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22話 新しい勇者っぽい

これで……10万文字だ!


これで寝れる!

 強斎が街を旅立った頃。

 ホルス・ドレットの耳にとある情報が入ってきた。



「なに?ライズ王国がか?」


 ゆったりと座っているホルスは興味ありげな顔で、その言葉に耳を傾ける。


「はい、ライズ王国が勇者召喚に成功したので、共に魔族を滅ぼそうと申し出てきました」


 「ほほう」と微笑しながら、考えるホルス。


「ライズ王国には異世界から召喚する手段があったのか……?。まぁいい。こちらとしては賛成だが、勇者様方の意見も聞かねばな」


「では、国王様は賛成と言う事で?」


「ああ」


「承知しました」


 情報を伝えた者は立ち去ろうとするが、ホルスはそれを止めた。


「で、何故ライズ王国は勇者を召喚したのだ?」


「実は……シッカ王国に、下級竜の大群と魔族が現れた様で……」


「ほぅ、ようやくあの国が潰れたか」


 愉快そうにニヤけるホルス。


 ドレット王国とシッカ王国は敵対しているのだ。



 しかし、直ぐに真剣な顔つきになる。


「いえ、シッカ王国は全くの無傷です」


「なに?」


「傷があるとすれば、その城下町周辺にある、魔物が出る森が、魔族のせいで半壊したぐらいでしょう」


「あの森を半壊だと!?」


「ええ」


「それほどの魔族が現れて、何故無事なのだ!」


 怒鳴り声を出すホルス。

 この男は、シッカ王国に対して異常なまでの敵対心を持っている証拠だ。


「魔族はそれっきり現れなくなったそうです」


「森を半壊させる程の魔族が……」


「半壊だけではなく、いくつものクレーター、森に現れる上位魔物の不可思議な集団逃走。中位魔物は気絶。下位魔物や動物に関してはショック死。そのような場所があったそうです」


「上位魔族か……」


「はい。恐らく、人間には興味がない魔族かと」


「そうでなければ、既にシッカ王国は無い……。それで?下級竜の方は何なんだ?」


「とある冒険者が、蹴散らしたようです」


「それは、あのベルクとかいう男か?」


 ホルスは、シッカ王国にいる、この世界でも指折りの冒険者の名前を出した。


 しかし、情報を伝えた者は首を横に振る。


「確かに、それ程の冒険者でしたら下級竜10匹ぐらいなら倒せるでしょう……ですが」


 一つ間を置き、ホルスの目をしっかりと見る。


「現れた下級竜は3桁でした」


「なんだと!?」


 ホルスは目を見開き、立ち上がる。


「そのような大規模災害が起きて、何故無傷なんだ!」


「ですから、とある冒険者が蹴散らしたと言ったでしょう」


 少し強い口調になるその者は、言葉を続けた。


「その冒険者は、他の騎士や冒険者が出撃する前に、駆逐したとのことです。しかも、対人戦でも優れており、あのベルクが赤子の様に遊ばれたとのことです」


 口を開いたまま止まっていたホルスだが、何とか帰ってきた。


「そのような奴が……そやつが森を半壊させた魔族ではないのか?」


「それは違うようです。聖水を飲んでもピンピンしていたようですし」


「飲んだのか……。で、その冒険者の名は?」


「その冒険者の名前はショクオウ。性別は男で女性二人とパーティーを組んでいるそうです。そして、何より食に目がないと……」


「そんな奴が、シッカ王国等にいたとはな……。まだ、戦争を吹っかけるのは早いか……」


「ええ、その冒険者が協力するならば、勝ち目は無いでしょうね」


「そうだな……よし。物は試しだ。使える物は使ってその冒険者を引き抜きに行け」


「承知しました」


 そう言ってその者は立ち去った。


 そして、ホルスは考えた。


(ショクオウ……この男が勇者様方と協力してくれればどれだけ心強いか……。それに、ライズ王国との協力か……。魔族の破滅は我が代で決めてみせる!)


