<< 前へ次へ >>  更新
20/127

17話 決意っぽい

ちょいとグロ入ります

「で、どうします?キョウサイ様」


「ああ、半殺しでいいぞ」


「半殺しですか?」


「ミーシャとレイアはまず、手加減に慣れてもらわないとな」


「「わかりました」」



 強斎達は今、囲まれている。





 ――――盗賊に。






「女さえ置いていけば、楽に殺してや――」

「それ以上喋るな、クズが」


 レイアが、威圧で盗賊一行を怯ませる。


「この程度で動けなくなる実力でご主人に挑むなど、笑止千万!」


「良かったですね、ご主人様の命令であなたたちは半殺しで済みますから」



 ここからは、ただのワンサイドゲームであった……。


………

……


「平均LV25の盗賊6人を無力化に11秒か……1桁いけると良かったんだけどな」


「すみません、キョウサイ様。どうも手加減が難しくて……」


「まぁ、しょうがないさ。これから慣れていこう」


「「はい」」


「さて、お前らにご褒美だ!」


 そう言って、強斎は眷属スキル分配を使って、とあるものを渡した。


「ちょうど、こいつらの中にアイテムボックス持ちが二人いたからな。これで、お前らもアイテムボックス持ちだ!」


「ありがとうございます!ご主人様!……で、こいつらどうするんですか?」


 その言葉に対して、強斎は顔を曇らせた。

 この世界に来てから2度、この顔をした。


「あ、え……すみません……ご主人様」


「あ、いや……済まない。ちょっと、向こう行っててくれるか?」


「ご主人様……」


「…………キョウサイ様」


「……」


「何をするのかわかりませんが、私はキョウサイ様の奴隷です。そして、どんなことがあっても、気持ちは変わりません。ずっと愛し続けます」


「わ、私もです!ご主人様を好きになることはあっても、嫌いになることはありませんから……だから――」


 そこで、強斎は二人の頭の上にポンと手を当てる。


「……ありがとう。それじゃあ、少し向こうに行っててくれるか?」


「「はい」」


 そう言って、強斎は二人をこの場から立ち去らした。





 二人が立ち去ったのを確認して、強斎は刀を取り出す。


(恐らく、これで逃げてしまったら、これからもずっと逃げ続けるだろうな……)


 そして、刀を一人の盗賊の首筋に当てる。


(俺は、今までこの行為を避けてきた。どんなに高いステータスを持っていても、怖かった。でも……)


 ギュッと目をつむる。


(今、引き金をひかなければ、俺はあいつらを守れない……!)


 思いっきり目を見開き、強斎は刀を振り抜いた。

 とある人物達を思い浮かべながら。


 その数瞬後には盗賊の首が落ちた。


 その姿を見て、強斎にとある感情が込上がってきた。


(人殺しって、気持ちいいもんじゃねぇな……。それに……)


 強斎はこの世界にいる友人達に向けて、苦笑いをした。


(怒るだろうな……。あいつらは人が良すぎるからな……。ますます会いにくくなっちまったな)


 強斎は内心謝罪しつつ、残りの盗賊を見る。


(俺は、既に人殺しをした。だから、もう躊躇わない)



