10話 勇者達はこうしてるっぽい
強斎がレイアを奴隷にした日……。
勇者一行はとある迷宮に、お供を付けて潜っていた。
*
「大地!下がれ!」
「後は任せたぞ! 勇志!」
大地が敵を惹きつけ、魔物が怯んだところに勇志が大きな一撃を当てた。
その一撃により、魔物は絶命した。
「あ、レベルアップした! これで大地と一緒だ!」
キャッキャと騒ぐ鈴。
「う~……また鈴に差をつけられた……」
「しょうがないよ、鈴は攻撃魔術でラストアタックボーナス取ってるけど、澪は殆ど攻撃魔術使えないからね。でも、澪のおかげで回復の心配もないし、付属魔術のおかげで、安定して魔物を倒すことができるしね」
勇志がそう解説した。
「殆どって……まぁ、そうなんだけど……」
「私が澪よりラストアタックボーナス取ってるのは事実だけど……。勇志が一番とってるじゃない!」
「まぁ、鈴。落ち着け」
「むー……大地が言うなら、しょうがないわね」
「大体、ラストアタックで多く経験値がもらえるだけで、別に経験値が俺らに入らない事は無いじゃないか。これのおかげで」
そう言って、大地は自分の右手首を見た。
「そうね……。これ結構貴重品らしいね」
澪がそう呟いた。
「簡単には買える物じゃないと思うね。これつけてる人、王宮にも全然いなかったし」
その呟きに鈴が答えた。
この勇者一行は、強斎が転移された翌々日に、この腕輪を渡された。
この腕輪の効果は、同じ腕輪を装備している者がステータスがある物を倒すと、倒した者の0.8倍の経験値が手に入る。という効果だ。
勇者一行のステータスはこうなっている。
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ユウシ・スズキ
LV30
HP 3548/4020
MP 3000/3900
STR 419
DEX 393
VIT 394
INT 392
AGI 448
MND 419
LUK 100
スキル
言葉理解
超解析
聖騎士
作法LV4
剣術LV11
状態異常耐性LV6
火属性LV5
水属性LV5
土属性LV5
風属性LV5
光属性LV6
闇属性LV4
HP自動回復速度上昇LV5
MP自動回復速度上昇LV5
限界突破
属性
火・水・土・風・光・闇
#
#
ダイチ・タカミ
LV27
HP 4833/5100
MP 2500/2980
STR 458
DEX 324
VIT 458
INT 291
AGI 288
MND 295
LUK 100
スキル
言葉理解
超解析
作法LV4
盾LV9
大盾LV7
大槌LV5
剣術LV9
刀LV5
状態異常耐性LV7
火属性LV4
土属性LV4
光属性LV6
HP自動回復速度上昇LV7
属性
火・土・光
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#
リン・ハネダ
LV27
HP 2900/2980
MP 3420/4870
STR 255
DEX 442
VIT 291
INT 467
AGI 320
MND 471
LUK 100
スキル
言葉理解
超解析
作法LV5
体術LV5
状態異常耐性LV6
火属性LV7
水属性LV7
光属性LV7
闇属性LV6
MP自動回復速度上昇LV7
魔術攻撃力上昇LV6
属性
火・水・光・闇
#
#
ミオ・トウヤ
LV25
HP 2650/2650
MP 2480/4100
STR 241
DEX 344
VIT 269
INT 562
AGI 337
MND 441
LUK 100
スキル
言葉理解
超解析
回復特化
付属魔術
料理LV9
作法LV6
僧侶Lv7
ヒール・ハイヒール・エリアヒール・ヒールライト・リジェネ・光の刃
状態異常耐性LV6
HP自動回復速度上昇LV4
MP自動回復速度上昇LV6
属性
回復特化(ユニーク)
付属魔術(ユニーク)
#
「私達……強くなってるよね?」
澪が唐突に呟きだした。
その言葉に雰囲気が重くなる。
お供達は勇者一行のペースについていけず、へばっていた。
「強くなってるはずさ。ホルス様も言ってただろ?僕たちは既に最高クラスの騎士団長並に強いって」
勇志が少し笑いながら言った。
「そう……だよね。でもね、時々不安になるの。本当に私達で魔神を倒せるのかって」
「倒せるのかじゃなくて、倒すのよ。もう、覚悟したじゃない。絶対に魔神を倒して、強斎を生き返らせるって。例え地球に帰れなくても」
鈴が真剣な眼差しで澪を見た。
「……そうね。何年かかっても魔神を倒す。私は、強斎に伝えたい事がいっぱいあるから……」
そうして、澪は2週間前を思い出していた。
*
(ここは……私の部屋……じゃない……。じゃぁ、やっぱりあれは夢じゃないの……ね)
強斎がランダム転移された翌々日。澪は王宮の一室で目を覚ました。
むくっと体を起こすと、鈴が座って寝ていた。
ずっと看病をしていたのだ。
「鈴……」
澪は嬉しくて思わず、鈴の名前を呼び、頭を撫でた。
「ん…………み……お?」
(起こしちゃったかな?)
