強斎は静かに首を振った。


「いや、ワンサイドゲームだろうな」


「わんさいどげーむ?」


「流石にわかんないか。一方的な戦いになるってことだ」


「へー……わかってるじゃない。降参するなら今のうちよ?」


「何を言っている。お前が一方的に負けるんだよ」


「私が?言っておくけど、私。どの精霊王よりも強いのよ?そして、力は神にも等しい……その私が一方的に負けるとでも?」


 若干苛立ちが見えてきた魔神。


「ああ、そうだ。お前は俺に一方的に負ける。なんなら俺に全力で殴ってこいよ。魔術でもいいぜ?」


 すると、魔神は不敵に笑い出した。


「ふふふ……この私相手にここまで余裕なんてね……。いいわ、その言葉……後悔しなさい!」


 そう言うと、魔神はふわりと浮き出した。


「属性『世界を破壊する者』発動!!」


 すると、魔神の周りを透明なモヤが覆った。


 しかし、それだけでは終わらなかった。


「『限界突破』発動!『超越者』発動!!『覇者』発動!!!『終焉』と『虚空』を合成!」


 不可視のオーラと言うべき物が魔神を覆っていた。

 手には白に近い球体と、闇よりも深い、宇宙の様な色をした球体が混ざり合っていた。


 その不思議な光景に強斎が見とれていると、魔神が口を開いた。


「ふふふ……何事かと思っているわね……。いいわ、説明してあげる。属性『世界を破壊する者』はSTRとINTを5倍にする属性よ。そして、『限界突破』はLUK以外の全ステータスを2倍。『超越者』はLUK以外のステータスを3倍。『覇者』はLUK以外のどれかを10倍にするスキルよ……」


 そして、魔神は強斎を見下ろしながら話を続けた。


「そして、今発動している魔術は、虚無属性以外で造った属性の神級虚無魔術と、虚無属性で造った神級虚無魔術……。そうね、『混沌カオス』とでも名づけましょうか」


 そして、その『混沌』を強斎に向ける。


「私をナメた事を後悔することね」


「おいおい、俺を消し飛ばしていいのか?俺が欲しいんだろ?」


「大丈夫よ、消し飛んだ瞬間に治してあげるから」


「あっそ……。まぁ、その程度の魔術じゃ俺には効かないがな」


「へ、へぇ……まだ余裕でいられるの?言っとくけど、私のINT元の300倍よ?精霊王のINTの300倍よ?魔術の元である精霊の王の中でも、最強の私の全力の300倍よ?わかってる?」


「いいから撃ってこいよ。その程度、魔力弾で黙殺できるわ」


 そう言って強斎は手に魔力を込める。


 魔力弾とはMPさえあれば、属性がなくても使える初歩の初歩魔術である。


「ここまでナメきってるなんてね……いいわ、消し飛びなさい!」


 そう言って魔神は『混沌』を強斎に放った。


 空間が歪み、地形や空気の流れが一瞬変わる。

 そのような威力が強斎に放たれた。


 しかし……。


「ふっ」


 強斎は鼻を鳴らし、余裕の表情で魔力弾をぶつける。







 そして――――――。







「え?」


 『混沌』がいとも簡単に消し飛ばされ、更に、威力を殺さないまま、魔力弾は魔神の右頬の真横を通った。


 その一連の出来事に魔神の思考はフリーズした。


 しかし、それを気にもせず強斎は口を開いた。


「初めて魔力弾を使ってみたが……本気出さなくてよかったな。これ、本気出したらヤバくないか?」


 そして、魔神のフリーズした思考に、鈍器で殴られたような衝撃が走った。



 ――――本気ではない。



 強斎はこう言っていた。



「う……そ…………あの威力の魔力弾が本気じゃない……?なんなのよあなた……。……本当に生物?人外や化物なんてレベルじゃないわよ…………!神より全然強いじゃない……!」


 魔神は強斎の規格外さに恐れ始めてきてしまった。


 冷汗を流し、小刻みに体が震えている。

 若干目元に涙を溜めていた。


 何も知らない人がその光景を見たら、全裸の超美女が目の前の男に犯されそうになり、恐怖で震えているようだ。確実に通報ものである。



 その魔神とは思えない雰囲気を出している魔神に、強斎は近寄る。


「おい、この程度なのか?」


「ひぃっ!」


 何とも可愛らしい声で、小さな悲鳴をあげる魔神。


 そして、この姿を見て、強斎はとある事を思っていた。


(やべぇ……超楽しい……)


