チンチラダイヤのぼくに家族ができた日

作者: 流丘薫

チンチラダイヤの第3作目です。すいません!今回も猫馬鹿を発揮してしまいました。

彼らが可愛くて、2作目の後に直ぐに書こうとしていたのですが、あれやこれや考えすぎて今になったしまいました。

そして今回は、ダイヤの実生活での行動を中心に書いています。

また、お付き合い下さい。

(今のぼくには四人の家族がいます。お兄ちゃんとなごちゃんとママにパパ。そして、家族ができたのは‥‥)


「それでは失礼します。大事に育てますので‥‥。まずは

 お名前つけてあげなきゃね。」


 12月25日。クリスマス。


(その日までのぼくは、いつも一人で寝たり起きたりしていた気がするの。おんなじ色をした大きな男の猫が一人、女の猫が二人。そして、茶色の猫で大きな男女が一人ずつ。茶色の小さな猫が一人。でもここで遊んでもらった記憶はありません。覚えているのは‥‥)


「フーッ!二ャギヤ二ャギヤ二ャ。」


(なにボーッとしてるの。さっさとおどき。)


まだ名前もなかった時のダイヤはいつも一人でした。ブリーダーの家に生まれたのですが、お家の人はお年寄り。なので生まれたばかりの子猫だからと言って特に何かしてくれる訳ではなく、お母さん猫もいつも子供をすぐに取り上げられるのでおっぱい以外は放りっぱなし。少し歩けるようになると今のようにみんなから怒られます。


それでもダイヤは負けませんでした。おっぱいが欲しくなるとお母さんに向かって歩いていき、トイレは他の兄弟(?)猫の真似をしてトイレですることを覚えました。


そうして、生まれてから1月位がたちようやくヨチヨチ歩きが出きるようになった11月の終わりに運命の出会いがあったのです。


「こんばんは、今日7時にお約束した青葉です。子猫ちゃんを見せていただきに参りました。」


「こんばんはー!」


元気な女の子の声もします。大人の猫やダイヤより少し大きいお姉ちゃん猫は、いっせいに階段に向かって走って行きました。


「ウニュ?」


(なあに?)


その時ダイヤは一人みんなと離れた所にいました。歩き始めたばかりなのでとてもみんなにはついて行けません。


「すごーい、ねこちゃんがいっぱい!」


さっきの女の子の声です。


「棚に寝ている大きなチンチラは、知らない人だと噛んだりするから触らないで下さいね。あ、ちょうど今来たこの子は、茶色だけどチンチラで体も強いし、性格も大人しいからお嬢ちゃんでも大丈夫ですよ。」


「この茶色の子、器量良しだし、ほら、抱っこしたらお顔にスリスリしてくるよ!この子にしたら。」


パパもママから茶色の子を受け取り抱っこしています。


「でも、れんちゃんは真っ白だったよね。」


そうです。青葉さん一家が今日このブリーダーさんのところに来たのは、なごちゃんがれんちゃんと同じような()とどうしても暮らしたいと訴えたからなのです。


白いチンチラのれんちゃんは、なごちゃんが生まれた時にはもうお家にいました。ママが結婚する前からお家で飼っていて、結婚したときにママと一緒にやって来たそうです。


れんちゃんは、パパとママにほんとの子供のように育てられていました。毎日3人でご飯を食べて、3人でお話をして、3人で一緒に寝て、なのでパパがやママが具合が悪いと枕の横にずっといる優しい子でした。


だからなのでしょう。なごちゃんが生まれるとれんちゃんは、『お兄ちゃん』になりました。いる場所は、パパやママのそばではなくいつもなごちゃんの横です。ママがお掃除や洗濯をする時は、バウンサーを揺すってのお守りをしてくれました。


なごちゃんが大きくなってもそうです。ママに怒られている時は、


『スタスタ』


となごちゃんとママの間に入って


「ウニャウーン」


(なごちゃんをいじめちゃ駄目!)


