112.ラーシュさん
そうして案内された場所は、ギルドの裏手にある大きな倉庫だった。その中に入ると20代後半位の男性がいた。すると彼は私達の事に気がついたようで声を掛けて来た。
「エレナちゃん、彼女たちを連れてきてどうしたの?」
「エレナちゃんは、やめてください。……ここに例の物を出してもらえる?」
エレナさんは彼とそんなやり取りをしながら先程話していたものを出すように言って来たので指示された場所に出した。
「オーク!? 嬢ちゃん達が倒したのか?」
と驚きながら聞いていたので頷いた。
「へぇ~、まだ若いのになかなか優秀そうだね? 俺の名前はラーシュ。ここのギルドで解体を専門にやっている。よろしく」
ラーシュさんは軽い感じで自己紹介をしてきたので私達も自己紹介をした。
「私はレーナで彼女は……」
「ユアです「よろしくお願いします」」
「おう! じゃあ、早速作業に入りますかね?」
そう言って彼は袖を捲り解体用のナイフを取り出したのでオークの解体を見学してもいいか聞くことにした。
「あの」
「ん? どうした?」
「オークの解体を見学してもいいですか?」
「別に構わないぞ?」
ラーシュさんがそう言うと私に見やすいように解体をしてくれた。ユアも私の隣で解体の様子を見ている。
ラーシュさんの解体は早く、1分ほどで臓器の摘出が終わろうとしていた。
「ん?」
するとラーシュさんは何かに気がついたようで取り出したものをよく見ていたが品定めするとそれを桶に入れてから部位ごとに分けて解体を行っていた。何かあったのかな? そんなことを思っていたけど作業は早く10分程で解体を終えてしまった。そのことに驚きながらもオークの売れる素材は、何なのかラーシュさんに聞いて見た。
「ラーシュさん、オークの売れる素材何ですか?」
「オークの売れる素材かい? それは、肉、皮、牙、睾丸かな? 上位種になると臓器や眼球と言ったものも売れるよ」
「なるほど。因みにですがどうして上位種によって他の部位も買い取ってくれるの?」
「あ~、それは強い個体程魔力を含んでいるから錬金術の材料になるらしい。細かい事は分からないけど薬などの原材料にもなるらしいよ」
そんな理由があるのかと思いながらオーク1匹どれくらいで売れるのかな? とそんなことを考えていたらラーシュさんが先ほど取り出した臓器を見ていた。あれ? 売れないと言っていたから捨てるのでは? と思っていたのだがおもむろに確認をしているとある場所をナイフで切って何かを取り出した。
「やっぱりか……」
そう言ってラーシュさんが握っていたのはとあるギルドカードだった。