 そう、誓うのであった。



*



 同時刻、とある迷宮で。




「17年の波紋!」


「鈴!?それ何のネタ!?ってか、495年なんじゃ……」


 突っ込む澪を無視してオリジナルの魔術を使う鈴。


 オリジナル魔術は消費が大きく、しっかりとイメージを描いた属性技しか使えないが、使い様によっては中々の効果を発揮する。


 余談だが、オリジナルを使えるようになると、ある程度詠唱破棄、無詠唱が出来る。


 勇者一行がいる場所は、アンデッド系の魔物が出るエリアだ。


 このエリアがある迷宮はドレット王国よりライズ王国寄りにある。



 鈴が出した魔術はアンデッド系の弱点である光属性を圧縮して、指定した球体空間まで広がり、数回反射すると言う技だ。




「やった~!レベルアップ!」


「この階層は鈴にとって都合のいい場所だな。そしておめでとう」


「えへへ」


 大地に褒められてニヤける鈴。



「皆、一度ステータスを確認しよう」


 そう言って、指示を出す勇志。



ユウシ・スズキ


LV68


HP 7750/8200

MP 7800/8000

STR 804

DEX 799

VIT 800

INT 798

AGI 862

MND 805

LUK 100

スキル

言葉理解

超解析

聖騎士Ⅱ

作法LV6

剣術LV15

威圧LV7

状態異常耐性LV9

火属性LV9

水属性LV8

土属性LV8

風属性LV9

光属性LV10

闇属性LV7

HP自動回復速度上昇LV8

MP自動回復速度上昇LV8

限界突破


属性

火・水・土・風・光・闇





ダイチ・タカミ


LV64


HP 9821/10600

MP 6500/6800

STR 978

DEX 657

VIT 977

INT 620

AGI 622

MND 654

LUK 100


スキル

言葉理解

超解析

作法LV6

盾LV12

大盾LV11

大槌LV11

剣術LV11

刀LV7

威圧LV5

状態異常耐性LV10

気配察知LV6

火属性LV7

土属性LV8

光属性LV9

HP自動回復速度上昇LV10


属性

火・土・光




リン・ハネダ


LV62


HP 5900/5960

MP 7910/9180

STR 500

DEX 931

VIT 574

INT 994

AGI 637

MND 1029

LUK 100


スキル

言葉理解

超解析

作法LV8

体術LV8

威圧LV5

状態異常耐性LV9

火属性LV11

水属性LV12

光属性LV14

闇属性LV10

MP自動回復速度上昇LV9

魔術攻撃力上昇LV10


属性

火・水・光・闇




ミオ・トウヤ


LV59


HP 5200/5200

MP 3360/4100

STR 476

DEX 650

VIT 541

INT 1140

AGI 678

MND 850

LUK 100


スキル

言葉理解

超解析

体術LV4

回復特化

付属魔術

威圧LV3

料理LV14

作法LV11

僧侶Lv10

ヒール・ハイヒール・エリアヒール・ヒールライト・リジェネ・光の刃・解呪・状態異常回復

状態異常耐性LV9

HP自動回復速度上昇LV7

MP自動回復速度上昇LV9


属性

回復特化(ユニーク)

付属魔術(ユニーク)



「私、もうすぐ勇志と10LV差だ……」


 がっくりと肩を落とす澪。


「あはは……」


 思わず苦笑いをする勇志。


「笑い事じゃないよ~……ただでさえステータス低いんだからさ……」


「よく言うわね。澪のステータスでも騎士団長圧倒できるじゃない。魔術なしで」


「でもさ、こう……皆と比べるとね……」


 大きくため息をつく澪。


 その時、どこからか大きな物音が聞こえた。


「今のは!?」


 鈴が思わず口に出した。


「上から聞こえたから、地上に近いね。でも、ここまで音が聞こえる魔術なんて……普通の冒険者じゃないね」


 真剣な顔つきで分析する勇志。


「とりあえず行ってみよう。もしかしたらユニークモンスターかもしれん」


 そう大地が提案する。



 ユニークモンスター、別名『亜種』。


 姿は元の魔物に似ているが、形や色が違う。

 特に変わっているのはステータスである。


 最弱のユニークモンスターでもランク8に相当する。





「そうだね、急ごう」


 勇志の合図と共に、勇者一行は駆け出した。



………

……


 勇者一行が上に登って行き、地上に近くなって来た時、魔物と戦闘している者達がいた。


「やっぱりユニークモンスターか……」


 魔物を見て噛み締める大地。


「あれは、ゴブリンの……大地が正解だったね。見た感じ結構ピンチみたいだから、助太刀しよう。……鈴はあの魔物の動きを止めて!澪は僕たちに強化魔術をかけた後、あの人たちを回復させて!」


