2話 巻き込まれたっぽい
女王→王女に変更。
そっちの方がロリっぽいから
ここは、とある世界のとある一室。
「や、やった! 成功だ! 成功したぞ!」
そこで大声をあげる、見た目30代の男性。
「は、はい……成功……です……! お父様!」
そして、何かをやり遂げ呼吸を乱す10代の女性。
「よくやった……よくやったぞ! ヴェレス!」
「ありがとう……ございます……」
ヴェレスと呼ばれた少女は、今にでも倒れそうな程フラフラだ。
「辛いだろうが、勇者の方々を迎えに行かねばならん。歩けるか?」
「スー……ハー……はい!」
*
ここは、とある世界のとある一室。
「……」
強斎は「知らない天井だ」と言いかけたが、その前に声をかけられた。
「ようやく目が覚めたかい、強斎」
「……勇志か」
頭を抑えながらも起き上がり、周りを見渡す。
「あなたが一番最後よ」
「その前は鈴だっただろ?」
勇志だけでなく、鈴や大地もそこにはいた。
「おはよう、強斎」
そして、背後から澪の声がかけられる。
これで全員だ。
「俺はどれだけ横になっていた?」
「うーん、私は鈴の前だったからどれだけって言われてもわかんないかな……?」
「そうか」
「あ、でも勇志ならわかるかもよ? 一番最初に起きたらしいし」
「いや、そこまでして知る必要はない」
強斎はこの状況で冷静になっている四人の様子を見て、内心驚愕していた。
(いきなり別の場所で目を覚ましているのに、誰一人騒ごうとしない……。本当にこいつらはすげぇな)
といっても、強斎もそのうちの一人なのだが。
そんな事を考えているうちに、勇志がスッと立ち上がる。
それに続いて全員が立ち上がった。
各自状況を分析しているのだろう。皆、顔が険しかった。
そんな中、大地がピクリと反応した。
「誰か来る……」
「本当かい?」
勇志の質問にしっかりと頷いた。
「ああ。根拠はないが確実に……な」
すると数秒後、前方にあった扉が開いた。
「失礼します」
扉の先には俗に言うメイドがいた。
五人の視線がメイドに集まる。
メイドは少しだけ不思議そうに見渡していたが、それも一瞬だけだった。
「言葉、通じるでしょうか?」
言葉の意図がわかっていないのか、五人は数瞬無言だった。
いや、強斎だけはとある可能性を考えていたが。
「ええ。問題ないですよ」
流石と言うべきか。
勇志はほんの少し動揺しながらも、しっかりと対応する。
すると、メイドはニッコリと笑みを浮かべてからこうべを垂らした。
「今置かれている状況を詳しく説明しますので、ご同行お願いします」
五人は顔を見合わせ頷いたのを確認すると、メイドは部屋から出ていった。
………
……
…
全員が部屋を出たのを確認したメイドは、先程と同じように礼をして。
「では、参りましょう」
とだけ言って歩み始めた。
五人はそのメイドに黙ってついていく。
「ねぇ、強斎」
「ん?」
澪の顔は少しだけ険しかった。
「ここ……なんかお城みたいだね」
「そうなんだろうな」
「日本にこんな場所ないよね? あるといっても和風のお城……。でも、このお城は……」
「洋風だな」
澪は無言で頷いた。
だが、強斎はお城とかどうでもいいといった感じで聞き流している。
そんなことより、考えるべき事があったのだから。
光に包まれて気が付いたら見知らぬ部屋。
先ほどのメイドの言葉の意味。
そして、この城……。
先程から、電球らしきものを一つも見かけないのだ。
そのことから、強斎はある考えに至っていた。
(これって、もしかしなくても異世界転移されたよな?)
