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61話 番外編 変態紳士ギルド2

やあ読者さん、お久しぶりです。

「こんにち殺法!」

◝(´◝ω◜`)◜ 


一ヶ月くらい空いたので前話の内容を忘れているかと思います。

そこで作者が前回のあらすじを簡単にまとめたので見て下さい。


<前回のあらすじ>

私はどこにでも居る高校生、田中よ!

ある朝、食パンを咥えながら「いっけない~遅刻、遅刻~」と走っていると、曲がり角で人とぶかっちゃたの。

その人はオナーヌという男性で、そのことがきっかけで魔界に拉致されちゃったの。

ふえぇ~これから私どうなっちゃうの!?

魔法男子リリカル田中☆魔境編スタート!

魔術と科学が交差するとき、ハニーフラッシュをぶちかまして月に代わっておしおきよ!

次回もサービス、サービス!


こんな内容だったと思います。(当社比)

「よし、妄想ランニングは終了だ! これから班分けを行う。第一グループは引き続き私の指導の元、紳士修行に励め! 第二グループはドS組と合流して交流を深めてこい!」


「サーイエッサ!」


 オナーヌの指示に従い、変態紳士ギルドのメンバー達はグループを二つに分け、それぞれ行動し始める。


 僕は、どちらに付いていくか悩んだけどオナーヌの紳士修行とやらを見学することにした。

 なんたって彼は、魔境と呼ぶに相応しいこの場所へと僕を連れてきた張本人でもあるし、その真意を見極めようと思ったからだ。


 それと、ドS組とかいう不穏な単語が聞こえたので現実から目を逸らすための決断でもある。


「我々変態紳士は、いついかなるときも己(性癖)に正直にあるために、自身の潜在能力を遺憾なく発揮する必要がある。そのためにも日々の鍛錬が大事であるということを重々承知して欲しい」


 精悍な顔立ちに真剣な表情を浮かべ、変態紳士ギルドのメンバーを見渡すオナーヌ。


「今回は素早く地べたを這いずりながら、お目当ての相手に踏まれにいくための紳士修行を行う。大事なのはイメージだ。妄想しろ! 常に描くは最高の煩悩! 己の本能を解き放ち限界を突破しろッ!」


 そう力説しながらオナーヌが地面に伏せる。


「お前達に妄想力による限界突破の一端を見せてやろう! はあああああああああああああッ! 見える! 見えるぞッ! 雨が降り注いでできた水溜まり。そこに純白のワンピースを着た深窓の令嬢が現われるのだ。彼女は道を渡りたいのだが、大きな水溜まりのせいで立ち往生してしまう。困り果てた彼女を見かけた私は、すぐさま駆けつけ――いや、這いずって向かう。一分一秒でも早く彼女の元に辿り着き、その曇り顔を太陽のような満面の笑顔に変えたい私は肉体の限界を超える! 死力を尽くし命を賭して辿り着いた私は、水溜まりに飛び込んで彼女に叫ぶのだ『――私が君の道になろう! 君には悲しむ顔よりも笑顔が似合う、さあ私を踏んで進んでくれ』と。瞬間――彼女は花咲く笑みを浮かべて感謝の言葉とともに私の背中を踏むのだ。彼女が履いているハイヒールの踵が容赦なく背中に突き刺さり、言いしれぬ悦びが身体中を駆け巡って私は快楽の波に溺れる。優しい彼女は、自分が靴を履いていることに気がついて謝罪の言葉とともに慌てて靴を脱ぎ、再び私の背中を踏み歩く。先ほどの抉られるような鋭い痛みも素晴らしかったが、今度は背中に彼女の柔らかな足の感触と体温が直に伝わり、私は抗えない快楽の波に呑まれてエクスタシーを迎える。やがて果てた私は薄れゆく意識の中で想うのだ『――生まれてきてよかった。……私は今、世界で一番の幸せ者だ』と」


 オナーヌは滑らかに淀みなく舌を回し、プロの劇団員が感情の起伏を観客に表現するかのように声を響かせる。


 内容は正直ドン引きするようなものだけど、無駄に喋りが上手いだけあって彼の思い描いている情景が脳裏へと鮮明に浮かび上がった。


 変態の癖に無駄に凄い技術だ。僕が素直に感心していると、次の瞬間――オナーヌが消えた。


 いや消えたのでは無く、僕が目を離したほんの僅かな瞬間、彼は匍匐前進で数十メートル先へと移動していたのだ。


 それにしても速い、速すぎる。

 

 それは……。

 陸上選手が己の限界に挑戦して駆けるように。

 野生の動物が獲物を狙って追い駆けるように。


 とても匍匐前進とは思えない人間離れした領域の速度だった。


 あまりにも高速で手足を動かしているためか、僕の目にはオナーヌの手足が何十本もあるかのように錯覚してしまう。


 その様を例えるとしたら、台所に出現する黒い悪魔(ゴキブリ)が高速で地べたを這いずるような奇怪な動きだ。


 そのまま速度を維持しつつ、およそ百メートルほどの距離を匍匐前進したところで、ようやく動きを停止させる。


 彼は本当に人間なのかな? オリンピックの百メートル走にでも出場したら、匍匐前進だけで世界一を余裕で狙えるのではないだろうか?


