39.秦が畏れる者は我なり
間者…スパイのことである。
強弩・・・強い弓矢のことである。
「何??また食べ始めたのか?」趙括を待っていた秦人は激怒した。
「仕方ありません。趙括は豊かな生活をしていた愚かな貴族です。こんな山道を通ることは苦痛だったでしょう。」
大男は顔を真っ赤にして、
「皆に休ませろ!この時期に火を起こすのは、今日中には羊腸坂に入ってこないはずだ。明日の朝に必ず入って来る。今はただ十分食べて、休んで、明日を待つんだ」
「分かりました。」
大男は目を細めて、唾を吐いた。
彼は近くの木の上で彼を見ている人には気付かなかった。
馭者たちはなぜ止まるかを不思議に思ったが、何も聞かずに趙括の言う事に従った。趙括、戈、李魚、趙傅たちは最前列に座って、幸が戻ってくるのを待っていた。
趙括は趙傅に秦軍の事を聞いて、趙傅もそれを全部答えた。趙括から見たら、秦国は政法だけではなく、軍法まで整っているのである。
例えば趙国では、両軍が対峙しているときに、忽然誰かが出陣し、相手の大将を討ち取った場合、褒美を多くもらえる。しかし、秦国では命令を守れずに、勝手に出陣した罪で死刑になるのである。
趙傅が秦軍を語るときに、少し恐れた様子で、
「彼らはまるで一人のようだった。」
幸が戻ってきたときは全身が泥だらけで、顔が緑に染まっていた。見回りする騎士は化け物に会ったかと思ったほどだった。
「子君、前方に伏兵があります。数百人で、強弩の数も少なくはありませんでした。」
幸は少し心配そうに見えた。羊腸坂のような地形は数百人どころか、数十人でも甚大な被害をもたらすことができる。それに強弩を持っているはさらに厄介である。
皆が不安になった途端、趙括が忽然笑い始めた。隣にいる李魚は戸惑って、
「子君はなぜ笑うのですか?」
「ハハハ~、私は秦国の間者の無謀を笑っています!」
「秦国の間者と何かつながりがあるのですか?」
趙括はうなずいて、
「私は、秦国が趙国に多くの間者を送り、趙国の若者が戦場に行っている間に悪事をし、さらに平原君や楽毅将軍などが戦場に行けないのは、彼らがデマを流したからと聞いたことがあります。」
「なんだと?そんなことがあるのですか?!」
「よくも平原君を!」
趙括は門客たちの怒った様子を見て、
「秦軍はきっと平原君が食料を送ってきたことに怒ったに違いない。だから彼らはここで待ち伏せをして、私たちを殺し、食料を燃やそうと企んでいるはずです。」
「俺達に戦いの許可を出してください!」
「私たちはきっと秦人を殺して、平原君の恩徳を報います!」
趙括は微笑んで、
「もし秦人がここで待ち伏せせずに、風を利用して周りの木に火を起こせば、私たちは例え全滅しなくとも、食料を守ることはできなかったでしょう。」
「秦軍が一番畏れているのが私だ!武安君の白起さえ私を畏れている。ましてや間者...私の相手ではない!」
騎士たちは笑って、
「あなた様の言う通りです!」
趙括はやっと趙傅を見て、
「しかし、相手は強弩を持っている。強行突破すれば、被害は免れません。何か良い策がありますか?」
先ほどの指示を出した趙括の反応速度に驚いた趙傅はしばらく考えた。
「あなたの指示に従います。」
趙括はぎょっとして、うなずいた。隣の幸を見て、
「先ほどに見た事をもう一度詳しく教えてくれませんか?」
「分かりました。私は最初に獣や鳥の鳴き声が聞こえないと不思議に思い、偵察したら矢で殺された猛獣が見つかりました。」
「そして私は小道を行き、坂の上に回ったのです。そしたら羊腸坂の真ん中で潜んでいる秦人を見つけました。」
「その小道は馬に乗りながら通ることはできますか?」
「できません。」
「私を連れて行ってください。」趙括はそう言って、幸のように偽装した。さらに李魚と趙傅だけを連れて幸についていった。趙括は完全に貴族の礼儀を捨てて、地面に這いつくばりながら前に進んだ。李魚は何か言おうとしたが、結局何も言わなかった。
幸について、坂の上に来た。上からなので、遠くから羊腸坂で隠れている秦軍が見えるのである。趙括は周りの地形を見てから、趙傅を見た、
「私は馭者たちに騎士たちの馬に乗って、騎士のふりをしてほしい。そして敵が油断しているときに不意打ちしたいと思っています。私は勇士たちを連れて右を攻め、あなたは残りの人たちを連れて左を攻める。どう思いますか?」
「私はあなたの指示に従います。」
いや...何かアドバイスをください...
趙括は騎士たちを召集して、
「皆にいいことを伝えたいと思います。」
趙括は遠方を指して、
「上君は間者をひどく嫌がっていて、もし間者を殺せば、恩賞をもらえると聞いた事があります。」
「今そこに間者が数百人います!皆は私と共に間者を殺し、恩賞をもらいたいですか?!」
「おう!!!」
昼はいったん休んで、午後に投稿したいと思います。...