澪はちょっと苦笑いをしたが、鈴は構わず起き出した。
「ごめんね。起こしちゃった」
「澪……澪!!」
ガバッと鈴は澪に飛びつく。
「澪……!よかった……よかったよ……!」
「もう……そんなに心配しなくても……」
「えへへ……でも、本気で心配したんだ……。私……ずっと不安だったの」
「鈴……」
「強斎がいなくなっちゃって、澪まで目を覚まさなかったんだから…。昨日1日大地と勇志も全然喋らなかったんだよ?このまま、バラバラになっちゃうんじゃないかって…」
「そう……」
強斎がいなくなったことを改めて報告され、心が痛む澪。
「あ……ごめん……」
その事に気がついて、シュンとなる鈴。
「……もう大丈夫だよ。勇志達のところに行こ」
「……うん」
………
……
…
「大地、いる?」
鈴が大地の部屋をノックする。
そして、中から大地が出てきた。
「澪……起きたんだな」
「うん、心配かけてごめん」
「そんなことはいい、あんな事があったんだ。仕方ないさ。それより、勇志のところに行くんだろ?俺も行くぞ」
こうして、勇志の部屋に向かった。
………
……
…
「勇志。入るぞ」
大地が一声かけて、勇志の部屋に入る。
「やあ。澪、起きたんだね」
「うん」
勇志は少し疲れ気味に椅子に座っていた。ろくに寝ていないのだろう。
「勇志……そんなに自分を責めるな」
「……」
「勇志!」
「わかっている……わかっているけど……。僕が油断したのは事実じゃないか。僕はここにきて、割り切れていなかった。ずっと地球の感覚だった。でも、強斎は違った。何で強斎が勇者じゃないのかがわからない。何で強斎が飛ばされたのかがわからない。王女様に訊いたけど、強斎のステータスじゃ生還している確率は殆ど0。僕だったら何とかなったらしいけどね」
乾いた笑いを出して、勇志は天井を見た。
「僕は、強斎に絶対恩を返すって言った。でも、結局は僕を庇って生きているかどうかわからない状態。もう死んでいると考えた方がいいってさ。いなくなったら、恩を返したくても返せないよね……」
その言葉に、澪は心が締め付けられるような感覚を感じた。
(私は……私は強斎を守るって言ったのに……)
その次の感情が上手く出せずに、俯いてしまう澪。
それに気がついて、鈴が声をかけようとするが、ノックがかかった。
「勇者様方。おられるでしょうか?」
大地が、みんなに確認を取って、ドアを開けた。
――声の正体はヴェレスだった。
「ミオ様、もうよろしいのですか?」
「あ、はい。もう大丈夫です」
「では、みなさん。少しお話があるので、ついてきてください」
4人はとりあえずついていくことにした。
………
……
…
着いた場所はとある一室で、そこにはホルスがいた。
「お父様、連れて参りました」
「うむ、ご苦労。とりあえず、座ってくれ」
高級そうな長椅子に4人は座った。
「先日は残念だったな」
その言葉に一気に空気が重くなる。
「あの男が言った通り、彼がドレット王国に転移していない限り、生存は無いと断言していいと思われる。が、しかし。1つだけ彼を元に戻す方法がある」
その言葉に一同は目を見開く。
「ほ、ホントですか!?」
勇志が、立ち上がって、ホルスに言いよった。
「まぁ、落ち着け」
「すみません……」
「確かに、ある。が……」
ホルスは4人を見回した。
「――故郷には帰れなくなるぞ?」
その言葉に、息をのんだ。
「我は魔王を倒し、神を復活させたら、何でも1つ願いが叶うと思っていた……が、それは間違いであった。神を復活させても、願いは叶わん。魔神を倒さなければな」
「「「「魔神?」」」」
「ああ、魔神だ。今現在もこの世界にいるであろう……」
こうして、ホルスは魔神について色々話しだした。
魔神を倒せば、強斎が生き返ると。
魔神は人の手でも倒せるが、物凄く強いと。
そして、ホルスは最後にこう言った。
「故郷に帰れなくとも……自分たちの命が危なくとも。それでも彼を復活させたいか?」
この言葉に4人の答えは決まっていた。
「「「「勿論」」」」
こうして、勇者達の魔神退治が幕を開けた。
スキル名、ユニーク属性名、
さて、主人公がウハウハしているのに、勇者達は物凄く頑張っていますね!
次は主人公視点に戻ります!
感想待ってます