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49.道を得る者は助け多い

最近ちょっと忙しくなって、申し訳ございません。

 席に座って、趙王は情熱的に趙括に賓客を紹介した。趙括に前に座り、大柄の巨漢が臨武君(りんぶくん)である、彼は楚国出身であり、趙国の危機を知ったので、自ら趙国を助けに来たと言う。


 趙王は嬉しそうにして、臨武君は兵法に精通しており、必ず趙を助けて危険を逃れることができると言って、趙括には趙王が臨武君を趙国に召募する意思も見られた。


 しかし、趙括はこの兵法に精通し、大将の器と呼ばれる臨武君を無視した。残りの人たちは皆趙国の大臣である。楼昌(ろうしょう)もその中にいた、彼は穏やかな様子で、微笑みながら趙括に向かってうなずいた。彼は趙国の法律を司る人だが、威厳が全く見えない。


 そして、虞卿である。彼は元々田単の代わりに宰相になったのだが、平原君を助けたことで、仮の宰相、仮相に降格されたのである。


 趙国の大臣たちはほとんどここに集まっている。彼らは名高い馬服子に好奇心を持っており、友達になろうとも思っている。


 趙王は嬉しそうに臨武君に、

 「臨武君よ。寡人はあなたが兵法に精通し、寡人の大臣ですらあなたを言い負かすことはできなかった。しかしこの馬服子はあなたと同じで、兵法に精通している。趙国で最も優れた青年とも言える彼にも勝てるか?」


 臨武君は趙括を見た。趙国に来てからは皆が彼を尊敬したが、趙括に先ほど無視されたことで、不快になっているのであった。


 これらの日に、臨武君は毎日馬服子のうわさを聞いている。趙王ですら彼を可愛がって、誇りに思っている様子だった。


 “しかし、思った以上に顔立ちが整っておるな...”


 馬服君ですら馬服子を言い負かすことができなかったと聞いた臨武君は趙括を侮ることはなかった。ゆえに、臨武君は笑って、


 「馬服君の名は、昔から聞いております。しかし、私はすでに諸大臣と何日間も論戦しており、口が乾いていています。また日を改めて論戦してはいかがですか?」


 趙王は彼を見つめてから、大声で笑って、

 「ハハハ..そうしましょう。」


 趙王は非常に嬉しそうにして、趙括を見て、

 「寡人に重要なことがあると聞いた。何でしょうか?」


 趙括は立ち上がり、

 「長平の戦いは劣勢に立たされています。どうか平原君を各国に遣わして、救援要請してください。」


 趙王の笑顔はすぐに消え、臨武君をチラ見して、

 「楚国がすでに臨武君を出してくれている。それに、平原君も年を取っていて、寡人は彼が国のために疲れ果てるのは見るに堪えない。」


 それを聞いた趙括は、真剣な顔で、

 「もし臨武君が軍隊を連れてきたのはまだしも、来たのは臨武君たった一人です。長平の食料はすでに枯渇しています。もし諸国の援軍、食料がなければ、数十万もの兵士たちは上党郡で戦死し、数百万人もの百姓たちは餓死してしまいます!」


 趙王の顔も次第に厳粛になった。少し離れた場所にいる楼昌は趙王の心を察して立ち上がり、

 「上党郡は四十万もの兵士がいて、さらに廉頗将軍が彼らを統率しています。あなたが近頃にまた数十万石の食料を送ったと聞きます。」


 「将たる者は敵を畏れないから、兵士たちは全力で戦ってくれると聞いていますが、馬服子がそのように秦軍を恐れるのは、士気に影響を及ぼすのではありませんか?」


 趙括も怒りを感じて、

 「廉頗将軍によると、上党郡の食料は半年しか持ちません、半年後はどうするのですか?!」


 御史は大声で、

 「趙国の兵士たちは半年で秦軍を倒せないのですか?馬服子はどうしてこうも趙国の勇士たちを侮るのですか?」


 趙括はそれよりさらに大声で叫んだ、

 「秦軍は我々より人が多いのです!さらに有利な地形を占拠している!廉頗将軍でさえかろうじて防衛しているのに、あなたはこうも趙国の勇士を信頼しているには、何らかの策があるのですか?!」


