48.捧腹大笑
捧腹大笑【読み方】 ほうふくたいしょう. 【意味】 腹を抱えて大笑いすること。
鼎・・・鍋と思ったらいいです。
邯鄲に近づけば近づくほど、戈の言葉が少なくなってきた。
どの村の前にも多くの人が立って、あるいは座って、家族を待っていた。老人や女性たちは子供を慰めながら涙を流し、遠方から来る馬車を見つめた。趙括の馬車が近づくと、老人はゆっくりと立ち上がり、近づいてきた。
「お客様、長平の消息はありますか?私の息子はすでに二か月も手紙を送ってきていないのです...」
老人はそう言って、泣き始め、
「彼の母が亡くなった手紙を彼に送った後に、一度も返信がなかった...」
趙括は慌てて馬車から降り、
「息子さんの名前は何ですか?」
「鷲です。」
「あなたが鷲のお父さんですか?」
趙括はそう言って微笑みながら、
「安心してください!私は長平から戻ってきたばかりです。秦軍が道路を襲ったせいで、手紙はしばらく届きませんが、とても元気にしていました。」
老人は涙を拭き、
「本当ですか?」
「本当です。鷲が帰ってくるのを待ってください。」
老人は呆然と、
「よし...よし...」
趙括は馬車から果物を取って、笑って子供たちに分けた。子供は嬉しそうに果物を持って叫び始めた。その中の三歳くらいの子供がきょとんとして趙括を見て、
「パパ!」
趙括はぎょっとした。彼の母親が子供を強くたたいて、
「でたらめを言うな!」と叫んだ。
子供が泣き始めると、ほかの子供も影響されて泣き始め、父親を叫んだ。
趙括は馬車に乗り、逃げるようにここを離れた。
道端で、多くの人たちがひざまずいて、通行人たちに手を伸ばし、食べ物を乞いた。それでも趙括を見た途端に、自分の顔を手で隠し、涙を流した。
趙括に言われる前に、戈が馬車にある食べ物を彼らに分けた。しばらくして、戈はまた馬車に乗り、前進した。
「彼らは商人です。あちこちで戦争しているため、誰も彼らの貨物を買ってくれません。それに、今では数千銭があっても食料を買うことはできません。金はもはや金ではないのです。」
馬車が馬服郷付近に来ると、戈は趙括に尋ねた、
「主母に拝見してから、邯鄲へ行きますか?」
趙括はしばらく黙ってから、
「先に邯鄲へ行きましょう。用事が済んでから母に拝見します。」
戈はうなずいて、馬車を操った。
邯鄲に来るたびに変化を感じる。道を歩く人はまた少なくなり、百姓たちはまた痩せた。
趙括は胸がへこんでいて、骨が見えそうな老人を見て、とても怖かった。邯鄲の城門を守っているのはやはり前回の老兵で、今度もやはり趙括が分からなかった。適当に取り調べたら、趙括を城に入れた。趙括たちは王宮へ赴いた。
邯鄲王宮は邯鄲城内で一番大きな建物である。王宮の門前には二人の武士が周囲を見張っている。馬車が来ると、武士たちは近づいてきた。趙括は馬車から降り、戈が大声で、
「馬服子が上君を拝謁しに来ました!」
威張っていた武士たちは驚いて、慌てて趙括に一拝して、趙括も礼を返して、
「上君に馬服子が拝謁しに来ましたと伝えてください。お願いします。」
二人の武士は承諾して、急いでいった。しばらくして、武士が戻ってきて、
「今日に、上君は客がいまして、また後に来てください。」
「本当に大事なことを上君には言わなければならないのです。」
趙括が慌ててそう言っているのを見た武士たちは首を横に振り、ため息をして、
「馬服子、私たちを困らせないでください。私たちも仕方ありません。」
趙括が長くため息をすると、戈が急に笑い始めて、涙が出るほどに笑って、
「子君!慌てないでください!秦軍が彼の首に剣を置いて、彼が子君を探しに来た時に、子君も彼を数日待たせたらよいのです!」
二人の武士は顔色を変え、剣の柄を握ったが、趙括の顔を見て、なかなか剣を抜け出せなかった。趙括は何も言わずに、戈に向かって、
「藺公の屋敷に行って一日休んで、明日にまた来ましょう。」
久しぶりに見た藺相如はまた老けた気がした。咳もひどくなったが、藺相如は趙括を見てとてもうれしくて、趙括の手を握って、
「聞きましたよ!あなたが食料を長平に送った話!これは邯鄲の貴族たちでさえできなかったことです。私は貧しいゆえに何も助けることはできませんでした。お許しください。」
「そんなこと言わないでください。私がしたことは、戦争にとって些細なことでしかありません。」
趙括はそう言ってますます寂しそうな顔をした。
藺相如も彼の不安を察して、
「あなたはなぜこんなに早く邯鄲に戻ってきたのですか?」
「私は上君に平原君を遣わして、諸国に助けを求めようとしましたが、上君はなぜか私に会ってくれませんでした。」
藺相如はまた咳をして、
「安心してください。近頃は楚国から客人が上君を拝見しに来たのです。上君は彼を招待しているため、時間がないのです。きっともうすぐにあなたに会ってくれます。」
「藺公は成功すると思いますか?」
趙括はまるで彼に期待している人たちのように藺相如を見た。
藺相如もしばらく黙ってから、笑って、
「きっと成功すると思いますよ!こんな危機な時に、上君はきっとあなたの提案を断らないでしょう。平原君は友達が多く、魏国の信陵君でさえ彼の義理の弟である。きっと上手く行きます。」
「なら良い...なら良い...」
趙括は呆然とうなずいた。
それからの数日、趙括は毎日藺相如の屋敷に住んだ。彼は毎日王宮に行くのだが、二人の武士は毎回首を横に振ったのである。趙括は王宮へ行くか回数はどんどん増えて、一日に七、八回も行くのだが、王宮の武士たちは羞恥で頭を下げたが、依然と入ることができなかったのである。
そうして五日後、趙括が王宮に来た日。武士は趙括を遠くから眺めて、叫んだ、
「今日は大丈夫です!!」
趙括は笑って、武士について行った。王宮に入るとすぐに肉や酒の匂いがした。
武士は趙括に、
「上君はここら数日、ずっと楚国からやってきた客を招待していたのです。」
武士について、趙括はついに趙王に会った。
趙王はあまり年を取っているわけでもなく、眉毛が濃く、大柄だった。全身に酒の匂いがして、その周囲には多くの大臣がいた。皆の前に鼎があって、趙王の前には鼎が七つあった。鼎の中は肉があって、良いにおいがする。
大臣たちの左側に空席がある。そこに鼎が五つあって、三つの茶碗や美酒があった。
趙王は席から立ち上がり、趙括の前に来た。趙括は一礼をしようとしたが、趙王は迅速に趙括を起こして、
「これらの日に、あなたに入らせなかったことを責めないでください。ただ、寡人には客が多すぎて、十分の鼎がなかったのです。」
「元々は三つあったのですが、もし三つの鼎しか使わなかったら、あなたへの敬意が足りません。この五つの鼎は私がわざわざ人を遣わして運んできたのです。まだ誰も使っていません。」
この嘘のような、真実のような言い訳を聞いた趙括は、忽然笑い始めた。
戈のように、涙が出るくらい笑った。