15:朝早起きしてもテレビが無いので改革案でも作るか
もうじきウェーク島での戦いが始まるので初投稿です
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西暦1770年6月9日
おはよう諸君!!!
早速だけど今は朝の6時だ!
こんな朝早くに何してんだ?
まだ周囲は薄暗くてそこまでヴェルサイユ宮殿内も忙しくない静かな時間帯だ。
こんな時間だけど俺は早速起きて作業をしている真っ最中だ。
昨日は俺とアントワネットは勉強に励んでいたのだ。
というか、ここ最近は二人とも勉強に勤しんでいる。
勉強を終えると疲れで俺たちはそのままベッドにダイブして眠ってしまう。
アントワネット曰く、子供の頃から教科書とか勉強をするのが大の苦手だったらしい。
どうしても集中力が続かずに文字を書けなくなったりしてしまうのだとか……。
ぶっちゃけ、
なので幼年期は彼女の専属教師たちは如何にしてアントワネットが勉強に励んでくれるのか大いに悩んでいたらしい。
先生方の寿命を縮めていなければいいんだけどね。
でもここにやってきて彼女は変わってきている。
無論、良い方向に変わってきている。
俺が夜付きっきりで勉強を教えるようになってからだいぶ色々なことを学ぶようになってきた。
一緒に勉強をしていると彼女は少々多動な面もあり、時々集中力が切れてしまうのも事実だ。
それでもアントワネットは「オーギュスト様の為ならば勉強も頑張りますわ!」と休息をちょっとだけ取れば再び一生懸命に勉強に励んでいた。
俺もなるべく彼女の邪魔をしないように問題が分からなければアドバイスを行い、疲れていて休憩している際にはジョークを言ったり、明るい話題で場を和ませている。
また、彼女自身の考え方がある場合には彼女の考え方や意見……さらに日常生活で支障に思っていることなどを言ってもらい、ストレスケアに取り組んでいるんだ。
身体だけじゃなくて精神面でもアントワネットの体調を整えていくことに取り組んでいる。
嫁さんの悩みや相談をしっかり受け止めるのは夫の責務だ。
アントワネッは可愛いんだから!!!
俺がしっかりやらねばならぬ!!!
これもアントワネットと幸せに暮らす為だ!!
内政ゲームでも閣僚などをスキルアップできるシステムが搭載されているゲームがあるじゃん?
最初はステータスが低くても育成していくうちに強くなるやつ。
今のアントワネットは俺と一緒にステータスを絶賛強化中なのだ。
多分ここ最近は少しずつステータスが上がってきているんじゃないかな?
誰しも最初は分からない事だらけだ、分からない事は恥ではない。
分からない事があればゆっくりと時間を掛けて先ずは補助をして解いてみる。
次に自分から問題を解いていくようにすれば、勉強というのは八割ぐらいは上手くいく。
どうしても解けない問題があれば飛ばして次に進ませる。
そんな感じで一緒に勉強していくとアントワネットは羽ペンを走らせて勉強に励んでくれている。
さらにアントワネットと一緒に勉強をして休息時間になれば、簡単な軽食を食べながら勉強をしているのだ。
ちょっとだけ太りやすい生活になっているが、なるべく夜食に関してはカロリーの高いものは避けてビスケットとアントワネットの大好きなホットミルクを飲んで勉強しているんだ。
ウェヒヒヒ……俺はなんて極悪な夫なんだろうか……。
大学生時代に家庭教師のアルバイトをしていた事もあったので、こうした勉強を教える側には少しだけど心得があった。
その経験が役に立ったのだ。
いやー人生何が幸いになるかわからんねコレ。
そんでもって最近召使い長が「ここ最近は遅くまでロウソクが灯されていますが、一体お部屋で何をされていらっしゃるのですか?」と言うんだ。
なので俺はこう答えたんだ。
「二人で将来の為に熱い想いを語り合っているのさ。互いを知る上では必要な事だよ」
ちゃんとフランスとアントワネットの将来の為に勉強に励んでいるんだ。
帝王学とか経済学とか……将来俺が国王に、アントワネットが王妃になる上で必要になる知識を本などをつかって学んでいるのだ。
決して祖父のように毎晩ベッドで女性たちと淫らな夜戦を繰り広げているわけじゃない。
なんか夜戦が激しすぎて部屋からやらしい声が駄々洩れしているという事を聞いたことがある。
部屋の前で警備をしている守衛さんにとって女性の喘ぎ声を聞きながら持ち場を守るとか……ちょっと辛いと思うの……主に下半身が……。
なぜか周囲では俺が毎晩アントワネットと夜戦を繰り広げているという噂がチラホラとしているが、そんなものは気にせずに勉強は毎日続けていますよ。
はい。
さて、勉強の話は一旦置いておく。
先程まで俺は召使い長さんからのモーニングコールの時間までにちょいとばかり早起きして机に座って筆を走らせていた。
筆を走らせながら書いていたのは『ヴェルサイユ宮殿における使用人の処遇ならび宮殿内警備の改善案』であった。
先日先天的性不能の治療をする1時間前に描き上げた『使用人・守衛に関する業務量の是正案』は俺が改善すべき点を絞って纏めたものだ。
是正案には宮殿に対して使用人の数が多すぎるので使用人の人数を減らし、その分仕事が増えるので仕事分に見合う給料を支給する。
また守衛の臨機応変さを高めるために訓練を行うことを盛り込んだものであった。
ちゃんと仕事はしていますよ~。
一応この是正案は25日にルイ15世に見せたのだが、生憎却下されてしまった。
というのも、彼自身が使用人の改革案に失敗した事で責任を負いたくないらしい。
それと俺に対して娘たち……いや、俺から見たら叔母か……アデライード達が文句を言ってきているのでそれに対する愚痴を聞かされた。
なんか叔母たちの中でもまとめ役のアデライードに関しては「雑巾」とか「アレ」扱いしていたので娘への愛情は薄れてしまっているように感じた。
流石に「雑巾」扱いは酷いと思った。
「すまぬなオーギュスト、確かにこの是正案は的を射ている。しかしな……大きな声では言えぬが使用人たちのテリトリーを無作為に口出しできぬのだよ……いずれお前が王になれば分かる」
「申し訳ございません。しかし、先日の事件で守衛が事件の現場を見ていたにもかかわらず、私が命じるまで立ったままボーっとしていたのはよろしくないかと……あれではただの
「確かにな、守衛も困ったものよ……困ったといえば、どうもあの雑巾はお前とアントワネット妃がくっついているのが気に食わないと言っていたぞ。あまりにもしつこいから一喝したのだがな……何かあったらすぐに余に報告するのだぞ」
「ええ、叔母上は少々気が立つ時期なのでしょう。では是正案はこちらで実行に移しやすいものに改善し、後日改めてお渡しいたします」
「分かった。余が実行できそうならオーギュストの意見を踏まえた上で側近たちと協議しよう」
多分『ヴェルサイユ宮殿における使用人の処遇ならび環境改善のための改善案』は実行に移されないだろう。
それでもこの案を提示する事に意味があるのだ。
将来国王になった時に、この案を既に王太子時代から国王と相談していたと周囲が知れば私を支持する人が増えるだろう。
たぶん。
なので、召使い長からのモーニングコールが来るまでの間、後ろにあるベッドで安らかな顔で眠っているアントワネットの顔を見て元気をもらいながら書いているのであった。