「「了解!」」


 大地と勇志が地面を蹴り、その間に澪が二人に強化魔術をかける。


 魔物が二人に気がつく前に、鈴が魔術で魔物の足止めをする。


「アクアミスト!」


 濃密な霧が魔物を襲い、視界を塞ぐ。


 襲われていた者達も驚いていた。


 魔物が急な出来事に驚いている隙に、大地がメイスで魔物を殴る。


 鈍い音がして、数メートル魔物が吹っ飛んだ。


 しかし、魔物は絶命しておらず、さらに霧の外に出てしまっていた。


 だが、確実に怯んでいた。


「縮地!」


 その隙に、勇志が一瞬で距離を詰めた。


 そして、UR級の聖剣に魔力を込めて一閃した。


 その一撃により、魔物は絶命した。








「ふぅ、君達、大丈……夫……?」


 勇志は少々驚いていた。


 なぜなら――。



「澪……ちゃん?」


「ひな……ぎ……?緋凪じゃない!」


 助けた人達が日本人顔だったのだ。



………

……



 勇者一行が助けた人は、


 松前まつまえ緋凪ひなぎ 女


 蓬莱ほうらい琴音ことね 女


 帆刈ほかり信喜しき 男


 佐々ささきじん 男



 全員日本人だ。



 緋凪の身長は澪より少し低い程度。それでもって、胸も澪より少し小さい。

 しかし、スタイルも顔立ちも驚く程整っており、サラサラの黒髪は少し長めだが、笑顔がかなり似合っている明るい女性。

 澪とは中学校からの幼馴染み。高校も一緒の予定だったが、学力が足りずに別の高校になった。



 琴音は澪と同じぐらいの身長だが、若干胸が大きい。

 少し茶色が入っているサイドテールで、少し長めだ。

 無口で大人っぽい印象があるのだが、寂しがり屋。



 信喜はガッツリとした体型で、身長も大地並み。それでいて太っていなく、顔もイケメンの類に入るであろう。

 自己中心的で少々自慢するところがあり、その度に緋凪を見ている。が、無視をされ続けている。


 仁は勇志と同じ身長、体格をしている。そして、勇志とはまた別のイケメンだ。

 勇志がさわやか系だったら、仁はクール系になる。

 髪も男にしては長く、落ち着いた雰囲気を漂わせている。

 だが、何故か勇志を尊敬する目で見ている。





 お互いに自己紹介が住んだところで、勇志が口を開いた。


「君たちは何故この世界に?」


 それに答えたのは、このグループである緋凪だ。


「何か、私達は勇者で、魔神を倒してくれって言われたのよ。それで、魔神を倒したら地球に帰れるって。ものすっごい嘘臭いよね」


 諦め半分といった感じで笑う緋凪。


 そして、緋凪は言葉を続けた。


「君たちはさ、行方不明になった高校生だよね?まさか、澪ちゃんも入っているとは思っていなかったけど……。って、あれ?行方不明になったのって5人じゃなかったっけ?」


 そう言って、琴音に訊く緋凪。


 しかし、信喜が答えた。


「ああ、5人だったはずだ」


「え、あー……うん。ありがと。……で?最後の1人は?誰なの?」


 緋凪は軽い気持ちで訊いたのだが、勇志達は、悔しみと感じられる暗い顔をした。


「え?ええ?ど、どうしちゃったの?」


 その変わり様に慌てる緋凪。


 次に口を開いたのは澪だった。


「緋凪……最後の1人はね………………強斎だよ」


「え!?」


 すると、緋凪はこれまでにない程明るくなった。


