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『叫べ!!ほらぁ!!助けを呼べよ!!お前に出来るならなぁ』

セイラムは愉悦に歪んだ顔で私の頬を叩く。

やめて!!助けてっ!!!

大声で助けを呼ぼうとする私の耳に女性の声が聞こえた。


「………守………は、………まれ……いのです」


同時に目の前の男の顔に影がかかる。体格からして別人のようだ。隣に女の影も見える。

「おらっ!!なんとか言えよ!!声出せるだろぉが!?知ってんだぞ!!」

「何で何も言わないの!?…話が違うじゃない!!」

「クソッ!!……話せって言ってるだろぉが!!」


身体に感じる衝撃と、女のヒステリックな声。

グイッと左腕を引かれ、更なる暴力を予感して身体を縮める。

『ベル…』

ベル?それは私の事?

『起きろ…ベル…』

私は、ベル?……思い出せない。…私は………









『だ…れ?』

出した声は喉に張り付いて上手く出せませんでした。

『ここは……?』

顔にへばりつく髪を払いながら周囲を見回し、そこでハタと気付きます。

私は話せなかったのですよね。

頭が混乱してて分かりませんでした。


小さく息を吐いてから改めて自分の置かれた状況を観察します。

室内は趣味の良いベージュか茶色で統一され、調度品はシンプルながらに高価な物だと遠目にも分かります。カーテンは開けられていますが、この位置からは窓の外を確認する事は無理そうですね。なんせ広すぎなのですよ…。

そして現在私が占拠しているベッドは、私が四度寝返りをしても落ちない広さがあります。



えーっと……この状況は?




取りあえずベッドから出てみようと足を降ろした時、静かにドアが開かれました。

「お目覚めですか!!」

声の主は以前私を着飾って下さった女性の一人でした。女性は素早く歩み寄ると、再び私をベットの中に押し込みました。大丈夫ですよ、と示す間も無い早技に目を白黒させていると、さっと背中を支えて水を飲ませて下さいました。

とても美味しいです。ありがとうございます。もう大丈夫ですよ。



私がホッと一息吐いて笑いかけると、女性の顔が綻びます。以前は緊張でしっかりと見れていませんでしたが、女性はとても美しい方でした。少しキツイ目元をされていますが、その分笑顔とのギャップに悶えてしまいそうです。私が元気であればその可愛らしさに悶えていたでしょう。



「軽い食事をお持ちしますね」

女性は私をもう一度横たえると、そう言って部屋を出て行かれました。






残された私は何もする事がなく天井を見つめていました。ベッドから出たら怒られそうですしね。どうも身体が怠いのは体調が悪いからですかね。でも妙にスッキリしているのですが…。






暇ですし、何があったか整理しようと思いますよ。




え〜……執事さんが退室されて、セイラム様…が…





そこまで考えて身体に震えが走ります。

私…あの時…押さえつけられて……殴られて……

震える手で頬に手を当てましたが、特に痛みは感じませんでした。慌てて自身を確認しましたが、きちんと夜着を着ています。




夢?


だけど……そうです!あの時、隊長様が助けに来て下さったんでした。

という事は、隊長様が私をここまで運んで下さったんですね!もう、感謝感謝ですよ!!






女性が持って来て下さった胃に優しそうな軽食を食べ終わり、お薬を飲むと再びベッドに横になります。う〜ん…やはり身体が怠いようです。不思議に思っていると、女性から衝撃の告白が!!

「ベル様は一週間眠り続けられておりましたので」

えぇっ!?そうなんですか!!??



「落ち着かれたのでしたら、ご面会をと申し付けられています。どうされますか?」

いえ…私は元気ですよ。身体が怠いのは一週間食事をしていないからですね。それ以外はモリモリに元気です。


大丈夫ですよ、と頷きかけてハタと気が付きます。

一週間……寝っぱなしだったんですよね?

という事は……



『お風呂っ!!お風呂だけ入らせて下さい!!!』




私の剣幕に一瞬驚いた様子の女性は「本当は駄目なんですよ?」と言った後、ニッコリと笑って了承して下さいました。






天使!!天使がいますよ!!



ここまで読んで下さってありがとうございます!!書き溜めはありますが、明日の朝も早いのでこれで一旦投稿を休みます。またよろしくお願いします^ ^

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