強斎はゲームだけでなく、小説もかなり読んでいる。
その中に、異世界に転移するファンタジーもいくつかあったのを覚えていた。
(それにしても広すぎだろ……)
先程から右に曲がったり左に曲がったりしていて、既に元の部屋に戻れない自信があった。
「なぁ、澪」
「ん?」
「元の部屋に戻れるか?」
澪は後ろを振り向いて手を口元に当てる。
そして……。
「うん、戻れるけど?」
「ちっ」
「えぇ!?」
そんなやり取りが終わる頃、勇志はメイドに声をかけていた。
「すいません」
「なんでしょう?」
「ここは……一体どこなんですか?」
先ほど詳しい説明は後ですると言っていたが、いつまで経ってもその様子がないので、勇志が代表して訊いた。
「ここはドレット王国にある、ドレット城です」
「ドレット王国?」
そこに大地が加わった。
「はい、五大王国の1つでございます」
「って言われても、わからないね」
そして鈴も加わる。
「五大王国とは、このドレット王国、メシア王国、フィリス王国、シッカ王国、ライズ王国の事をさしております。特にこのドレット王国は魔術師が特に多いのですよ」
「「「「魔術師?」」」」
いつの間にか澪も加わっていた。
(面白いぐらいハモったな。だが魔術師か……これはもう、確定だな)
強斎も加わっているのだが、聞き役に徹している。
「はい、火精、水精、土精、風精、光精、闇精の六精霊からお力を借り、魔術を扱う者です。扱うには適性が必要ですが」
(王道ファンタジーだ!!)
内心フィーバーな強斎であった。
………
……
…
強斎がフィーバーしているうちに目的地についたようだ。
メイドは豪勢な扉の前で止まる。
「こちらです」
強斎以外は息を呑む。
そして肝心の強斎と言えば……。
(どうせあれだろ? 王様の娘が「ようこそおいでなさいました、勇者様」とか言うパターンだろ? テンプレじゃん。あ、でも勇者か……言われてみたいな)
と、斜め上を行く考えを持っていた。
「ホルス様、連れて参りました」
メイドが閉まったままの扉に向かって声をかける。
「うむ、入れ」
すると、中から男性の太い声が聞こえてきた。
「では、皆様どうぞ」
そして、目の前の扉がゆっくりと開いた。
扉の奥には何ともいえない、広い空間だった。
そして、左右には防具をつけた兵士がズラリと並んでいる。
この部屋の最奥。そこにはかなり豪勢な椅子があり、そこに見た目は30代の男性が座っていた。
その男性がスッと立ち上がる。
髪の色金髪で、爽やかなイメージがある。
身長は大地や勇志より少し高く、体型は服でわからないが太ってはいないだろう。
「おお、君たちが……!」
興味深く五人を観察した後少し首を傾げたが、また笑顔になった。
「あの……」
「おお、すまんすまん。私の名はホルス・ドレット。このドレット王国の王だ!」
「えっと……」
「ん? 言葉は通じているようだな!」
「ええ、まぁ」
先程から勇志の言葉が通っていない。
「それよりひとついいですか」
「む? なんだ?」
いつもと違う態度の鈴が1歩前に出て、誰もが気にしていたが誰も口にしなかったことを言った。
「――私たちは元の世界に帰れますか?」
メイドの話を聞いてから……あるいはその前から、ここが日本でないことがわかっている。
誰もが疑問に思ったが、口に出す事は出来なかった。
怖かったからもあるのだろう。
そして、その答えは目の前の男から出された。
「――今は無理だ」
「なっ!」
怒りを極力外に出さずに、勇志は声をあげる。
「では、僕たちは貴方達の勝手な都合で、ここに連れてこられたわけですね」
「貴様! ホルス様になんて口の利き方を!」
他の兵士より良さそうな防具を装備した兵士が、勇志に向かって怒鳴る。
「よい、お主は下がっておれ」
「しかし……」
「下がれと言っておる」
「……はい」
若干睨まれたが、おとなしく引き下がる。
「すまんな、許せ」
