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ノアの思考
そうして俺たちは、逃げた。
人間界へ・・・。
しばらくは占い師をやった。次は紅茶屋。雑貨屋もあった。だが、最終的にはこの館で占いをしている。
ジュリアは魔力は少なかったが、占いはまずはずれることがなかった。
幸い、経営のほうはどうにかなっている。
だが、今回のように年に一度、協会本部へ行かなければならない。
それぐらいしか、悩みなんてなかった。それが偽りだったとしても。
ジュリアが心穏やかなら、それで良かったのに。
「なーんでまた面倒な・・。俺は博愛主義も助け合い精神ももってねえっての。」
だが汐莉は、高位の魔女に狙われている。
人間界にいる高位の魔女、そして汐莉の住む区域付近にいる魔女・・・。
「あいつ、か?だが・・」
ジュリアの姉。彼女もまた、人間界に降りているのだ。
ほかにも心当たりの人物はいるが、やはり彼女しか。
「まだ、たりないってのか・・・!」
やつの標的は汐莉ではない。
汐莉がここを見つけたことすら不自然。
ならばそれは。
狙われているのは、ジュリアか。
もしくは。
俺。
俺には、誰にも言えないことがある。
それは、俺自身さえも・・・。