 そこで彼は徐ろに立ち上がって、変態紳士ギルドのメンバーに向かって叫んだ。


「見たかッ! これが妄想力を糧として己の限界を突破する紳士技術の一つである。全部で七つの紳士技術があるが、まずはこれを修得できるように励め。変態紳士への道は険しく終わりは決して無い。私とて、まだ紳士技術を四つまでしか修得できていないが、七つ全てを修得したヘニスギルド長でさえも、おっしゃっていた。『紳士道に終わりは無い、自身で限界を定めることは実に愚かしいことじゃ。なぜならエロスには無限の可能性が秘められているのだからのう』と」


 こんな変態技術が七つもあるのかよ!? というか、只者では無いと思っていたけどヘニスギルド長って一体何者なんだ?


「さすがはオナーヌ教官とヘニスギルド長! 自分、感動のあまり涙が止まりません! こんな素晴らしい人達のもとで指導して頂けるなんて光栄の極みであります!」


「エロスは無限の可能性か……深い言葉だな。俺はなんて器の小さい人間だったのだろうか! 今まで自分で勝手に限界を決めて色々なことから逃げてきたが、己(性癖)にだけは正直でありたいんだッ! もう、絶対に俺は逃げねえ!」


 ……え? 感動する要素あったかな?

 

「さあさあ!手を、足を、妄想を止めるんじゃない! 大事なのはイメージを強く持つこと。命を賭してでも駆けつけたいと思う最高のシュチュエーションを妄想し、普段眠っている脳の力を解放することで肉体を完全に支配下に置くのだ」


「サーイエッサ!」


 それから変態紳士ギルドのメンバーは「ぐへへ」と声を出しながら気色の悪い笑みを浮かべて地べたを這いずり始めた。


「……私の妄想力が試されるときね。はああああああああああああッ! 見える、見えるわッ! サッカー好きのショタっ子が、嗜虐的な笑みを浮かべて私を見下ろしているの! そして『次はお姉ちゃんがボールの役ね』って私に言い放つの。そのまま履いているスパイクシューズで容赦なく私を踏みつけて――」


「……地下室に監禁されている僕は銀髪褐色美少女姉妹に踏みつけられているんだ。ジャリジャリと鳴る鎖の音を耳にしながら、僕は無様にも下から彼女達を見上げる。輝く銀色の髪と、それに反する暗めの肌色が綺麗なコントラストを描いて――」


「……自分は男子校で男の娘と運命の出会いを迎えるのであります。自分は彼に告白し、彼は不安気に瞳を潤ませて『ボク、男だけど本当にいいの?』って泣きそうな声で言うのであります。自分はそんな彼を安心させるために足下に跪いて――」


「……公園の砂浜で純粋無垢な幼女が泥だらけになりながら遊んでいる。そんな天使ちゃんに俺は土下座しながら――」


 何だコレ? いやいや、何なんだよコレ!?


いやー、今回「」内の台詞量がえげつないことになっていますね(笑)

今まで主人公がぼっちなので、あまり喋らなかったこともあって書いていて新鮮な気持ちでした。


よろしければ、この作品を多くの人に読んで貰いたいので他の人にも紹介して頂けると嬉しいです。


【急募】ピュアな作品【面白い小説】

72:名無しの読者

面白い小説探してるいるんだけど、誰か教えてクレメンス


73:名無しの読者

>>72

http://■ ■ ■ ■ ■ ■


これオススメ。

『変態PSさんのVR冒険譚』っていうタイトルなんだけど、変態なんて一切登場しない綺麗な作品だから子供の情操教育にも良くて家族と安心して読めるよ!


↑という感じでお願いします。

変態なんて一切でてこない綺麗な作品ですから、なんの問題もありませんね!(念押し)


あ、評価ポイントがどこにあるか分からない人が意外に結構いますので説明しておきます。

その作品の最新話、後書きの下(広告の下)辺りにあります。


この作品に限らず、他の作者様の作品にも面白いと思ったら是非とも評価ポイントを入れて上げて下さい。本当に励みになると思いますので。

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