れんちゃんにとってなごちゃんはたった一人の自分が守るべき大事な妹だったのです。


でも、なごちゃんが5才の時、れんちゃんは天国に行ってしまいました。体が辛いのに、朝パパに話しかけ、なごちゃんとママの手からご飯を食べて眠るような最後でした。


たった一人の兄弟を亡くしたなごちゃんは、毎日寂しくて仕方ありません。子供にとって話し相手がいないのはつまらないものです。


そこである日、ママはみんなに言いました。


「捨てられたりして可哀想な猫ちゃんを引き取らない?」


その頃、大きな天災があり多くの人が避難して生活していました。また、飼い主のいなくなった動物達もいっぱいいたのです。


ママは、そういう子達の一人でも救えれば‥‥と考えたようです。


そうして、動物愛護センターから来てくれたのがお兄ちゃんのコナン。すごく優しい子で寂しさなどの人の気持ちがわかる子です。そして、れんちゃんの後をついでなごちゃんが怒られていると間に入ってくれています。


顔もどこの子よりも男前。でも‥‥


この気持ちの解決と見た目は大人でもまだ1才になったばかりのコナンを一人にしたくないと思った結果が今日の訪問の理由でした。


なごちゃんもこの理由をわかってたのでしょう。ほどなくして、もう一人猫ちゃんを欲しいといいだしたのです。


「あっ、階段をちいちゃな子が登ってきたよ。なごあの子が良い!」


「フニッ」


(なあに?)


『ポン、ポン、ポン、トン』


両手両足でやっと階段を登ってきた子がいます。話を聞くとまだ生まれて1ヶ月たったばかりだそうです。知らない人が怖いのか入り口のところから中々入ってきません。


「キャー!れんちゃんと同じ子だ!」


ママが小さい子の姿を見て叫びます。


「ウニャ?」


(だあれ?)


「この子はまだ小さいからあと少ししてからならお引き渡し出来ます。うちでは体重が500グラム以上にならないとお譲りしてないんです。」


ブリーダーの奥さんが説明します。


「ねえママ、この子に来てもらおうよ。きっとれんちゃんの生まれ変わりだよ。」


何もわからない猫ちゃんは、ただ首を傾けてみんなを見ているだけでした。


「今日はどうもありがとうございました。では、クリスマスの日に迎えに来ます。」


そして、クリスマスの日、仕事中のパパにママから写真付きのメールが届きました。


『プッ (笑)』


届いた写真は、クリスマスブーツの中に入っているこの前の白いチンチラちゃんです。そして、メールには‥‥


「猫ちゃん来たよ!クリスマスブーツに入れたら喜んでるの。可愛いでしょう!名前はなごちゃんがダイヤに決めました。ダイヤは来たとたんにお兄ちゃんにすり寄って甘えているよ。コナンは、最初逃げてたけどすぐにダイヤをなめて毛繕いしてあげてる。偉いね!」


どうやら何の心配も無さそうです。なごちゃん、ママ、パパはれんちゃんを思い出して、コナンはその優しさから直ぐにダイヤを家族の一員として認めたのです。


でもみんな最初は大変でした。一週間たったあといきなりダイヤが嘔吐を繰り返し、食事を全くとれなくなったり。元気になると寝ているコナンのおっぱいをずっと吸い続けたり‥‥


おかげでコナンはしばらくおっぱの部分の毛が無くなってしまいました。子育てに疲れるのか寝ている時間も増えました。


そうして、なんやかんやで一年間が過ぎ


さて、ダイヤはやはりれんちゃんの生まれ変わりだったのでしょうか?


いいえ、やっぱりダイヤはダイヤでした。見た目は少し似ていても性格がまるで違います。お兄ちゃんのコナンがいるせいもあるでしょうが、大人しくて家族のことをまず考えるれんちゃんとは大違い!


お兄ちゃんのしっぽめがけて


『ピョン!』


お兄ちゃんが寝ているとキャットタワーの上から


「フニッ」


(あしょんで)


『ビュン、ドン』


元気いっぱい。我が儘三昧。


こんな子ですが、なごちゃんのお家には小さな男の子がいたことが無いのでみんなに可愛がってもらっています。


「グルグル、フニッ。フニャーン」


(だって僕まだ子供だもん!遊んでー)


でも、コナンに寄り添って寝んねしているときは、


「フニフニフニ、グルグル、フニフニフニッ。」


(お兄ちゃん、なごちゃん、みんな大好き!ここが僕のお家で良かった!)







次は彼等の気持ち中心で書いてみようかなと思っています。頑張って早く書けるようにしたいと思いますが‥‥