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少女、道中での学び

 私とガイアスの会話は、皆が聞いていた。私とガイアスが会話をした後、話を聞いていた獣人の子供達も一緒に頑張ると言ってくれた。



 住む場所を探しながら歩みを進める中で、私たちは強くなりたいという思いからシノミ、カユ、イルケサイ、ルチェノ、リリド、ダンドンガの六人の獣人の子供達と一緒に体を動かしたりしていた。

 体力をつけることも、皆を守るために必要なことだと思う。体力がなければいざという時動けないもの。

 男の子たちは、ガイアスの耳と尻尾が銀色になったことがかっこいいと声を上げている。

 茶色の耳と尻尾もいいなと思っていたけれども、銀色の耳と尻尾はもっといいとまじまじとガイアスの変化した部分を見ながらも思った。

 ガイアスは、変化が訪れてから以前より魔力を感じやすくなったといっていた。身体強化もちゃんと使えるようになっていた。だけど、他の子供たちは魔力を持ってはいなかったみたいで身体強化の魔法も使えないという話だった。そのことを落ち込んでいた子もいたけれど、獣人はそもそも魔法を使えないものが多い種族なのだ。




「使えないなら、体、鍛えればいい」



 私はそういった。



「私、皆ほど身体能力ない。その、強み活かして頑張ればいい」




 私は身体強化の魔法使えるけれど、元々の身体能力は獣人の方がずっと高い。そう考えると、獣人で身体強化も覚えたガイアスの身体能力って凄そう。

 それに、得意なことが皆同じだったらやれることも狭まってしまうと思うから。それぞれ得意なことが違う方がいいってそう最近思っている。



 私はフレネに風の魔法を習っていた。身体強化の魔法よりも、風の魔法を使うの難しい。魔物退治の時はフレネが手伝ってくれて魔法が使えた。けれど、フレネの手伝いなしに魔法を使ってみようとしたら全然うまく出来なくて少しだけ落ち込んでしまった。

 あと土の魔法に関してはシレーバさんたちに少しずつ教わっている。こちらは、風の魔法よりも上手くいかない。私は風の魔法への適性がやっぱり高いみたい。色んなことに手を出して、中途半端になったらそれは駄目だと思うから、風の魔法を使うことを第一の目標としている。

 ちなみにフレネは結構先生としては厳しい。



「レルンダ、それじゃあ上手くいかないよ!」

「そこは、こうやって―――」



 フレネは私の事を思って必死に教えてくれるのわかるから、そんなフレネにこたえられるようにしようと必死にやっている。



 風の魔法が使えるようになったら、グリフォンたちやシーフォのように空を飛べないかなと行動してみようと思うんだ。こうして、皆と一緒に空を飛びたいっていう目標があると中々上手くいかなくても頑張ろうってやる気が出てくる。



「……俺、他に何が出来るんだろ?」



 ガイアスは変化してすぐなのもあって、自分が何を出来るか明確に分からないようで困っていた。魔力は感じやすくなったのは確か、だろうけれどもそれ以外に何か変わったりしているのだろうか。




「何か、出来そうとかない?」

「んー……力が湧いてくるのはわかるんだけど、何が出来るか本当分からない」



 ガイアスは困った顔をしている。耳と尻尾から、落ち込んでいるのがわかる。



「私も、全然風の魔法、出来ない」

「うん」

「……私たち、まだまだ。少しずつでも、頑張ろ」

「うん」



 少しずつ頑張ろうという言葉に、ガイアスも頷いてくれた。





 ランさんともお話しした。





「レルンダ、レイマーもガイアスも貴方に祝福を与えられたのだと見受けられます。レイマーやガイアスに祝福を与え、貴方の騎士となったのは良いことだと思います。ただ、騎士の数は限られているのです。容易に祝福を与えすぎないようにしたほうがいいと思いますわ。もちろん、条件があるでしょうから簡単に祝福を与えられるわけではないと思いますが」



 祝福の話は少しだけランさんに聞いたことがあった。でもそういうことが私には出来るっていうのがなんとなく理解出来ているだけだった。



「数が限られてるって、どのくらい?」

「それは、分からないのです。それがわかっていれば良いのですが。ただ文献の中では、『神子の騎士』の数は限られているといった記述はありますし、確かに祝福を直接与えられた存在は数えられるだけしか存在しておりません」

「うん」

「ですのできちんと考えて祝福を与えた方が良いと思うのです。とはいえ、一番はレルンダが望むままに与えるのが良いのですが……」

「うん」



 正直、願ったり祈ったり、そういう気持ちがあった時に変化が起こっているから考えた方がいいといわれてもよく分からない。



「レルンダが好きな人に祝福を与えるの良いと思うのです。ただ……世の中にはそれを目当てで本心を隠して貴方を懐柔しようとするものも出てくるかもしれません。これからどうなるかわかりませんが、今のように人が少ないうちは大丈夫かもしれない。でももしこれから仲間が増えていくとしたら全員がレルンダにとって優しい存在であるとは限らない。レルンダが好きだと思って、信頼している相手がずっとそういう存在でいてくれるかもわかりませんから……」

「……うん」



 難しい話だと思う。私が好きだと思って、信頼している相手もずっとそうでいてくれるか分からない。それは例えば、今は仲良くしているランさんが私を将来的に嫌ったりするということだろうか。そんなことないと思いたいけれども、そういうことが起こるかもしれないのが現実なのだろう。



「―――難しい話をしてごめんなさいね、レルンダ。でもよく考えなければならないのですよ」

「うん」

「貴方が、神子であるかもしれないからこそちゃんと考えなければならないのですよ」

「……うん」



 私はランさんの言葉に、頷く。難しい話だけど、私が神子かもしれないからこそ考えなければならないこと。向き合っていかなければならないこと。

 私はランさんの話を聞きながら、そのことをより一層実感した。



 ――――少女、道中での学び

 (多分、神子な少女は獣人の子供たちと共に自分を磨く。そして女史との会話で心を成長させていく)



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