「ホント!?強斎君が!?どこに……どこにいるの!?」


 澪の肩を揺する緋凪。


 向日葵の様な笑顔の陽凪とは対照的に、暗い顔して目を合わせない澪。


 その行動に緋凪は不審に思った。


「澪ちゃん?どうしたの?」


「……」


「ねぇ、聞いてるの?」


 無言を貫く澪に、不安になる緋凪。


 そして、重い空間を更に重くする人物が現れた。


「おい!澪と言ったか?緋凪が質問してんだろ!答えろよ」


 信喜だ。


「……」


「っ!……てめぇ」


 無視をしたと思った信喜は澪に近づく。


「やめなさい」


 それを琴音が止めるが、信喜はお構いなしに歩み寄り、琴音を飛ばす。


「きゃっ」

「おっと、大丈夫かい?」


 少し離れていたはずの勇志が琴音を受け止める。


「あ、ありがとうございます……」


「いや……いいさ」


 勇志は琴音を立ち直らせ、スっと信喜を睨んだ。


 そして、行動に移す前に、信喜を止めた者がいた。



「あんた、女の子突き飛ばして、『ごめんなさい』の一つも言えないの?」


 鈴が立ち塞がった。


「うっせぇよ。お前みたいなチビが俺を止められるとでも思って――」

「はぁ?」


 同時に威圧をかける鈴。


「!!?」


「この程度の威圧で怯むなんてね。あんた、それでも前衛?」


「……っ」


「ふん、人間なんだから喋りたくない事ぐらいあるでしょうが。それぐらい――」

「いいの」


 察しなさいよ、と言おうとしたところで、澪が口を開いた。


「澪……」


「辛いのはみんな同じ。緋凪だって、いつか知ることになると思うから」


「わかった」


 信喜を蚊帳の外にして会話が終わった。



「澪ちゃん……どういう事?喋りたくない事?辛い?いつか知ることになる?わけがわからないんだけど……」


「大丈夫、今から説明するから。強斎はね、この迷宮にはいないよ」


「もー……もったいぶらないで教えてよ……久しぶりに強斎君とお話したいし」


 強斎の話に戻った途端、期待を膨らませる緋凪。

 だが、その中には不安もみられる。




「強斎は……強斎はね……」


「え?澪ちゃん……どうして泣いてるの……?」




 中学校では一度も見られなかった澪の泣き姿に戸惑う緋凪。


 しかし、その緋凪を無視して澪はとある一言を言った。










「――――――強斎は…………死んじゃった」









「え?」


 緋凪は処理が追いついていなかった。



「なんて……言ったの?」



 確かに聞き取れていたはずだが、聞き間違いだと願ってもう一度訊いた。


「強斎はもう、この世界にいない。日本に帰ったとかじゃなくて、帰らぬ人になったのよ……!」



 ポロポロと涙を流しながら緋凪を見る。



「強斎はね、私たちのせいで死んだの!巻き込まれてこの世界に転移して、

属性もなし、スキルも一般的、ステータスも私たちより全然低い!それで、私たちが浮かれていたせいで、強斎は無差別に転移された!……知ってる?この人間界の地上に転移する確率、単純計算で0.3%未満だよ?上手く地上に転移したとしても、魔物に殺られるか、餓死するか、盗賊に襲われて死ぬか、死ぬより酷い目にあうかだよ?この世界の冒険者って無償で人助けなんてしないから、盗賊と一緒だし……。街中に転移しても、一文無しだから不法侵入で奴隷堕ち……。それが3ヶ月前だよ?」



