11話 出発っぽい
アクセス数が跳ね上がってました…。
読者の皆さん!本当にありがとうございます!
「やぁ!!」
何とも可愛い声を出し、その声に相応しい美貌を持つ金髪のレイア。
そして、その動作を終えた後、強斎の方を向き、最高級の笑顔で手を振っている。
――血だらけの巨大なメイスを持ちながら。
「えいっ!」
こちらも、レイアに劣らずの美貌を持ち、凛々しくもどこか幼さを感じさせる、声。ミーシャ。
魔物の急所を、的確に、素早く仕留め、どこか得意げな顔で強斎の方を向き、褒めて欲しいと言わんばかりに狼耳をピコピコ動かしている。
――短剣を何本もぶら下げながら。
そして、二人が強斎を挟んで、睨み合う形になった。
「意外に早く終わったのね、レイア。力任せに魔物を退治するから、もうちょっと時間かかると思ったわ」
「ふん! 貴女こそ非力だから、もうちょっと時間がかかると思ったわ」
バチバチと、目線だけで火花が散っているように見えるほど、睨み合っていた。
そして、その中心にいる強斎というと……
(スキルが……スキルが奪えない!)
全く無責任なものだった。
……
…
レイアを買ってから、今日で1週間が経った。
レイアも冒険者登録をして、今ではランク4になっていた。
そして、強斎はこの1週間、全く魔物に触っていない。
最初は二人の連携の練習をしていたのだが、既にこの森では、奥地でもオーバーキルだった。
なので、強斎は二人に合った武器を選び、その練習をさせていた。
だが、相手はスキル持ちの魔物。
強斎は魔物に触れてすらいないので、スキルを奪っていない。
そして、練習といえばもう一つ、ミーシャに変化があったのだ。
……
…
「二人共お疲れ様。ところで、ミーシャ、使えそうか?」
「はい。大分慣れてきました」
「そうか、ん? また魔物がきたな……。ゴブリンか……よし、ミーシャ、使ってみろ」
「はい」
ミーシャは、ゴブリンから少し離れた位置から、それを始める。
「――――――『ソイルボール』」
すると、ミーシャの前に土のソフトボール程の球体ができた。
そして、その土の球体はゴブリンに直撃した。
「問題なさそうだな」
「はい。でも、絶命してません。まだまだ訓練が必要です」
「ああ、頑張れよ」
「はい!」
そう言って、ゴブリンにとどめを刺す。
実は、強斎はさっきの技は使えない。
強斎の想像魔術は物を作り出すことは不可能なのだ。
とある方法である程度改善されるのだが、それはまた別の話。
閑話休題。
ミーシャが、何故土魔術が使えるようになったのか。
それは、強斎のとある助言によるものが、原因だった。
*
『ミーシャ、ちょっといいか?』
『どうしたんですか?』
『ちょっと、土魔術使ってみてくれ』
『……すみません。私は……』
『いいから、使ってみて?』
『わかりました……。――――――『ソイルボール』』
しかし、何も起こらなかった。
『これでおわかりに――』
『いや、これでいい』
『え?』
(MPはしっかりと減っている。一応発動しているわけだ。これをLV1まで繰り返せば……)
*
そして、強斎の予想は当たっていた。
ミーシャの土魔術はLV1に上がったのだ。
「さて、そろそろ、宿に戻るか」
「「はい」」
「あ、それと。レイア。」
「何でしょう?」
「今夜、大切な話がある」
「大切な……話ですか?」
ミーシャが一瞬眉を潜めたが、何の話か察したようで、レイアの反応を窺っている。
「ああ、そうだ」
「……はい!」
(なんか、期待の眼差しってのを感じる……)
こうして、ギルドにクエスト達成の報告をして、この街を出て行くことも報告した。
………
……
…
「それで、ご主人様。大事な話とは?」
レイアは真面目に強斎を見ているが、レイアの狐耳はさっきから、ピクピクと運動しているように動いていた。
「ああ、俺のステータスの事だ」
「……そうですか」
見るからに落ち込むレイア。狐耳もシュンとなっている。
「どうした?」
「いえ、何でもありません。それより、本当に見せてくれるのでしょうか?」
「ああ、俺はお前を信用しているしな。だが、この事は言うなよ?」
そう言って、強斎は以前と変わっていないステータスを見せた。
「!?」
流石のレイアもこの数値には驚き、尻餅をついた。
「大丈夫か?」
そう言って、強斎はレイアの手を取ろうとするが、レイアは反応しなかった。
(まぁ、仕方ないか)
そう言って、レイアの手を掴もうとすると、ボソッとレイアの声が聞こえた。
「…………です」
「ん?」
「流石です! ご主人様!」
「んぁ!?」
強斎を押し倒すような勢いで、抱きつかれた。が、強斎は踏ん張った。
「ど、どうしたんだ!?」
ミーシャはレイアを剥がそうと動くが、その前にレイアが更にベタベタくっついた。
「やっぱり私の目に狂いは無かった! 強い強いと思っていましたけど、ここまで規格外なんて! 大好きです! 一生愛します! ご主人様ぁ~!」
キャァー! と叫びながら、強斎の胸に顔を埋めるレイア。
「ご主人様ぁ~ご主人様ぁ~!」
「キョウサイ様!」
レイアがベタベタしている時に、ミーシャが強斎に寄ってきて後ろに回り……。
「私も……一生愛します……大好きです。キョウサイ様……」
ぎゅぅぅーっと抱きついた。
強斎は無言で二人の頭を撫でて、「ああ」と言っていたが……。
(やばい! やばいやばいやばい! 二人同時に告白とか! 可愛すぎんだよ!)