「いえ」
勇志もその兵士を一瞥しただけで、それ以上は何もしなかった。
そんな勇志をしっかり見て、ホルスは申し訳なさそうにする。
「確かにこちらの都合で勝手に君達を招き入れた。そして、今は元の世界に戻すことも出来ん。すまない」
そう言って頭を下げるホルス。
兵士達がザワザワと騒ぎ出し、さっき下がった兵士が声をあげる。
「ホルス様! こんな奴らに頭を下げる等……」
「黙れ」
「……はい」
頭を上げたホルスは話を続ける。
「確かに今は無い。だが、方法はある」
「本当ですか?」
「ああ。魔王を倒し、神の封印を解いてくれ。勇者達よ。そうすれば、必ずや戻ることができるであろう」
暫くの沈黙。
そんな中、強斎は殆ど呆れていた。
だが、それを破ったのは勇志であった。
「わかりました」
「なっ、勇志!」
あっさり了承した勇志に鈴が文句を言おうとする。
「鈴。多分だけど、この世界はもう危ないと思う」
「え?」
勇志の険しい顔に、鈴はほんの少しだけ戸惑う。
そのすきに勇志は話しだした。
「僕が見る限り、この人は本当に僕たちに悪い事をしたと思ってる。でも、こうするしかないから僕たちを呼んだ。ですよね?」
「理解が早くて助かります」
勇志はホルスに言ったつもりだったが、勇志の問に答えたのは女性の声だった。
そして、その女性がホルスの後ろから出てきた。
澪より背は小さいが、容姿はほぼ同等。
髪はホルスと同じ金髪だ。
「初めまして、勇者様の皆様。私の名はヴェレス・ドレット。ドレット家の次女でございます。そして、皆様をお呼びした時空魔術師でございます」
そう言って、深々と礼をするヴェレス……が、途中で止まって、ガバッと顔を上げた。
「どうしました?」
こういう時は、やはり勇志だ。
しかし、このヴェレス・ドレットは、とんでもないことを言い出した。
「――――――勇者様は4人のはずですが?」
暫く空気が固まる。
そして、ヴェレスは恐る恐るといった感じで語りだす。
「恐らくは、私の手違いで1人多く召喚させてしまったみたいです……。皆様、『ステータス』と念じてみてください」
強斎以外の四人は緊張が見られたが、強斎は……。
(さて、念願のチート設定を拝見するか)
といった感じで浮かれながら自分のステータスを見る。
#
キョウサイ・タカナシ
LV 1
HP 100/100
MP 2000/2000
STR 15
DEX 25
VIT 20
INT 30
AGI 20
MND 500
LUK 500
スキル
言葉理解
超解析
MP自動回復速度上昇LV1
未設定
未設定
未設定
未設定
属性
未設定
#
(み、未設定? それに、MPとMND、LUKが他に比べて高いな……。てか、これってチートか? そんなに高いように見えないが……。だが、超解析か……もしかしたらこれがそうなのかもしれん。使ってみるか)
と、使おうとした時勇志が声を上げた。
「すいません、超解析ってなんですか?」
「超解析はありとあらゆるもののステータスを覗ける、レアスキルの一種です」
へーっと頷く強斎以外。全員超解析持ちのようだった。
それにより、ますます不思議に思うようになった強斎。
「皆さん、私に向かって『解析』っと念じてみてください。
とりあえずは他の人のステータスを見なければ比べようがないので、強斎はヴェレスに使うことにした。
#
ヴェレス・ドレット
LV 22
HP 246/246
MP 17/342
STR 46
DEX 51
VIT 47
INT 60
AGI 50
MND 68
LUK 50
スキル
超解析
作法LV3
解読LV2
剣術LV4
時空術LV6
属性
時空魔術(ユニーク)
#
(王女様強っ! 俺より強ぇ……ってことはもしかして……)
そう言って強斎は他の四人にも超解析を使った。
#
ユウシ・スズキ
LV1
HP 1000/1000
MP 1000/1000
