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2:近世の成人年齢は14歳からだったりする

野良猫におもちゃの小判を与えたら持ち逃げされたので初投稿です

ルイ16世こと、ルイ・オーギュストに転生してしまってから一か月が経過した。

なんとか随行員とか国王であるルイ15世やその愛妾の方々とか、フランス王宮で蠢くダークな会話などに受け答えしながら無事に過ごしている。

俺宛の来賓が何かと多いんですよね最近。

金持ちの貴族とか教会関係者がやって来て挨拶のついでに献上品をくれるんだよな。


明後日控えている結婚式までに数十人の人たちが賄賂……もとい献上品をニコニコスマイルで持ってきたんだ。

某テレビ局でやっている芸術品鑑定番組に出したら一品最低100万円から1億円クラスの美術品とか骨董品を五次元ポケットから出すようにドンドンと渡してきた。

どこからそんなに沢山持ってくるんだい?


「王太子殿下、うちの事よろしくお願いいたします」

「是非とも我々の事をよろしく……」

「娘でしたら何時でも歓迎いたします」


……とかきれいごと並べながら俺に渡してきたけどさ。

あまりそういった代物には興味ないの。

美術品の価値はわからないからね。

ダイヤモンドとか宝石で散りばめられた豪華な物よりも俺には欲しい物が一つだけある。


日本が誇る葛飾北斎先生の富嶽三十六景の原版がすごく欲しいと思った。

だって中身日本人だし(メタ発言)

何より日本の事が凄く恋しくなっているんだ。

でも今の徳川幕府は鎖国政策をしているからオランダとか清国とかかなり限定された国家としか取引していないのよ。

よくそれで国内経済回っていたよねホント。


とにかくコッソリ付き人に浮世絵とか湯飲み茶わん等を日本で買ってきてとお願いした。

いや、職権乱用ではないですよ?

ちゃんと俺の財布から資金は出しましたよ。

どこにそんな資金があるかって?

ちょうど貴族の一人が献上品を差し出してきてくれた所だ。

いっちょ実践してみよう。


「この美術品やら宝石は私が好きに使ってもいいのか?」

「はい王太子殿下!どうぞご自由にお使いください!」

「分かった、では君のご厚意に感謝して自由に使わせてもらうぞ、念のためこの書類にサインしてくれ」

「はいはい、直ぐに書きます!何卒宜しくお願い致します!」

「うむ、考えておくよ」


書類の内容を最後までよく見ずに貴族連中は俺に恩を売れた事に喜んでスラスラと書いてウッキウキで退室していった。

いや~書類の内容ちゃんと見なきゃだめでしょ。

書類の内容は『商品受け渡しに関する承諾書』であり、内容は金品をプレゼント目的で受け取った場合、それらを売却しても訴えないというものだ。


ほら、自由に使ってもいいって承諾取ったしええやろ?

これらを換金してより良いフランスの未来を作るために投資してやる。

俺には宝石とか美術品なんか必要ないんだよ!

そんな意気込みで貴族から物品を受け取って、商人にマネーロンダリングしてもらいその資金を使っているというわけだ。


貰った美術品とか骨董品をトレードする形でフランス東インド会社に依頼してオランダ東インド会社から取り寄せる事にしたんだ。

バレたらまずいけどまぁ何とかなるでしょう!

それに承諾書も書かせたからあいつらが後で文句を言ってきても法的に認められているから裁判で訴えられても勝てる自信がありますねぇ!


というわけで早速貰った宝石類のうち、10万リーブル分を換金してとある機関を設立することにした。

その内容はまだ極秘だけどね。

いずれ時期がきたら設立しようと思う。


こういった代物は有効活用しないといけないでしょ。

物々交換だったり金銭にトレードしたり……。

本来であればルーブル美術館でなくてもいいからセキュリティーが厳重な美術館を建設したいけど、財政厳しいから無理そう。

というか万が一革命が発生したら間違いなく革命派市民の略奪対象になりますねこれは……。

実際にこの前のデモ運動で美術館襲撃されて展示物破壊されていたし……。


なので革命でダメになるぐらいなら好きに使ってしまおうと考えた所存です。

俺の物は俺の物、扱い方も俺次第ってやつですわ。

倉庫にしまっているよりは遥かに有効活用しているぞ?

数か月掛かるみたいだけど、どんな浮世絵と茶碗を持ってくるのかささやかな楽しみなんだ。

それにまだまだ貰った美術品とか芸術品はたんまりある。

貴族が貯蓄してダメにするよりはもっと有効に使ったほうがいいと思うんだ。


史実だとルイ16世は錠前作りが好きだったみたいだけど、割と現代でそれができる人間はかなり少ない。

最低でも鍵の仕組みを理解した上で作らないといけない。

もしルイ16世が現代社会に転生したら工学系研究科の道に進めたかもしれない。

そうしたらきっと技術者として立派にやっていけたかもね。


さて、ヴェルサイユ宮殿においてアントーニア嬢こと、後のマリー・アントワネット妃との結婚式のリハーサルをやるために俺は別室で待機していたんだ。

紅茶を飲みながらリハーサル内容を再度確認して明後日の結婚式に備えている。


俺が転生する直前まではマリー・アントワネットの再評価が進んでいたが、近年までは完全に権力者として腐敗し浮気を重ねた悪女扱いだった。

「パンが無ければお菓子を食べればいいんじゃない?」という言葉はマリー・アントワネットが言った言葉ではないのにマリー・アントワネット本人が言ったと長年言われ続け、おまけにこんな王妃になりたくないベストランキングで上位トップをとるような女性だ。


革命派と敵対していた貴族連中が必要以上に悪口を書きまくっていたという事も分かっている。

ホントちゃんと調べればマリー・アントワネットはいい人なんだけど不遇な扱いを世界史レベルで数百年後にも受けている。

調べれば調べるほどマリー・アントワネットが可哀想になってきた。


(いや、今の自分……ルイ16世じゃん?だったらマリーを幸せにできるんじゃないか?)


そんな思いがこみ上げてくる。

息子のルイ17世とか子供なのに革命に巻き込まれた結果、人間扱いしてもらえずに牢獄に閉じ込められて無念の末に亡くなっていたりするし、何よりフランス革命後に起こったのは革命派の身内同士の内紛と弾圧を強めた恐怖政治が続いたことだ。


それに飽きた国民はナポレオンによる軍事独裁政権を支持して結果的にフランス革命とそれに続くナポレオン戦争によって500万人近い国民が犠牲になったというデータもあるぐらいだ。


ならここで自分がどうにか抗えばフランスそのものもなんとかなるんじゃね?

革命阻止できるんじゃないかと考えた。

革命を阻止して美女と謳われた女性と幸せに暮らす。


〇第一目標〇


『フランス革命を全力で阻止してマリーと末永くお幸せに暮らす』


おお、いい目標が出来たな。

よし!マリーちゃんを迎えて幸せに暮らしますよ~!

名君ルイ16世って呼ばれるぐらいには頑張りたいと思います!

その後夜8時近くまでリハーサルを行い、俺は明日の結婚式に備えるのであった。

なお、フラグは乱立する模様。

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