109.オノマ達の末路
「こいつが怪我をしている私に危害を加えていた所を見ていたの?」
「それがどうかしたのか?」
「こいつがやっていることは最低よ!」
あぁ、なるほど。私が彼女に危害を加えているように見えたはずだからその証言を彼から取ろうとしているのかと思った。仮にもしそう見えたとしたらゼロスさんは、止めたと思うけど? そんなことを思いながら彼等のやり取りを見ていた。
「? 何が言いたい?」
「こいつがやったことはギルドの処罰対象になるはずよ」
何を言い出すのかと思えばここでギルドの規則を持ち出そうとしているのかな?詳しくは知らないけど……。
それにしてもそんなことを言ったら彼女自身も引っ掛かるのでは? と思ったけど彼女がそんなことを考えているはずもないか……。
「冒険者同士の諍いにはギルドは口を出さないはずだが?」
「例外もあったはずだわ!」
いや、例外とかあっても、明らかに彼女がいたパーティとか問題しか起こしていないしギルドでもかなり噂にもなっていたから彼女の首を締めているだけだと思うけど……。
「確かに存在もするが怪我している嬢ちゃん達のパーティはギルド側で処罰の内容を話していたはずだが……」
「え?」
(何それ? その話は私も初めて聞いたけど? どういう事なの?)
と思ってゼロスさんに視線を向けると私の視線に気がついたようで話し始めた。
「この前ギルド内で何か揉めていてそれが虚偽の報告だったとかという内容だが心当たりはないか?」
その話を聞いて私は少し納得した。確かにあれは酷かった。しかも人の多いときに彼等のパーティがやらかしたことだからなぁ……。
「そこの嬢ちゃん達は、被害者側だがあんたは、加害者側だろ?」
そう言われたメンデスはというと顔色を悪くしながら口をパクパクしている。まぁ、心当たりがありすぎるから仕方ないかもしれないけど。
「他の男2人はどこにいる?」
ゼロスさんがそう聞いたとき、そう言えば私もまだそのことを聞いていないことに気が付いた。彼女からそのことを聞こうとは思っていたけどユアの事でいろいろ言っていたためすっかり忘れていた。
「……死んだわ。オークに食われて」
その話を聞いてやっぱり……。と思った。あれだけの血が流れていたし道中に遺体らしきものが無かったからもしかしてと思ったけど本当に予想通りで少しゾッとした。うん、考えないようにしよう……。
「オークはこの近くにいるのか?」
「分からない」
「……そう言えば嬢ちゃん達も見たとか言っていたけど」
「あんたたちはオーク食わぁ!」
「「……」」
彼女がまた喚き出してうるさくなるかも? と思い少し静かにさせようと折れている足を踏んだら苛立ちもあってちょっと強く踏み過ぎたようで彼女の意識が無くなり、その場は妙な沈黙が支配した。