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「ねぇ、どぉしてだめなの?」
「それはね、内緒にしておかないと皆が喧嘩するからよ」
「どぉしてケンカになりゅの?」
「う〜ん……例えば一人が美味しそうなお菓子を持ってて、他の子は持ってないとするでしょう?そしたら欲しいって喧嘩になると思わない?」
「しょしたら分けてってお願いしゅりゅよ!」
「あら、良い子ね。でも、もし分けられない物で「あげられない」って言われたらどうする?」
「う〜ん…じゃぁ、ガマンしゅりゅの!!」
「まぁ!!この子ったら何て良い子なの」
温かな手が私を撫でてくれる。
この手は好き。
いつも優しく包み込んでくれるから。
「なんて役に立たない子なの!?」
「どうしてお前なんかを!!」
節ばった手が身体中に飛んで来る。
この手は嫌い。
いつも冷たく叩かれるから。
一度だけ……一度だけ話してみようか?
そうすればもしかしたら優しく撫でてくれるかもしれない…。
微笑んでくれるかもしれない……。
「分かりましたね?…ご自身を守るには口を噤まれるしかないのです…」
あぁ…
そうだった。
私は話してはいけないんだった……