STR 100
DEX 100
VIT 100
INT 100
AGI 100
MND 100
LUK 100
スキル
言葉理解
超解析
聖騎士
剣術LV10
状態異常耐性LV5
火属性LV3
水属性LV3
土属性LV3
風属性LV3
光属性LV5
闇属性LV3
HP自動回復速度上昇LV3
MP自動回復速度上昇LV3
限界突破
属性
火・水・土・風・光・闇
#
#
ダイチ・タカミ
LV1
HP 1200/1200
MP 800/800
STR 120
DEX 90
VIT 120
INT 80
AGI 80
MND 80
LUK 100
スキル
言葉理解
超解析
盾LV8
大盾LV5
大槌LV5
剣術LV8
刀LV5
状態異常耐性LV5
火属性LV2
土属性LV2
光属性LV4
HP自動回復速度上昇LV4
属性
火・土・光
#
#
リン・ハネダ
LV1
HP 800/800
MP 1200/1200
STR 70
DEX 120
VIT 80
INT 120
AGI 90
MND 120
LUK 100
スキル
言葉理解
超解析
作法LV3
体術LV3
状態異常耐性LV5
火属性LV5
水属性LV5
光属性LV5
闇属性LV5
MP自動回復速度上昇LV5
魔術攻撃力上昇LV5
属性
火・水・光・闇
#
#
ミオ・トウヤ
LV1
HP 750/750
MP 1300/1300
STR 70
DEX 100
VIT 75
INT 150
AGI 120
MND 130
LUK 100
スキル
言葉理解
超解析
回復特化
付属魔術
料理LV7
作法LV4
僧侶Lv5
ヒール・ハイヒール・エリアヒール・ヒールライト・リジェネ
状態異常耐性LV6
HP自動回復速度上昇LV3
MP自動回復速度上昇LV4
属性
回復特化(ユニーク)
付属魔術(ユニーク)
#
(おいおい……まじかよ……)
強斎は内心絶望に近い状況におちいってしまった。
そんな強斎を何とも言えない目で見ているヴェレスを含む五人。
ついでに言うと、皆の解析にはこう見えていた。
#
キョウサイ・タカナシ
LV 1
HP 100/100
MP 2000/2000
STR 15
DEX 25
VIT 20
INT 30
AGI 20
MND 500
LUK 500
スキル
言葉理解
超解析
MP自動回復速度上昇LV1
属性
なし
#
強斎はもう一度周りを見渡して、ため息をついた。
「どうやら俺みたいだな」
「強斎……」
澪は強斎を心配そうに見ていた。
しかし、強斎は澪を一瞥しヴェレスに話しかける。
「なぁ、王女様」
「なんでしょう?」
「俺はこれからどうすればいい?」
ヴェレスがほんの少しだけ言葉を詰まらせる。
そんな中、大地が一歩前に出た。
「勇者じゃないから、俺たちと同じように扱わない……って訳じゃないですよね?」
少し睨みながら、新たに質問した。
大地の質問は答えられるようで、ヴェレスはしっかりと頷く。
「ええ、それは保証しましょう。幸いキョウサイさんは勇者様には劣るもの、平均より高いですし同じようにレベル上げをしていただきます」
その言葉を聞いた途端、強斎以外の四人からは隠しきれない安堵の表情が見れた。
強斎は大地を睨むように見る。
大地は何かを勘違いしたのか少し笑ったが、強斎はそんな気分では無い。
(余計な事言うなよな……)
強斎は何かと理由をつけてこの異世界を観光するつもりだったのだ。
ここで、一人の兵士がホルスに耳打ちした。
「部屋の準備が出来たみたいだ。外にいるメイドの指示に従ってくれ」
こうして小鳥遊強斎は、勇者たちに巻き込まれたのであった。
スキル名、ユニーク属性名を常時受け付けております。
説明もつけてくれるとやりやすいです。
最初からチートだと思った?残念!
そんなことしたら、勇者たちと別れられないじゃないですかー
未設定ってなんだろー(棒