 サディスト強斎の誕生である。


「この程度なのかと言っている!」


 大声をあげた強斎にびくりと怯える魔神。


 小刻みではなく完全に震えている。


「あ……あ……あ……」


「あ!?なんて言ったんだ!?」


「ひぃっ!!」


 強斎が声を出すたびにびくりと反応する魔神。


 遂に丸まってしまった。


「おい、さっきの余裕はどこに行ったんだ?いいから立てよ、そして続けようぜ?戦いをよ」


 その時、魔神は強斎の顔を見て、完全に恐怖を感じた。


 まるで、悪魔の様ににやりと笑っていたのだ。


 強斎はただ、魔神の反応が面白くてにやけているだけなのだが、魔神にとっては、たまったもんじゃない。


 そして、その顔を見てから魔神は狂った様に声をあげた。


「うああぁぁぁぁぁ!!!」


 ガバッと起き上がり、強斎に殴りかかった。


 その不意に強斎は驚き、無防備の体に拳が当たる。


 空間が歪むほどの攻撃力。


 その拳を、無防備な体に当てられても全く痛みを感じていないような人間。……いや、化物。


 それを魔神が一番実感していた。


「っ!っ!!」


 何発も殴るが強斎にダメージは与えられない。


 悪魔の様ににやけているだけだ。


 強斎は半泣きで殴る超美女に、罪悪感で苦笑いをしていただけだが。



「なんでっ!なんで!!」


 一点集中の身体強化で殴る。


 至近距離での『混沌』を発動する。


 あらゆる方向から、あらゆる神級魔術を当てる。



 ――――その全てが強斎には無駄だった。



「そんな……そんな……!」


 何をしても無駄だとわかった魔神は、その場でへたり込む。


 そして、その魔神に強斎は止めの一言を言った。


「言っとくが、俺は攻撃型だ。防御より攻撃の方が圧倒的に高い」


 魔神にはこう聞こえてしまった。


『俺は防御力より攻撃力の方が高い。だから、お前など簡単に消し飛ばせる』


 と。


 その瞬間、魔神の涙腺は崩壊し、戦意を喪失した。


「ひぐっ……ごめんなさい……ごめんなさい……」


「え?あ、ああ」


 戦意を喪失したといえ、先ほどの強気の女性とは全く思えない。まるで子供のようだった。


「私の……負けです……ひぐっ……だから……なんでもしますから……殺すのは……やめて下さい……ぐすっ……もう……一人は嫌なんです……」


 そして、強斎は大きな罪悪感に浸かった。



 この女性は、ただ構って欲しかっただけだったのだ。



 実体がある時は、圧倒的な力のせいで必然的に一人。


 そして、一人のまま消されてしまった。


 それから幾年もの間、一人で虚無の属性を使える者を、無限と思える時間待たされ続けた。



 そこまで考えてから、強斎は胸が痛くなった。


(ったく!何やってんだ俺は!!)


 ただ楽しいから。そんな理由でこの女性をからかっていた。


 そう、魔神とはいえ女性だ。


 その事実が更に強斎を苦しめる。


 強斎はもう一度、泣いている女性を見る。


(全く……どうしてこう……同じようなことが起きるのかね……)


 ふと思い出したのはこの世界のどこかにいる、一番最初の親友。


(この姿を見ていると、あの時の澪を思い出すな……)


 そこで大きなため息をついた。


 そして――――。



「おい」


 強斎はその女性に声をかけた。


 未だにビクビクしている。


「負けを認めろ。そして、俺について来い。俺がお前を孤独から守ってやる」


「え?」


 突然の強斎の言葉により戸惑う女性。


「お前は今まで孤独だったんだろ?じゃあ、俺がお前の仲間になってやる。一番最初のな」


 段々と意味を理解してきた女性。


 そして、その女性は口を開いた。


「……はい。私の負けです」


 その時、女性の体を光が包み込む。


 その出来事に、強斎は驚きを隠せなかった。



「……これは?」


「精霊契約で、私があなたの……いえ、主人の配下になった時の現象です」


「これが……」


「はい、それでは主人。私に名前を下さい」


「名前か……そうだな……」


 そして、強斎は虚無の精霊王にて魔神の女性に名前をさずけた。


 その名前は…………。









「――――――お前の名前は『ゼロ・ヴァニタス』だ。これからよろしくな。ゼロ」


「はい、主人」


「それと敬語はやめろ。さっきまで敬語じゃないのにいきなり敬語とか。お前も嫌だろう……?」


 レイアの場合はどうなるんだと誰かが突っ込んだだろう。


「そうだな、ちょいと敬語は疲れる。心が弱くなると自然と敬語になってしまうのだな?」


「それは知らん」


「だが、ありがとう。これから私は『ゼロ・ヴァニタス』……ゼロとして生きるわ。よろしくね、主人」


「ああ」



 こうして、最強の仲間を手に入れた強斎であった。

色々な名前を募集しています。


今回のゼロ・ヴァニタスの意味ですが


ゼロはお馴染みの、無、全ての元、と言う意味で使わせていただきました!

で、ヴァニタスですが、ラテン語で虚無や空虚と言う意味らしいので……


虚無の元と言う感じで決めました!


たくさんの名前、本当にありがとうございます!


次回は閑話の澪ルートか勇者視点を考えています。

もしかしたら、普通に進めるかもしれませんがw


では、感想待ってます!

<< 前へ次へ >>目次  更新