そして、強斎はこの後、二人を美味しく頂いた。
………
……
…
「今まで世話になったな、今日でこの街を出ることにした」
強斎は、朝食をとり、受付の青年にそう言った。
ミーシャとレイアは、外で待ってもらっている。
「かしこまりました。あ、それと……」
「どうした?」
「昨日はお楽しみでしたね」
ニッコリと、言われたくないことを言われた。
やはり気がついていたのだ。
(別に、あいつらとするのが嫌じゃ無いんだが……。何か、言われると嫌だ!)
強斎は「それじゃぁ」と言って、この店を出た。
………
……
…
「お待たせ」
強斎は、外で待っていた二人に声をかけた。
(この二人、時々アレだけど、いつもは仲いいんだよなぁ……)
そう、二人は基本的に仲がいい。
しかし、強斎の事となると譲らないのが二人だ。
「ご主人様! 早く行きましょう!」
そう、レイアが強斎を急かす。
「レイア、あなた行き先わかってるの?」
それを、止めるミーシャ。
「……ご主人様についていけば問題ないもーん!」
そう言って、強斎の右腕に自らの腕を絡めるレイア。
そして、その溢れんばかりの胸を押し付ける。
「あ! ず、ずるい! ……えっと……キョウサイ様……私も……」
「あ、ああ」
その言葉を聞いて、パァァと明るくなり、笑顔で強斎の左腕に腕を絡めた。
レイア程胸は無いが、ミーシャも十分ある。人によっては、巨乳に分類する程には。
強斎は突然の事で少々困惑してきたが。もう、慣れてきたもので、直ぐに肩の力を抜いて、二人の頭を撫で始めた。
――大勢の人の前で。
強斎は、その目線にいち早く気がつき、途中で止めたが、二人は不満なようだ。
そして、ここでテンプレ的な展開が起こった……。
「おい、テメェ! いい女連れてんじゃん。俺に譲れよ」
ニヤニヤと、強斎に言いよった男がいた。
格好からして、まだ冒険者になって短いようだ。
(恐らく、ランク3の魔物で無双して、俺TUEEEってなってる奴だな)
ステータスを見ても、ランク4より少し強い程度だった。
強斎が解析しているのを無視と思ったのか、男は顔を赤くし激怒した。
「おい! 無視してんじゃねぇよ! テメェの耳は腐ってんな!」
そう言って笑いながら強斎に殴りかかるが……。
「クズが。ご主人によるんじゃない」
「グハァっ!」
レイアが男に蹴りを当て、男は数秒宙に浮いた。
そして、その男の上にはミーシャがいた。
「あなたの様な人が、ご主人様に傷をつけられるのは、億が一にもありませんが……。ご主人様を侮辱した罪、受けてもらいます」
ミーシャは男の背中に乗り、地面に叩きつけた。
そして、空気が一瞬静まる…
だが――。
「うおおおお!! 強えぇな! 嬢ちゃんたち!」
歓声が湧き上がった。
「ご主人様……すみません、勝手に……」
「いや、いいよ。ありがとう、ミーシャ、レイア」
そう言って、強斎は二人の頭を撫でた。
「そう言えばミーシャ」
「何でしょう?」
嬉しくて狼耳が ピコピコ動いてるのはスルーする。
「どうして、あの時、俺の名前を呼ばずに、『ご主人様』って言ったんだ?」
「あ……すいません……。キョウサイ様の名前を出来るだけ知られたくなかったので……」
「そういう事か。なら、これからもそうしてくれ」
「はい」
もう一度二人の頭を撫で、この街を出た。
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ミーシャ
LV38
HP 355/355
MP 201/201
STR 93
DEX 110
VIT 77
INT 72
AGI 117
MND 70
LUK 20
スキル
体術LV6
剣術LV3
短剣LV7
料理LV4
土属性LV1
属性
土
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レイア・アンジェリーク
LV39
HP 688/688
MP 152/152
STR 2785
DEX 89
VIT 100
INT 48
AGI 405
MND 99
LUK 30
スキル
攻撃力異上昇
剣術LV3
大鎚術LV6
体術LV6
威圧LV5
HP自動回復速度上昇LV5
限界突破
属性
完全攻撃型(ユニーク)
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スキル名、ユニーク属性名、
さて、主人公は3週間でこの街を出てしまいました…。
次はどんな街に行くんでしょうか?
感想待ってます