 殆ど八つ当たりに近い言葉を受けた緋凪は、その場で崩れ落ちた。



「そんな……強斎君が?……嘘……嘘だよね?嘘って言ってよ……!澪ちゃん!」


「……」



 澪の悲しき目を見て、これが嘘ではないと本能的に感じる緋凪。


 この空間は1人を除いて暗くなった……。


「強斎……君……なん……で、なんで先に……逝っちゃうの……?置いて……いかないでよ……逢いたい……逢いたいよ……」



 緋凪は溜まっていた涙を流し始めた。


 緋凪もまた、強斎を一途に想い続けた一人だ。


 信喜はその姿を見て、チャンスかと思ったのか、緋凪に寄っていく。


「おい、緋凪。泣くんじゃねぇよ。……俺がついているからさ。な?だから、強斎なんて奴どうでもいいじゃ――――」



 ――――殺気。



 信喜が『強斎なんて奴どうでもいい』と言った瞬間に圧倒的な殺気が信喜を襲った。


 それは物理的にも行われていた。


 鈴の適度な威圧で怯んだ信喜が、4人全員から全力の威圧を浴びさせられていた。


 勇志は剣先を、大地もメイスを向けている。

 鈴は無詠唱でのファイアボールを、澪も光の刃を出していた。


「あ゛あ゛あ゛……」


 信喜は今までにない恐怖を感じて、その場に尻餅をついた。


 それを勇志は冷ややかな目で見て、口を開いた。


「君さ、女性をおとすのに、強斎なんてどうでもいいなんて言葉、使わないでよ。強斎を敵に回すなら……例外なく僕らの敵だから」


 ギロリと信喜を睨む。


「ひぃっ!」


 信喜は情けない声を出すと同時にコクコクと頷く。







 未だに絶望している緋凪に澪は話しかける。


「緋凪」


「……」


「私たちはね、日本に帰らない」


「……」


「強斎を生き返らせるために」


「!?」


 その言葉に異常な程に反応する緋凪。


「で、できるの……?」


「わからない。でも、魔神を倒したら願いが叶うって言うのを、今は信じなくちゃならない。嘘臭くてもいい。希望が消えない限り、諦めない」


 まるで、自分に言っているように呟く澪。


「だからさ、一緒に倒そ?魔神。緋凪たちを巻き込んじゃうけど、それでもいいなら」


 緋凪の決断は即決だった。


「いいよ。でも、残念ながら私のメンバーを巻き込むことは出来ない」


 緋凪一人が良くても、他の面々は良くないだろうとの決断だ。


 しかし、その言葉を良い意味で裏切る。


「私は別にいい。殆ど諦めていたしね。それに、地球よりこっちの方が面白そう…………勇志君もいるし……」


 そう言ったのは琴音だった。

 最後の方は誰にも聞こえなかったが。


「俺も、かまわぬ。勇志殿に剣術をご指導願いたいしな」


 今まで無口だった仁も賛成した。


「え?僕?」


 唐突に名前を出された勇志はキョトンとしていた。


「ええ、俺は動体視力にも自信がありますが、あなたの剣筋は全く見えなかった……師匠になって欲しい」


「は、はぁ……」



「お、俺も一緒についていく!俺は緋凪をまも――」

「皆、ありがとう!」


 信喜が言い終わる前に緋凪がガバッと頭を下げた。


「でも、皆ならそう言ってくれると信じてたよ!」


 満遍の笑みの緋凪に皆どこか癒された。


「あ、それと澪ちゃん!」


「どうしたの?」


「強斎君が生き返ったら……負けないから!」



 緋凪の目は色々な感情が混ざっていた。



 不安、安心、絶望、希望、決意、恋、闘争心


 少なくともこれだけは混じっていた。


 そして、今、澪に向けているのは闘争心。



 宣戦布告だ。



 澪はその挑戦を快く受けた。



「いいよ、中学の時の続きしようか。でも、私にアドバンテージがあるわよ?」


「そんなの、私の想う気持ちで強斎君の心を奪ってやる!」


「む……!緋凪にそんなことできるの?中学では、ろくに話せてなかったじゃない」


「で、できるもん!強斎君の心だって……て、貞操だって貰うんだから!全力で処女を守っている私を、なめんじゃないわよ!」



 高々と宣言した緋凪。



 だが、言葉が言葉だった。


 信喜は崩れ落ち、密かに強斎が生き返らないことを願った。


 他の面々はちょっとひいていた。




 ――――澪を除いて。



「わ、私だって、強斎の童貞を貰って、私の処女をあげるんだから!」


 何気に失礼な事を言う澪。


