44.各自の役目
今日からいつものように投稿します。
「馬服子と廉頗将軍はすでに敵を倒す方法を話し終わりましたか?」
司馬尚は趙括を幸、戈、荻らがいる屋敷に連れて行った。屋敷に入るとすぐに司馬尚が尋ねてきた。
彼は趙括を熱く見て、瞳の中には希望と呼ぶ物が宿っている。
趙括はこの若い都尉を見て、脳中に邯鄲の城門を思い出した。そこにもかつては同じように若者がいて、同じように希望を抱いて自分に尋ねてきた。しかし彼は死んだ...
趙括は笑って、
「私は邯鄲からここへ来ました。白起は私を恐れるがゆえに秦国の最も手練れの間者で私を殺そうとしましたが、それでも私は生きて長平まで来ることができました!対策がないわけがありません!」
「安心してください。趙王が私を呼んだのは、まさに廉頗将軍と共に敵を倒すためです。秦人は決して私と廉頗将軍の相手ではありません!」
趙括が自信満々に言ってるのを見た司馬尚は大笑いして、喜ぶと同時に興奮した。少し遠くにいる荻も微笑んで、
「ほら、私の言う通りだ!秦人などは子君の相手ではない!」
荻は嬉しそうに幸と長平の話をして、また李魚たちと間者の状況を尋ねた。司馬尚は笑いながら去った。戈は遠くに座り、李牧と何か揉めてるようで、李牧が顔を赤くしているのが見える。
趙括はただ静かにこの画面を眺めているだけで、心の中の絶望を表に出すことはできなかった。彼だけが知っているのだ。出撃であれ、防備であれ、どの道死ぬしかないと。
趙括は少し上に座って、門客たちがその左右に座った。李牧もその中に座って、趙括の門客と見られても、恥とは思わなかった。
「荻、あなたは今までのように軍中に残って、より多くの兵士たちに秦軍の残虐さを伝えてください。私は廉頗将軍と相談して、あなたには四百人の兵士を選んでもらい、彼らと共に消息の伝達を手伝ってもらいます。」
「任せてください!」
荻が去ったのを見た趙括は、幸を見て、
「幸、廉頗将軍に、秦人は大糧山から湯山の間の森に多くで兵士を配置していると聞いたことがあります。彼らは森に隠れ、供給部隊を頻繁に襲い、大糧山の戦況がますます悪くなりました。私はあなたが森に詳しいのを知っています。廉頗将軍の配下と共に隠れている秦人を見つけてくれませんか?」
幸はうなずいて、隣にいる明が困惑して、
「すでに山で隠れているのが分かっていれば、なぜ大部隊で討伐しないのですか?」
それを聞いた趙括は、
「秦軍はこの二つの山の南を囲んでいる。もし大部隊で行けば、敵の主力に会う可能性があるからです。」
明もうなずいた。趙括は微笑みながら、
「あなたにも、頼みごとがあります。」
明は少し落ち込んだ様子で、
「私には荻と幸のような勇武さもなければ、李魚のような知識もありません。私に何ができますか?」
趙括は首を横に振り、
「私が聞くことによると、柳の木は松の木のような家具を作れるほど固くはないが、しかしその枝は丈夫な籠を作れる。桑の木は柳の木のような柔軟の枝を持ってないが、しかし魔除けができる。あなたはどうして自分を見下すのですか?」
「私はあなたが小さい頃から家族といろんな場所へ行って、商いをしたと聞いたことがあります。私はあなたに各地に行って、食料を買って来てほしい。」
明は目を明るくして、立ち上がり、
「分かりました!必ず成し遂げて見せます。」
趙括は最後に李魚を見て、
「私はあなたがいろんな場所に行き、各国の言葉に精通していると聞いたことがあります。私の代わりに訪ねてほしい人がいます。」
李魚は目を細めて、
「魏王のことでしょうか?」
趙括は首を横に振り、
「信陵君を訪ねてほしいのです。趙国は現在重大な危機を直面していて、食料が不足している。もし趙国が負けたら、秦国を止めれる者はいなくなる。」
「たとえ軍事上で援助ができなくとも、趙国の兵士が餓死するようなことがないように、明を助けてくださいと、どうか彼に伝えてください。」
李魚は厳粛な顔で、
「分かりました。今日中に出発します。」
趙括はまた李牧を見た。李牧は慌てて立ち上がった。趙括は、
「私が廉頗将軍と話し合うときはあなたもいたので、あなたに言うことは特にありません。ただ、巡察の時は秦国の間者に気を付けてください。」
李牧がうなずいたのを見た趙括はやっと笑顔を見せ、
「では長平の事は皆に頼みます。気をつけてく...」
“バン!!”
趙括が言い終わる前に戈が跳ね上がり、目の前の机を蹴り倒した。怒った様子で趙括を見て、
「もしや私が年を取ってもう役に立たないと思っていますか?李牧のようなガキでもあなたを手伝うことができる。どうして私がダメですか?もし私に用がないのならば、剣をください!」
趙括は苦笑して、
「私はこれから邯鄲に行って、上君に拝謁しに行きます。今回は門客たちの護衛がなく、どんな危険があるかわかりません。あなたは年長で、経験がある上に勇気もあります。私を邯鄲まで護衛してほしいのです。」
戈の顔色はやっと良くなり、頭を上げて、鼻を鳴らした。
隣に座る李牧が心配そうに、
「大兄、もし門客がいなければ、また秦人の襲撃を受けたらどうするのですか?廉頗将軍から騎士たちを借りることにしませんか?」
戈は激怒して、
「騎劫!私の能力では少君を保護するに足りないと言いたいのか?!」
李牧は顔を赤くして、言葉を失った。
趙括は慌てて立ち上がり、衝突を阻止しようとした、
「心配しないでください。秦国はこの度多くの間者を失い、短期間で人手を調達することは容易ではありません。ましてや私はこっそりと城を出るつもりです。道沿いにも各地の官吏に庇護を求めているから心配する必要はないです。」
李牧はやっとうなずいた。