 御史は正義のように、

 「聞くところによると、知恵ある人が国を管理し、正直な人が王に諫め、勇気ある人が敵を倒すことによって国が繫栄する。敵を倒すことは廉頗将軍の責任ではないですか?」


 諸大臣もしゃべり始めた、趙括は口を挟むことができなかった、

 「その通りです!それに、私たちはとっくに使者を各国に遣わして、結果的に侮辱されたのである。平原君さえも侮辱されたら、趙国の面目は潰れるだろう。」


 「もし平原君がまた人質になったらどうするのですか?」


 「趙国には馬服子のような若者がいる。わざわざ高齢の平原君を煩わす必要はない!馬服子に廉頗将軍の代わりに将軍をなってもらうのはどうでしょうか?私は、秦人が最も恐れている人が馬服子と聞いたことがあります。」


 趙括はただ静かに彼らを見た。この中にすでに秦国に買収されている人もいると悟った。彼らの発言により、趙王はまったく自分の提案を受け入れない。


 趙括は長い溜息をしてから、

 「秦国はあなたたちにいくらをあげたのですか?趙国の民の命はいくらしたのですか?」


 「貴様!!」

 途端に、楼昌の顔は赤くなり、趙括を指して、

 「ここに座っているのは人たちは皆、馬服君の年で、あなたを自分の子供のように愛している。どうしてそのような無礼ができるか?」


 趙括はもう彼に構うことなく、趙王を見て、

 「上君、王宮の外を見てみてください。どれほどの親が自分の子供を待っているか、どれほどの子供が自分の親を待っているか、どれほどの罪なき人が道端で餓死したか、どれほどの兵士たちがあなたのために戦死してくれているかを見てみてください!」


 「邯鄲の百姓たちは腹をすかしてでも、食料を差し出してくれています。どうか悪人の言うことを聞かずに、平原君を遣わしてください!!」


 趙王はしばらく沈黙して、

 「寡人は広く賢人の意見を聞くことで国が繫栄すると聞いた。寡人は独断な人ではないので、やはり皆の意見を聞かなくてはならない....」


 趙括は全身に寒気がして、心の中で絶望が浮かんだ。絶望の寒さが彼の体を凍りつかせた。


 「理にかなっています...ゴホッ..ゴホッ..上君は当然、賢人の意見を聞かなくてはならない....ゴホッ...ただ、私たちは賢人と言えるでしょうか?」

 突然、入口の方から聞き慣れた声がした。


 皆が入り口を見てみると、年老いた藺相如がゆっくりと歩いているきて、その後ろは田単がいた。田単は冷たい顔をしながら、もう一人の見知らぬ老人と楽毅を支えていた。


 さらに彼らの後ろに、趙括が道で助けた老人がヒゲを撫でながら立っていた。


 皆は飛び上がって、趙王ですら慌てて立ち上がった。


 「藺公!田公!楽公!龐公(ほうこう)荀子(じゅんし)??!」

 趙王は驚いた顔で彼らを見ていた。特に最後方の老人を見た趙王を危うく上から転落するところだった。


 趙括は茫然として彼らを見ていた。藺公?楽公?田単まで来たのか?それにあの老人?荀子? ?彼は驚きのあまり,言葉が出てこなかった。


 皆が趙王に一拝して、趙王は慌てて彼らを起こした。彼らは皆、昔から趙国を支えた人であって、荀子のような人すらいる。落ち着いて彼らの礼を受けることはできない。


 藺相如は咳をしながら、遠くにいる楼昌を見た。楼昌は目をピクリと開け、まだ何が起こっているか理解していない状況だった。


 藺相如は怒った声で、

 「ここに立っているのは人たちは皆、あなたの父の年で、あなたを自分の子供のように愛している。どうしてそのような無礼ができるか?」


 楼昌は恐怖で慌てて身をかがめて一拝をした。


 二人に支えられている楽毅は趙括を見て、ニッコリと笑った。その隣にいる龐公と呼ばれる人も趙括に微笑んでうなずいた。田単は少し冷たく、頭を高く上げた。荀子は大臣を嫌そうに見ていた。


 藺相如は楼昌を無視して、頭を趙括の方に振り向いて、目をパチパチした。


 ほら、あなたは成功すると言ったでしょう。


 なぜなら、あなたは一人ではないから...


 あなたには、私たちがいる...

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