 こうして、強斎は人生で二度目の人殺しをした。



………

……



「ご主人様……辛そう」


「ええ、私もあんなに辛そうなキョウサイ様は初めてです」


 強斎に立ち去れとの命令を受けたが、見るなとの命令を受けていなかったので、ミーシャとレイアは強斎が何をするのかを見ていたのである。


「まさか、私たちに人殺しするところを見られたく無かったと言う理由だったなんて……」


 レイアがそう呟く。


「私は、薄々勘付いていたわ。アレを見てから様子が変だったもの」


 そう言って、苦笑いをするミーシャ。


「あの時は凄かったな……。強化されたはずの私たちが、ご主人の威圧の余波で、2秒と持たずに気を失ってしまったからな……」


………

……



「これは……酷いな……」


 レイアがそれを見て、そう呟く。


「……」


「キョウサイ様?」


「なんでもない」


「そんな曇った顔をして、なんでもないわけありません。キョウサイ様のそんな顔、初めて見ます」


「そうだったか」


「はい。ですが、これ。どうしましょう……私も、同じ女として憎しみしか湧いてきませんが」


 そう言って、ミーシャはそれ……。何度も犯され、ボロ雑巾の様になっている女性を見た。


「もう、死んでいますね」


 レイアがそう言い、言葉を続けた。


「まだ臭が残ってますし、恐らく終わったばかりでしょう。魔物にも食べられていませんし」


「これは盗賊の仕業ですね。まだこの近くに――いましたね」


 周りにゾロゾロと盗賊が出てきた。


「へへっ!今日は運がいいぜ!こんな上玉――」

「おい」


 今まで黙っていた強斎が、口を開いた。


「この女を殺したのはお前らか?」


「あ?こいつが勝手に死んだんだよ」


「もう一つ訊く。この女を強姦したのはお前らだな?」


「ああ、中々いい女だったぜ」


「そうか」


「だから、お前を殺して、後ろの女を――」

「死ね」


 強斎は今までにない怒りを放っていた。

 そして、1/2で竜の威圧波動を発動する。


 バタバタと倒れる盗賊たち。


 ミーシャとレイアもほんの少しだけ持ったが、直ぐに倒れてしまった。


 直ぐに、竜の威圧波動を解除し、喋っていた盗賊の頭を持ち上げる。


「どうして、俺がこんなに怒っているかわかるか?わからねぇよな」


 ぐしゃりと盗賊の頭を潰す。


 次にまた違う盗賊を拾い上げる。


「なんせ、俺にもわからないんだからな」


 近くにあった木に盗賊をぶつけて、木ごと盗賊の上半身を粉砕した。


 次々に盗賊を拾い、蹴散らしていく。


「俺は、あの女と喋ったこともない。というか一切知らない」


 自分の服が血で汚れるのも気にせずに、盗賊を殺していく。


「でもな、俺はあの女の姿をまともに見ることができねぇんだよ。確かにお前らは一人の女に対して犯し過ぎた。そのせいで、あの女は死んだ」


 最後の一人になったところで、強斎は一度行動を止めた。


「だけどな、それだけじゃねぇ……俺が怒っている理由はそれだけじゃねぇんだ!」


 強斎は最後の盗賊の頭を持ち、地面に叩きつけた。


「あの女を見ているとな!!あいつと……澪と重なるんだよ!!」


 何度も何度も地面に叩きつけた。


 そこには頭などなく、ただの肉の塊があったが、それでも叩きつけた。


「クソッ……なんでだ……なんでだ!!……少し似ているだけなのに……種族すら違うのに……!!」


 だんだんと、叩く力が弱くなってくる。


「なんで……こんな気持ちにならなきゃいけないんだ……」


 強斎は手を止めて、周りを見渡す。


 足元にはクレーターが出来ていて、血の匂いが漂っている。


 そして、もう一度強姦された女性を見た。



 種族は犬。髪の色は茶色で長めのポニーテール。

 顔立ちは澪ほどではないが、整っている。


 だが、澪に似ていた。


 直ぐに見分けがつくが、それでも似ていた。


 強斎はゆっくりとその女性に歩み寄り……。



「済まない」



 そう言って、その女性を燃やした。



………

……


「あの後、私たちが目を覚ました時は普通のご主人だったが……」


「ええ、何か変わってましたね」


「ああ」


「あれが、今回の決意のきっかけだったと言うことでしょうか」


「決意?」


「キョウサイ様は今までに人を殺していません。ですが、今回は殺しました。初めて人を殺すという事は何かしらの決意が必要なのですよ」


「ふーん……。ん?それだと、ミーシャは殺したことがあるのか?」


「ええ、ありますよ。と、言うよりレイアもでしょう?」


「ばれたか」


「当たり前です。さぁ、こんな物騒な話をしていると、キョウサイ様に怒られますよ」


 強斎が、二人の方に向かってきた。


「そうだな――」


「キョウサイ様!」「ご主人様!」


「「お帰りなさいませ!」」

色々な名前を募集しております!

魔術名、魔物名、武器防具名とか特に!


何か、おかしいような気がする…


さて、強斎が澪に対して何か思い始めてきたんじゃないでしょうか?


感想待ってます!

<< 前へ次へ >>目次  更新