「澪!キャラが!キャラが崩れているよ!」


 その言葉にハッと我に返る澪。


「と、とにかく!私は緋凪の挑戦は受けるわ。でも、負ける気なんてサラサラ無いから」


「強がってるのも今のうちよ!」


 バチバチと、火花が見えそうな視線で睨み合う二人。


 しかし、二人同時に「ふふっ」っと笑った。


 そして、二人はまたもや同時に言葉を放った。


「「そのためには魔神を倒さないとね!」」


 と。


 こうして、ドレット王国とライズ王国の協力が決まった。


………

……


 迷宮から出ようとする勇者達。



 その時、澪が緋凪に話しかけた。


「ところで、4人のステータスだけど……」


「ステータスがどうしたの?」


「いや、ちょっと見ていい?」


「え!?そんなことできるの!?」


「うん、超解析ってスキルでね」


「うわー……プライバシーってなんだろう……」


「緋凪は見れないの?」


「そんなスキルないからね、まぁいいよ、私たちのステータス見て」


「ん、ありがとう」





ヒナギ・マツマエ


LV8


HP 682/682

MP 943/943

STR 54

DEX 60

VIT 59

INT 94

AGI 71

MND 84

LUK 80

スキル

言葉理解

剣術LV3

体術LV3

状態異常耐性LV4

火属性LV2

風属性LV2

光属性LV3

MP自動回復速度上昇LV3


属性

火・風・光




コトネ・ホウライ


LV6


HP 541/541

MP 966/966

STR 51

DEX 56

VIT 61

INT 90

AGI 46

MND 92

LUK 80

スキル

言葉理解

料理LV5

状態異常耐性LV2

水属性LV5

光属性LV5

HP自動回復速度上昇LV2

MP自動回復速度上昇LV3


属性

水・光




シキ・ホカリ


LV7


HP 1055/1055

MP 520/520

STR 102

DEX 53

VIT 88

INT 49

AGI 42

MND 67

LUK 80

スキル

言葉理解

体術LV5

剣術LV4

大槌LV3

盾LV2

状態異常耐性LV3

土属性LV3

風属性LV3

HP自動回復速度上昇LV3

属性

土・風




ジン・ササキ


LV6


HP 819/819

MP 798/798

STR 74

DEX 72

VIT 78

INT 80

AGI 88

MND 100

LUK 100

スキル

言葉理解

剣術LV7

刀LV5

状態異常耐性LV4

風属性LV3

闇属性LV3

隠蔽LV5

HP自動回復速度上昇LV3

MP自動回復速度上昇LV3


属性

風・闇





「どうかな?」


「うーん……平均よりは強いけど……ぶっちゃけ、私たちには劣るね……」


「えー……」


「まぁ、スキルも多少あるし、属性も全員が2属性以上だから、強くなれるよ」


「はぁ……そう言ってくれると嬉しいね……。ところでさ、ステータス見れるスキルがあるなら、何で勝手に見なかったの?ステータス見られたかどうかなんて、わかんないし」


「あー……これは……癖かな?」


「癖?」


「そう、癖」


「ふーん……」


 これ以上追及しない緋凪であった。




*




「勇者様方、実は、話があるのだが」


 あれから迷宮で攻略した勇者達は、久しぶりに王宮に戻ってきた。


「どうしました?」


 ホルスに対応したのは勇志だった。


「うむ、ライズ王国と同盟を結ぼうと思ってな。あそこも勇者を召喚したから、一緒に戦ってもらおうと……」


「それなら既に戦ってますよ?」


「え?マジ?」


「はい、マジです」




色々な名前を募集しています!


強斎に出会った!女性は魅了にかかってしまった!

こんな状態ですね、はい。

主人公モテ過ぎです。


緋凪→新ヒロイン?

琴音→勇志に一目惚れ?

信喜→緋凪が好きで、嫌な奴

仁→言葉が少しおかしい勇志の弟子


こんな感じですね


感想待ってます!




強斎「あ?貞操?ミーシャにあげたけど?」


報われない女性陣!(ニヤニヤ

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